2010/12/28

今年一番の思い出「放浪の天才画家 - 山下清展」 (Part 2)

山下清展 - フライヤーこれほど大衆に愛された芸術家はいないであろうと言われる山下清、昭和31年(1956年)に東京の大丸百貨店で開催された初めての本格的な個展では、1か月で約80万人と云う驚異的な動員記録を残し、その記録は日本美術史上で未だ破られることがない記録として残っているそうだ。

何故、これほどまでに多くの人達が惹かれるのかは、作品も然ることながら、自然体ともとれるその人間性にあるのではないだろうか。そういった意味でも、「芸術家・山下清」「人間・山下清」をキーワードとして、数多くの作品と共に、これまで紹介されていなかったエピソードや資料を併せて開催された今回の山下清展は、そんな山下清の魅力を再発見させられるものでもあった。

放浪の旅を、自らは「るんぺんをしている」と日記等には記していた山下清だが、今回の山下清展で分かったのは、放浪の旅が、実は作品を制作するためのものではなく、純粋に美しい景色や珍しいものを見て楽しむというものであったということ。そして、恐らくはそれらの旅が、お金や食事、宿などの心配を全くせずに行われていたであろうことも。

それにしても驚かされるのは、これらが戦中、戦後(第二次世界大戦)の動乱した時代に行われていたということで、よくもまぁ、そんな時代に方々で食料やお金を貰ったりできたものだと。というか、それ以前に、そんな状況下で旅をしていたこと自体が驚きなのだが(笑)。

勿論、誰もがそう簡単に食料やお金をくれる訳ではないことや、嫌な思いをすることも多々あったであろうことは容易に想像がつくのだが、それでも、結果的には食事にありつけ、時にはお金を貰ったりして旅を続けられていたのだから、やはり、何かしら人を惹きつける人間的魅力があったんだろうね。仮に、自分がこんなことをやろうとしても恐らく無理。2、3件回って断られたらきっとメゲて諦めるだろうし(笑)、というか、そもそも、見ず知らずの人間に貴重な食料やお金をくれるはずがないという思いが先にあるからね。

と、そんなことを考えると、性善説、性悪説じゃないけど、山下清は案外楽観的に、何処に行こうとも助けてくれる人はいるのだという思いがあったのではないかと思うんだよね。

そして、そんな施しを受けながらの旅を続けていたという事実を考えれば、山下清が言うところの「るんぺんをしている」という言葉が本人には実感としてあったのかもしれないね。とは言っても、そんな自分自身を題材に、「夕飯を貰いにいくところ」や、「駅で寝ているところ」といった場景をも絵にしているところを見ると、それらを卑下したり苦痛に感じることはなかったようではある。というか、自分の目には、そんなことも、とても楽しそうに描かれているように見えるのだ。そこに描かれた山下清自身の顔も何となく微笑んでいるように見えるし。もしかしたら、山下清の人間的魅力には、このように体裁というものを全く気にせずに生きていたように見えるところにもあるのかも知れないね。つまりは、本当はそんな生き方をしたいという多くの人達の憧れる姿がそこにあったのではないかと。

 

 

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今年一番の思い出「放浪の天才画家 - 山下清展」 (Part 1)

2010/12/26

今年一番の思い出「放浪の天才画家 - 山下清展」 (Part 1)

長崎県美術館で開催された「放浪の天才画家-山下清展」に行ったのは今年6月のことだった。ゆっくり見ようと土日を避けて行ったのだが、館内は平日にもかかわらず多くの人で賑わっていた。

 

長崎県美術館

 

山下清展 - チケットただ、この時は夏日で、外は30度を超えるような気温だった上に、美術館内は作品の保全を第一にした温度設定がなされている所為か、館内はけっこう暑く、見ているだけでも汗が出てくる感じだったが、これだけの数の作品を一度に見られる機会もそうそう無いので、2時間程をかけて見て回った。

展示されていたのは、貼絵を始め、油彩、水彩、ペン画、など約200点の作品で、作品の他にも山下清が放浪の旅で実際に使用していたリュックサックや、日記などに残した文章など、彼にまつわる品々も展示されており、とても興味深い企画展だった。そして、何よりも良かったのは、作品の前にパーテーションが置いてなかったことで、人の流れを見計らっては、数センチという距離で食い入るように見て回った。

山下清と言えば、ドラマ化された「裸の大将」でもお馴染みの、純粋さと、傍から見れば一見ユーモラスともとれそうな核心を突いて出る言葉、そして、それらを含めたその人間性にもあると思うのだが、会場には、作品と一緒に、そういった様々なエピソードや語録も綴られており、見て、読んで、楽しめるものであった。

出口にあるミュージアムショップでは、この「山下清展」に併せて制作された画集とミニチュアのレプリカの2点を買って帰ったのだが、中でも、作品が大まかな年代順に展示されていた会場とほぼ同じページ構成になっている画集は、作品と一緒に掲示してあった本人の言葉やエピソードの多くも同様に掲載されているので、再び美術館で鑑賞している気分で楽しめるということもあり、これから「山下清展」に行かれる方にはおススメ。

 

山下清展 - 画集  長岡の花火 - ミニチュア・レプリカ

 

さて、この山下清展、山下清の作品に触れられたことは勿論のこと、山下清という人物像を改めて知ることができたのはとても良かったと思う。誤認していた部分も少なからずあったからね。

例えば、ドラマの影響もあって、作品の多くは放浪先で制作していたとばかり思っていたのだが、実は放浪先で絵を描いたりすることは滅多になく、ましてや貼絵など手間のかかるものは放浪先で制作することはまずなかったであろうと言われていることもその一つ。

ということで、数か月から数年という単位で放浪の旅を繰り返していた山下清が実際に絵の制作を行っていたのは、旅から戻った時で、その大半が、実家や、通っていた学園であったというのが真相だそうだ。つまりは、残された作品にある風景の多くが山下清の記憶の中から導き出されたものだということで、これには正直驚いた。又、このことからも分かるように、実は彼が並外れた記憶力の持ち主であったということも今回初めて知ったこと。

そして、この山下清展では、自筆の日記や手紙なども展示されていたのだが、(失礼ながら)思いのほか漢字が多く使われていたことにも正直驚いたのだった。というか、大人でも書くのが難しいような炬燵(こたつ)、麒麟(きりん)、蜻蛉(とんぼ)、蒟蒻(こんにゃく)といった漢字もすらすら書けていたというから、卓越した記憶力を持つ山下清にしてみれば案外簡単なことだったのかもしれない。

