2017/03/25

A&M NEW GOLD SERIES / RITA COOLIDGE (1990)

CDの帯:A&M ニュー・ゴールド・シリーズ / リタ・クーリッジAlbum Cover (front): A&M New Gold Series / Rita Coolidge前回のスティクスに引き続き、これも同じく日本独自で企画された「A&M ニュー・ゴールド・シリーズ」の一枚で、こちらはリタ・クーリッジ編。

元々は「Don't Cry Out Loud / あなたしか見えない」が聴きたくて買ったアルバムだったのだが、実は、その曲だけライヴ・ヴァージョンで収録されていたんだよね。CDケース裏面に記載されている曲目リストには「Live」なんて表記はされていなかったことから、買った当時は「何だよ」と思ったことを覚えている。

ただ、現在でもリリースされている幾多のリタ・クーリッジのベスト・アルバムに於いても、その"Don't Cry Out Loud"が収録されている場合は、このアルバムと同じライヴ・ヴァージョンが収録されているようなので、もしかしたら何らかの事情があるのかもしれない。

それでも、その後は、この"Don't Cry Out Loud"のライヴ・ヴァージョンも結構気に入って聴いていたことを覚えている。それに、アルバム自体の選曲も中々良いので、実は、今でも時折聴くアルバムだったりもする。

アルバムに収録されている曲は、1971年リリースのデビュー・アルバム"Rita Coolidge"から1983年リリースの"Never Let You Go"の中からセレクトされており、米6位のヒットとなった1977年のアルバム"Anytime...Anywhere"から4曲、そして、米32位を記録した1978年のアルバム"Love Me Again"からは6曲と、ヒット・アルバムからは比較多く収録されているというツボを押さえた選曲がされている。

どちらかといえば、オリジナル曲よりもスタンダード・ナンバーのカヴァーが多く、あくまでも歌い手としてのスタイルを貫いたシンガーといった印象があるが、それだけに、カヴァーとは言っても、オリジナルに引けをとらないくらいに素晴らしい歌唱のものが多く、中でも、冒頭でも記した、メリサ・マンチェスターが1979年に米10位のヒットを記録したピーター・アレンとキャロル・ベイヤー・セイガー作の"Don't Cry Out Loud"や、ボズ・スキャッグスの"We're All Alone"と"Slow Dancer"の2曲などはカヴァーとしても卓越した出来だと思う。案外、「Don't Cry Out Loud / あなたしか見えない」と言えば、日本ではメリサ・マンチェスター以上にリタ・クーリッジの方が有名かも。

個人的には、それらの3曲と共に好きなのが、ジャジーな"Fever"と"Nice Feelin'"、それに、"Don't Cry Out Loud"と同じくピーター・アレンとキャロル・ベイヤー・セイガー作曲の"I'd Rather Leave While I'm In Love"といった曲。

この「A&M ニュー・ゴールド・シリーズ」自体は随分と古いアルバムになってしまったが、改めて聴いてみると、やっぱりあの時買って良かったなとは思うところ。対価を払って購入したからこそ思い入れがあり、そこから積み重ねられた思い出になっている部分って少なからずあるように思のだ。こういう記事を書いていても色々と思い出が蘇ってくるし、少しでもその思いを伝えようと、自然と熱も入るのだ(笑)。

それともうひとつ、このアルバムを買って良かったなと思ったのは、それぞれの曲がどのアルバムに収録されているといったことに加え、カヴァー曲の場合だとオリジナルは何年の誰々の曲といった表記が解説書にしてあるということ。おかげで、各曲の生い立ちも知ることができて、より深く味わうことができたようなところもあったんだよね。実を言うと「Don't Cry Out Loud / あなたしか見えない」がカヴァーだということも、このアルバムを買って初めて知ったことだったのだ。

 

収録されているのは以下の20曲。

1. (Your Love Has Lifted Me) Higher And Higher / ハイヤー・アンド・ハイヤー
米6位を記録した1977年リリースのアルバム"Anytime...Anywhere"からのファースト・シングル曲で米2位のヒットとなった曲。元々は古典的なR&Bソングで、1967年にジャッキー・ウイルソンが取り上げたときのタイトルは"(Your Love Keeps Lifting Me) Higher and Higher"。

