個人的にはジョン・ウェットンがグループを去ってからはエイジアに対する興味を失くしてしまったのだが、そんな自分が久しぶりに惹かれて購入したアルバムが20周年アニヴァーサリーとして2002年にリリースされたこのコンピレーション・アルバム「Anthologia / アンソロジア~20th アニヴァーサリー・コレクション」。
何しろ、ジョン・ウェットン在籍時の初期3枚からセレクト・・・ではなく、何と3枚のアルバム全曲が収録されているばかりか、この当時のシングルB面に収められていたアルバム未収録曲に加え、3作目の"Astra"後にエイジア初のベスト・アルバムとしてリリースされた'90年の"Then & Now"に収録されていた4曲の新曲及び未発表曲も収録といった具合に、3枚のオリジナル・アルバムを全て持っていようとも買いたくなるような、ウェットン時代を完全網羅した、正にウェットンが居てこそエイジアと言わんばかりの企画盤なのだ。
とは言っても、実際には"Anthologia"の後に付けられたサブタイトルの"The 20Th Anniversary / Geffen Years Collection (1982-1990)"を見ても分かるように、このアルバムがゲフィンからリリースされるものであることから、ゲフィン時代にリリースされた初期のアルバムに絞った形で企画されたんだろうね。それでも、このような形でリリースされるということに関しては、自分のように、この時代のエイジアが好きというファンには嬉しいアルバムだね。それに、アルバム毎の音のレベルが均一なのに加え、リマスターで音質の向上も図られているので、2枚組でこの内容は割とお買い得。
ただひとつ残念なのは、"Disc1"の9曲目"Here Comes The Feeling"の3分10秒~12秒辺りで若干音が乱れるということ。オリジナルにはこういった音の乱れは無かったし、他にも同様の部分を指摘されている方もおられることから、自分が購入したものだけの問題ということではなさそうで、恐らくはリマスタリング時のトラブルと思われるのだが、スピーカーから出る音を漠然と聴いていたら気付かないレベルとはいえ、こういった部分はきちんとリリース前に確認して欲しいところではある。
で、通して聴いてみると、やはり"Alpha"と"Astra"は過小評価されていると感じるのだが、個人的には何故この2枚がファースト・アルバムと比較して売れなかったのか今でも不思議に思う。
ちなみに、ファースト・アルバムのタイトルは"Asia"、そしてセカンド・アルバムが"Alpha"、更にはサード・アルバムも"Astra"といった具合に、この時代のエイジアといえば、アルバム・タイトルが「A」で始まり「A」で終わるというのがファンの間では知られるところだったが、そんな3枚を収録したこの20周年記念アルバムのタイトルもその伝統を引き継ぐように"Anthologia"のタイトルが付けられてるのはファンには嬉しいところ。ただ、現在では、残念ながらこの"Anthologia"は廃盤になっているようで、取って代わる形で、そっけないジャケットの同内容のアルバム"Asia Gold"がリリースされている("Anthologia"にあったDisc1-9曲目の音の乱れも改善されているようだ)。
そして、21世紀となった今、そのウェットンを含むオリジナルメンバーによる復活を果たし、再び活動を続けているエイジア。ただ、サウンドの方は当時に比べると幾分シンプルになった印象。個人的には'80年代のスケール感溢れるサウンドが好きなのだが、それでも、こうして活動を続けているその姿にはエールを送りたいと思う。
なお、各アルバムのチャート成績は以下のとおり。
● ASIA [1982] - 米(1位 / 4x Platinum)、英(11位 / Gold)、日(15位)
シングル - Heat of the
Moment:米(4位)、英(46位) / Only Time Will Tell:米(17位)、英(54位)
● ALPHA [1983] -
米(6位 / Platinum)、英(5位 / Silver)、日(4位)
シングル - Don't Cry:米(10位)、英(33位) / The
Smile Has Left Your Eyes:米(34位)、英(81位)
● ASTRA [1985] -
米(67位)、英(68位)、日(15位)
シングル - Go:米(46位)
● THEN & NOW [1990] - 米(114位 / Gold)、日(24位) • 英国ではチャートインせず
シングル - Days Like These:米(64位)
どちらかと言えば本国のイギリスよりもアメリカでの人気が高かったグループと言えると思うのだが、上記のチャート記録を見ても分かるように、日本での人気も高く、ジョン・ウェットンが携わった4枚のアルバムは全て比較的上位のチャート・ポジションを記録している。
TRACKLIST
[Disc 1]
1. Heat Of The Moment /
2. Only Time Will Tell /
3. Sole Survivor /
4. One Step Closer /
5. Time Again 6. Wildest Dreams /
7. Without You /
8. Cutting It Fine /
9. Here Comes The Feeling /
10. Ride Easy /
11. Don't Cry /
12. The Smile Has Left Your Eyes /
13. Never In A Million Years /
14. My Own Time (I'll Do What I Want) /
15. The Heat Goes On /
16. Eye To Eye /
17. The Last To Know /
18. True Colors
• (1-9: 1stアルバム 「Asia (詠時感~時へのロマン)」より / 10: シングル 「Heat Of The Moment」 B面 / 11-18: 2ndアルバム 「Alpha」より)
[Disc 2]
1. Midnight Sun /
2. Open Your Eyes /
3. Daylight /
4. Lyin' To Yourself /
5. Go /
6. Voice Of America /
7. Hard On Me /
8. Wishing /
9. Rock And Roll Dream /
10. Countdown To Zero /
11. Love Now Till Eternity /
12. Too Late /
13. Suspicion /
14. After The War /
15. Am I In Love? /
16. Summer (Can't Last Too Long) /
17. Prayin' 4 A Miracle /
18. Days Like These
• (1, 2: 2ndアルバム 「Alpha」より / 3: 「Alpha」のカセット版に収録 / 4: シングル 「The Smile Has Left Your Eyes」 B面 / 5-14: 3rdアルバム 「Astra」より / 15-18: 企画盤 「Then & Now」より
NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付
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▶ Gravitas 「グラヴィタス~荘厳なる刻(とき)」 (2014) / Asia
▶ R.I.P. John Wetton / ASIA Official Website (2017)
▶ Symfonia - Live in Bulgaria 2013 「シンフォニア~ライヴ・イン・ブルガリア 2013」 (2017) / Asia
エイジア結成以前にジョン・ウェットンが在籍していたバンド
▶ Night After Night 「ナイト・アフター・ナイト(ライヴ・イン・ジャパン)」 (1979) / UK
ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズが提供した楽曲"We Move as One"を収録
▶ Eyes Of A Woman (1985) / Agnetha Fältskog [ex-Abba]
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