
ボストンのセカンド・アルバムとなるこの「Don't Look Back / ドント・ルック・バック(新惑星着陸)」は、制作の大半をトム・ショルツが自宅の地下室に造ったレコーディング・スタジオで行ったらしく、制作については、レコーディングそのものよりも、その後のミックスダウン等のスタジオワークに相当の時間を費やしたとも言われている。
そんなトム・ショルツのことなので、このアルバム"Don't Look Back"は、半分程完成した時点でレコード会社が痺れを切らし、半ば強引に発売してしまったという驚くべき逸話もあるくらいで、後にトム・ショルツ自身が「A面は納得しているが、B面はもっと手を加えたかった」と発言していることから、あながち嘘とも言えないようなところもある。
実際、文句なしに素晴らしいA面(CDでは4曲目まで)に比べて、B面は、やはりちょっと見劣りがするかな?といった感じも無きにしも非ずといったところだが、それでも、個人的には、唯一コンポーザーにトム・ショルツの名が無いブラッド・デルプ作詞作曲の"Used To Bad News"を含めて、B面の4曲のどれもが好きだし、そのB面の4曲についても、かなり手の込んだ音作りがされているという事はヘッドフォンで聴くとよく分かる。
例えば"Party"では左右のギターが中央で交差し、反転して別れていくとか、"Don't Be Afraid"ではひとつの声だと思っていたヴォーカルが実は左右に分けられていたり、"Feelin' Satified"ではハンドクラップの音も微妙に定位が移動したりといったように、トム・ショルツの拘りが伝わってくるようで、こういう部分も聴いていて中々面白いところ。
アルバムの中ではタイトルトラックの"Don't Look Back"も然る事ながら、"A Man I'll Never Be"が個人的には大のお気に入り曲だったが、アルバムがリリースされてから30数年の年月が流れても、この曲は今も自分の心の中でその美しさを失うことなく輝き続けている。
セールス面では、2005年現在で1,700万枚を売り上げ、アメリカの歴代セールス記録でも10位に入る程のベストセラーとなったファースト・アルバムには及ばないものの、それでも、セカンド・アルバムであるこのこの"Don't Look Back"も毎年確実に売れ続けているようで、2005年現在までに700万枚のセールスを記録している。
なお、米ビルボードチャートに於いては見事1位(ファースト・アルバムは最高3位)となり、ファースト・シングルのタイトルトラック"Don't Look Back"も、ファースト・アルバムからのヒット曲"More Than a Feeling"の5位を上回る4位を記録している。個人的にはファースト・アルバムよりこっちかな。
BOSTON - BAND MEMBERS (Listed in Booklet)
• Tom Scholz (トム・ショルツ) - Acoustic and Electric Rhythm Guitar, 12 Strings Guitar, Bass, Piano, Organs, Special Effects Guitar
• Brad Delp (ブラッド・デルプ) - Vocals
• Barry Goudreau (バリー・グドロー) - Lead and Slide Guitar, Percussion
• Fran Sheehan (フラン・シーハン) - Bass, Percussion
• Sib Hashian (シブ・ハッシャン) - Drums, Percussion
TRACKLIST
1. Don't Look Back / 2. The Journey / 3. It's Easy / 4. A Man I'll Never Be / 5. Feelin' Satified / 6. Party / 7. Used To Bad News / 8. Don't Be Afraid
1. ドント・ルック・バック / 2. ザ・ジャーニー / 3. イッツ・イージー / 4. ア・マン・アイル・ネバー・ビー / 5. フィーリン・サティスファイド / 6. パーティ / 7. ユースト・トゥ・バッド・ニュース / 8. ドント・ビー・アフレイド
NOTES
• No Synthesizers Used / No Computers Used
• CD発売日:1990年12月21日(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付
• Album: US 1位 - 7x Platinum (1996-RIAA) / UK 9位
• Singles from Don't Look Back
1. Don't Look Back - US 4位 / UK 43位
2. A Man I'll Never Be - US 31位
3. Feelin' Satisfied - US 46位
▼ Boston - Don't Look Back
▼ Boston - A Man I'll Never Be