2. Don't Cry Out Loud / あなたしか見えない
1980年に日本と一部の国でのみリリースされたライヴアルバム"Beautiful Evening (Live in Japan)"より。

3. We're All Alone / ウィアー・オール・アローン
ボズ・スキャッグスのカヴァー曲。1977年リリースの大ヒット・アルバム"Anytime...Anywhere"からのセカンド・シングルで、アメリカではファースト・シングルの"(Your Love Has Lifted Me) Higher And Higher"に続いてトップ10に入るヒットとなった曲。(米7位 / 英6位)

4. Slow Dancer / スロー・ダンサー
同じく、ボズ・スキャッグスのカヴァーで、1978年リリースのアルバム"Love Me Again"に収録。

5. I'd Rather Leave While I'm In Love / 愛しているからさよならを
「あなたしか見えない」と同じくピーター・アレンのカヴァー曲。 1979年リリースのアルバム"Satisfied"(米95位)からのファースト・シングル曲。(米38位)

6. Only You Know And I Know / 二人だけが知っている
1971年リリースのセカンド・アルバム"Nice Feelin'"(米135位)収録曲。

7. I'll Never Let You Go / ネヴァー・レット・ユー・ゴー
1983年リリースのアルバム"Never Let You Go"収録曲。

1983年リリースのアルバム"Never Let You Go"収録曲。

8. Bye Bye Love / バイ・バイ・ラヴ
1957年にヒットを記録したエヴァリー・ブラザーズのカヴァーで、1978年リリースのアルバム"Love Me Again"に収録。

9. The Way You Do The Things You Do / あなたは最高
1977年リリースのアルバム"Anytime...Anywhere"からのサード・シングルで米20位を記録。

10. The Closer You Get / クローザー・ユー・ゲット
1981年リリースのアルバム"Heartbreak Radio"(米160位)からのファースト・シングル曲。(米103位)

11. You / ユー
1978年リリースのアルバム"Love Me Again"(米32位)からのファースト・シングル曲で、米25位を記録。

12. Love Me Again / ラヴ・ミー・アゲイン
同じく、1978年リリースのアルバム"Love Me Again"からセカンド・シングルとなった曲。(米68位)

13. You're So Fine / 素敵なあなた
1959年にヒットを記録したファルコンズのカヴァーで、1978年リリースのアルバム"Love Me Again"収録曲

14. Words / ワーズ
ビージーズのカヴァーで、英25位を記録。1977年リリースのアルバム"Anytime...Anywhere"に収録。

15. Songbird / ソングバード
1977年の大ヒットアルバム「噂」に収録されていたフリートウッド・マックの曲のカヴァー。1978年リリースのアルバム"Love Me Again"収録曲。

16. Fever / フィーヴァー
1972年リリースのサード・アルバム"The Lady's Not For Sale"(米46位)からのファースト・シングル曲で「マイ・クルー」との両A面シングルで米76位を記録。

17. My Crew / マイ・クルー
同上

18. Whiskey Whiskey / ウィスキー・ウィスキー
同じく、1972年リリースのサード・アルバム"The Lady's Not For Sale"からのセカンド・シングル曲。(米106位)

19. Nice Feelin' / ナイス・フィーリン
1971年リリースのセカンド・アルバム"Nice Feelin'"からのファースト・シングル曲。

20. I Believe In You / 信じていたい
1971年リリースのソロ・デビュー・アルバム"Rita Coolidge"(米105位)からファースト・シングルとなった曲。

 

Album Cover (back): A&M New Gold Series / Rita CoolidgeTRACKLIST
1. (Your Love Has Lifted Me) Higher And Higher /  2. Don't Cry Out Loud /  3. We're All Alone /  4. Slow Dancer /  5. I'd Rather Leave While I'm In Love /  6. Only You Know And I Know /  7. I'll Never Let You Go /  8. Bye Bye Love /  9. The Way You Do The Things You Do /  10. The Closer You Get /  11. You /  12. Love Me Again /  13. You're So Fine /  14. Words /  15. Songbird /  16. Fever /  17. My Crew /  18. Whiskey Whiskey /  19. Nice Feelin' /  20. I Believe In You

1. ハイヤー・アンド・ハイヤー /  2. あなたしか見えない /  3. ウィアー・オール・アローン /  4. スロー・ダンサー /  5. 愛しているからさよならを /  6. 二人だけが知っている /  7. ネヴァー・レット・ユー・ゴー /  8. バイ・バイ・ラヴ /  9. あなたは最高 /  10. クローザー・ユー・ゲット /  11. ユー /  12. ラヴ・ミー・アゲイン /  13. 素敵なあなた /  14. ワーズ /  15. ソングバード /  16. フィーヴァー /  17. マイ・クルー /  18. ウィスキー・ウィスキー /  19. ナイス・フィーリン /  20. 信じていたい

