タータンチェックがバンドのトレードマークになっていたことから「タータン・ハリケーン」とか「タータン旋風」などと呼ばれ、1970年代に一大旋風を巻き起こしたグループがこのベイ・シティ・ローラーズで、当時はティーンエイジャーの少女達を中心としたファンの熱狂振りからビートルズの再来とも言われていた。
1970年代と言えば、目移りしてしまうくらい魅力的で個性的なスタイルのバンドが次々と登場した時代でもあったが、このベイ・シティ・ローラーズも一時代を築いたという意味に於いても、その1970年代の音楽を語る上では外せないバンドのひとつだと思う。
そして、この「Bay City Rollers Memorial / サタデイ・ナイト ~ ベイ・シティ・ローラーズ・メモリアル」は、日本で独自に企画されたベイ・シティ・ローラーズのベスト・アルバムで、帯にも記載されているように、"Saturday Night"がテレビのCMで使用されたことがきっかけでリリースされたと思われる企画盤ながらも、実はこれがCDとして発売されたベイ・シティ・ローラーズ初のベストアルバムであると同時に、初めてCDとして登場したベイ・シティ・ローラーズのアルバムであったと思う。
実を言うと、この記事自体は、近々取り上げる予定のアルバムとして今年の初めに大まかな準備はしていたのだが、残念ながらバンドの設立メンバーのひとりであるアラン・ロングミュアーが今月の2日に死去されたことを急遽加えて書かなくてはならなくなってしまった。
悲報と絡めて記事にするのは気が引けるので、この記事自体も来年以降に後回ししようかなとも考えたのだが、ベイ・シティ・ローラーズのアルバムはこれまで取り上げたことがなかったし、この後に続けてもう一枚準備しているアルバムの記事もあるので、迷ったものの取り上げることにした。アルバムの画像自体は5年前の2013年に取り込んでいたので、できることならもう少し早く取り上げていれば良かったんだけどね・・・。改めてご冥福をお祈りいたします。
話をアルバムに戻すと、この「ベイ・シティ・ローラーズ・メモリアル」、CM絡みの企画盤とは言え、実は内容自体はそう安直なものではなく、選曲なんかは精通した人がきちんとやったということが見て取れるアルバムなのだ。現在ではベイ・シティ・ローラーズのベスト・アルバムも数多くリリースされてはいるが、音質は別にして、選曲という点で見れば、今でもこれが最も充実した内容のベスト・アルバムではないかと個人的には思っている。
例えば、海外のベスト盤だと抜けていることも多い「My Teenage Heart / ひとりぼっちの十代」や、「Don't Let the Music Die / ハートで歌おう」といった日本では独自にングル・カットされた曲、そして、日本では 「Yesterday's Hero / イエスタデイズ・ヒーロー 」との両A面シングルとしてリリースされた「Rock'n' Roller / ロックン・ローラー」といった日本のファンにとっては外せないであろうこれらの曲もきちんと収録されているしね。
しかしながら、現在は廃盤になっているようで、恐らくは今後も再発されることもないのではないかと。
[追記] しかも、3枚組というボリュームでありながら、価格も1,000円台とリーズナブルなので、歌詞、対訳、解説といったものが無い輸入盤でも良いという方にはこちらがおススメ。 |
「ベイ・シティ・ローラーズ・メモリアル」の収録曲について補足しておくと、3曲目の「Summerlove Sensation / 太陽の中の恋」はストリングスが加えられた「US シングル・ヴァージョン」、17曲目の 「Dedication / 青春に捧げるメロディー」はレスリー・マッコーエンがリード・ヴォーカルをとっている「シングル・ヴァージョン」、19曲目の「Give A Little Love / 恋をちょっぴり」はストリングスがカットされた「UK シングル・ヴァージョン」、そして、20曲目の「Yesterday's Hero / イエスタデイズ・ヒーロー」はイントロ部分がカットされていない「アルバム・ヴァージョン」が収録されている。
なお、この「ベイ・シティ・ローラーズ・メモリアル」では、"My Teenage Heart"の邦題が「ひとりぼっちの10代」となっているが、オリジナル・アルバム及びシングル盤の邦題は「ひとりぼっちの十代」と数字の表記が漢字になっている。又、「Maybe I'm A Fool To Love You / メイビー・アイム・ア・フール」も、オリジナル・アルバムでの邦題は「アイム・ア・フール」となっている。
音楽面では、過去の名曲をベイ・シティ・ローラーズのイメージでアレンジしたカヴァー曲が多いものの、「My Teenage Heart / ひとりぼっちの十代」、「Love Me Like I Love You / ラヴ・ミー・ライク・アイ・ラヴ・ユー」、「Don't Let The Music Die / ハートで歌おう」といった"Faulkner, Wood"によるオリジナル曲に代表されるように、実はそれら名曲のカヴァー曲と並べても遜色がないようなオリジナル曲もあって、非凡なものを感じさせられるんだよね。アイドル的側面を取り上げられることが多く、音楽性について語られることは殆ど無かったのだが、やっぱり、曲そのものにも魅力があったからこそ、あれだけ多くの人の心を惹きつけられたのだと思う。
ちなみに、以下はベイ・シティ・ローラーズの主なシングル(◆印は、このベスト・アルバム「ベイ・シティ・ローラーズ・メモリアル」には収録されていない曲)
Singles
1971 "Keep on Dancing" (UK 9位) ◆
1974 "Remember (Sha-La-La-La)" (UK 6位)
1974 "Shang-A-Lang" (UK 2位)
1974 "Summerlove Sensation" (UK 3位)
1974 "All of Me Loves All of You" (UK 4位) ◆
1975 "Bye Bye Baby" (UK 1位 / 6週連続)
1975 "Give a Little Love" (UK 1位)
1975 "Love Me Like I Love You" (UK 4位)
1975 "My Teenage Heart"(ひとりぼっちの十代) / ※ 日本独自のシングル・カット曲
1976 "Saturday Night" (US 1位)
1976 "Money Honey" (UK 3位 / US 9位)
1976 "Rock n' Roll Love Letter" (US 28位)
1976 "I Only Want to Be with You" (UK 4位 / US 12位)
1976 "Yesterday's Hero" (US 54位) / ※ 日本では"Rock'n' Roller"(ロックン・ローラー)との両A面シングルとしてリリース
1976 "Dedication" (US 60位)
1977 "It's a Game" (UK 16位)
1977 "You Made Me Believe in Magic" (UK 34位 / US 10位)
1977 "The Way I Feel Tonight" (US 24位)
