
「Queen II / クイーン II」と、シンプルなタイトルが付けられたこのクイーンのセカンド・アルバム、LPレコードでリリースされた当時は、A面(1~5)がホワイト・サイド、B面(6~11)がブラック・サイドと名付けられ、イメージ分けされていた。白と黒の対比、それは即ち、明と暗、静と動、正義と悪といった対比でもあるかのよう。
尋常ではないほどの手間がかけられていることは、そのサウンドを聴けば明らかで、特徴的な厚みのあるコーラス・ハーモニーも、ひとつの楽器のパートと化したかのように綿密に楽曲へと組み込まれている。とにかく、これほどまでに凄みをもったアルバムが他にあるだろうかと思えるような、「素晴らしい」と言うよりは、むしろ「凄まじい」という表現の方が似合うかのようなアルバムというのが個人的な見解である。
序曲とも呼べるようなオープニングのインストゥルメンタル曲"Procession"から、前半のハイライトである3曲目の"White Queen (As it Began)"までノンストップで続くホワイト・サイドの流れも然ることながら、ブラック・サイドのオープニングである6曲目の"Ogre Battle" から9曲目の"The March of the Black Queen"までのスリリングな展開は正に圧巻で、ブリティッシュ・ロックの様式をベースに独自の美学を持ち込んだ感のあるサウンドは、数ある彼らの作品の中に於いても孤高の輝きを放ち続けている。
ベスト・アルバムといったものには、このアルバムから唯一のシングル曲である"Seven Seas of Rhye"以外の曲が選曲されることは滅多に無いのだが、それで良いのだ。数多くのヒット曲を持つ彼らだけど、ヒット曲だけがクイーンじゃないということを知らしめてくれるアルバムがこの"Queen II"なのだ。
なお、この、まがい物かのような汚いジャケット(笑)のCDについては、後ほど、一緒に買った同じシリーズのファースト・アルバム「Queen / 戦慄の王女」の方に書こうと思うので、ここでは割愛して。
TRACKLIST
02. Father To Son / 父より子へ (Writer: B. May / Lead Vocal: F. Mercury)
03. White Queen (As It Began) / ホワイト・クイーン
(Writer: B. May / Lead Vocal: F. Mercury)
04. Some Day One Day / サム・デイ・ワン・デイ (Writer: B. May / Lead Vocal: B. May)
05. The Loser In The End / ルーザー・イン・ジ・エンド (Writer: R. Taylor / Lead Vocal: R. Taylor)
06. Ogre Battle / オウガ・バトル (人食い鬼の闘い) (Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
07. The Fairy Feller's Master-Stroke / フェアリー・フェラーの神技 (Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
08. Nevermore / ネヴァー・モア (Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
09. The March Of The Black Queen / マーチ・オブ・ブラック・クイーン (Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
10. Fuuny How Love Is / ファニー・ハウ・ラヴ・イズ (Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
11. Seven Seas Of Rhye / 輝ける7つの海 (Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
NOTES
• 品番:TOCP-6675
• CD発売日:1991/04/12(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付
■ 追記
こちらは、40周年を記念して2011年にリリースされた2枚組の"40th Anniversary Limited Edition" (2011 Digital Remaster)。
ジャケットの写真も上記のものと比べて綺麗だね(笑)。

TRACKLIST
Disc 1: Queen II
Disc 2: Queen II - Bonus EP
1. See What A Fool I've Been [BBC Session, July 1973 - Remix 2011]
2. White Queen (As It Began) [Live At The Hammersmith Odeon, December 1975]
3. Seven Seas Of Rhye [Instrumental Mix 2011]
4. Nevermore [BBC Session, April 1974]
5. See What A Fool I've Been [B-Side Version, February 1974]