ちなみに、山下清が書く文章には句読点がなく、この理由については「人と話をするときは点やマルとはいわないんだな カッコとも言わないんだな」と、本人の弁が残されており、卓越した才覚に魅せられる一方、何だかこういったところにも不思議と魅力を感じたりもした。

そんな山下清の人物像を知るにつけ、ふと自分はどうなんだろうと照らし合わせてみると、どうも記憶しておきたいことの多くを文明の利器に頼ってしまうことが習慣になっているようで・・・。「これじゃ何も心に残らないよな」と、ちょっぴり反省。

 

 

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2010/12/23

LAST CHRISTMAS 「ラスト・クリスマス」 [7-INCH & 12-INCH SINGLES] / WHAM! (1984)

レコードの帯:ラスト・クリスマス / ワム!Japanese 12 Inch Vinyl Single Record (front): Last Christmas / Wham!   Japanese 12 Inch Vinyl Single Record (back): Last Christmas / Wham!   Japanese 7 Inch Vinyl Single Record (front): Last Christmas / Wham!

LAST CHRISTMAS / ラスト・クリスマス(7インチ & 12インチ・シングル)

明日はクリスマス・イヴということで、手持ちのレコードの中から、ワム!の「Last Christmas / ラスト・クリスマス」のシング盤2枚をピックアップ。ちなみに、上の写真は、左から"Last Christmas"の来日記念盤12インチ・シングルの表ジャケットで、中央がその裏ジャケット。そして右が"Last Christmas"の7インチ・シングル。

日本では、リリースされた時よりも、現在の方がこの曲の知名度は高いのではないかと思える程にクリスマスの定番曲として定着している印象があるが、当時は洋楽としてはそこそこヒットしていたものの、洋楽をあまり聴かない人は割と知らないということも多かったように思う。それにテレビ等でも今ほどクリスマスソングとして使われていなかったような。

ちなみに、この曲がシングルとしてリリースされたのは1984年だったが、日本(オリコン)では1984年の年間総合チャートの100位圏外という結果だった(1985年も同様に100位圏外だが、この年の年間総合チャートでは「Careless Whisper / ケアレス・ウィスパー」が91位に入っている)。

なお、イギリスに於いては、この"Last Christmas"と"Everything She Wants"が両A面シングルとして1984年にリリースされ、2位を記録しているが、アメリカでは"Everything She Wants"だけがシングルとしてリリース(B面は"Like a Baby")されており、"Last Christmas"はシングルとしてリリースされなかった。

ただ、そのアメリカでは、その"Everything She Wants"は1位を記録しているので、アメリカでも"Last Christmas"とのカップリングでリリースされていたら、この"Last Christmas"も1位を記録した曲ということになっていたのかもしれない。ということで、イギリスでの2位という記録も、正確には"Everything She Wants"とのカップリングでの記録ということになる。

Japanese Vinyl Single Record (12 Inch and 7 Inch): Last Christmas / Wham!クリスマスソングも意外とつまらない曲が多かったりするのだが、この"Last Christmas"はクリスマスソングの中ではダントツにイイ曲だなと思って、当時は知らない人に聴かせたりもしていた。でも、思い起こしてみると、その当時は、まさかこれほどまでにクリスマスの定番ソングになるとは思っていなかったように思う。

現在では、コンピレーションアルバム等に収録されているものの多くがロング・ヴァージョンの"Pudding Mix"のようだが、個人的には"Wham!"の"Last Christmas"といえば、やっぱり7インチのシングルヴァージョンの方に思い入れがある。なお、12インチシングルは、レコード盤ラベルには"Pudding Mix"と表記されているが、帯と歌詞カードにはロング・ヴァージョンと表記されている。

 

▼ 7インチ・シングル盤のラベル

レコード盤ラベル(7インチ):Last Christmas / Wham!   レコード盤ラベル(7インチ):Last Christmas / Wham!

 

▼ 12インチ・シングル盤のラベル

レコード盤ラベル(12インチ):Last Christmas / Wham!   レコード盤ラベル(12インチ):Last Christmas / Wham!

 

▼ George Michael - Last Christmas [Live at Wembley 2006]

https://www.youtube.com/watch?v=z4v7AtXPN6Y

 

▼ Wham! - Last Christmas (Official Video) [Single Version]
https://www.youtube.com/watch?v=E8gmARGvPlI

▼ Wham! - Last Christmas (Official Video) [Long Version / Pudding Mix]
https://www.youtube.com/watch?v=rdBF5seCfwg

 

TRACKLIST

7インチ・シングル
• Side A: Last Christmas / Side B: Credit Card Baby
• 歌詞・対訳付

12インチ・シングル
• Side A: Last Christmas (Pudding Mix) / Side B: Credit Card Baby
• 歌詞付(対訳無し)

Wham!
• George Michael (ジョージ・マイケル)
• Andrew Ridgeley (アンドリュー・リッジリー)

 

 

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▼ Last Christmas のシングル・ヴァージョンと、ロング・ヴァージョンのプディング・ミックスが収録されたシングルCD
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All-Star Christmas 「オールスター・クリスマス」 / Various Artists (2000)

▼ アリアナ・グランデ、テイラー・スウィフト、カーリー・レイ・ジェプセンによる Last Christmas のカヴァー
歌姫達によるラスト・クリスマス(ワム!)のカヴァー

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2010/12/20

ONE NIGHT IN AUSTRALIA / E.L.O. PART II (2007)

Album Cover (front): One Night in Australia / E.L.O. Part II1995年にオーストラリアのシドニーで行われたこのライヴの音源は、ジャケット違いは元より、各国で様々なタイトルが付けられて出回っているようだね。おかげで単に収録曲が少ないだけという同じ音源の"CD"を間違ってもう一枚買ってしまった(笑)。

と、そんな数あるシドニーでのライヴ音源の中ではこの2枚組の"One Night in Australia"が収録曲数も多く最も充実しているのではないかと思う。その他は大抵が収録曲を絞った1枚モノで出ているようだし。

さて、このライヴ・アルバム、曲目を見ただけでもワクワクするのだが、フルオーケストラを使ったライヴであったということもあり、音に厚みがあって聴き応えがある。実のところ、"Standin' in the Rain"のような曲を生でここまで見事に演奏されていることには正直驚いた。今は亡きケリー・グロウカットのヴォーカルが多くの場面で聴けるのもファンとしてはちょっぴり切なくも嬉しいところ。