NOTES
• 1990 Japanese Compilation CD (Released in Japan Only)
• 解説・歌詞付(対訳無し)

• アルバム・ジャケット裏面に表記されている曲目には表記されていないが、2曲目の"Don't Cry Out Loud"は1980年に日本だけでリリースされたライヴ・アルバム"Beautiful Evening (Live In Japan)"に収録されているライヴ・ヴァージョンが収録されている。

 

▼ Rita Coolidge - Don't Cry Out Loud (Live 1979, Tokyo)

https://www.youtube.com/watch?v=Z3u6gn6UQQg

 

▼ Rita Coolidge - We're All Alone (Top of the Pops 1977)

https://www.youtube.com/watch?v=7Gmu_anbW5U

 

[Official Audio]

▼ Rita Coolidge - Slow Dancer
https://www.youtube.com/watch?v=u6GHQ36oDLs

▼ Rita Coolidge - I'd Rather Leave While I'm In Love
https://www.youtube.com/watch?v=yCaq9BOe5Yc

▼ Rita Coolidge - Fever
https://www.youtube.com/watch?v=yoeN48o2K6o

▼ Rita Coolidge - Nice Feelin'
https://www.youtube.com/watch?v=hgdWtpw2hy4

 

そして、「Don't Cry Out Loud / あなたしか見えない」といえば、日本では伊東ゆかりさんの日本語によるカヴァーが知られるところ。いや、ほんと、この方も歌が上手いし、素晴らしいカヴァーだと思う。

▼ 伊東ゆかり - あなたしか見えない (Don't Cry Out Loud)
https://www.youtube.com/watch?v=K0VrTVNctTg

2017/03/17

A&M NEW GOLD SERIES / STYX (1990)

CDの帯:A&M ニュー・ゴールド・シリーズ / スティクスAlbum Cover (front): A&M New Gold Series / Styxこちらは、世の中の主流がレコード盤からCDへと移り変わって間もない時期にリリースされた日本独自の企画盤「A&M ニュー・ゴールド・シリーズ」のスティクス編。

LPレコードの時代は、「烈風」というタイトルが付けられた日本独自の企画盤が"Paradise Theatre"の後に来日記念盤としてリリースされたことがあったものの、この頃は、先にも記したように、CDへと移り変わって間もない時期だったことから、このアルバム以前にはスティクスのベスト・アルバムなんてものはまだ何もリリースされておらず、自分自身も、スティクスのCDすらまだ何も持っていないという状況だったこともあり、このCDを見つけたときは、こんなものが出ていたのかと、喜び勇んで買ったアルバムだったことを覚えている。ということで、自分が初めて買ったスティクスのCDが、実はコレなのだ。

ただし、現在は廃盤になっており、ベスト・アルバムが乱発されている現在では需要があるとも思えず、今後再発されることも無いと思う。ただ、そうは言っても、リユニオン以前の主な代表曲は概ね押さえられており、選曲自体は現在出回っているベスト・アルバム等と比較しても遜色無いんだけどね。

まぁ、過去の代表曲を集めたベスト・アルバムということもあり、このアルバムならではの特徴といったものはこれといって特には無いのだが、強いて言えば、最近のベストには収録されることが殆ど無い"Music Time"(スティクス初の2枚組ライヴ・アルバム"Caught in the Act"に収録されていたスタジオ録音の新曲で、シングルとしてもリリースされた曲)が収録されているといったところだろうか。

それでも、このアルバムを買った当時はスティクスのCDといえばこれしか持っていなかったこともあり、結構頻繁に聴いていた記憶があるアルバムではある。ただ、この当時はCD-Rは勿論のこと、ウィンドウズ95さえ出ていない時代だったので、このアルバムを好きな曲順でカセットテープに録音して聴いていたんだけどね。

なお、CDケース裏面の曲目リストには表記されていないが、13曲目の"Miss America"はライヴ・ヴァージョンが収録されている。

 

Album Cover (back): A&M New Gold Series / StyxTRACKLIST
1. Babe / 2. Mr. Roboto / 3. Come Sail Away / 4. Why Me / 5. Don't Let It End / 6. Boat On The River / 7. Renegade / 8. The Best Of Times / 9. Fooling Yourself (The Angry Young Man) / 10. Too Much Time On My Hands / 11. Blue Collar Man (Long Nights) / 12. Mademoiselle / 13. Miss America / 14. Lorelei / 15. A.D. 1928 / 16. Rockin' The Paradise / 17. Music Time