1977 "Don't Let the Music Die" (ハートで歌おう) / ※ 日本独自のシングル・カット曲
同時期に日本でも人気を博していたクイーン、キッス、エアロスミスといったバンドが今でも大きな会場でライヴを行っていることを考えると、このベイ・シティ・ローラーズもマネージャー及び、マネージメント会社に恵まれていればその後の状況も変わっていたのではと個人的に思うところではある(ショービジネスという観点でも意識に長けていたクイーンとキッスはバンドが成長していく過程でマネージメント会社を変えており、ドラッグまみれになっていたエアロスミスがバンドとして継続できていたのもマネージメント会社がしっかりしていたからではないかと)。
とは言え、バンドが継続していたとしても、果たしてそれがそれぞれのメンバーにとって(ファンにとっても)幸せだったのかは知る由もないことなので、何が正しい選択だったかなんて誰にも分からないことではあるんだけどね。
ただ一つ言えるのは、特にここ日本に於いては、クイーン、キッス、エアロスミスといったバンドと同等、もしくはそれ以上に多くのティーンエイジャー(とりわけ女子)に音楽の楽しさ及び夢や希望、喜びといったものを与えたことは紛れもない事実だったであろうということ。そして、当時ファンだった人にとっても、多感な成長期に夢中になれるバンドに出会えたというのはその後の人生に於いても忘れられない思い出であり幸せなことだったのではないかと。
TRACKLIST
01. Bye Bye Baby / バイ・バイ・ベイビー
02. Shang A Lang / ベイ・シティ・ローラーズのテーマ
03. Summerlove Sensation / 太陽の中の恋
04. My Teenage Heart / ひとりぼっちの10代
05. Angel Baby / エンジェル・ベイビー
06. Remember / リメンバー
07. Saturday Night / サタデイ・ナイト
08. Money Honey / マネー・ハニー
09. Rock'n' Roller / ロックン・ローラー
10. I Only Want To Be With You / 2人だけのデート
11. Rock'n' Roll Love Letter / ロックン・ロール・ラヴ・レター
12. Turn On The Radio / 恋するラジオ
13. It's A Game / 恋のゲーム
14. You Made Me Believe In Magic / 夢の中の恋
15. Maybe I'm A Fool To Love You / メイビー・アイム・ア・フール
16. The Way I Feel Tonight / 愛をささやくとき
17. Dedication / 青春に捧げるメロディー
18. Love Me Like I Love You / ラヴ・ミー・ライク・アイ・ラヴ・ユー
19. Give A Little Love / 恋をちょっぴり
20. Yesterday's Hero / イエスタデイズ・ヒーロー
21. Don't Let The Music Die / ハートで歌おう
NOTES
• Track 03 "Summerlove Sensation" - US Single Version (ストリングスが加えられたヴァージョン)
• Track 06 "Remember (Sha La La La)" - Leslie McKeown Version
• Track 07 "Dedication" - Leslie McKeown Version
• Track 19 "Give a Little Love" - Single Version (ストリングス無しのヴァージョン)
• Track 20 "Yesterday's Hero" - Original Album Version
• Released in Japan Only [First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付
▼ Bay City Rollers - My Teenage Heart
▼ Bay City Rollers - Bye Bye Baby (Japan TV Show)
▼ Bay City Rollers - Saturday Night (Live in Japan 1976)
▼ Bay City Rollers - I Only Wanna Be With You (Live in Japan 1976)
▼ Bay City Rollers - Don't Let the Music Die (Japan TV Show)
▼ Bay City Rollers - Remember (Sha La La La)
https://www.youtube.com/watch?v=lNAMV02Ux-0
▼ Bay City Rollers - Rock 'N Roll Love Letter
https://www.youtube.com/watch?v=jzJGJ3eHhiI
▼ Bay City Rollers - Love Me Like I Love You (TOTP 1976)
https://www.youtube.com/watch?v=umU0bIKO-Hg
▼ Bay City Rollers - Rock 'N Roller
https://www.youtube.com/watch?v=G8XTWywOM3Q
▼ Bay City Rollers - Angel Baby
https://www.youtube.com/watch?v=9JER4w4_GrI
▼ Bay City Rollers - Shang a Lang
https://www.youtube.com/watch?v=uoXJx1dDklc
▼ Bay City Rollers - It's A Game
https://www.youtube.com/watch?v=kIYvi7pDPjs
▼ Bay City Rollers - The Way I Feel Tonight
https://www.youtube.com/watch?v=rngtUs5jjWQ
▼ Bay City Rollers - Turn On The Radio
https://www.youtube.com/watch?v=7WSgrS5N210
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▶ Dedication 「青春に捧げるメロディー」 [初回プレス限定版LPレコード] (1976) / Bay City Rollers
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▶ Give A Little Love - Best Of The Bay City Rollers (2007) / Bay City Rollers
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