2016/09/22

THE ESSENTIAL HEART 「エッセンシャル・ハート」 / HEART (2002)

CDの帯(初回プレス盤):エッセンシャル・ハート / ハートAlbum Cover (front): The Essential Heart / Heartこの「The Essential Heart / エッセンシャル・ハート」は、シングル曲を中心に選曲されたハートの2枚組ベスト・アルバム。

ハートのベスト・アルバムといえば、バンドの分岐点ともなった1985年発表のセルフタイトル・アルバムである「Heart / ハート」以降の楽曲を中心とした選曲になっているものが多い中、この"The Essential Heart"は、デビューから1983年までの第1期と言われる時代の楽曲と、1985年以降の第2期の楽曲を2枚に分けた構成になっているのが特徴。

ということで、「Disc 1」にはデビュー・アルバムの"Dreamboat Annie [1975]"から"Passionworks [1983]"までの第1期、そして「Disc 2」には"Heart [1985]"から"The Road Home (Live) [1995]"までの第2期の楽曲が収録されている。又、収録されている楽曲も2枚を通して年代順に配列されているので、バンドの軌跡や変遷が分かりやすいのもこの"The Essential Heart"の良いところ。

※ 補足
デビュー・アルバムの"Dreamboat Annie"は、カナダでは1975年にリリースされているが、ウィルソン姉妹の本国であるアメリカでは一足遅れた翌年の1976年にリリースされている。

ハートのベスト・アルバムでは、アメリカでプラチナムに認定されたこの"The Essential Heart"と、その2年前の2000年にリリースされ、ゴールドの認定を受けている「Greatest Hits 1985-1995 / グレイテスト・ヒッツ」が有名なところだと思うが、実際、このアルバムを購入するときは、自分もどちらにしようかと迷ったんだよね。

自分の場合は、1985年以前の第1期の楽曲は知らない曲も多かったので、折角ならその時代の楽曲も聴いてみたかったということもあり、結果的には第2期以降の楽曲で構成された"Greatest Hits 1985-1995"ではなく、こちらのThe Essential Heart"を選んだのだが、実は、その第2期についても"The Essential Heart"と"Greatest Hits 1985-1995"では収録曲に若干の違いがあるので、この点についても比較し検討した部分ではあった。

例えば、第2期のアルバム「Bad Animals / バッド・アニマルズ」からシングル・カットされた"I Want You So Bad"と、「Brigade / ブリゲイド」からのシングル・カット曲である"Secret"は、この"The Essential Heart"には収録されているものの、"Greatest Hits 1985-1995"には収録されていない。実は、この2曲はどちらも個人的にも好きな曲のひとつなので、この点も"The Essential Heart"の方を選んだ理由のひとつでもあったのだ。

ただし、"Greatest Hits 1985-1995"の方には、1988年公開の映画「テキーラ・サンライズ」の主題歌で、ハートのアン・ウィルソンとチープ・トリックのロビン・ザンダーが共演した曲 「Surrender To Me / サレンダー・トゥ・ミー(「テキーラ・サンライズ」愛のテーマ)」や、"Brigade"の収録曲である「Tall, Dark Handsome Stranger / いつわりのストレンジャー」、"Desire Walks On"の収録曲「Back To Avalon / バック・トゥ・アヴァロン」、それに、ボーナス・トラックとして日本盤だけに収録されている「Barracuda" / バラクーダ」 (ライヴ・イン・ジャパン) といった"The Essential Heart"には未収録の曲が収録されているので、これから購入しようとする人はこれらを考慮して判断されてはどうかと。 ちなみに、今現在だと"Greatest Hits 1985-1995"の再発盤は日本盤でもかなりリーズナブルな価格になっており、"The Essential Heart"の半額以下で購入できるようだ。

なお、"You're the Voice"は、どちらのアルバムにも収録されてはいるものの、この"The Essential Heart"には "Rock the House Live!"からシングル・カットされたライヴ・ヴァージョンが収録されているが、"Greatest Hits 1985-1995"の方にはオリジナル・アルバムには未収録のスタジオ・ヴァージョンが収録されている。

