2018/04/12

DOUBLE PLATINUM 「ダブル・プラチナム」 / KISS (1978)

CDの帯:ダブル・プラチナム / キッスAlbum Cover (front): Double Platinum / KISS  Album Cover (back): Double Platinum / KISS  プラチナム・アワードのミニチュア・レプリカ:Double Platinum / KISS

"KISS Alive II"がリリースされた翌年に、キッス初のベスト・アルバムとしてリリースされたのがこの「Double Platinum / ダブル・プラチナム」。プラチナム (Platinum Award) とは100万枚のセールスに達したアルバムに贈られる賞のことで、このベスト・アルバムが2枚組レコードとしてリリースされることからダブル・プラチナム (200万枚のセールス) と名付けられたと思われる。

収録されている曲は1974年にリリースされたファースト・アルバムの「KISS / 地獄からの使者 ~ キッス・ファースト」から1977年リリースの6作目のスタジオ・アルバム「Love Gun / ラヴ・ガン」までのアルバムの中から選曲されており、1曲目の"Strutter '78"のみ、タイトルからも分かるように、このアルバムのリリースに併せて再録音された"Strutter"のニュー・ヴァージョンになっている。ちなみに、"Strutter '78"はアルバムのリリースと同時にシングルとしてもリリースされている。

又、その他にも多くの曲がリミックスされており、このアルバムでしか聴けないヴァージョンもあることから、ベスト・アルバムとは言え、ファンにとっては無視できないアルバムになるのではないかと。

CD Case (inside): Double Platinum / KISS今でこそ再録音とかリミックスなんて全然珍しくもないのだが、リリースされた当時は、過去の曲を再録音するとか、新たにミックスし直すことなんて全然一般的ではなくて、こういったことをやって大丈夫なのかと驚くと同時に、慣れ親しんだ曲の数々がどのように変わったのだろうと聴く前からワクワクしていたことを覚えている。そういえば、2枚組のベスト・アルバムというのも当時は珍しかったね。

"Strutter"の再レコーディング・ヴァージョンとなる"Strutter '78"について言えば、オリジナル・ヴァージョンに比べると幾分重くゆったりとしたテンポの曲になってはいるものの、オリジナルのイメージを損なわないアレンジで、個人的には結構好きというか、実はオリジナル・ヴァージョンよりもこの"Strutter '78"の方が好きなんだよね。エンディング部分に加えられたポールのヴォーカル・パートも中々カッコよくて、当時は随分と貫禄が出たなぁと、この間のバンドの成長といったものも感じていたのだった。

それでも、まぁ、そういう捉え方をしている自分は、恐らくは少数派なんだろうと思っていたら、動画のコメントにはオリジナルより好きという長年のファンの書き込みもあったりして、意外と好意的な評価が多いことにちょっとビックリ。

 

▼ KISS - Double Platinum TV Commercial 1978

https://www.youtube.com/watch?v=i71WoHdbUlw

 

▼ KISS - Strutter '78

https://www.youtube.com/watch?v=hA84x42KIqY

 

アルバムにはそれぞれの曲についてリミックス等の表記がされていないので、リミックスされているのかどうか分からないような曲もあるのだが、明らかに違いが分かる曲を挙げると。

• Hard Luck Woman
前半はベースとドラムがカットされており、ヴォーカル・パートの途中からベースとドラムが入ってくる構成になっている。又、フェードアウトしていくエンディング部分のギターにエコーがかけられている。

• Calling Dr. Love
イントロから直ぐにオリジナルとの違いが分かるのだが、曲の後半もジーンのヴォーカル・パートがカットされ、バッキング・コーラスだけになっている部分があったりする。

• Let Me Go Rock 'N' Roll
ドラムの音が重くなっている。

• Firehouse
ヴォーカル・パートがテープの回転スピードを上げたような感じになっている。

• Deuce
オリジナルと聴き比べないと分からないレベルなんだが、一部で楽器の音の定位が変更されている。

• 100,000 Years
イントロにエコーが加えられている他、オリジナルだと左右のチャンネルに分離されていたギターソロの前半部分が中央でミックスされた感じになっている等、一部で楽器の音の定位が変更されている。

