未だ見ぬ強豪はいないかとレコード店で物色するのが楽しみだった十代の頃に、"Electric Light Orchestra"というグループ名と、アルバム・タイトル(※下記の補足を参照)、それに電気椅子をあしらった何やら怪しげなジャケットの雰囲気に惹かれ、どんなバンドなのかは勿論のこと、どんなサウンドかも知らないまま、インスピレーションに賭けて買ったのがこのアルバム「Face The Music / フェイス・ザ・ミュージック」で、勿論、自分にとってはこのアルバムが"E.L.O."との最初の出会いだった。
レコードに針を落とすまでは、どんなサウンドが飛び出してくるのかと期待する一方、お小遣いが無駄になってしまうかもしれないという不安も抱えていたのだが、1曲目の"Fire on High"と、2曲目の"Waterfall"を聴いた時点で、この賭けが当たりだと確信したことは今でも何となく覚えている。でも、実際は、お小遣いをはたいて買ったものが無駄にならなくて良かったと胸を撫で下ろすようなところも多分にあったのかもしれない。
それでも、結果的に、またひとつ独自の音の世界を構築するバンドに出会えた事に当時は喜んだものだった。その後のきらびやかなサウンドに比べると多少地味な印象を受けるが、骨格となる楽曲のクオリティーは高く、今でも良く聴くアルバムのひとつでもある。全体を通して何となく穏やかな雰囲気があるところが好きなんだよね。
アルバムは米ビルボードチャートで8位を記録し、シングルカットされた2曲も、"Evil Woman"が10位、"Strange Magic"が14位と、それぞれに上位に入るヒットを記録しているが、個人的には"Fire On High"、"Waterfall"、"Nightrider"、"One Summer Dream"といった曲もシングルカット曲に負けず劣らず好き。と言うか、当時は、むしろ、これらの曲の方を良く聴いていた記憶がある。
※ 補足 (Face The Music)
「報いを受ける」とか「自分の不始末にけじめをつける」といった意味。
当時は"Face"と"Music"の単語の意味だけを繋ぎ合わせて、そんな感じの意味だと勝手に捉えていたのだけれど、随分と後に本当の意味を知って、ようやくジャケット写真(表と裏)との関連性に気付いたのだった。
世の中の主流がレコードからCDへと変わった後も、権利関係の問題からか、中々CD化されずにいた"E.L.O."のアルバムがCDとして全て出揃ったのは'90年代に入ってからだった。そういったことから、しばらくの間は'87年にポツンとCD化された、この"Face The Music"が、"E.L.O."のアルバムとしては唯一CD化されたアルバムという状況だった(最初からCDとしてリリースされた'86年の「Balance of Power / バランス・オブ・パワー」を除く)。
ということで、'80年代後半と言えば、CDも出たばかりで、まだまだ値段も高く、旧作と言えども殆んどが3,000円以上していたことから、この時に買ったCDの帯には「\2,800 / 特別価格」と、そういった時代背景を垣間見れるような記載がされている。つまりは、\2,800という価格がお買い得と認識されるような時代だったということなのだ。
ただし、このCD、LP時代にはあった"Fire On High"、"Waterfall"、"Evil Woman"、"Strange Magic"といった曲の序曲的なイントロ部分は全てカットされていたのだ("Down Home Town"もイントロ部分のヴォーカルがカットされている)。ということもあり、当時はその点で多少違和感があったものの、今では、他のアルバムの曲と混ぜて聴くような場合だと、このCDにあるヴァージョンもいいんじゃないかと思っている。それに、今となってはこれらのヴァージョンで占められたアルバムというのも貴重だしね。
ちなみに、自分が持っているこの"Face The Music"以降のアルバムも、その後、全てのアルバムがCD化された際に購入した初版(初CD化版)になるので、ボーナストラックなどは勿論のこと、リマスターなどもされていないが、そのサウンドは心の中にある様々な思い出へとリンクされている感じでもある。
TRACKLIST
1. Fire On High / 2. Waterfall / 3. Evil Woman / 4. Nightrider / 5. Poker / 6. Strange Magic / 7. Down Home Town / 8. One Summer Dream
1. ファイアー・オン・ハイ / 2. 滝 / 3. イヴィル・ウーマン / 4. ナイトライダー / 5. ポーカー / 6. ストレンジ・マジック(不思議な魔術) / 7. ダウン・ホーム・タウン / 8. 夏の日
NOTES
• 日本盤初回プレスCD(初CD化盤) [Japanese First Pressing CD]
• CD発売日:1987年11月21日
• 解説・歌詞・対訳付
• 以下の5曲はイントロ部分をカットしたヴァージョンが収録されている
"Fire On High" (4:02) / "Waterfall" (3:54) / "Evil Woman" (4:14) / "Strange Magic" (4:08) / "Down Home Town" (3:44)
ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA - BAND MEMBERS
• Jeff Lynne (ジェフ・リン) - Guitar, Vocals, Backing Vocals
• Bev Bevan (ベヴ・ベヴァン) - Drums, Percussion, Backing Vocals
• Richard Tandy (リチャード・タンディ) - Piano, Moog, Guitar, Clavinet
• Kelly Groucutt (ケリー・グロウカット) - Bass, Vocals, Backing Vocals
• Mik Kaminski (ミック・カミンスキー) - Violin
• Melvyn Gale (メルヴィン・ゲイル) - Cello
• Hugh McDowell (ヒュー・マクドウェル) - Cello
▼ Electric Light Orchestra - Nightrider
▼ Electric Light Orchestra - Fire On High (radio edit)
https://www.youtube.com/watch?v=kOCQU_X5KV0
▼ Electric Light Orchestra - Waterfall
https://www.youtube.com/watch?v=EQRaK9L1nlk
▼ Electric Light Orchestra - One Summer Dream
https://www.youtube.com/watch?v=mgCKpGejC0A
■ このCDでは、このイントロ部分はカットされているが、実はオリジナル・ヴァージョンの"Fire On High"のイントロ部分を逆回転で再生するとこうなるのだ。
▼ ELO "Fire On High" Backwards Message Reversed
https://www.youtube.com/watch?v=nSq_OfENFMo
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