余談ではあるが、自分はこの"The Essential Heart"以外にも日本独自で企画されたハートのコンピレーション・アルバムを持っており、そちらに収録されているナンシー・ウィルソンがリードヴォーカルをとる"Strangers of the Heart"がこの"The Essential Heart"には収録されていないことをふと気付いて、何でだろう?と思ったら、実はこの曲、シングルにはなってなかったんだね。このアルバムを買うまでは、てっきりこの曲もシングル・カットされてヒットしたのだろうと思い込んでいたので、これについては意外な発見だった。

 

▼ 各楽曲の収録アルバムとチャート・ポジションは以下の通り。

Disc 1: 1. Crazy On You (US 35位)、2. Magic Man (US 9位)、3. Dreamboat Annie (US 42位)
• From the Album "Dreamboat Annie" [1976] (US 7位 / UK 36位)

Disc 1: 4. "Barracuda" (US 11位)、5. "Little Queen" (US 62位)、6. "Kick It Out" (US 79位)、7. "Love Alive"
• From the Album "Little Queen" [1977] (US 9位 - 3x Platinum / UK 34位)

Disc 1: 8. "Heartless" (US 24位)
• From the Album "Magazine" [1977] (US 17位 - Platinum) 

Disc 1: 9. "Straight On" (US 15位)、10. "Dog & Butterfly" (US 34位)
• From the Album "Dog & Butterfly" [1978] (US 17位 - 2x Platinum)

Disc 1: 11. "Silver Wheels"、12. "Even It Up" (US 33位)
• From the Album "Bébé le Strange" [1980] (US 5位 - Gold)

Disc 1: 13. "Rock And Roll" (Live)、14. "Tell It Like It Is" (US 8位)、15. "Unchained Melody" (Live) (US 83位)
• From the Album "Greatest Hits/Live" [1980] (US 13位 - 2x Platinum)

Disc 1: 16. "This Man Is Mine" (US 33位)
• From the Album "Private Audition" [1982] (US 25位 / UK 77位)

Disc 1: 17. "How Can I Refuse" (US 44位)、18. "Allies" (US 83位)
• From the Album "Passionworks" [1983] (US 39位)

Disc 2: 1. "What About Love" (US 10位 / UK 16位)、2. "Never" (US 4位 / UK 8位)、3. "These Dreams" (US 1位 / UK 62位)、4. "Nothin' At All" (US 10位 / UK 38位)、5. "If Looks Could Kill" (US 54位)
• From the Album "Heart" [1985] (US 1位 - 5x Platinum / UK 19位 - Silver)

Disc 2: 6. "Alone" (US 1位 / UK 3位)、7. "Who Will You Run To" (US 7位 / UK 30位)、8. "There's The Girl" (US 12位 / UK 34位)、9. "I Want You So Bad" (US 49位)
• From the Album "Bad Animals" [1987] (US 2位 - 3x Platinum / UK 7位 Platinum)

Disc 2: 10. "All I Wanna Do Is Make Love To You" (US 2位 / UK 8位)、11. "Wild Child"、12. "I Didn't Want To Need You" (US 23位 / UK 47位)、13. "Stranded" (US 13位 / UK 60位)、14. "Secret" (US 64位)
• From the Album "Brigade" [1990] (US 3位 - 2x Platinum / UK 3位 - Gold)

Disc 2: 15. "You're The Voice" (Live) (UK 56位)
• From the Album "Rock the House Live!" [1991] (US 107位 / UK 45位)

Disc 2: 16. "Will You Be There (In the Morning)" (US 39位 / UK 19位)、17. "Black On Black II"、18. "Ring Them Bells"
• From the Album "Desire Walks On" [1993] (US 48位 - Gold / UK 32位)

Disc 2: 19. "The Road Home" (Live) (edit) 
• From the Album "The Road Home" (Live) [1995] (US 87位 - Gold)

 

CD Case (inside): The Essential Heart / Heart   CD Case (inside): The Essential Heart / Heart

 

CD Case (back cover): The Essential Heart / HeartTRACKLIST

[DISC ONE]
1. Crazy On You / 2. Magic Man / 3. Dreamboat Annie (Reprise) / 4. Barracuda / 5. Little Queen / 6. Kick It Out / 7. Love Alive / 8. Heartless / 9. Straight On / 10. Dog & Butterfly / 11. Silver Wheels / 12. Even It Up / 13. Rock & Roll [Live] / 14. Tell It Like It Is / 15. Unchained Melody [Live] / 16. This Man Is Mine / 17. How Can I Refuse / 18. Allies