• Detroit Rock City
オリジナルのイントロ部分にある車に乗り込んで発進する部分の効果音が全て省かれており、いきなり曲が始まる構成になっている他、エンディングの車がクラッシュして爆発する効果音もカットされている。又、ポールのヴォーカルパートにエコーがかけられており、ギターソロのパートにも"You gotta lose your mind in Detroit, Rock City"のバッキング・ヴォーカルが加えれていたり、オリジナルではギターソロのパート以降は"Get up!"だけだったバッキング・ヴォーカルに"Get down!"も加えられていたりと結構手が加えられている。

• She
曲の始めに"Rock Bottom"イントロが加えられている。又、エンディングの部分では曲の冒頭部分が加えられており、それがそのままフェードアウトして終わる結構になっている。ただし、"Rock"Bottom"のイントロについては、オリジナルのLPレコード時代だと前曲の"Detroit Rock City"の最後に組み込まれていた記憶があるんだよね。

• Black Diamond
アコースティック・ギターで始まるイントロが長くなっており、ピーターのヴォーカルも二重になっている。又、エンディングのパートがごっそりカットされ、再びイントロの部分が始まりフェードアウトして終わる結構になっているなどオリジナルとの違いも顕著。

といったところ。

個人的には"Hard Luck Woman"のリミックスは割と好きなんですが、"Firehouse"、"Detroit Rock City"、"Black Diamond"等のリミックスはあまり好きではないですね。

当時買ったLPレコードは、"KISS"のロゴが立体的にエンボス加工され、鏡のように反射する光沢のあるシルバーメタリックのコーティングが施された特殊なジャケットで、見開きの内側にはメンバー4人の顔がこれまた立体的にエンボス加工され、角度によっては素顔が見えるという仕様になっていたが、自分が買ったこの再発盤のCDは光沢の無いカラーで印刷されたそっけない平面のジャケットになっている。

なお、LPレコードには、プラチナム・アワードで贈られるシルヴァー・メタリックのレコードを模したミニチュアがおまけとして付いていました(LPレコードの方は処分してしまったので手元には無いのだが、プラチナム・アワードのミニチュアだけは残っていたので、記事上部右側に写真を掲載している)。

 

TRACKLIST
1. Strutter '78 / 2. Do You Love Me / 3. Hard Luck Woman / 4. Calling Dr. Love / 5. Let Me Go Rock 'N' Roll / 6. Love Gun / 7. God Of Thunder / 8. Firehouse / 9. Hotter Than Hell / 10. I Want You / 11. Deuce / 12. 100,000 Years / 13. Detroit Rock City / 14. She / 15. Rock And Roll All Nite / 16. Beth / 17. Makin' Love / 18. C'mon And Love Me / 19. Cold Gin / 20. Black Diamond

1. ストラッター '78 / 2. ドゥ・ユー・ラヴ・ミー / 3. ハード・ラック・ウーマン / 4. 悪魔のドクター・ラヴ / 5. レット・ミー・ゴー、ロックン・ロール / 6. ラヴ・ガン / 7. 雷神 / 8. ファイアーハウス / 9. ホッター・ザン・ヘル / 10. いかすぜあの娘 / 11. ジュース / 12. 10万年の彼方 / 13. デトロイト・ロック・シティ / 14. 彼女 / 15. ロックン・ロール・オール・ナイト / 16. ベス / 17. 果てしなきロック・ファイヤー / 18. 激しい愛を / 19. コールド・ジン / 20. ブラック・ダイヤモンド

NOTES
• CD発売年:1989年(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付

• Album: US 22位 (Platinum / 1978-RIAA)
• Single: Strutter 78 - US 89位

 


 

■ 追記
そして、こちらは2020年9月30日に日本で再発された紙ジャケ/ハイレゾCD。

 

CDの帯:ダブル・プラチナム / キッス

Album Cover (front): Double Platinum / KISS   Album Cover (back): Double Platinum / KISS