1. ベイブ / 2. ミスター・ロボット / 3. カム・セイル・アウェイ / 4. ホワイ・ミー / 5. 愛の火を燃やせ / 6. ボート・オン・ザ・リヴァー / 7. レネゲイド / 8. ザ・ベスト・オブ・タイムズ / 9. 怒れ!若者 / 10. 時は流れて / 11. ブルー・カラー・マン / 12. マドモアゼル / 13. ミス・アメリカ / 14. ローレライ / 15. 1928年(パラダイス・シアター・オープン) / 16. ロッキン・ザ・パラダイス / 17. ミュージック・タイム

NOTES
• 1990 Japanese Compilation CD (Released in Japan Only)
• 解説・歌詞付(対訳無し)

 

 

▼ Styx - Blue Collar Man (Return to Paradise 1996)

https://www.youtube.com/watch?v=kopMEpSG_Zg

 

▼ Styx - Come Sail Away (Return to Paradise 1996)

https://www.youtube.com/watch?v=VMFVkGA1Qfw

 

▼ Styx - The Best of Times / A.D. 1958 (Return to Paradise 1996)

https://www.youtube.com/watch?v=KAGBTBwsduw

 

 

[関連記事]

Cornerstone 「コーナーストーン」 (1979) / Styx

Paradise Theatre 「パラダイス・シアター」 (1981) / Styx

Edge Of The Century 「エッジ・オブ・ザ・センチュリー」 / Styx (1990)

2017/03/09

あれから10年 ~ R.I.P. BRAD DELP - BOSTON OFFICIAL WEBSITE (2007 / 2017)

R.I.P. Brad Delp / Boston Official Website (2007)

 

R.I.P. Brad Delp / Boston Official Website (2007)これはボストンのヴォーカリストであるブラッド・デルプが宇宙の彼方へ旅立たれた時のボストンのオフィシャル・サイト(トップ・ページ)をキャプチャーした画像。思い出にとコピーして保存しておいたのだが、今日はあれから丁度10年目ということで取り上げることにした。

ご覧のように、この時はトップ・ページからのリンクが全て外され、ブラッド・デルプの写真と追悼するメッセージだけといったものになっていたのだ。

そして、その後は、この後に控えていた全米ツアーは全てキャンセルするとの発表が公式に伝えられるれることに・・・。一方では、代役を立ててツアーを行うという選択肢もあったと思われるが、恐らくはトム・ショルツの判断だったんだろうね。

トム・ショルツがひとりで制作したデモテープをベースにボストンのファースト・アルバムがレコーディングされる際は、それに合わせて各パートのメンバーが集められた経緯があったものの、このブラッド・デルプだけはレコーディング前からトム・ショルツの知り合いであり、そのトム・ショルツがブラッド・デルプに「アルバムをレコーディングする計画があるんだけど、興味ある?」といった内容の手紙を送ったことからヴォーカリストとして参加することが決まったといったことをアルバムのライナーノーツか、もしくは何かの記事で読んだ記憶がある。多分、そういった意味でもトム・ショルツにとってブラッド・デルプは特別な存在だったのかもしれない。

10年目の節目ということで、改めて哀悼の意を表したいところだが、ブラッド兄さんはきっと遥か彼方の宇宙で安らかに旅をされていることだろうから、今日は過去を振り返らず、遥かなる想いを馳せながら、この惑星に残してくれた歌声と共にアルバムを聴いていたいと思う・・・。

 

▼ Boston - A Man I'll Never Be (Giants Stadium 6/17/1979)

https://www.youtube.com/watch?v=krj6CWCNBvU

 

BOSTON OFFICIAL WEBSITE (2007)
• Brad Delp - June 12, 1951 to March 9, 2007
• The nicest, kindest, most caring, down to earth rock star the world has ever known. 
• May you rest in Peace

 

▼ BOSTON OFFICIAL WEBSITE
https://bandboston.com/

 

 

関連記事

Boston (1st Album) (1976) / Boston

Don't Look Back 「ドント・ルック・バック(新惑星着陸)」 (1978) / Boston

Third Stage 「サード・ステージ」 (1986) / Boston

Walk On 「ウォーク・オン」 (1994) / Boston

Greatest Hits 「グレイテスト・ヒッツ」 (1997) / Boston

Corporate America 「コーポレイト・アメリカ」 (2002) / Boston

Life, Love & Hope 「ライフ、ラヴ & ホープ」 (2013) / Boston

Heaven On Earth Tour 2014 in Japan - Sticker Sheet (2014) / Boston

2017/03/03

PHYSICAL 「フィジカル(虹色の扉)」 / OLIVIA NEWTON-JOHN (1981)