1. クレイジー・オン・ユー / 2. マジック・マン / 3. ドリームボート・アニー / 4. バラクーダ / 5. リトル・クイーン / 6. キック・イット・アウト / 7. 愛を大切に / 8. ハートレス / 9. ストレイト・オン / 10. ドッグ&バタフライ / 11. シルバー・ウィールズ / 12. イヴン・イット・アップ / 13. ロックン・ロール(ライヴ) / 14. テル・イット・ライク・イット・イズ / 15. アンチェインド・メロディ(ライヴ) / 16. ディス・マン・イズ・マイン / 17. 誓いのハート・ビート / 18. アライズ

[DISC TWO]
1. What About Love? / 2. Never / 3. These Dreams / 4. Nothin' At All / 5. If Looks Could Kill / 6. Alone / 7. Who Will You Run To / 8. There's The Girl / 9. I Want You So Bad / 10. All I Wanna Do Is Make Love To You / 11. Wild Child / 12. I Didn't Want to Need You / 13. Stranded / 14. Secret / 15. You're The Voice [Live] / 16. Will You Be There (In The Morning) / 17. Black On Black ll / 18. Ring Them Bells / 19. The Road Home [Edit]

1. ホワット・アバウト・ラヴ / 2. ネヴァー / 3. ジーズ・ドリームス / 4. ナッシン・アット・オール / 5. イフ・ルックス・クツド・キル / 6. アローン / 7. フー・ウィル・ユー・ラン・トゥ / 8. ゼアズ・ザ・ガール / 9. アイ・ウォント・ユー・ソー・バッド / 10. 愛していたい / 11. ワイルド・チャイルド / 12. 恋におちる / 13. ストランデッド / 14. シークレット / 15. ユー・アー・ザ・ヴォイス(ライヴ) / 16. ウィル・ユー・ビー・ゼア(イン・ザ・モーニング) / 17. ブラック・オン・ブラック・II / 18. リング・ゼム・ベルズ / 19. ザ・ロード・ホーム

 

NOTES

• Lead Vocals (Nancy Wilson): Disc 2-3. These Dreams, Disc 2-8. There's The Girl, Disc 2-13. Stranded, Disc 2-16. Will You Be There (In The Morning)

• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• デジタル・リマスター
• 日本盤発売日:2003年3月5日
• 解説・英文ライナー対訳・歌詞・対訳付

ケースのバックカヴァーにはアンとナンシーの音楽に対する思いが簡単に綴られたコメントが記載されている。又、ブックレットの方には、このアルバムのリリースに際して書かれたアンとナンシーの連名による"Special Thanks for the Fiest 25 years - Dear you" (デビュー以来25年間、本当にありがとう - 親愛なる皆さんへ)と題されたメッセージが掲載されており、日本盤にはどちらも対訳が別途に記載されている。

• Album: US (Platinum / 2011-RIAA)

 

 

▼ Heart - Never

 

▼ Heart - These Dreams

 

▼ Heart - Alone

 

▼ Heart - Barracuda (Live 2013)

 

▼ Heart - Crazy On You (Live 2013)

 

 

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2016/09/13

CARNIVAL OF SOULS - THE FINAL SESSIONS / KISS (1997)

CDの帯:カーニバル・オブ・ソウルズ / KISSAlbum Cover (front): Carnival of Souls - The Final Sessions / KISSこの「Carnival of Souls - The Final Sessions / カーニバル・オブ・ソウルズ」は、本来なら1992年の「Revenge / リヴェンジ」に続くキッスのスタジオ・アルバムとしてリリースされるはずだったのだが、その間にバンドはまさかのオリジナル・メンバーでのリユニオンを果たし、更には再びメイクを施しての大規模なワールド・ツアーを開始したことから、結局はタイミング的にも素顔で活動していた時期のこのアルバムをリリースする意義も失われた格好となり、結果的にお蔵入りという憂き目に・・・。