ちなみに、このライヴは、"Bev Bevan (Drums)"、"Kelly Groucutt (Bass and Vocals)"、"Mik Kaminski (Violin)"の元"E.L.O."組に、"E.L.O. Part II"の正式メンバーである"Eric Troyer (Keyboards and Vocals)"、"Phil Bates (Guitar and Vocals)"という布陣で演奏されている。

 

CD Case Cover (back): One Night in Australia / E.L.O. Part II  CD Case (inside): One Night in Australia / E.L.O. Part II

 

残念ながら、"Strange Magic"、"Sweet Talkin' Woman"、"Confusion"、"Do Ya"、"Hold on Tight"、"Turn to Stone"といった曲はメドレー化されているため、それらの曲は多少短縮して演奏されている。フルで聴けないのはちょっと残念な気がするが、限られた時間の中で多くの曲を演奏するためには仕方ないところだったのかもしれないし、これだけ素晴らしい演奏で名曲の数々を聴かせてくれれば十分満足というもの。

ライヴといえば、スタジオ・ヴァージョンにアレンジが加えられていたりして、興味深いところがあったりする一方、オリジナル曲のイメージからかけ離れてしまい、がっかりすることもけっこう多いのだが、このライヴでは比較的オリジナルに忠実な演奏がされており、長年慣れ親しんだ曲のイメージそのままに安心して聴けるのが嬉しいところ。曲目にクレジットされてはいないが、"Can't Get It Out Of My Head"の前には"Eldorado Overture"が演奏されているのもファンには嬉しいところで、エンディング部分をカットせずに、スタジオヴァージョン同様にフルで演奏される"Mr. Blue Sky"などを聴くと感動さえする。個人的には"E.L.O. Part II"のセカンド・アルバム"Moment of Truth"に収録されていた、ケリー作でリードヴォーカルも彼がとる、お気に入りの"The Fox"がライヴで聴けるのが嬉しいところ。

 

CD: One Night in Australia / E.L.O. Part IITRACKLIST (2CD Edition)
[Disc 1]: 1. Standing In The Rain / 2. Evil Woman / 3. Don't Wanna / 4. Showdown / 5. Can't Get It Out Of My Head / 6. Whiskey Girls / 7. Livin' Thing / 8. One More Tomorrow / 9. Mr Blue Sky / 10. Telephone Line / 11. Ain't Necessary So / 12. The Fox

[Disc 2]: 1. Strange Music / 2. Sweet Talkin' Woman / 3. Confusion / 4. Do Ya / 5. Rockaria / 6. Roll Over Beethoven / 7. All Fall Down / 8. Witness / 9. 1,000 Eyes / 10. Hold On Tight / 11. Turn To Stone / 12. Rock & Roll Is King / 13. Last Train To London / 14. Don't Bring Me Down

 

▼ Electric Light Orchestra Part II - Turn To Stone (Australia 1995)

https://www.youtube.com/watch?v=b2XJv1taQjA

 

 

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2010/12/17

KELLY / KELLY GROUCUTT (1983)

Album Cover (front): Kelly / Kelly Groucutt昨年(2009年)の2月に心臓発作で亡くなった"E.L.O."の元メンバーであるケリー・グロウカットが1983年にリリースしたソロアルバムがこの"Kelly"。

ケリー・グロウカットと言えば、"E.L.O."の全盛期を支えていたベースプレイヤーとしては勿論のこと、"E.L.O."サウンドの要のひとつとも言えるコーラス・ハーモニーのパートを支えていた人物でもある。

実は、可能性が低いことは承知しつつも、"Jeff Lynne"、"Bev Bevan"、"Richard Tandy"、そして"Kelly Groucutt"という布陣で"E.L.O."が再始動する日が来ることを密かに期待していたんだよね。更には、そこにストリングスを担当する"Mic Kaminski"、"Hugh McDowell"、"Melvyn Gale"、そして"Louis Clark"という名もあれば最高!なんてことを夢に思いながら・・・。

でも、残念ながら、ケリーの特徴的なファルセットヴォイスを聴ける形での"E.L.O."復活という自分の夢は消えてしまった。今は只、心よりご冥福をお祈りいたしますとしか言いいようがないのが残念なところ。

 

Album Cover (back): Kelly / Kelly Groucuttさて、ケリー・グロウカット唯一のソロアルバムであるこの"Kelly"、'83年にリリースされた時は、ヨーロッパ地区のみでのリリース(アナログのレコード盤)ということで、その当時は残念ながら聴く機会がなかったのだが、恐らくは、彼が亡くなったことで、このアルバムがCD化され、再発されたのだろう。こうして彼のアルバムを聴けるようになったのは嬉しいことだが、反面、こういったかたちでこのアルバムを手にする結果になったことを考えると複雑な心境でもある。

そして、このアルバムがリリースされた'83年といえば、"E.L.O."の"Secret Messages"がリリースされたのと同じ年ということになるのだが、ブックレットにも記載されているように、ケリーが"Secret Messages"でプレイしているのは4曲だけだったということから、"Secret Messages"がリリースされた時はケリーは既にグループを去っていたようだ。当時はそんなことなど何にも知らなかったけど。

とは言っても、このアルバムに参加ミュージシャンとしてクレジットされているのは、ドラムスに"Bev Bevan"、キーボードに"Richard Tandy"、バイオリンに"Mic Kaminski"、そして、ストリングスアレンジが"Louis Clark"と、見事なまでに"Jeff Lynne"を除く"E.L.O."のメンツが揃っているのだ。なお、この"Kelly"に収録されている楽曲は全てがケリーの手によるもので、プレイヤーとしてはベースとギターにリードヴォーカルを担当している。

ちなみに、自分が買ったのは、ボーナストラック4曲がプラスされた14曲入りの"Renaissance Records (USA)"盤だが、残念なことに、音質があまり良くないんだよね。何となくダビングされたようなあまり音質が良くない音源をイコライザーで無理やり修正したかのような音といった感じがするのだが、オリジナルの音源を知らないので、後から手が加えられているのかどうかは定かではない。考えられるのは、何らかの理由でマスターテープ自体が無くなっているという状況なのだが、どうなんだろう・・・。ただ、この他にもジャケット違いのものがオフィシャルサイトで販売されていたり、"Koch (USA)"レーベルからはアナログレコード盤に準じた10曲入りCDもリリースされているので、音質面での違いが気になるところではある。

 

CD: Kelly / Kelly GroucuttTRACKLIST
1. Am I A Dreamer / 2. Oh Little Darling / 3. Dear Mama / 4. You Don't Need To Hold Me Tight / 5. Black Hearted Woman / 6. Midnight / 7. Don't Wanna Hear That Song Again / 8. Anything Goes With Me / 9. Can't Stand the Morning / 10. Old Rock & Roller / 11. You've Been Telling Lies / 12. Sea of Dreams / 13. I'll Cry for You Tonight / 14. Am I a Dreamer [New Version]

 

[追記]
なんと、まさかまさかの日本盤が先月リリースされているではないか!