CDの帯:フィジカル(虹色の扉) / オリビア・ニュートン・ジョンAlbum Cover (front): Physical / Olivia Newton-John1978年の主演映画「グリース」から、翌年の1979年にリリースされた前作の「Totally Hot / さよならは一度だけ」、そして、1980年公開の映画「ザナドゥ」と、新境地の開拓を推し進めてきたオリビアが、更なるステップとして扉を開いたアルバムがこの「Physical / フィジカル(虹色の扉)」。

ということで、この"Physical"がリリースされるまでの数年の経緯を知っている人は、このアルバムでの方向性もある程度は必然的な流れとして捉えることができたと思うのだが、シングルの"Physical"が大ヒットを記録したことで、昔のオリビアしか知らないという人にまで知れ渡った所為か、突然変異のような扱いを受けていた部分も少なからずあったようにも思う。

自分自身はといえば、新境地という意味では前作の"Totally Hot"も個人的に好きなアルバムだったというか、それ以前の主だった代表曲はある程度知っていたとはいえ、"Totally Hot"が初めて買ったオリビアのアルバムでもあったので、この"Physical"も好みという点では多少違う部分はあったものの、それなりに許容できる範囲ではあった。それに、何よりも、このアルバムによってヴォーカル・スタイルにも幅が生まれ、より表現力が増したことは紛れも無い事実だと思うんだよね。

ただ、そうは言っても、このアルバム"Physical"は、大ヒットしたシングル"Physical"のミュージック・ビデオのイメージが特別目立ってしまうということもあってか、アルバムとしてはあまり評価されることもなく、タイトル・トラックの"Physical"だけで語られることが多いような印象を受ける。

でも、アルバム自体は結構バラエティーに富んだ曲構成になっており、例えば、アルバムの最後に収録されているオリビアが作詞作曲した"The Promise (The Dolphin Song)"なんかは、オリビア自身は何も変わっていないんだということを感じさせられるような曲。ちなみに、この"The Promise (The Dolphin Song)"は、他の曲に比べるとシンプルな印象がある所為か、当時は地味な曲といった感じで特に好きというわけでもなかった曲だが、歳を重ねてから聴くと、これがまたピュアな雰囲気で良いのだ。

又、ソロとしてデビューする前はクリフ・リチャードのバック・コーラスとして活動していた時期があったので、そういった経緯もあってのことだろうと思われるが、クリフ・リチャードのカヴァー曲"Silvery Rain"(1971年にシングルとしてリリースされた曲)が収録されているのも、新たなる境地へ踏み出しながらも、原点を見つめ直すというか、この"Physical"も当時から線で繋がっているということを示しているかのようでもあり興味深いところ。

▼ 1971年に「シルバーレイン」の邦題でリリースされたクリフ・リチャードの日本盤シングル
Discogs - シルバーレイン (Silvery Rain) / クリフ・リチャード

なお、タイトル・トラックの"Physical"について付け加えておくと、この曲でギターソロのパートを演奏しているのは"TOTO"のスティーブ・ルカサー。

 

CD Case (inside): Physical / Olivia Newton-John Album Cover (inside): Physical / Olivia Newton-John Album Cover (back): Physical / Olivia Newton-John

 

ちなみに、このアルバムは、収録されている全曲のミュージック・ビデオが制作されている。又、ビルボード・チャートで10週連続1位の大ヒットを記録した"Physical"の陰に隠れがちだが、セカンド・シングルの"Make A Move On Me"もビルボード・チャートでトップ5に入るヒットを記録しているのだ。

ただひとつ言わせてもらえれば、バラード曲の2曲"Falling"と"Carried Away"多少淡白な感じがするので、この点がちょっと残念なところ。この2曲がもうちょっと魅力的なバラード曲だったらアルバムの充実度もグッと上がったと思うんだけどね。それでも、まぁ、この辺りは好みの問題でもあるし、捉え方も人それぞれなのかもしれない。