それでも、約2年に及ぶオリジナル・メンバーでのワールド・ツアーが終了した後に、殆どプロモーションされることもなくひっそりとこのアルバムがリリースされた背景には、流出した音源がバンド側の関与が無いまま出回ってしまっていたことが関係していたらしく、それらの海賊盤対策という意味合いがあったとも言われている。セピア色がかった地味なジャケットが何となく海賊盤ぽいのも何やら意味深なところ。

まぁ、その後の展開を考えると、オリジナル・メンバーでのツアーが大盛況のうちに終了したという状況下でこのアルバムをプロモーションすることが得策ではないとする判断も至極当然のことだと思うし、"The Final Sessions"というサブタイトルが付けられたのも、そのような状況を考慮し、現在のキッスと区別する意味合いが含まれていたのかもしれない。

ただ、そういった経緯からして、購入層の殆どんが熱心なファンだと思われるアルバムながらも、ビルボードチャートでは27位を記録しているのことから、裏を返せば、いかに固定ファンが多いバンドであるかということの証でもあったのではないかと思う。

なお、バンドがオリジナル・メンバーでの活動に舵を切ったことから、結果的にはバンドを離れることになってしまった現メンバーのブルース・キューリック (G, Vo) とエリック・シンガー (Ds, Vo) の2人についてはその後もギャランティが支払われていたようで、ジーン曰く、優雅な有給休暇が与えられていたとのこと。

 

Booklet (back): Carnival of Souls - The Final Sessions / KISS  CD: Carnival of Souls - The Final Sessions / KISS  CD Case (back): Carnival of Souls - The Final Sessions / KISS

 

全体の印象としては、前作の"Revenge"で見られたグランジやオルタナティヴ色を更に推し進めたサウンドといった感じで、全体的にはへヴィでダークな印象ながらも、ムーディーな雰囲気があり、個人的には結構好きなアルバム。ただ、こういう路線のサウンドはジーンのヴォーカルだと正にハマリ役といった印象があるものの、明と暗で言えば明のイメージがあるポールにはあまり向いてないように感じる部分も無きにしも非ずといったところ。

ちなみに、アルバム最後の曲"I Walk Alone"はブルース・キューリックが初めてリード・ヴォーカルをとった曲で、ジーンやポールがヴォーカルをとる他の曲とはまた一味違う朴訥な雰囲気があって、これがまた中々良いんだよね。

 

▼ KISS - Childhood's End

 

▼ KISS - Seduction Of The Innocent

 

▼ KISS - I Walk Alone

 

KISS - BAND MEMBERS (As Listed in CD Booklet)
• Paul Stanley (ポール・スタンレー) - Vocals, Guitar
• Gene Simmons (ジーン・シモンズ) - Vocals, Bass
• Bruce Kulick (ブルース・キューリック) - Vocals, Guitar
• Eric Singer (エリック・シンガー) - Drums

 

TRACKLIST
1. Hate / 2. Rain / 3. Master & Slave / 4. Childhood's End / 5. I Will Be There / 6. Jungle / 7. In My Head / 8. It Never Goes Away / 9. Seduction Of The Innocent / 10. I Confess / 11. In The Mirror / 12. I Walk Alone

1. ヘイト / 2. レイン / 3. マスター・アンド・スレイヴ / 4. チャイルドフッズ・エンド / 5. アイ・ウィル・ビー・ゼア / 6. ジャングル / 7. イン・マイ・ヘッド / 8. イット・ネヴァー・ゴーズ・アウェイ / 9. セダクション・オブ・ザ・イノセント / 10. アイ・コンフェス / 11. イン・ザ・ミラー / 12. アイ・ウォーク・アローン

 

NOTES
• Lead Vocals: Gene Simmons (1, 4, 7, 9, 10) / Paul Stanley (2, 3, 5, 6, 8, 11) / Bruce Kulick (12)

• CD発売日: 2013年3月20日(再発盤)
• SHM-CD
• 解説・歌詞・対訳付

• US 27位

2016/09/07

CREATURES OF THE NIGHT 「暗黒の神話」 / KISS (1982)