 

▼ Kelly Groucutt TV Performance & Interview in AB 1983 (Am I A Dreamer / You Don't Need To Hold Me Tight)

https://www.youtube.com/watch?v=e_R4h7Q1y8E

 

▼ Kelly Groucutt - Oh Little Darling

https://www.youtube.com/watch?v=hyyKiYe29Y8

 

 

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2010/12/14

BIONIC 「バイオニック」 / CHRISTINA AGUILERA (2010)

CDの帯(初回プレス盤):バイオニック / クリスティーナ・アギレラAlbum Cover (front): Bionic / Christina Aguileraクリスティーナ・アギレラといえば、アルバムごとに、サウンドと、それに呼応するかのようにビジュアルイメージを大胆に変化させてきた印象があるのだが、ただそうは言っても、この「Bionic / バイオニック」のジャケットには流石に驚かされた。とは言え、実は、一見キワモノ的なこの"Bionic"こそが、今年買ったCDの中で最も多く聴いたアルバムでもあった。

この"Bionic"では、ジャケット同様、サウンドにも大きな変化が見られるわけだが、1920~40年代のソウル、ジャズ、ブルースといったサウンドをリスペクトして制作された前作"Back to Basics"から一転して、今回は未来をコンセプトに制作されたエレクトロ・ポップ・アルバムとなっている。

エレクトロ・ポップへの布石は"Back to Basics"の後にリリースされたベスト・アルバム"Keeps Gettin' Better"に収録されていた再録音曲や新曲に於いてあったものの、スタイルが違うその他の楽曲と混在しているベスト・アルバムという中にあっては、やや浮いた感じが無きにしも非ずといった印象だったが、今回のように全編を通してしてやられると、全く違和感も感じない、と言うか、これも又、紛れもなくアギレラサウンドといった感じに思えてくるから不思議。

ただ、これだけサウンドが変貌すると、賛否が別れることはある程度仕方がないことなのかも知れないが、その点はアギレラ自身も十分予測していたことだろうし、個人的な意見としては、それなりの地位を確立しているにもかかわらず、そこに安住することなく、更なる意欲を見せるその姿勢にはエールを送りたいね。

 

Album Cover (back): Bionic / Christina Aguilera  CD: Bionic / Christina Aguilera

 

この"Bionic"、本国アメリカでは、18曲入りのスタンダード版と、5曲がプラスされたリミテッド・エディションに分けてリリースされたようだが、日本版はリミテッド・エディションに準じた23曲入りでリリースされている。個人的には、そのプラスされた5曲の中に含まれる"Monday Morning"と"Birds of Prey"がけっこう好きで、これらの曲がボーナストラック的扱いなのは何とももったいない気さえする。

本編内で好きな曲を挙げれば、"Bionic"、"Not Myself Tonight"、"Woohoo"、"Elastic Love"、"Desnudate"、"Glam"、"Lift Me Up"、"I Am"、"You Lost Me"、"I Hate Boys"、"Vanity"と、いくつもの曲が並んでしまう辺りは、クリスティーナ自身が語る「良い曲が沢山詰まっているの」の言葉通りに、このアルバムの充実度を示しているかのようでもある。しかも、1曲1曲が良く練られており、アレンジなどもけっこう複雑で凝っているんだよね。

個人的にはチャレンジ精神に富んだ意欲作ながらも、クオリティーの高い充実したアルバムだと思うのだが、思ったよりセールスは伸びてない感じで、世の中けっこう難しいものだなと。世界人口の大半が自分だったら10曲くらいシングルカットしてもよさそうなんだけどね(笑)。

 

Lenticular Cover: Bionic / Christina Aguilera  Booklet & Lenticular Cover: Bionic / Christina Aguilera

 

ジャケットは見る角度を変えると図柄が変化するスペシャル・レンティキュラー仕様(立体視覚特殊ジャケット)になっている。最近はあまり見なくなったが、自分が小学生の頃は、このザラザラした表面の立体視覚仕様を雑誌の付録やおまけのカード等で割と良く見かけたものだった。自分が持っていた手帳サイズの魚図鑑の表紙もこれだったなぁ。

 

TRACKLIST
1. Bionic / 2. Not Myself Tonight / 3. WooHoo [feat. Nicki Minaj] / 4. Elastic Love / 5. Desnudate / 6. Love & Glamour (Intro) / 7. Glam / 8. Prima Donna / 9. Morning Dessert (Intro) / 10. Sex For Breakfast / 11. Lift Me Up / 12. My Heart (Intro) / 13. All I Need / 14. I Am / 15. You Lost Me / 16. I Hate Boys / 17. My Girls [feat. Peaches] / 18. Vanity / 19. Monday Morning / 20. Bobblehead / 21. Birds Of Prey / 22. Stronger Than Ever / 23. I Am (Stripped)

1. バイオニック / 2. ノット・マイセルフ・トゥナイト / 3. ウーフー feat. ニッキ・ミナージ / 4. エラスティック・ラヴ / 5. デスヌダテ / 6. ラヴ & グラマー(イントロ) / 7. グラム / 8. プリマドンナ / 9. モーニング・デザート(イントロ) / 10. セックス・フォー・ブレックファースト / 11. リフト・ミー・アップ / 12. マイ・ハート(イントロ) / 13. オール・アイ・ニード / 14. アイ・アム / 15. ユー・ロスト・ミー / 16. アイ・ヘイト・ボーイズ / 17. マイ・ガールズ feat. ピーチズ / 18. ヴァニティー / 19. マンデー・モーニング / 20. バブルヘッド / 21. バーズ・オブ・プレイ / 22. ストロンガー・ザン・エヴァー / 23. アイ・アム(ストリップト)

NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• スペシャル・レンティキュラー仕様(立体視覚特殊ジャケット)
• 解説・歌詞・対訳付

 

▼ Christina Aguilera - Medley (Bionic / Not Myself Tonight / WooHoo)

https://www.youtube.com/watch?v=jUCmaY_7SM0

 

