オリジナルメンバーによるスタジオ・アルバムとしては、1983年の「Alpha / アルファ」以来、実に25年ぶりとなるエイジアの復活アルバムがこの「Phoenix / フェニックス」。
復活劇を表すかのように、ジャケットにはフェニックス(不死鳥)が描かれており、ジャケットのアートワークは当時のエイジアのアルバムを手掛けていたロジャー・ディーンが担当している。
ということで、個人的には、当時のアルバム・ジャケットのような幻想的なイメージを思い浮かべていたのだが、初めてジャケットを見たときは、思いのほかグラフィックぽくて、多少肩透かしを食らったようなところがあった。
一応、ロジャー・ディーンらしい幻想的なアートワークはブックレットの内側で見ることができるのだが、個人的には、こちらをトリミングして表に使っても良かったような気がしないでもない。
とは言え、LP時代よりもジャケットが小さいCD時代ということもあり、もしかしたら、ブックレットの内側にあるような幻想的な絵よりは、復活劇をより印象付けるという意味に於いて、このようなメリハリのあるデザインになったのかもしれないとは思うところ。
■ 補足:フェニックス(ウィキペディアより抜粋)
死んでも蘇ることで永遠の時を生きるといわれる伝説上の鳥。寿命を迎えると、自ら薪から燃え上がる炎に飛び込んで死ぬが、再び蘇るとされており、不死鳥、もしくは見た目または伝承から火の鳥ともいわれる。
正直言うと、1983年発表の"Alpha"以来のオリジナルメンバーによるアルバムということで、初期2枚のアルバムようなゴージャスでドラマティックな厚みのある音を期待していたということもあり、当時はジャケットと同様、やや肩透かしを食らったような感じがあった。それでも、このアルバムに収録されている曲の幾つかは今でも時折聴いていることもあり、こうしてアルバムを発表してくれたことに感謝したい。
アルバムは、アメリカで73位、本国のイギリスでは166位と、劇的な復活劇とはならなかったものの、現在の厳しい音楽業界を考えれば、致し方ない部分もあるのかも知れない。
オープニングの"Never Again"から、2曲目の"Nothing's Forever"へと続く流れは、大ヒットを記録した1982年のファースト・アルバムをどことなく連想するような展開にもなっているが、恐らくは、そのファースト・アルバム意識した部分は少なからずあったのではないかとは思う。
アルバムの中で好きな曲を挙げれば、キャッチーなオープニングの"Never Again"と、ラストの"An Extraordinary Life"、それに"Heroine"と"I Will Remember You"のバラード曲といったところだが、アルバムとして考えれば、"Wish I'd Known All Along"と"Over and Over"のスティーヴ・ハウ作の2曲が良いアクセントになっている感じがする。
それと、アルバムには8分を超える組曲のような曲が2曲("Sleeping Giant | No Way Back | reprise"と"Parallel Worlds | Vortex | Deya")収録されているが、これについては、もしかしたら賛否が分かれるところなのかも知れない。私自身はこれはこれでアリじゃないかとは思うんだけどね。
ただ、一昔前の日本のアイドルグループが歌っていてもおかしくないような"Alibis"と"Shadow of a Doubt"のような曲はちょっと苦手。セカンド・アルバム"Alpha"に於けるポップ感覚は好きなんだけど、これはちょっとねぇ・・・。まぁ、この辺りは好みの問題なんだろうけど。
それと、余談ではあるが、このアルバムがリリースされたことにより、過去のアルバムを再び聴き直す機会が生まれて、当時はそれほど好きではなかったサード・アルバム「Astra / アストラ」の魅力に気付くことができたのは良かったところ。時を経て、今では"Astra"もファーストやセカンドに負けず劣らず好きなアルバムになったからね。いや、ほんと、この"Astra"、個々の楽曲としては勿論のこと、アルバムとしても展開がスリリングで素晴らしいアルバムなんだよね。なんで当時はこの良さが分からなかったんだろうか。
なお、日本盤には"I Will Remember You (acoustic remix)"がボーナス・トラックとして収録されているが、ヨーロッパ盤には"An Extraordinary Life (acoustic remix)"がボーナス・トラックとして収録されている。
▼ 初回盤のみアルバムカヴァーと同じデザインのステッカー(ブックレットサイズ)付き
ASIA - BAND MEMBERS (Listed on Back Cover)
• Geoff Downes (ジェフ・ダウンズ) - Keyboards
• Steve Howe (スティーヴ・ハウ) - Electric, Acoustic and Steel Guitars
• Carl Palmer (カール・パーマー) - Drums and Percussion
• John Wetton (ジョン・ウェットン) - Lead Vocal and Bass Guitar
TRACKLIST (Japanese Edition - Enhanced CD)
1. Never Again /
2. Nothing's Forever /
3. Heroine /
4. Sleeping Giant | No Way Back | reprise /
5. Alibis /
6. I Will Remember You /
7. Shadow of a Doubt /
8. Parallel Worlds | Vortex | Deya /
9. Wish I'd Known All Along /
10. Orchard of Mines /
11. Over and Over /
12. An Extraordinary Life /
13. I Will Remember You (acoustic remix) [Bonus Track for Japan]
14. Enhanced: Interview footage
1. ネヴァー・アゲイン / 2. ナッシングズ・フォーエヴァー / 3. ヒロイン / 4. スリーピング・ジャイアント | ノー・ウェイ・バック | リプリーズ / 5. アリバイズ / 6. アイ・ウィル・リメンバー・ユー / 7. シャドウ・オヴ・ア・ダウト / 8. パラレル・ワールズ | ヴォーテクス | トーヤ / 9. ウイッシュ・アイド・ノーウン・オール・アロング / 10. オーチャード・オブ・マインズ / 11. オーヴァー・アンド・オーヴァー / 12. アン・エクストラオーディナリー・ライフ / 13. アイ・ウィル・リメンバー・ユー (アコースティック・リミックス) [日本盤ボーナス・トラック]
14. エンハンスド:メンバーのインタビュー映像
NOTES
日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
解説・歌詞・対訳付
Japanese Edition (first press):
• Bonus sticker
• Jewel case slightly thicker than the regular size
• Separate English & Japanese lyric booklets
• Bonus Track - "I Will Remember You (acoustic remix)"
• Enhanced CD
Album: 166位 (UK)、73位 (US)
▼ Asia - Never Again
▼ Asia - Heroine
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▶ Symfonia - Live in Bulgaria 2013 「シンフォニア~ライヴ・イン・ブルガリア 2013」 (2017) / Asia
エイジア結成以前にジョン・ウェットンが在籍していたバンド
▶ Night After Night 「ナイト・アフター・ナイト(ライヴ・イン・ジャパン)」 (1979) / UK
ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズが提供した楽曲"We Move as One"を収録
▶ Eyes Of A Woman (1985) / Agnetha Fältskog [ex-Abba]
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