CDの帯:クリチャーズ・オブ・ザ・ナイト(暗黒の神話) / KISSAlbum Cover: Creatures Of The Night / KISS実を言うと、メイク時代の最後のアルバム(1996年からはオリジナル・メンバーでのリユニオンを機に再びメイクを施しての活動をしている)であるこの「Creatures Of The Night / 暗黒の神話」は、フォーマットがCDに代わった後も長らく手にしていなかったアルバムだった。

何故かといえば、ファンの方ならご存知だと思うが、この"Creatures Of The Night"は、CD化に際して、何故かジャケットがブルース・キューリック加入後の素顔の写真に変更されたばかりか、曲順も変更され、更には軽めのブライトな音にリミックスされていたため、LPレコードを買って聴いていた思い入れのある自分には相当な違和感があって、このアルバムを"Creatures Of The Night"だとは認めたくなかったというのがその理由。

ということで、そのリミックス盤は、このアルバムの特徴であるヘヴィーでダークなサウンドが物の見事に軽くなっており、"I Love It Loud"のドラムの音でいえば、「ドン・ドン・ダン、ドン・ダン」が、「トン・トン・タン、トン・タン」といった感じで、まるで牙を抜かれた獣のような迫力に欠ける音になっていたのだった。ちなみに、この軽めの音にリミックスされたヴァージョンの"I Love It Loud"は1988年にリリースされたベストアルバム"Smashes, Thrashes & Hits"(邦題はグレイテスト・キッス)に収録されている。

リミックスされた背景について言えば、ジャケットに素顔を公開してノーメイクでの活動を示した次作のミリオンセラー・アルバム"Lick It Up"よりも"Creatures Of The Night"の方がアルバムとしての出来は良かったと後にポール自身が語っていたことから、もしかしたら、セールス的に今ひとつだったこのアルバムをもっと多くの人に聴いてもらいたいという思いもあって、アクを削り落としたというか、このアルバムの特徴でもあるダークで陰鬱な印象を取り払ったのかもしれない。

だが、それでも、やっぱり、このオリジナル・ミックスでの再発盤を聴くと、湿り気を帯びたような感じもあるこっちの方がこのアルバムならではの雰囲気があって断然良いなと改めて思うところではある。

なお、ジャケットにはエースの顔があるものの、このアルバムの制作にはエースは関与しておらず、事実上脱退している状況だったが、公表はされず、"I Love It Loud"のミュージックビデオや、その後のテレビ等でのパフォーマンスには参加していた。

 

CD Case (front): Creatures Of The Night / KISSキッスのアルバムとしては、どちらかといえば比較的地味な存在として捉えられている印象もあるこの"Creatures Of The Night"だが、個人的には結構好きなアルバムで、重厚でパワフルなドラム・サウンドの所為か、ピーターに代わって加入したエリックの存在感が前作の「Music From The Elder / 魔界大決戦」以上に感じられるのも良いなと思うところ。

又、アルバム全体の印象としては、サウンド・プロダクションをはじめ、何処となくセカンド・アルバムの「Hotter Than Hell / 地獄のさけび」と似た雰囲気があって(ポールよりもジーンがヴォーカルをとる曲の方が多いというのも"Hotter Than Hell"との類似点)、キッスのアルバムの中でも取り分けヘヴィーな部類のアルバムに入るのではないかと感じる。

ただし、"Hotter Than Hell"との最大の違いは、"Hotter Than Hell"はあくまでもハードロックがベースだったのに対し、この"Creatures Of The Night"は、これまでのアルバム以上にヘヴィメタル色が強く感じられるという点で、例えばタイトル・トラックの"Creatures Of The Night"や、"Danger"、"Killer"といった曲などはコーラス・ハーモニーの付け方にもハードロックと言うよりもヘヴィメタルに近い雰囲気があり、恐らくはキッス史上最もメタル寄りのサウンドが展開されているアルバムがこの"Creatures Of The Night"なのではないかと思う。

実は、ソフトな印象がある前作の"Music From The Elder"でもメタルっぽいフレーズが見られる「The Ohth / 炎の誓い」という曲が収録されており、何やら布石みたいなものはあったのだが、実際、タイトル曲の"Creatures Of The Night"はその"The Ohth"を昇華させたような雰囲気がある。

