アメリカの世論調査会社ギャラップがアメリカ国民を対象に毎年行っている国別好感度調査が今年も実施されており、その調査結果が先日発表された。
なお、今回の調査結果は、ギャラップ社が2月2日から16日にかけて実施した年次世界情勢調査によるもので、この調査結果を見るにあたっては、この調査が2月28日のアメリカとイスラエルによるイラン攻撃に先立って行われたものであることに加え、1月3日にアメリカが行ったベネズエラへの軍事作戦によりニコラス・マドゥロ前大統領が失脚した後に行われたということも考慮しておきたいところではある。
■ 各国への評価(パーセンテージの数値は緑色のグラフが「とても好感が持てる」と「概ね好感が持てる」を合算した割合で、オレンジ色のグラフが「とても好感が持てない」と「概ね好感が持てない」を合算した割合)

■ 各国への好感度割合 (肯定的 / 否定的)
85% / 09% 日本
84% / 10% イタリア
80% / 15% カナダ
80% / 10% デンマーク
76% / 17% フランス
76% / 18% イギリス
75% / 19% ドイツ
66% / 32% メキシコ
63% / 31% ウクライナ
61% / 30% インド
59% / 28% エジプト
46% / 48% イスラエル
37% / 53% パレスチナ自治政府
37% / 56% ベネズエラ
36% / 58% キューバ
36% / 56% サウジアラビア
34% / 61% 中国
21% / 71% イラク
17% / 79% ロシア
13% / 79% イラン
13% / 82% 北朝鮮
※ Palestinian Territories (Palestinian Territory) / パレスチナ領域
パレスチナについては、2025年の時点で、国連加盟国の約8割にあたる160か国が国家として承認しているが、アメリカや日本はパレスチナを国家として承認をしていないため、アメリカや日本での表記は「Palestinian Territories (Palestinian Territory) / パレスチナ領域」もしくは「Palestinian Authority / パレスチナ自治政府」となる。
※ 地理的には複数の地域に分かれても、同じ自決権を持つパレスチナ人の一団であることを強調するために、国際連合は公式文書において複数形の"Territories"ではなく単数形の"Territory"を意図的に使用するようになった。(ウィキペディア「パレスチナ領域」より引用)
▼ 近年はパレスチナを国家として承認する国が増加傾向にある。
パレスチナ国の国際的な承認 - ウィキペディア
今回の調査結果で好意的な評価が高かった国のトップ5は、日本(85%)、イタリア(84%)、カナダ(80%)、デンマーク(80%)、フランス(76%)であった。(カッコ内の数値は「好感が持てる」とした割合)
ちなみに、今回トップの評価を得た日本に対する好感度は、ギャラップ社が1989年以降に測定した中でも高水準の域にある(ただし、日本に対する評価割合で見ると、過去の調査でも2018年には87%、2019年と2025年にも86%という今回と同程度の評価を得ている年もある)。
2位の評価を得た今年の冬季オリンピック開催国であるイタリアについては、丁度オリンピックの開催期間(2026年2月6日から2月22日までの17日間)と調査時期が重なっていたことも、もしかしたら評価に影響しているのかもしれない。
とは言え、イタリアについては、これまでに2回しか調査が行われていないものの、2001年(78%)と2003年(80%)の調査結果も非常に好意的な評価を得ていたことは付け加えておきたい。
なお、今回のリポートのタイトルは"Americans' Views of Canada, Great Britain Drop to New Lows"(アメリカ人のカナダとイギリスに対する評価が過去最低を記録)で、文字通り、両国への評価は、昨年と比較して、カナダへの好感度は9ポイント、イギリスへの好感度は8ポイントとそれぞれ低下している(それ以前のカナダとイギリスに対する好感度はそれぞれ平均で91%と88%だった)。ただし、アメリカ人の大多数は依然としてカナダ(80%)とイギリス(76%)に好意的な見方をしていると言える。
■ カナダとイギリスに対するアメリカ人の評価の推移
緑色の実線:好感度の割合 (とても好感が持てる + 概ね好感が持てる)

■ 日本に対するアメリカ人の評価の推移 - 1
緑色の実線:肯定的 (とても好感が持てる + 概ね好感が持てる) / オレンジ色の点線:否定的 (とても好感が持てない + 概ね好感が持てない)
■ 日本に対するアメリカ人の評価の推移 - 2
回答項目(とても好感が持てる / 概ね好感が持てる / 概ね好感が持てない / とても好感が持てない / どちらとも言えない)

■ 中国に対するアメリカ人の評価の推移
緑色の実線:肯定的 (とても好感が持てる + 概ね好感が持てる) / オレンジ色の点線:否定的 (とても好感が持てない + 概ね好感が持てない)

[アメリカにおける中国のイメージは向上]
カナダとイギリスの評価の低下に加え、イスラエルの好感度の低下とパレスチナ自治区の好感度の上昇に加え、中国に対する評価にも顕著な変化が見られた。
現在、アメリカ人の34%が中国に好意的であり、これは3年前の15%という最低水準から倍以上に増加している。中国に対する好感度が現在よりも高かったのは2019年で、当時は41%が好意的だった。
ギャラップ社が1979年に初めて中国に関する世論調査を開始して以来、中国に対する世論は概して肯定的よりも否定的であるが、中国が全体的に好意的に見られていた時期もいくつかあった。例えば、1989年初頭には過去最高の72%という評価を得たが、同年後半の天安門事件後には34%まで急落した。
今年の中国に対する評価は、民主党、共和党のいずれの政党グループにおいても改善しており、民主党支持者の42%、無党派層の38%、共和党支持者の18%が好意的な印象を持っている。共和党支持者の間では、1年前(23%)よりわずかに低いものの、2023年の最低値6%からは10ポイント以上上昇しているのも注目点の一つ。
今回の調査の結論としては、アメリカ人のカナダとイギリスに対する好感度が過去最低レベルに落ちたとは言え、他国への評価を含めた総合的な観点で見ると、両国に対するアメリカ人の見方は未だ好意的だと言える。しかしながら、その見方は今日ほど好意的ではなくなったことはないと言えるだろうとリポートは締め括られている。
なお、前回、初めて評価対象国のリストに加えられたデンマークが今年も引き続き評価対象国として選ばれ上位に評価されているが、評価対象国に選ばれた理由としては、ドナルド・トランプ大統領がアメリカによるグリーンランド(デンマーク領)購入を提案した昨年の事案について、現在は事実上停滞・頓挫している状態であるものの、今も提案自体を取り下げるような発言がないことが要因としてあると思われる。
■ 参照・引用・出典
▼ Americans' Views of Canada, Great Britain Drop to New Lows (March 12, 2026) - GALLUP (英語)
https://news.gallup.com/poll/703040/americans-views-canada-great-britain-drop-new-lows.aspx
▼ Country Ratings - GALLUP (英語)
https://news.gallup.com/poll/1624/perceptions-foreign-countries.aspx
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