▼ Christina Aguilera - Not Myself Tonight - flash mob (Budapest)

https://www.youtube.com/watch?v=0qXcVQiR01A

 

 

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2010/12/11

DOLL REVOLUTION / THE BANGLES (2003)

Album Cover (front): Dolll Revolution / The Bangles'80年代には数々のヒット曲と共に人気を博し、ビルボードチャートでナンバーワン・ソングを生み出した史上初の自ら演奏もする女性だけのグループとしてもその名を歴史に残すバングルス。しかしながら活動期間は短く、メジャーデビューしてから解散までに残したアルバムは僅かに3枚。それでも、一気に時代を駆け抜けた割には忘れ得ぬ存在となっているのは、人気絶頂の中でバンド活動に終止符を打ったが故に、良いイメージがそのまま残っているというのも理由のひとつなのかもしれない。

しかし、バングルスは帰ってきたのだ。とは言っても、あの当時のキュートな女の子達もこのアルバムのリリース時は皆40代。正直、あまりにも変わった姿を見せられるくらいなら、良いイメージのまま、想い出の中に閉まっておきたいという思いもあって、暫くはこのアルバムを買うのをためらっていた。ただ、ジャケットのアートワークが凄く良いので、ずっと気になってはいたのだが・・・。

それから数年、バングルスの過去の楽曲を聴く日々を過ごしていたが、ある日、彼女達のインタビュー記事を目にしたことで、一気に再結成後のアルバムを聴いてみたい衝動に駆られて購入したのが、リリースから7年経った今年だった。

ちなみに、実際にアルバムを買って聴いてみる気になったそのインタビュー記事には、メジャーレーベルからのオファーもあったが、レコーディング費用は自分達で用立ててアルバムを制作したことなどが語られていた。

と言うのも、そういった決断の背景には、メジャーレーベルと契約したが為に失うような状況は避けたかったということや、自分達でコントロールするという部分を大切にしたかったという思いがあったらしく、それらの言葉は、何よりも自分達がやりたい音楽を納得するかたちで作りたかったということが伝わってくるものでもあった。

実は'80年代に人気絶頂の中でバンド活動に終止符を打った理由がこの言葉の中にも隠されているのではないかという気もするのだが、それはさて置き、こんな話を聞かされたら、そのサウンドを受け止めてみようと思うと同時に、少しでも売り上げに協力したくなるじゃありませんか。ということで、再結成後のライヴDVDもこのアルバム"Dolll Revolution"と一緒に購入。

 

Dolll Revolution / The Bangles   Dolll Revolution / The Bangles

 

Booklet (back): Dolll Revolution / The Banglesさて、この"Dolll Revolution"、何はともあれ、パッケージを開けてブックレットにある4人の写真を最初に見て、ちょっと安心(笑)。実際にアルバムを聴いた感想としては、キュートで愛くるしいスザンナ・ホフスの声が全く変わってなかったことには正直驚くと共に、嬉しかったね。

ただ、残念なのは、そのスザンナ・ホフスが単独でリードヴォーカルをとる曲が全15曲中、4曲、ヴィッキーと二人でヴォーカルをとる"Riide the Ride"の1曲を足しても5曲と、いかんせん少なすぎるという点。ビートルズやキッスなどと同様、バングルスはメンバー全員がリードヴォーカルをとるバンドというのは分かるけど、もっとスザンナを全面に出しても良かったのではないかという気もする。この辺りはレコーディング費用を自分達で出してアルバムを制作したということからも分かるように、自分達で多くを決めたことで、必然的に平等という意識が強く出てしまった結果ではないかと推測するのだが、どうなんだろうね。

最後に、冒頭でもちょっと触れたジャケットについて話すと、アルバムのタイトルともシンクロしたアートワークがバングルスの音楽性を見事に象徴しているようで、とても良いんだよね。バングルス・サウンドの魅力と言えば、水と油とも言えるようなカラフルポップとガレージロックが渾然と同居するところにもあるのだが、その辺りの雰囲気がピンクとモノクロームを使ったカラーで上手く表現されている感じで、久しぶりに良いジャケットに出会えた気がする。又、CDラベル等を含め、パッケージ全体も統一したイメージできちんとデザインされており、ファンとしては、こういった点も嬉しいところ(こういったところで、周りのやっつけ仕事的なものを見せられてガッカリといったこともあるんでね)。

 

CD: Dolll Revolution / The Bangles   DVD: Dolll Revolution / The Bangles   CD Case (back cover): Dolll Revolution / The Bangles

 

THE BANGLES - BAND MEMBERS
• Susanna Hoffs - Acoustic & Electric Guitar, Vocals
• Debbi Peterson - Drums, Acoustic Guitar, Percussion, Vocals
• Vicki Peterson - Lead Guitar, Acoustic & Electric Guitar, Mandolin, Vocals
• Michael Steele - Bass, Acoustic & Electric Guitar, Vocals

 

TRACKLIST
1. Tear Off Your Own Head (it's a doll revolution) / 2. Stealing Rosemary / 3. Something That You Said / 4. Ask Me No Questions / 5. The Rain Song / 6. Nickel Romeo / 7. Ride the Ride / 8. I Will Take Care Of You / 9. Here Right Now / 10. Single By Choice / 11. Lost At Sea / 12. Song for A Good Son / 13. Mixed Messages / 14. Between The Two / 15. Grateful

Bonus DVD featuring:
• A Day In The Life Of The Bangles
• Music Video - Something That You Said
• Audio Tracks - Getting Out Of Hand / Call On Me / Something That You Said (Brad Wood Mix)
• Photo Gallery
• Album Lyrics

 

▼ The Bangles-  Something That You Said (tv France)

http://www.youtube.com/watch?v=rgEKLYDsGNE

 

▼ The Bangles - Tear Off Your Own Head (It's a Doll Revolution)

https://www.youtube.com/watch?v=yhnrvkptDtM

 

[Audio]

▼ The Bangles - Ask Me No Questions
https://www.youtube.com/watch?v=ey2FMOZzX1k

▼ The Bangles - Lost At Sea
https://www.youtube.com/watch?v=p3r5N-Rmcwk

▼ The Bangles - I Will Take Care Of You
https://www.youtube.com/watch?v=G9RVnFrnuHg

 

 

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2010/12/08

TRIP TRIP / KOKIA (2002)