楽曲の充実度という点では、ポールの"Creatures Of The Night"、"Danger"、"I Still Love You"、それに、ジーンの"I Love It Loud"、"Killer"、"War Machine"といった印象的な曲が多く収録されており、なかなかのもの。個人的には、アルバムの中では比較的地味な印象ながらも"Saint And Sinner"と、"Rock And Roll Hell"といったジーンの曲も独特の雰囲気があって結構好きなんだけどね。

そして、過渡期と言われる中でも、アルバムリリース後には初の南米ツアーを敢行。リオ公演には約13万人の観客が詰めかけ、人気の陰りが囁かれる中、改めてバンドの存在感が示されました。なお、ツアーにはエースの後任として"Creatures Of The Night"のアルバム制作にも携わっていたヴィニー・ヴィンセントが向かい入れられ、アンク(エジプト十字)を模したメイクでリード・ギターを務めている。ちなみに、ヴィニー・ヴィンセントのキャラクターは"Ankh Warrior"(古代エジプトの戦士)という設定だった。

 

Booklet (back): Creatures Of The Night / KISS   Japanese Booklet (front): Creatures Of The Night / KISS   CD: Creatures Of The Night / KISS

 

ただ、残念なのがこのCDのブックレット。コピー用紙より薄いんじゃないか思えるくらいのペラペラした紙が使われている所為で、プラケースにへばり付いて出し辛いし、シワも付きやすいのだ。それと、規定のフォーマットにワープロで文字を打ち込んだだけのやる気の無い帯(笑)。せめてフォントくらいは気を使って欲しいところ。

 

TRACKLIST
1. Creatures Of The Night /  2. Saint And Sinner /  3. Keep Me Comin' /  4. Rock And Roll Hell /  5. Danger /  6. I Love It Loud /  7. I Still Love You /  8. Killer /  9. War Machine

1. クリーチャーズ・オブ・ザ・ナイト /  2. セイント・アンド・シナー /  3. キープ・ミー・カミン /  4. ロック・アンド・ロール・ヘル /  5. デインジャー /  6. アイ・ラヴ・イット・ラウド /  7. アイ・スティル・ラヴ・ユー /  8. キラー /  9. ウォー・マシーン

このCDでは邦題が全てカタカナ表記になっているが、オリジナルの日本盤LPでは"Creatures Of The Nigh"が「真夜中の使者」、"Rock And Roll Hell"が「地獄のロックンロール」、"I Love It Loud"が「勇士の叫び」、"I Still Love You"が「遥かなる誓い」との邦題が付けられていた。

 

NOTES
• Lead Vocals: Paul Stanley (Tracks 1, 3, 5, 7) / Gene Simmons (Tracks 2, 4, 6, 8, 9)

• CD発売日: 2013年3月20日(再発盤)
• SHM-CD
• 解説・歌詞・対訳付

• Album: US 45位 (Gold / 1994-RIAA)、UK 22位
• Singles: "I Love It Loud" US 102位 / "Creatures Of The Night" UK 34位

 

▼ KISS - Creatures Of The Night

 

▼ KISS - I Love It Loud

 

[Official Audio]

▼ KISS - Rock And Roll Hell
https://www.youtube.com/watch?v=1iZ7jw2wb9E

▼ KISS - Danger
https://www.youtube.com/watch?v=BOkSkuTTkCg

▼ KISS - War Machine
https://www.youtube.com/watch?v=q08kDgsquOc

2016/09/02

HOTTER THAN HELL 「地獄のさけび」 / KISS (1974)

Album Cover (front): Hotter Than Hell / KISS   Album Cover (back): Hotter Than Hell / KISS   CD Case (inside): Hotter Than Hell / KISS

キッスの初期3枚のアルバム中では一番ヘヴィーであり、且つ、個人的には初期3枚の中で最も好きなのが、セカンド・アルバムであるこの「Hotter Than Hell / 地獄のさけび」。

LPレコードの時代は、先に「KISS Alive! / 地獄の狂獣」を購入していたので、そのライヴに収録されていた5曲のスタジオ・ヴァージョンはどんな感じなんだろうという興味があって買ったようなアルバムではあったのだが、"Got to Choose"、"Hotter Than Hell"、"Watchin' You"といった曲などは、ライヴ・ヴァージョンに比べると幾分ゆったりとしたテンポで重みのあるスタジオ・ヴァージョンを聴いてから好きになった曲でもあった。

