緻密で繊細なサウンドを奏でるランディ・ローズを「静」とすると、野太く力強いサウンドイメージがするジェイク・E・リーは「動」といったところだろうか。それはステージ上でのパフォーマンスに於いても言えることだが、ここではそのジェイクもランディ同様、メロディーラインに重点を置いたプレイに徹している感じもする。
まぁ、新参者が好き勝手にプレイできるはずもなく、当然そこにはオジーの意向が大きく働いているのだろうが、それでもこのアルバムのギターサウンドは当時から虜になるくらいに魅了されていた。それにしてもジェイクのパワフルなリフは今聴いても痺れるね。
収録曲に関しても、オジーのアルバムの中でもトップクラスと言える充実度を誇るのがこの「Bark at the Moon / 月に吠える」だと思うのだが、加えて、自分が初めて買ったオジー・オズボーンのアルバムがこの"Bark at the Moon"だったということもあり、一層思い出深いアルバムとなっている。
一般的には、このアルバムでのハイライトと言えば、タイトル・トラックでもあり、ファースト・シングルにもなったオープニング曲の"Bark at the Moon"になるのではないかと思うのだが、個人的には、スローな"You're No Defferent Me"と"So Tired"の2曲、それに"Now You See It (Now You Don't)"といった曲が当時から好きだった。中でも"So Tired"は故美空ひばりさんが歌ってもおかしくないようなバラードで、仮に美空ひばりさんが歌っていたならば「川の流れのように」と並ぶ名曲になっていたんじゃないかと思えるくらいの曲。いや~、アルバムジャケットからは全く想像できないよね(笑)。
それと、このアルバム"Bark at the Moon"を語る上で欠かせないのが、翌年にアルバムと同タイトルで発売されたVHSのライヴ・ビデオ(DVD未発売)。このビデオ、\12,800と凄く高かったのだが、奮発して買ったんだよなぁ、日系人ギタリスト(母親が日本人)であるジェイク・E・リーのお披露目ツアーともなったこのライヴ。実は、主役の座をオジーから奪う位にジェイクが目立っているのだ(笑)。
テクニックも然ることながら、とにかくステージアクションがカッコいいんだよね。かつてオジーのライヴを観に行かれたアン・ルイスさんが、何かのテレビ番組の中で「ギタリストの人のギターを弾く姿が凄くカッコいいのよ」と絶賛されていたが、自分自身、未だに彼ほどカッコ良く弾くギタリストにはお目にかかっていない。
内容的にはこのビデオ、"Mr. Crowley"では肝心な所でジェイクの演奏シーンを写してなかったり、小さかったりと多少不満もあるが、サウンドの方は、今聴いても、やっぱいいなと。又、一部、編集(被せた歓声)が下手でうっとおしく、そのままで良かったのにと思う箇所もある"Rock'n Roll Rebel"はスタジオ・ヴァージョンより数段カッコいいし、ジェイクのギターソロが存分に堪能できる"Suicide Solution"は見所のひとつ。シリアスなバンドが多い昨今だが、やっぱりロックには魅せる要素も重要だと認識させられるところ。
TRACKLIST
1. Bark At The Moon / 2. You're No Different / 3. Now You See It (Now You Don't) / 4. Rock 'N' Roll Rebel / 5. Centre Of Eternity / 6. So Tired / 7. Slow Down / 8. Waiting For Darkness
1. 月に吠える / 2. ユア・ノー・ディファレント / 3. ナウ・ユー・シー・イット / 4. 反逆のロックン・ロール / 5. センター・オヴ・イターニティ / 6. ソー・タイアード / 7. スロー・ダウン / 8. 暗闇の帝王
NOTES
• 品番:25DP-5223
• CD発売日:1988/09/30
• Album: US 19位 (3x Platinum / 2000-RIAA)、UK 24位 (Silver)
• Singles: "Bark at the Moon" US 109位、UK 21位 / "So Tired" US 104位、UK 20位
OZZY OSBOURNE - BAND MEMBERS (Listed on Back Cover)
• Ozzy Osbourne (オジー・オズボーン) - Vocals
• Tommy Aldridge (トミー・アルドリッジ) - Drums
• Don Airey (ドン・エイリー) - Keyboards
• Bob Daisley (ボブ・デイズリー) - Bass and Backing Vocals
• Jake E. Lee (ジェイク・E・リー) - Guitar and Backing Vocals
[補足]
ちなみに、この"Bark at the Moon"、2002年に大胆なリミックスが施されてリリースされたリマスター盤以降の再発盤は、そのリミックス音源が使われたものばかりなので、購入される際(特にLP時代の音に慣れ親しんだ人など)はご注意を。
なお、リリース年が分からないような場合は、ボーナストラックが無い(全9曲)ものだとオリジナルの音源だと思って間違いないと思うが、その他にも"You're No Different"の時間表記「オリジナル・ヴァージョン (5:04) / リミックス・ヴァージョン (5:49)」を見て、どちらの音源かを判別するという方法もある("You're No Different"のリミックス・ヴァージョンがオリジナル・ヴァージョンに比べて40秒程度長いのは、オリジナル・ヴァージョンではフェードアウトで曲が終わるところが、リミックス・ヴァージョンではそのまま曲が続き、フェードアウト無しで曲が終わるため)。
▼ Ozzy Osbourne - Rock`N`Roll Rebel (Live 1984 - Bark at the Moon Tour)
▼ Suicide Solution - Jake E Lee guitar solo (Live 1984 - Bark at the Moon Tour)
[Official Audio]
▼ Ozzy Osbourne - Bark at the Moon
https://www.youtube.com/watch?v=F89-MOy7Xfg
▼ Ozzy Osbourne - You're No Different
https://www.youtube.com/watch?v=09vFKfpyuII
▼ Ozzy Osbourne - Now You See It (Now You Don't)
https://www.youtube.com/watch?v=DVIUmVq-kcM
▼ Ozzy Osbourne - So Tired
https://www.youtube.com/watch?v=vjWhOoT2h7w
▼ Ozzy Osbourne - Waiting for Darkness
https://www.youtube.com/watch?v=rrkHcTPbpZY
追記: [Jake E. Lee]
▼ ジェイクE .リー / 30年ぶりの『月に吠える 』手ほどき
https://www.youtube.com/watch?v=kAmaXrD7WVE
▼ Jake E. Lee's Red Dragon Cartel - Now You See It (Now You Don't) [Live 2014]
https://www.youtube.com/watch?v=lorEGoNYvtI
[関連記事]
▶ The Ultimate Sin (1986) / Ozzy Osbourne
▶ Bark At The Moon [VHS] (1984) & The Ultimate Ozzy [VHS] (1986) / Ozzy Osbourne
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