CDの帯:trip trip / KOKIAAlbum Cover: trip trip / KOKIA今回取り上げたアルバムは"KOKIA"の"trip trip"。実は日本人ミュージシャンのアルバムについて書くのは初めてになるのだが、最初に言っておきたいのは「ポップなジャケットに騙されてはいけませんよ」ということ。

勿論、それは良い意味での話で、サウンド・イメージが必ずしもジャケットに反映されている訳ではないという例えであり、裏を返せば、それだけスケール感溢れるサウンドがこのアルバムでは展開されているということでもある。

普段はロック系の洋楽を聴くことが多いので、邦楽に触れる機会は少ないのだが、"KOKIA"というミュージシャンと、このアルバム"trip trip"を知ったのは、このアルバムがリリースされた2002年に、ここへ収められているいくつかの曲を車の中のラジオで聴いた時だった。

その時流れていたのは、たしか「調和」、「天使」、「人間ってそんなものね」といった曲だったと思うのだが、けっこう反響も大きかったようで、番組の後半では「鳥肌が立ちました」とか「世界に通用する数少ない日本人ミュージシャン・・・」といったリスナーから寄せられたメールやファックスもいくつか紹介されていたように思う。

自分はというと「日本にもこんなミュージシャンがいるんだ」と思うと同時に、とりあえずは「コキア」というその名を忘れないよう頭の中にインプットしていたことを覚えている。でも、後から考えると名前としては有り得そうにないから聞き間違えたかな? などと思ったりもしていたんだよね(笑)。

それにしても、冒頭にも書いたとおり、このアルバムで展開されるスケール感はほんと素晴らしい。実際、こういったアルバムにはそうそう出会えるものではないと思うなぁ。アルバムのハイライトといえば上記の3曲になると思うのだが、個人的には、摩訶不思議感が漂う"花"や、躍動感に満ちた"足音"、それに、スキャット風ヴォーカルが印象的で、穏やかな雰囲気をもった"a gift"のような曲もけっこう好き。

又、その他の楽曲も1曲1曲にそれぞれの表情と存在感があり、例えば「ぴんくの象」、「Princess ÉHIME」といったフックとなるようなちょっぴりオチャメな曲もアルバムのバランスを考えればとても効果的で、アルバムのイメージと音楽的幅を広げるのに一役買っている感じ。

ということで、"trip trip"("trip"=旅、旅行)というアルバム・タイトルが示すように、アルバム内には様々な国や地域の音楽を取り入れた幅広いサウンドが展開されており、1曲1曲にそれぞれ違った趣があるのが面白いところ。ちなみに、収録曲の作詞作曲は全て"KOKIA"さん自身の手によるもの。

 

CD Case (inside): trip trip / KOKIAとにかく洋楽しか聴かないという人にも一度聴いてもらいたいと思える1枚で、このようなアルバムこそがもっと評価されていいのではという気もする。個人的には、彼女の声を重ねたコーラスやハーモニーの付け方がとても好きで、主旋律の歌メロとは違ったコーラスやハーモニーがポンポンと飛び出してくるのが、楽曲の世界観も広がる感じで楽しくもある。

最近は、よりアコースティックなサウンドへと向かわれているようだが、自分自身は、このアルバムで見られるような歪んだギターの音が入っているサウンドの方がどちらかといえば好みで、絵画で言えば、特定の色を引き立たせるために反対色の補色を使うように、ヘヴィーなギターが、逆に彼女の声をより引き立たせるのではないかという思いも少なからずある。広大な花畑に咲く花々も壮観で美しいのだが、廃墟に咲く一輪の花にはゾクッとさせられるといった感じ。まぁ、あくまでも個人的な嗜好の話なんだけどね。

 

Booklet: trip trip / KOKIA

 

TRACKLIST
1. 調和 / 2. 次会う時は / 3. Say Hi!! / 4. The rule of the universe / 5. Princess ÉHIME / 6. 天使 / 7. ぴんくの象 / 8. Hello passing days / 9. 花 / 10. 人間ってそんなものね / 11. 足音 / 12. tomoni / 13. a gift

NOTES
Singles:
tomoni (released in 2001.5.23) / Say Hi!! (released in 2001.8.22) / 天使 (released in 2001.11.21) / 人間ってそんなものね (released in 2002.1.23)

 

[追記:2011年]
"KOKIA"さんのオフィシャル通販サイト「コキア印」の立ち上がりキャンペーンとして、"KOKIA"さんの自筆サインが入ったCDケースサイズのミニ色紙を頂きました。

自筆サイン入りミニ色紙 / KOKIA 自筆サイン入りミニ色紙 / KOKIA trip trip / KOKIA

 

▼ KOKIA - 調和 (Official Audio)

https://www.youtube.com/watch?v=I3-XZqtn3j0

 

▼ KOKIA - 天使 (Official Audio)

https://www.youtube.com/watch?v=4fepdn5p3-g

 

▼ KOKIA - 人間ってそんなものね (Official Audio)

https://www.youtube.com/watch?v=UhzhhtegAEQ

 

 

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2010/12/05

KISS - PAUL STANLEY (SOLO ALBUM) / PAUL STANLEY (1978)

CDの帯:キッス - ポール・スタンレー / Paul StanleyAlbum Cover: KISS - Paul Stanley (Solo Album) / Paul Stanleyメンバー4人が同時にソロアルバムをリリースという前代未聞の行動に出た"KISS"。お小遣いの中からやり繰りしてレコードを買ってた少年には、とてもじゃないけど4枚まとめて買えるわけもなく、どうしたかと言うと・・・。

何と、リリース日と翌日の2回に分けて4人のアルバム全曲が「NHK-FM」で放送されることを「FMレコパル」という番組表が載っている雑誌で知った私は、学校を2日間ズル休みして録音に励んだのだった(笑)。

そして、暫くはその時録音したテープで楽しんでいたのだが、やっぱりレコードが欲しくなり、お小遣が溜まる度に1枚ずつ買い揃えていったことを覚えている。ついでに言うと、この時期のキッスは年に2枚というハイペースでアルバムをリリースしており、しかも、この年にリリースされた"KISS"のアルバムは、3枚組の"The Originals II"、2枚組の"Double Platinum"、そしてソロアルバム4枚といった状況だったことから、収入源はお小遣いだけという立場の少年の財政はかなりひっ迫していたのだった(笑)。この年にリリースされた"KISS"のレコード枚数を単純に足すと9枚なのだからたまったもんじゃないよね。とは言っても、けっこう喜んでレコードを買っていた訳だから、恐るべしキッス商法。

