2012年の結成30周年を記念するジャパン・ツアーの後にギタリストのスティーヴ・ハウがバンドを脱退したことから、新メンバーとして若手ギタリストのサム・コールソンを迎えてのアルバムとなったのが、この「Gravitas / グラヴィタス~荘厳なる刻(とき)」。
新加入のサム・コールソンについては、1987年生まれということで、エイジアのファースト・アルバム「Asia / 詠時感~時へのロマン」がリリースされた1982年には生まれてすらいなかったわけだが、アルバムを聴いた限りでは結構馴染んでいる印象。
実を言うと、私自身は、2008年にリリースされたオリジナル・メンバーでの復活アルバム「Phoenix / フェニックス」と、それに続く2010年リリースのアルバム「Omega / オメガ」は購入したものの、2012年にリリースされた前作「XXX / XXX~ロマンへの回帰」はリリースされたことを大分後に知ったこともあるのだが、何となく食指も動かずスルーしていたのだった。
では、何故、前作はスルーしたのに、このアルバムは購入したのかといえば、それは、この「荘厳なる刻」なる邦題に惹かれたから(笑)。しかも、1曲目のタイトルは「Valkyrie / ワルキューレ」だし、何かしら感じるものがあったのだ。自分自身は、"Phoenix"も"Omega"も、それぞれに好きな曲はあるし、悪くはないと思うのだが、自分の好みとしては、もっと壮大な方がいいなと思っていた部分もあったので、この邦題を最初に見たときから結構期待していたんだよね。なんたって「荘厳」なのだから(笑)。
ということで、前作については、購入していないばかりか、"Youtube"等でも一切観たり聴いたりしていないので、このアルバムを前作と比較することはできないのだが、"Phoenix"や"Omega"と比較すると、ミディアム・スローの楽曲が比較的多いこともあってか、印象としては確かにそれらのアルバムよりは荘厳な雰囲気はある。
アルバム自体は。全9曲で47分の作品+ボーナストラック1曲というLPレコード時代のような構成だが、個人的には別に物足りなさは感じない。というか、アレコレと詰め込みすぎるよりも、これくらいが散漫にならず、まとまりがあっていいんじゃないかと思っている。更に言うなら、ボーナストラックとして収録されている"Russian Dolls"のアコースティック・ヴァージョンも、オリジナル・ヴァージョン自体がアコースティックな雰囲気があるので、別に無いなら無いでもいいかなといった感じ。
収録曲についていえば、やはり1曲目の"Valkyrie"が一番印象的で、この曲はチェロとピアノの音色に近いキーボードが良い雰囲気を醸し出しているように感じる。又、荘厳という意味では、スローな曲がらもスケール感に満ちた"The Closer I Get You"も個人的には割と好きな曲。それ以外では、タイトル・トラックでもある2部構成の"Gravitas (i). Lento (ii). Gravitas"と、3部構成の"Heaven Help Me Now (i). Wings of Angels (ii). Prelude (iii). Heaven Help Me Now"といったプログレを彷彿とするような組曲が収録されているのもこのアルバムの特徴かなと。
▼ Asia - Valkyrie
ちょっと意外だったのは、8曲目の"Joe DiMaggio's Glove"。ジョー・ディマジオといえば米メジャーリーグの歴史にその名を残す野球選手だが、イギリス人のジョン・ウェットンが、イギリスではどちらかといえばマイナーなスポーツである野球の選手を題材にするとは少々不思議な感じではあった。ただ、この辺りは、もしかしたらアメリカのファンへのサービスという部分があったのかも?とは思うところ。過去には"Voice Of America"という曲もあったしね。曲自体は何処かノスタルジックな雰囲気があって良い曲だと思う。
なお、日本盤の初回リリース分については、ブックレットのタイトル表記に不備があったらしく、ウェブサイトの方で交換の告知がされています。
▼ エイジア『グラヴィタス~荘厳なる刻』日本語ブックレットに関してのお知らせ
http://wardrecords.com/hpgen/HPB/entries/26.html
TRACKLIST
01. Valkyrie / 02. Gravitas (i). Lento (ii). Gravitas / 03. The Closer I Get You / 04. Nictophobia / 05. Russian Dolls / 06. Heaven Help Me Now (i). Wings of Angels (ii). Prelude (iii). Heaven Help Me Now / 07. I Would Die For You / 08. Joe DiMaggio's Glove / 09. Till We Meet Again / 10. Russian Dolls (Acoustic) [Japanese CD issue bonus track]
1. ワルキューレ / 2. グラヴィタス / 3. ザ・クローサー・アイ・ゲット・トゥ・ユー / 4. ニクトフォビア / 5. ロシアン・ドールズ / 6. へヴン・ヘルプ・ミー・ナウ / 7. アイ・ウッド・ダイ・フォー・ユー / 8. ジョー・ディマジオズ・グローブ / 9. ティル・ウィ・ミート・アゲイン / 10. ロシアン・ドールズ(アコースティック・ヴァージョン) [日本盤限定ボーナス・トラック]
NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 日本先行発売 / 日本盤限定ボーナストラック収録 / 日本語解説封入 / 歌詞・対訳付
ASIA - BAND MEMBERS (Listed on Back Cover)
• John Wetton (ジョン・ウェットン) - Lead Vocal, Bass and Acoustic Guitars
• Carl Palmer (カール・パーマー) - Drums
• Geoff Downes (ジェフ・ダウンズ) - Keyboards
• Sam Coulson (サム・コールソン) - Guitars
[関連記事]
▶ Asia 「詠時感~時へのロマン」 (1982) / Asia
▶ Anthologia 「アンソロジア~20th アニヴァーサリー・コレクション」 (2002) / Asia
▶ Phoenix 「フェニックス」 (2008) / Asia
▶ R.I.P. John Wetton / ASIA Official Website (2017)
▶ Symfonia - Live in Bulgaria 2013 「シンフォニア~ライヴ・イン・ブルガリア 2013」 (2017) / Asia
エイジア結成以前にジョン・ウェットンが在籍していたバンド
▶ Night After Night 「ナイト・アフター・ナイト(ライヴ・イン・ジャパン)」 (1979) / UK
ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズが提供した楽曲"We Move as One"を収録
▶ Eyes Of A Woman (1985) / Agnetha Fältskog [ex-Abba]
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