▼ Boston - Party
[Official Audio]
▼ Boston - It's Easy
https://www.youtube.com/watch?v=rdxZCarkVG0
▼ Boston - Feelin' Satisfied
https://www.youtube.com/watch?v=MjS7Egg49_k
▼ Boston - Used to Bad News
https://www.youtube.com/watch?v=PqwMbHAMAX8
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彼らのファースト・アルバム「New England / 失われし魂」に心奪われた当時の自分は、とにもかくにもこのセカンド・アルバムを何よりも心待ちにしていたのだった。
しかし、更なる進化を見せた意欲作であったものの、このアルバムではファースト・アルバムからのようなヒット曲が生まれることもなく、セールス的にはパッとしなかったようで、その事がレコード会社との確執を生む結果にもなったらしい。
当時は、このニュー・イングランドのファースト・アルバム「New England / 失われし魂」を、プロデューサーにキッスのポール・スタンレーを迎えて制作されたアルバムだということに釣られて購入したようなところもあったのだが(実際はキッスのポール・スタンレーと、クイーンのレコーディングエンジニアをしていたマイク・ストーンの共同プロデュース)、実際にレコードを聴いてみると、これがなんと、そんな触込みや、米英を代表する2大バンドとの関わりといったことなどは吹き飛んでしまう程の圧倒的な素晴らしさで、自分の予想をはるかに超えるサウンド・クオリティーに驚かされると同時に、又ひとつ大好きなバンドができたことをとても喜んでいたのだった。そういえば、当時はことあるごとに「凄いバンドが現れた」と、友人などには話していたなぁ。
サウンドの方向性としては「Kiss+Queen」と言うよりも、どちらかと言うと「Boston+Journey」、或いは"Raspberries"をよりダイナミックでメロディックにしたといった感じかな。個人的には、マイク・ストーンが後にプロデュースしたジャーニーの"Escape"や、エイジアの"Alpha"に匹敵するクオリティーを持つアルバムだと思うし、そういった点ではポール・スタンレーというよりも、むしろマイク・ストーンの仕事ぶりが発揮されたアルバムといった印象ではある。
"E.L.O."のアルバム中で最も好きな1枚と言えば、やはり、この「Out of the Blue / アウト・オブ・ザ・ブルー」になるのかなぁとは思う。



未だ見ぬ強豪はいないかとレコード店で物色するのが楽しみだった十代の頃に、"Electric Light Orchestra"というグループ名と、アルバム・タイトル(※下記の補足を参照)、それに電気椅子をあしらった何やら怪しげなジャケットの雰囲気に惹かれ、どんなバンドなのかは勿論のこと、どんなサウンドかも知らないまま、インスピレーションに賭けて買ったのがこのアルバム「Face The Music / フェイス・ザ・ミュージック」で、勿論、自分にとってはこのアルバムが"E.L.O."との最初の出会いだった。
世の中の主流がレコードからCDへと変わった後も、権利関係の問題からか、中々CD化されずにいた"E.L.O."のアルバムがCDとして全て出揃ったのは'90年代に入ってからだった。そういったことから、しばらくの間は'87年にポツンとCD化された、この"Face The Music"が、"E.L.O."のアルバムとしては唯一CD化されたアルバムという状況だった(最初からCDとしてリリースされた'86年の「Balance of Power / バランス・オブ・パワー」を除く)。
クイーンのアルバムの中でも取り分け良く聴いていた思い出がある一枚がこの「A DAY AT THE RACES / 華麗なるレース」。アルバムのタイトルは、前作の"A Night at the Opera"同様、マルクス・ブラザーズの映画からとられたもので、ジャケットのデザインからも伺われるように前作と対を成す格好になっている。
そして、恐らくは"Bohemian Rhapsody"以上に聴いたであろう曲が、このアルバムからのファースト・シングルにもなった"Somebody to Love"。この曲はシングルとしてはちょっと長めの曲なので、ヒットしている時でもラジオでは曲の最後まで流されることが滅多になく、毎回残念がっていたことを覚えている。大抵は後半のハンドクラップスが入るコーラス部分でフェードアウトされていたんだよね。当時は"Bohemian Rhapsody"を作った後に、よくもまぁこんなスゴイ曲を作れるもんだと、いたく感心していたことを覚えている。



さて、最初の記事はというと、一応、画像とレイアウトのテストも兼ねて、大好きなこのクイーンのアルバム「Night at the Opera / オペラ座の夜」について書いてみようと思う。