 

と、そういった経緯を思い出していたら、前置きが長くなったが、4人のソロアルバムの中で最初に買ったものはというと、この"Paul Stanley"のアルバムだった。自分にとってはこのポールのソロアルバムは別格で、数ある"KISS"のアルバムと併せても、恐らくはトップ3に入るくらい聴きまくっていたんじゃないかと思う。当時はよくもこんなにカッコイイ曲を次から次へと書けるもんだと感心していたなぁ。

1曲目の"Tonight You Belong to Me"からポール節全開で、この1曲を聴いただけでこのアルバムの凄さを予兆させられる感じで、初めて聴いたときはほんと興奮したなぁ。"Wouldn't You Like Me to Know"、"It's Alright"、"Love in Chains"と流石ポールと思わせるようなカッコイイ曲が並んでいるが、"Take Me a Way"と"Hold Me Touch Me"のタイプが違うスローな2曲もこれまた素晴らしくて、静と動が共存するパワーバラードとも言える"Take Me a Way"と、シングルカットもされた("Let it Be"に匹敵する名曲と勝手に思う)"Hold Me Touch Me"もどれだけ聴いたことか。

 

Japanese 12-inch Vinyl Record: KISS - Paul Stanley (Solo Album) / Paul Stanley

 

Japanese 12-inch Vinyl Record:KISS - Paul Stanley (Solo Album) / Paul Stanley一応、それぞれのメンバーのアルバムを日米のチャート上で比較してみると、"Gene Simmons"(米22位、日24位)、"Ace Frehley"(米26位、日30位)、"Peter Criss"(米43位、日40位)、"Paul Stanley"(米40位、日18位)といったように、アメリカではジーンのアルバムが最上位にランクされていたが、日本ではポールのアルバムが最上位にランクという結果だった。ちなみにシングルの方ではエースの"New York Groove"がビルボードチャートで13位まで上がるヒットを記録している。補足しておくと、日本でのチャート順位は邦楽と洋楽が混ざったオリコンでの総合チャートなので、この当時の日本における"KISS"人気の凄さが分かるのではないかと思う。

LPレコードに付属の「キッス・イラスト・ジグソーポスター」:KISS - Paul Stanley (Solo Album) / Paul Stanley全員が同時にソロアルバムをリリースした経緯については、内紛を収める目的があったと後に明かされた訳だが、結果的に全員のアルバムが100万枚以上のセールスに贈られるプラチナディスクを獲得したのだから、ヴォーカリストやギタリストだけが目立って、あとは誰だか分からないというバンドではなく、メンバーそれぞれにファンがいて、全員が曲を書き、歌も歌うというバンドを目指した"KISS"だからこそ成し得たことかも知れない。

ちなみに、右側の写真はLPレコードに付属の「キッス・イラスト・ジグソーポスター」で、各ソロアルバムに封入されている4枚をつなぎ合わせると、更に大きなひとつのポスターになるというもの。

 

LPレコードのラベル:KISS - Paul Stanley (Solo Album) / Paul Stanley   LPレコードのラベル:KISS - Paul Stanley (Solo Album) / Paul Stanley

 

Japanese 12-inch Vinyl Record: Paul Stanley / Paul Stanley (KISS)TRACKLIST
1. Tonight You Belong To Me / トゥナイト・ユー・ビロング・トゥ・ミー
2. Move On / ムーヴ・オン
3. Ain't Quite Right / エイント・クワイト・ライト
4. Wouldn't You Like To Know Me / 俺の全て
5. Take Me Away (Together As One) / テイク・ミー・アウェイ
6. It's Alright / イッツ・オールライト
7. Hold Me, Touch Me (Think Of Me When We're Apart) / ホールド・ミー・タッチ・ミー
8. Love In Chains / 愛の鎖
9. Goodbye / グッドバイ

 

NOTES
• Song Writer(s) - Tracks 1, 4, 6, 7, 8, 9 (Paul Stanley) / Tracks 2, 3, 5 (Paul Stanley, Mikel Japp)

• Album: US 40位 (Platinum / 1978-RIAA)
• Single: "Hold Me, Touch Me (Think of Me When We're Apart)" - US 46位

• 解説・歌詞・対訳付

 

▼ Paul Stanley - Tonight You Belong To Me

https://www.youtube.com/watch?v=kYXiDdZMwnI

 

▼ Paul Stanley - Take Me Away (Together As One)

https://www.youtube.com/watch?v=ic6R0SDDgvQ

 

▼ Paul Stanley - Hold Me, Touch Me (Think Of Me When We're Apart)

https://www.youtube.com/watch?v=g1x7slXlHX8

 

 

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2010/12/03

A KIND OF MAGIC 「カインド・オブ・マジック」 / QUEEN (1986)

CDの帯(初回プレス盤):カインド・オブ・マジック / クイーンAlbum Cover (front): A Kind of Magic / Queenクイーンの13作目(ライヴアルバムの"Live Killers"とサウンドトラックの"Flash Gordon"を含む)となるこのアルバム「A Kind of Magic / カインド・オブ・マジック」は、フォーマットがレコードからCDへと移行する転換期にリリースされたことから、この時期にリリースされたアルバムの多くがそうであったように、このアルバムもまた然りで、レコードとCDの両方のフォーマットでリリースされていた。

自分はといえば、このアルバムを最初に手にした時はレコードの方だったが、そういったフォーマットの移行期であったということもあり、レコード会社もCDを売ろうと、レコードよりも収録時間が長いCDの特性を生かして、CDのみボーナストラックを収録というパターンが多く見受けられ、この"A Kind of Magic"も又、ご多分に漏れずそのパターンだった。

CDの方にだけ収録されている別ヴァージョンの3曲を除けば、9曲中6曲が映画「ハイランダー」の為に書かれた曲という構成のアルバムだが、ジャケットの何処にも「ハイランダー」や「サウンドトラック」の表記が無いことからも分かるように、アルバムはサウンドトラック盤としてではなく、"The Works"に続くクイーンのオリジナルアルバムとしてリリースされている。ただし、日本での発売元は映画と噛ませた方が得策だと考えたのか、この時期にリリースされたCDの帯には「サウンドトラック」の表記がされていた。