まぁ、冒頭でも述べたように、タイトル・トラックの"Physical"だけで拒否反応を示す人も少なからずいたようだが、ビジュアルとサウンドの両面で大きな変化を見せた"Totally Hot"でファンになった自分と同様に、初めて買ったオリビアのアルバムが"Physical"であり、この"Physical"を入り口としてファンになったという人も案外多かったのではないかと。現に、タイトル・トラックの"Physical"はその後も現在に至るまでずっとライヴでは外せない重要なレパートリーとなってるし、多くのファンが、この曲を演らないライヴなんて考えられないと思っていると思う。

補足しておくと、ジャケットの写真は写真家のハーブ・リッツ (Herb Ritts) によるもので、ハーブ・リッツはその後の1986年にリリースされたマドンナのアルバム「True Blue / トゥルー・ブルー」でもジャケットの写真を手掛けており、その"True Blue"も、この"Physical"と同じような横顔の構図の写真になっているのが興味深いところ。

なお、このアルバムは、収録されている全曲のミュージック・ビデオが制作されている。

 

▼ Olivia Newton John - Physical (rtve.es)

https://www.youtube.com/watch?v=TkhSQFNRneU

 

▼ Olivia Newton-John - Make A Move On Me (The American Music Awards 1982)

https://www.youtube.com/watch?v=1ziyCPLHwOY

 

▼ Olivia Newton-John - Silvery Rain (Music Video)

https://www.youtube.com/watch?v=yJCHUvucQWk

 

こちらはライヴ・ヴァージョン

▼ Olivia Newton-John - Silvery Rain (Live)

https://www.youtube.com/watch?v=jkd6V1fbeRk

 

こちらはクリフ・リチャードのオリジナル・ヴァージョン

▼ Cliff Richard - Silvery Rain
https://www.youtube.com/watch?v=YQrz2oaTcf0

 

▼ Olivia Newton-John - The Promise (The Dolphin Song) (Music Video)

https://www.youtube.com/watch?v=fEtwsTfBzLc

 

TRACKLIST
1. Landslide / 2. Stranger's Touch / 3. Make A Move On Me / 4. Falling / 5. Love Make Me Strong / 6. Physical / 7. Silvery Rain / 8. Carried Away / 9. Recovery / 10. The Promise (The Dolphin Song)

1. ランドスライド / 2. ストレンジャーズ・タッチ / 3. メイク・ア・ムーヴ・オン・ミー / 4. 貴方にフォーリング / 5. 愛あればこそ / 6. フィジカル / 7. シルヴァリー・レイン / 8. キャリード・アウェイ / 9. 絆はふたたび / 10. 愛のプロミス

NOTES
• CD発売日:2002年3月6日(再発盤)
• デジタル・リマスター
• 解説・歌詞・対訳付
• 品番:UICY-3294

• Album: US 6位 (2x Platinum / 1984-RIAA) / UK 11位 / AUS 3位
• Singles from Physical: 
1. Physical: US 1位 (Platinum / 1982-RIAA) / UK 7位 (Silver) / AUS 1位
2. Make A Move On Me: US 5位 / UK 43位 / AUS 8位
3. Landslide: US 52位 / UK 18位

 

 

[関連記事]

Totally Hot (1979) / Olivia Newton-John

Xanadu (Soundtrack) 「ザナドゥ」 (1980)

Xanadu (Movie Booklet) 「ザナドゥの映画パンフレット」 (1981)

One Woman's Live Journey (2000) / Olivia Newton-John

Love Songs 「ラヴ・ソングス」 (2004) / Olivia Newton-John

Video Gold I & II [DVD] (2005) / Olivia Newton-John

A Celebration in Song 「セレブレイション・イン・ソング」 (2008) / Olivia Newton-John

40/40 - The Best Selection (2010) / Olivia Newton-John

Just The Two Of Us: The Duets Collection [Volume One] (2023) / Olivia Newton-John

Just The Two Of Us: The Duets Collection [Volume Two] (2023) / Olivia Newton-John

[その他の OLIVIA NEWTON-JOHN 関連記事]

オリビア・ニュートン・ジョンとアバの夢の共演! (1978) / Olivia Newton-John

イギリス史上最も売れたシングルのランキング

イギリス史上最もシングルを売り上げたアーティストの男女別トップ10

'80年代のヒット曲ランキングの1位にオリビア・ニュートン・ジョンの"Physical"が選ばれる(米ビルボード)

オリビア・ニュートン・ジョンのカヴァーでも知られる2曲のカントリー・ミュージックのカヴァー

ピンク - 2022年の AMAs でオリビア・ニュートン・ジョンの楽曲を披露