2012/03/25

AFTERGLOW 「アフターグロウ~ELOアンソロジー」 [3CD BOX SET] / E.L.O. (1990)

CDの帯(初回プレス盤):アフターグロウ~ELOアンソロジー / E.L.O.Album Cover: Afterglow / E.L.O.これは"Afterglow"(残光、残照、余韻といった意味)と題された"E.L.O."の集大成とも言える3枚組ボックスセットで、収録曲は1971年のファースト・アルバム"No Answer"(イギリスでのタイトルは"The Electric Light Orchestra")から1986年にリリースされた事実上のラスト・アルバムと言える"Balance of Power"の中から(つまりは、これまでにリリースされた全スタジオ・アルバムから)セレクトされている。

ファンにとって嬉しいのは、この期間にレコーディングされていたものの、アルバムには収録されなかったトラック(シングルのB面曲を含む)が未発表曲として収録されていることで、実際、自分もこれらの曲を目当てで買ったようなところがあった。ただ、現在では、これらの未発表曲の多くは再発されたオリジナル・アルバムにボーナストラックとして収録されている。なお、未発表曲(オリジナル・アルバム未収録曲)は9曲が収録されている。

特徴的なのは、オリジナル・アルバムに無音部分が無く繋がった形で収録されている曲の場合だと、この"Afterglow"にも同じようにアルバムに準じた形で収録されているということで、例えば、"Twilight"はオリジナルアルバムと同じく"Prologue"とメドレーになっているし、同様に"So Fine"と"Livin' Thing"も曲に切れ目が無い形で収録されている。

その他にも、"Mr. Blue Sky"はエンディングのパートがそっくりカットされたシングル・ヴァージョンで収録されており、加えて、オリジナル・アルバムではエンディングの部分が"Epilogue"と繋がっている"Hold On Tight"と、エンディングの部分にアルバムのエピローグのようなパートが入っている"Rock 'N' Roll Is King"も同じくシングル・ヴァージョンで収録されている。しかしながら、逆に、ベスト・アルバム等ではイントロ部分がカットされたシングル・ヴァージョンで収録されることも多い"Shine A Little Love"はアルバム・ヴァージョンで収録されているといった特徴もある。

又、"Roll Over Beethoven"はアルバム・ヴァージョンよりも更に1分程度長い8分を超えるヴァージョンが収録されているのも特筆すべき点のひとつではないかと思う。

ちなみに、"Face the Music"に収録の"Waterfall"と"Strange Magic"はLP時代のオリジナル・ヴァージョン同様にイントロ部分もきちんと収録されている。何せ、この"Face the Music"がCD化された際は"Fire on High"をはじめ、この2曲の序曲的なイントロ部分はカットされていたので、当時はこのことだけで随分と嬉しかったんだよなぁ。ただし、"Evil Woman"だけは、その序曲的なイントロ部分がカットされたヴァージョンが収録されている。

なお、このボックスセットは、ジャケットと同じデザインのスリップ・ケース(CDケース・カヴァー)に入っており、108ページの豪華ブックレットが特典として付いている。そして、この日本盤には、"Confusion"、"Last Train to London"、"Calling America"の3曲が追加されているので、全50曲(トータルタイムは3時間44分)というけっこうなヴォリュームになっている。ただ、権利関係の問題なのか、サウンドトラックの"Xanadu"からは1曲も選曲されていない。

 

Afterglow / E.L.O.   Afterglow / E.L.O.

 

Afterglow / E.L.O.TRACKLIST
[Disc 1]
1. 10538 Overture / 2. Mr. Radio / 3. Kuiama / 4. In Old England Town (Boogie #2) / 5. Mama / 6. Roll Over Beethoven / 7. Bluebird Is Dead / 8. Ma-Ma-Ma Belle / 9. Showdown / 10. Can't Get It Out My Head / 11. Boy Blue / 12. One Summer Dream 13. Evil Woman

1. 10538序曲 / 2. ミスター・ラジオ / 3. クイアマ / 4. イン・オールド・イングランド・タウン(ブギーNo. 2) / 5. ママ / 6. ロール・オーヴァー・ベ-トーヴェン / 7. 青い鳥は絶えたのか? / 8. いとしのベル / 9. ショウダウン / 10. 見果てぬ想い / 11. ボーイ・ブルーの帰還 / 12. 夏の日 / 13. イーヴィル・ウーマン