このアルバムの魅力と言えば、後期を代表する名曲である"Friends Will Be Friends"(ブライアン曰く"Very Classic Queen Sound")が収録されているという点がまず挙げられるのだが(独断)、自分が好きなのは、やっぱりこういったスタイルのサウンドなんだと再確認できた曲でもあった。そして、その後のライヴでは、ずっと変わらないと思っていた"We Will Rock You"~"We Are the Champions"というコンサートのラストを締めくくる黄金セットの間に入り込む形でこの曲が演奏されているのを次作のライヴアルバム"Live Magic"で知った時は、クイーン自身のこの曲に対する位置付けみたいなものが伝わってくる感じで嬉しかったね(欲を言えばフルでやって欲しかったけど)。

 

Album Cover (back): A Kind of Magic / Queenただ、このアルバムに関しては、良く聴く曲と、そうでない曲が極端なんだよね。これは、あくまでも個人的な嗜好によるものなんだろうけど。ということで、上に挙げた"Friends Will Be Friends"と"Pain is So Close to Pleasure"(どちらも作曲者クレジットは"Mercury & Deacon")はかなりの頻度で聴いていたが、6曲目以降の曲(レコードでいうところのB面)は未だに苦手な感じ。その中では幾分聴く機会もあるのが"Who Wants to Live Forever"だが、それでも後半の終わりそうで終わらないモヤモヤした部分をカットした自作のトラックを作成して聴いていた(ミュージック・ビデオでもこの部分はカットされている)。

まぁ、この辺りの要因としては、アルバム収録曲にフレディ・マーキュリーがソングライターとしてクレジットされている曲が少ない(共作を含めて全4曲、フレディ・マーキュリー単独では1曲のみ)というのも、もしかしたら理由のひとつなのかもしれない。

アルバムは(英1位 / 米26位)を記録。又、アルバムに先がけリリ-スされていたシングル"One Vision"は(英7位 / 米61位)、アルバムからのファースト・シングル"A Kind of Magic"が(英3位 / 米42位)を記録。そして、その後は、"Friends Will Be Friends"(英14位)、"Who Wants to Live Forever"(英24位)といった曲もシングルカットされている。ただ、アメリカでは独自に"Princes Of The Universe"や"Pain is So Close to Pleasure"といった曲がシングルカットされたようだが、残念ながらチャートインには至らなかったようだ。

ちなみに、下の写真は当時買った"One Vision"のシングル盤で、ジャケットは三方背の袋タイプになっているので、通常のシングルとは違い、ジャケットに表と裏がある。又、B面にはアルバム未収録の"Blurred Vision"が収録されているが、こちらは"One Vision"の音源を使って遊んでみたといった感じの曲で、ほぼインストゥルメンタルといった曲。タイトルの"Blurred"(輪郭・境界・記憶などがぼやけた、不鮮明な、はっきりしない、 かすんだ)が示すような雰囲気。

 

Japanese 7 Inch Vinyl Single Record (front): One Vision / Queen   Japanese 7 Inch Vinyl Single Record (back): One Vision / Queen

 

Japanese 12 Inch Vinyl Single Record: A Kind of Magic / Queenそして、もう一つ買ったのが、6分を超えるエクステンデッド・ヴァージョンが収録された"A Kind of Magic"の12インチ・シングル。ちなみに、B面には、アルバム未収録で、"Don't Lose Your Head"の変形とも言えるような曲、"A Doze Red Roses for My Darling"(インストゥルメンタル)が収められている。

なお、この12インチ・シングル盤のライナーノーツには、この曲に対するブライアンのコメントもいくつか引用されており、一部を紹介すると、「とにかく何回も聴いてみてほしいな。きっとそのたびに新しい発見があるはずだよ。ヘッドフォンを使わないと聴きとれないような音もあったりするしさ」とのこと。

 

TRACKLIST
1. One Vision [Writers: Queen] / 2. A Kind Of Magic [Writer: R. Taylor] / 3. One Year Of Love [Writer: J. Deacon] / 4. Pain Is So Close To Pleasure [Writers: J. Deacon & F. Mercury] / 5. Friends Will Be Friends [Writers: J. Deacon & F. Mercury] / 6. Who Wants To Live Forever [Writer: B. May] / 7. Gimme The Prize (Kurgan's Theme) [Writer: B. May] / 8. Don't Lose Your Head [Writer: R. Taylor] / 9. Princes Of The Universe [Writer: F. Mercury]
[Extra Magical Ingredients]:
10. A Kind Of A kind Of Magic / 11. Friends Will Be Friends Will Be Friends / 12. Forever

1. ONE VISION -ひとつだけの世界- / 2. カインド・オブ・マジック / 3. 愛ある日々 / 4. 喜びへの道 / 5. 心の絆 / 6. リヴ・フォーエヴァー / 7. ギミ・ザ・プライズ / 8. ドント・ルーズ・ユア・ヘッド / 9. プリンシス・オブ・ザ・ユニヴァース
[Extra Magical Ingredients]:
10. ア・カインド・オブ・ア・カインド・オブ・マジック / 11. フレンズ・ウィル・ビー・フレンズ・ウィル・ビー・フレンズ / 12. フォーエヴァー

NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付

 


 

■ 追記
こちらは、40周年を記念して2011年にリリースされた2枚組の"40th Anniversary Limited Edition" (2011 Digital Remaster)。

A Kind of Magic (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  A Kind of Magic (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  A Kind of Magic (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen

TRACKLIST
Disc 1: A Kind Of Magic
オリジナル・アルバムに"Extra Magical Ingredients"として収録されていた3曲を除く全9曲

Disc 2: A Kind Of Magic - Bonus EP
1. A Kind Of Magic [Highlander Version]
2. One Vision [Single Version]
3. Pain Is So Close To Pleasure [Single Remix]
4. Forever [Piano Version]
5. A Kind Of Vision [Demo, August 1985]
6. One Vision [Live At Wembley Stadium, July 11th, 1986]
7. Friends Will Be Friends Will Be Friends

※ オリジナル・アルバムに"Extra Magical Ingredients"として収録されていた3曲のうち2曲は「Disc 2」の方に収録されているが、「A Kind Of A kind Of Magic / ア・カインド・オブ・ア・カインド・オブ・マジック」だけは収録されていない。

A Kind of Magic (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  A Kind of Magic (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  A Kind of Magic (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen

 

▼ Queen - Friends Will Be Friends (Official Video)

https://www.youtube.com/watch?v=0AIlz08fZos

 

▼ Queen - Who Wants To Live Forever (Official Video)

https://www.youtube.com/watch?v=_Jtpf8N5IDE

 

▼ Queen - One Vision [Extended] (Official Video)

https://www.youtube.com/watch?v=-OGd4gplxQM

 

 

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