▼ Queen - Father to Son (Live at the Rainbow 1974)
▼ Queen - White Queen (Hammersmith 1975)
▼ Queen - The March of The Black Queen (Official Lyric Video)
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時代性を取り入れた大胆なサウンドの変革が功を奏し、ヒット曲を連発するようになった"16"以降のシカゴを商業主義に走ったと批判する声もあるが、この"Chicago 19"に収められた完成度の高い楽曲の数々を目の当たりにすれば、そんな批判も何処吹く風といった感じさえする。

「Wasp Star / ワスプ・スター」というアルバム・タイトルは、アステカ文明の時期のアズテカ語で「ビーナス」を意味する言葉だそうで、米国での"White Anglo-Saxson Protestant"の略称である"WASP"という言葉とは全く関係がないとのこと。




前作のセカンドアルバム"Don't Look Back"から数えて実に8年ぶりとなったボストンのサード・アルバムがこの「Third Stage / サード・ステージ」。
そもそもは、5年間で10枚のアルバムを制作するという契約が守られなかったというのが、訴えられた理由らしいが(実際に制作されたアルバムは2枚)、'86年当時でも、ファースト・アルバムの"Bosotn"が900万枚、セカンド・アルバムの"Don't Look Back"が400万枚という売り上げを記録していることから、賠償請求額も半端じゃなかったようだ。
"E.L.O."が中心人物のジェフ・リン抜きで復活するようだとのニュースは以前からあったものの、全盛期のほぼ全ての曲のコンポーザーであったジェフ・リン抜きではなぁと、正直言ってあまり期待はしていなかった。

ヴォーカリストにスティーヴ・ペリーを迎えて発表された通算4枚目となるこのアルバム"Infinity"(LPレコード時代の邦題は「無限との遭遇」)が、ジャーニーにとって大きな転換期となったのは間違いないところだろうね。
それでも、正直、この時はアルバムの帯に書かれたフレーズのようにボストンと肩を並べるクラスのバンドになるとは思っていなかったのだが、それでもブリティッシュ・ロック的な色合いのあるこのアルバムは、その後にリリースされた"Evolution"、"Departur"と共に3部作と言われるアルバムの中でも取り分け好きで良く聴いていた。


ハートは、アン・ウィルソンとナンシー・ウィルソンの姉妹からなるロックバンドで、'75年にファースト・アルバムを発表して以来、息の長い活動をしている。
この「Brigade / ブリゲイド」は、前作、前々作と大成功を収めた勢いをもって制作された事もあってか、レコード会社もそれなりの予算を充てた事が伺えるようなゴージャスな内容で、収められた楽曲のクオリティーは前作、前々作を凌ぐかのようでもある。



エレクトロニクスを駆使したサウンドの集大成とも言えるような前作"Time"をひとつの区切りとしたかのように、このアルバム「Secret Messages / シークレット・メッセージ」では、一転、ギターサウンドの比重が増した、ある種、ノスタルジックな雰囲気が漂う音作りになっている。


"Discovery"から、映画"Xanadu"のサウンドトラックを挟んでリリースされたこの「Time / タイム~時へのパスポート」は、文字通り「時」をテーマに制作されたもので、曲間にSEが使われていたり、ヴォーカルやドラムスにメカニカルなエフェクトが施されていたりと、どこか近未来を感じさせる音作りになっている。ただ、収められた楽曲のクオリティーは相変わらず高いものの、何処か機械的な冷たさを感じさせられるのも事実で、その事がギターの比重が増した次作"Secret Messages"での音作りに何かしら影響を与えたのかもしれない。
アルバムは英1位、米16位を記録。ファースト・シングルの"Hold on Tight"は、英4位、米10位、そして、セカンド・シングルの"Twilight"が、英30位、米38位をそれぞれ記録したが、ヒットシングルに拘るジェット・レコードはその後もアメリカで"Rain is Falling"(101位)、イギリスで両A面の"Ticket to the Moon / Here Is The News"(24位)と、"The Way Life's Meant to Be"(85位)をそれぞれシングルカットするも、大きなヒットには至らなかった。