[Disc 2]
1. Tightrope / 2. Strange Magic / 3. Do Ya / 4. Nightrider / 5. Waterfall / 6. Rockaria! / 7. Telephone Line / 8. So Fine / 9. Livin' Thing / 10. Mr. Blue Sky / 11. Sweet Is The Night / 12. Turn To Stone / 13. Sweet Talkin' Woman / 14. Steppin' Out / 15. Midnight Blue / 16. Don't Bring Me Down / 17. Confusion [Japan Only Bonus Track] / 18. Last Train to London [Japan Only Bonus Track]

1. タイトロープ / 2. ストレンジ・マジック(不思議なマジック) / 3. ドゥ・ヤ / 4. ナイトライダー / 5. 滝 / 6. 哀愁のロッカリア / 7. テレフォン・ライン / 8. ソー・ファイン / 9. オーロラの救世主 / 10. ミスター・ブルー・スカイ / 11. スウィート・イズ・ザ・ナイト / 12. ターン・トゥ・ストーン / 13. スウィート・トーキン・ウーマン / 14. ステッピン・アウト / 15. ミッドナイト・ブルー / 16. ドント・ブリング・ミー・ダウン / 17. コンフュージョン [日本盤ボーナストラック] / 18. ロンドン行き最終列車 [日本盤ボーナストラック]

[Disc 3]
1. Prologue / 2. Twilight / 3. Julie Don't Live Here / 4. Shine A Little Love / 5. When Time Stood Still / 6. Rain Is Falling / 7. Bouncer / 8. Hello My Old Friend / 9. Hold On Tight / 10. Four Little Diamonds / 11. Mandalay / 12. Buildings Have Eyes / 13. So Serious / 14. A Matter Of Fact / 15. No Way Out / 16. Getting To The Point / 17. Calling America [Japan Only Bonus Track] / 18. Destination Unknown / 19. Rock 'N' Roll Is King

1. プロローグ / 2. トワイライト / 3. ジュリー・ドント・リヴ・ヒア / 4. シャイン・ラヴ / 5. ホエン・タイム・ストゥッド・スティル / 6. さらばロンリー・レイン / 7. バウンサー / 8. ハロー・マイ・オールド・フレンド / 9. ホールド・オン・タイト / 10. フォー・リトル・ダイアモンド / 11. マンダレイ / 12. ビルディング・ハブ・アイズ / 13. SO・シリアス / 14. ア・マター・オブ・ファクト / 15. ノー・ウェイ・アウト / 16. 哀しみの地平線 / 17. コーリング・アメリカ [日本盤ボーナストラック] / 18. デスティネイション・アンノウン / 19. ロックン・ロール・イズ・キング

• Disc 3 (Tracks 3, 5 ,7 ,8 ,11, 12, 14, 15, 18): Previously Unreleased in Japan.

 

NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付

 

 

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2012/03/15

ROCKOLOGY (1999) & UNFINISHED BUSINESS (2011) / ERIC CARR

CDの帯:ロックオロジー / エリック・カーAlbum Cover (front): Rockology / Eric Carr   Album Cover (back): Rockology / Eric Carr

ROCKOLOGY (1999)

この"Rockology"は'91年に41歳という若さで他界したキッスの二代目ドラマー、エリック・カーの未発表音源を含む遺作集。リリースされた当時は、まさかこんなものが(ましてや日本盤まで)リリースされようとは思ってもみなかったので、彼のファンとしてはとても嬉しかったことを覚えている。しかも、リリース日は1999年のエリックの命日である11月24日だったが、日本では先行発売ということで一足早くリリースされたのだった。

当然のことながら、アルバムとは言っても寄せ集め的なもので、収録されている曲の中にはデモ段階のものや、歌詞が未完成でスキャット風に歌われているものなども含まれているが、逆にそういった部分が生々しくもある。

キッス加入後しばらくはエリックのリードヴォーカル曲がアルバムに収録される機会が無かったのだが、'88年にリリースされたベスト・アルバム"Smashes, Thrashes and Hits"に収録の"Beth"(ピーターのヴォーカルパートがエリックのヴォーカルに差し替えられたヴァージョン)で初めて披露された後は、'89年リリースの"Hot in the Shade"でもリードヴォーカルを担当する"Little Caesar"が収録されるなど、いよいよエリックのヴォーカルが聴けるようになってきたかと思っていた矢先の不幸・・・。

結局はキッスのオリジナル・アルバムでエリックのヴォーカル曲が収録されたのは"Hot in the Shade"が初めてで最後となってしまったこともあり、ファンにとってはある種のフラストレーションのようなものがあったのだが、このアルバムではエリックのヴォーカルが思う存分堪能できる。

