2010/09/14

WALKING WILD / NEW ENGLAND (1981)

CDの帯(世界初CD化盤):ウォーキング・ワイルド / ニュー・イングランドAlbum Cover (front): Walking Wild / New Englandニュー・イングランドのサード・アルバムにして、事実上のラスト・アルバムとなったのが、この「Walking Wild / ウォーキング・ワイルド」。

音作りについては、前2作とは多少路線変更がなされている印象があり、そのことについては、前作の"Explorer Suite"が売れなかったことが、このアルバムの方向性に少なからず影響を及ぼしたのではないかと思う。

結局、このアルバム"Walking Wild"(LPレコード)は日本では発売すらされなかったのだが、自分はといえば、当時は幸運にも輸入盤で手に入れることができたのだった。ただ、"Love's Up in the Air"、"Get it Up"、"L5"、"You're There"といったニュー・イングランドならではのメロディックな楽曲は好きで良く聴いていたものの、全体的にストレートでコンパクトにまとめられた印象があり、更には軽いドラムの音とピコピコ・キラキラなシンセ音にも少なからず違和感があった。買った当時は期待が大きかった事もあってか、多少がっかりしたことを覚えている(ジャケットのデザインもブートレッグじゃないかと思う位のチャチさで、いかにも予算を付けませんでしたといった感じ)。

恐らくは、いくら自分たちが納得したアルバムを制作しようとも、それがセールスに繋がらなければ、レコード会社のサポートも受けられず、バンドの存続さえ危うい状況になってしまうということをメンバー自身も身に染みて感じていたのではないかと推測するのだが、この"Walking Wild"は、そんなメンバーの葛藤が渦巻く中で、ある種の決断を伴って生まれたものではなかったのかと自分は考えている。まぁ、肉を切らせて骨を断つじゃないが、アルバムがリリースされないことには自分たちらしさもへったくれもないからね。

しかしながら、そんな路線変更を決断したメンバーの思いとは裏腹に、前作が売れなかったこともあってか、大したプロモーションもされずにリリースされたアルバムだったようで、結果的には売れなかった前作以上に売れなかったようだ。

 

Album Cover (back): Walking Wild / New England収録曲については、楽曲単体で見ればそれほど悪くもないと思うのだが、前作のような大作が無いというのが、やはり寂しいところ。要所を締める尺長の曲が無い所為で、アルバムとしてはやや小じんまりとした印象になってしまっているんだよね。それに、どうも好きになれなかった前作での"Livin' In The Eighties"に見られるポップ感覚が、残念ながらこのアルバムに於いても継承されている印象で、その点が個人的にアルバムの評価を落としている要因のひとつでもある。ちなみに、その、どうも好きになれないポップ感覚が継承されている曲というのは"DDT"と"Elevator"の2曲なのだが、この2曲は買った当時から毎回スキップしていた程に苦手だった。

ただ、色々と不満は述べても、このアルバムがCD化された際は、こうしてCDも買っており、このアルバムに含まれる数曲は今でも時折聴いているので、このアルバムが嫌いという訳ではないのだ。というか、多少不満はあっても、今となってはこのアルバムがリリースされて良かったと思っている。当初は気付かなかったニュー・イングランドの息吹を今だからこそ感じられたりもするしね。

 

▼ New England - Love's Up In The Air
https://www.youtube.com/watch?v=WZzU61qbUdE

▼ New England - L-5
https://www.youtube.com/watch?v=aLcSrYZtioM

▼ New England - You're There
https://www.youtube.com/watch?v=o8tccEY8QmQ

▼ New England - Get It Up
https://www.youtube.com/watch?v=xU4OsYvXBfY

 

Album Cover (back): Walking Wild / New England

 

そして、"New England"はといえば、この"Walking Wild"をリリース後は、新たにアルバムを発表することもなく、'83年にバンドは解散。キーボードのジミー・ウォルドーとベースのゲイリー・シェアは、グラハム・ボネット率いるアルカトラスにイングヴェイ・マルムスティーンらと共に加入し、"New England"時代には叶わなかった来日も果たしている。そういえば、そのアルカトラスのファースト・シングルで、ファースト・アルバム1曲目に収録されている"Island in the Sun"が、とても"New England"ぽくて、当時はそのことがなんだかとても嬉しかったんだよね。ちなみに、この曲の作者は、グラハム・ボネットとイングヴェイ・マルムスティーン、それに、元ニュー・イングランドのジミー・ウォルドーの3人。

▼ Alcatrazz - Island in the Sun
https://www.youtube.com/watch?v=92dw9oxz-y4

 

TRACKLIST
1. Walking Wild / 2. Holdin' Out On Me / 3. Don't Ever Let Me Go / 4. Love's Up In The Air / 5. DDT / 6. Get It Up / 7. L-5 / 8. She's Gonna Tear You Apart / 9. Elevator / 10. You're There

1. ウォーキング・ワイルド / 2. ホールディン・アウト・オン・ミー / 3. ドント・エヴァー・レット・ミー・ゴー / 4. ラヴズ・アップ・イン・ジ・エアー / 5. DDT / 6. ゲット・イット・アップ / 7. L-5 / 8. シーズ・ゴナ・ティアー・ユー・アパート / 9. エレヴェイター / 10. ユアー・ゼアー

NOTES
• 日本盤初回プレスCD(世界初CD化盤) [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付

 

NEW ENGLAND - BAND MEMBERS
• John Fannon (ジョン・ファノン) - Vocals, Guitar
• Hirsh Gardner (ハーシュ・ガードナー) - Drums, Vocals
• Gary Shea (ゲイリー・シェア) - Bass
• Jimmy Waldo (ジミー・ウォルドー) - Keyboards, Vocals

 


 

[追記]
なんと、"New England"の曲をまさかまさかのユーロビートでカヴァー。しかもスペインのビルボードチャートでは1位を記録(1995)したということもあってか、最近でもライヴではこの曲を一緒に歌える人も多いようでビックリ。

▼ Sensity World - Get It Up
https://www.youtube.com/watch?v=wvjPUC8S4t4

▼ Get It Up - Sensity World - Love the 90s - Murcia - 7 de julio 2018
https://www.youtube.com/watch?v=RpdvQ_FiO2Y

 

 

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