発売当時のLPをミニチュア再現したエンボス箔張り見開き紙ジャケット+日本初回盤LPの帯に加え、おまけで付いていた封入物のプラチナム・アワード・カードと6つ折りポスターもCDサイズで再現(ポスターの再現は初)。更には、米国盤貼付の告知シールと封入のマーチャンダイズ・オーダーフォーム(グッズ案内用紙)も併せて再現。

一方、音源の方は、アナログ・テープを基にした最新リマスター音源(352.8kHz/24bit)を使用し、初のハイレゾCD化 (MQA-CD+UHQCD) も実現。

LPと同じく、ジャケット内側にエンボス加工で描かれた4人の顔も再現されており、かなり力が入った仕様になっているが、ただ、プラチナム・アワード・カードだけはLPに封入されていたもののようなキラキラ仕様ではないのがちょっぴり残念なところ。LP時代のプラチナム・アワード・カードは左下のアルバムカヴァーもジャケットと同じエンボス加工のキラキラ仕様で、描かれたレコード盤の方もメタリックに輝いていたんだよね。もしかしたら、サイズが小さくなったので再現が難しかったのかもしれない。

 

CDの帯(表と裏):ダブル・プラチナム / キッス  Album Cover (inside): Double Platinum / KISS  プラチナム・アワード・カード:Double Platinum / KISS

 

TRACKLIST
1. Strutter '78 / ストラッター'78
2. Do You Love Me / ドゥ・ユー・ラブ・ミー
3. Hard Luck Woman / ハード・ラック・ウーマン
4. Calling Dr. Love / 悪魔のドクター・ラブ
5. Let Me Go, Rock 'n Roll / レット・ミー・ゴー、ロックン・ロール
6. Love Gun / ラブ・ガン
7. God Of Thunder / 雷神
8. Firehouse / ファイアーハウス
9. Hotter Than Hell / ホッター・ザン・ヘル
10. I Want You / いかすぜあの娘
11. Deuce / ジュース
12. 100,000 Years / 10万年の彼方
13. Detroit Rock City / デトロイト・ロック・シティ
14. Rock Bottom (Intro) / ロック・ボトム(イントロ)
15. She / 彼女
16. Rock And Roll All Nite / ロックン・ロール・オール・ナイト
17. Beth / ベス
18. Makin' Love / 果しなきロック・ファイアー
19. C'mon And Love Me / 激しい愛を
20. Cold Gin / コールド・ジン
21. Black Diamond / ブラック・ダイヤモンド

※ 14曲目に"Rock Bottom (Intro)"が単独でトラック割りされているので、収録曲は全21曲となっている(オリジナルは全20曲)。

 

NOTES
• ハイレゾCD (MQA-CD+UHQCD) 仕様 / グリーン・カラー・レーベルコート
• 米国オリジナル・アナログ・テープを基にした2020年DSDマスターを352.8kHz/24bitに変換して収録(ハイレゾ未配信音源)
• 米初回盤LPをミニチュア再現したエンボス箔張り見開き紙ジャケット+告知シール+プラチナム・アワード・カード+マーチャンダイズ・オーダーフォーム
• 日本初回盤LPの意匠を再現した帯+6つ折りポスター
• 解説・歌詞・対訳付
• 品番:UICY-40315
• CD発売日:2020年9月26日(再発限定盤)

※ ハイレゾCDは、全てのCDプレーヤーで再生可能 (44.1kHz/16bit) な高音質CD (UHQCD) です。
※ MQA対応機器を使用すれば、元となっているマスター通りのハイレゾ・クオリティで再生することができます。

 

 

[関連記事]

Killers 「キッス・キラーズ」 (1982) / KISS

Smashes, Thrashes & Hits 「グレイテスト・キッス」 (1988) / KISS

You Wanted The Best, You Got The Best!! 「ベスト・オブ・ベスト ~ KISS アライヴ」 (1996) / KISS

Greatest KISS 「グレイテスト KISS リマスター」 (1996-JAPAN / 1997-USA) / KISS

0 件のコメント:

コメントを投稿