しかも、嬉しいのは、このアルバムをプロデュースしているのが盟友であるブルース・キューリックだということ。加えて、ブックレットにはそのブルースによる全曲のコメントも添えられている(日本盤には和訳付き)ので、それぞれがどういった曲なのかを簡単にではあるが知ることができるのだ。

収録曲の中では"Can You Feel It"、"Somebody's Waiting"、"Just Can't Wait"の3曲が特に気に入っている。"Can You Feel It"はパワフルなドラムサウンド(エリックのプログラミング)が映える曲で、願わくばこの曲をライヴで聴いてみたかったなぁ。"Somebody's Waiting"は"Hot in the Shade"の収録候補曲だったとされる曲だが、アルバムには同じバラードタイプの曲である"Forever"が収録予定だったこともあり、バランスを考えて外されたと言われている。バラードながらもパワフルなこの曲は、同じバラードとは言っても"Forever"とはタイプが違うし、個人的には"Hot in the Shade"に含まれるつまらない曲を1曲外してもいいから収録して欲しかったところではある。そして、"Just Can't Wait"。この曲はブルースのコメントを引用すると、「アレンジの細部まで作り込まれながら、結局ヴォーカル入りでは完成することの無かった曲」ということで、アルバムにはインストゥルメンタル曲として収録されているのだが、完成度が高い上に、メロディーラインがとてもキャッチーなので、ヴォーカル無しでも十分に魅力が伝わってくる。

 

CD Case (inside): Rockology / Eric Carr   CD: Rockology / Eric Carr

 

▼ Eric Carr (KISS) - Can You feel It
https://www.youtube.com/watch?v=MJdczXXWo9c

▼ Eric Carr (KISS) - Somebody's Wating
https://www.youtube.com/watch?v=Q3lldR4Lmdw

▼ Eric Carr (KISS) - Just Can't Wait
https://www.youtube.com/watch?v=7KDRL6tqBQQ

 

TRACKLIST
1. Eyes Of Love / 2. Somebody's Waiting / 3. Heavy Metal Baby / 4. Just Can't Wait / 5. Mad Dog / 6. You Make Me Crazy / 7. Nightmare / 8. Nightmare [Live Demo] / 9. Too Cool For School / 10. Tiara / 11. Can You Feel It / 12. Nasty Boys

• 解説・歌詞付 / 対訳無し

 


 

UNFINISHED BUSINESS (2011)

Album Cover (front): Unfinished Business / Eric Carr   =

そして、こちらは、昨年の2011年にリリースされた"Unfinished Business"。これも同じくエリック・カーの遺作が含まれるアルバムなのだが、残念ながら、こちらのアルバムはちょっと期待はずれだった。というのも、誰だか知らない人物のヴォーカルが後から加えられた曲が多く含まれていて、エリックのヴォーカルが聴けるのは正味4曲だけというシロモノなんだよね。

例えば、"Rockology"に収録されていたインストゥルメンタルの"Just Can't Wait"にも歌詞が付けられて歌われてはいるものの、馴染みの無いヴォーカリストの声にはやはり違和感があるし、"All Hell's Breakin' Loose"にいたっては単なる他人によるカヴァーで、エリックのヴォーカルもドラムも含まれないというものです。全体的に音質もあまり良くないし、正直、"Rockology"に比べてエリック色が薄い印象。実際、自分は買って直ぐに数回聴いただけで、その後は殆んど聴いていない。

ただ、そうは言っても、所々に収められているエリックの素の語りも聴けるし、まぁ、エリック自身のドラムとヴォーカルのトラックを含むトリビュート・アルバムと捉えれば、別に買って後悔したという気にはならないかなと(実際、自分も買って損したとまでは思っていない)。

 

Album Cover (inside): Unfinished Business / Eric Carr

 

▼ Eric Carr (KISS) - No One's Messin With You
https://www.youtube.com/watch?v=4URl2ls14JI

 

TRACKLIST
1. Eric Speaks To The Fans / 2. Just Can't Wait / 3. Troubles Inside You / 4. Eric Talks About His Music / 5. No One's Messin With You / 6. Carr Jam 1981 / 7. Eric Talks About His Kiss Audition / 8. Shandi / 9. All Hell's Breakin' Loose / 10. Dial L For Love / 11. Elephant Man / 12. Eric Talks About Mark St. John / 13. Midnite Stranger / 14. Eyes Of Love / 15. Bill Aucoin Talks About Eric / 16. Through The Years / 17. I Cry At Night [Bonus Track, Recorded 1967] / 18. Eric Joking At Rehearsals