又、後のアンプラグド・ライヴでも取り上げられた"Goin' Blind"と"Comin' Home"の2曲、それに"All the Way"といった"Alive!"には収録されていない曲の中にも好きな曲があったりして、当初から割と自分の好みに合ったアルバムだったんだよね。

深いエコーがかかったような独特の雰囲気をかもし出しているのもこのアルバムの特徴で、しかも、ファーストアルバムに比べると音が重く、そういった点ではメイク時代最後のアルバムとなった、後のヘヴィーな作品「Creatures of the Night / 暗黒の神話」にも通じるようなサウンドといった印象。

Album Cover (front): Hotter Than Hell / KISS

アルバムのジャケットにはあちらこちらに日本語が使用されており、メンバーの名前も英語の表記と共に「ピータ・クリース」、「ポール・スタンリィ」、「ジイン・シモンズ」、「エイス・フューリ」と、カタカナでの表記がされている。

又、ジャケットの裏側に記された収録曲名もカタカナで表記されていたり、「このレコード・アルバムは、ロサンジェルス市、ザ・ヴィレッジ・レコーダーのケニー・カーナーとリッチー・ワイズが制作し・・・」といったクレジットも日本語での表記がされている。

ただし、リリース当時はレーベル契約がされていなかったため日本盤の発売はされず、この"Hotter Than Hell"の日本盤がリリースされたのは日本におけるデビューアルバムである次作の「Dressed to Kill / 地獄への接吻」がリリースされた後だった。

という訳で、その後の日本盤の邦題で使われることになる「地獄の~」シリーズの原点はこのアルバムにあったということで、つまりは、日本盤が発売される以前からアメリカ盤のアルバムに於いて、既に「地獄の」という邦題が使われていたということなのだ。

 

KISS - BAND MEMBERS
• Paul Stanley (ポール・スタンレー) - Rhythm Guitar, Vocals
• Gene Simmons (ジーン・シモンズ) - Bass Guitar, Vocals
• Ace Frehley (エース・フレイリー) - Lead Guitar, Backing Vocals
• Peter Criss  (ピーター・クリス) - Drums, Percussion, Vocals

 

▼ こちらは、アルバム"Hotter Than Hell"のテレビCM

KISS - Hotter Than Hell (TV Commercial)

 

▼ Official Audio

KISS - Got To Choose
https://www.youtube.com/watch?v=m76tw-nU1tM

KISS - Parasite
https://www.youtube.com/watch?v=iE57_s0acvI

KISS - Let Me Go, Rock 'N Roll
https://www.youtube.com/watch?v=ckkZa2IuiXc

KISS - Watchin' You
https://www.youtube.com/watch?v=_9g57TWGvPI

 

TRACKLIST
1. Got to Choose (Paul Stanley) /  2. Parasite (Ace Frehley) /  3. Goin' Blind (Gene Simmons, Stephen Coronel) /  4. Hotter Than Hell (Paul Stanley) /  5. Let Me Go, Rock 'n' Roll (Paul Stanley, Gene Simmons) /  6. All the Way (Gene Simmons) /  7. Watchin' You (Gene Simmons) /  8. Mainline (Paul Stanley) /  9. Comin' Home (Paul Stanley, Ace Frehley) /  10. Strange Ways (Ace Frehley)

1. ゴット・トゥ・チューズ /  2. パラサイト /  3. ゴーイン・ブラインド /  4. ホッター・ザン・ヘル /  5. レット・ミー・ゴー・ロックン・ロール /  6. オール・ザ・ウェイ /  7. ウォッチン・ユー /  8. メインライン /  9. カミン・ホーム /  10. ストレンジ・ウェイズ

NOTES
• Lead Vocals: Paul Stanley (Tracks 1, 4, 9) / Gene Simmons (Tracks 2, 3, 5, 6, 7) / Peter Criss (Tracks 8, 10)

• CD発売日:1993/5/26(20周年記念再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付

• US 100位 (Gold / 1977-RIAA)