2010/10/22

AMARANTINE 「アマランタイン」 / ENYA (2005)

CDの帯(初回プレス盤):アマランタイン / エンヤ Album Cover: Amarantine / Enyaこれまでの中間色に彩られた印象派の香り漂うアルバム・カヴァーのデザインから一転して、この「Amarantine / アマランタイン」では、原色に近いシンプルな配色よるポップなモダンアートを思わせるイメージに変わったことに、何やらサウンド面での変化を匂わせているのかと思いきや、実際に聴こえてくるサウンドはむしろ逆で、爆発的に売れた前作"A Day Without Rain"からすると、ポップ性はやや影を潜め、より繊細で深みのある方向へと向かっているように感じられる。

その所為か、当初は多少地味な印象を受けていたが、時が経つにつれ、ジワジワとその魅力に気付き、引き込まれていっているようでもある。

このアルバム"Amarantine"では、ゲール語、英語、日本語、そして架空の言語と、曲のイメージによって歌詞の言語が使い分けられているが、中でも、芭蕉の句をイメージさせる文芸性とサウンドが一体となった「Sumiregusa / 菫草(すみれぐさ)」で表現されるその世界観は見事で、日本人でもこれだけのものを表現できる人はそうはいないのではないかと思えるような出来。派手さはないけれど、ヒット狙いの楽曲がひしめく昨今にあっては、むしろ神聖な感じさえする。よりアーティスティックなサウンドへと進化したこのアルバムは、もしかしたら、時を経てこそ、その価値に気付くのかもしれない。これぞ岩に染み入るサウンド?

ちなみに、アルバム・タイトルの"Amarantine"は、詩人が「永遠の花」を語る時に使う言葉だそうで、エンヤ曰く、「"Amarantine"と呼んだのは永遠性を込めてのことなの。私はずっとこのイメージが大好きだったのよ」とのこと。

 

CD: Amarantine / EnyaTRACKLIST
1. Less Than A Pearl / 2. Amarantine / 3. It's In The Rain / 4. If I Could Be Where You Are / 5. The River Sings / 6. Long Long Journey / 7. Sumiregusa / 8. Someone Said Goodbye / 9. A Moment Lost / 10. Drifting / 11. Amid The Falling Snow / 12. Water Shows The Hidden Heart

1. レス・ザン・ア・パール / 2. アマランタイン / 3. イッツ・イン・ザ・レイン / 4. イフ・アイ・クッド・ビー・ホウェア・ユー・アー / 5. ザ・リヴァー・シングス / 6. ロング・ロング・ジャーニー / 7. 菫草(すみれぐさ) / 8. サムワン・セッド・グッバイ / 9. ア・モーメント・ロスト / 10. ドリフティング / 11. アミッド・ザ・フォーリング・スノウ / 12. ウォーター・ショウズ・ザ・ヒドゥン・ハート

NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付

• Album: 英8位 - Silver / 米6位 - Platinum (2005-RIAA)

 

▼ Enya - Amarantine

https://www.youtube.com/watch?v=IQU4DoE1eBg

 

▼ Enya - It's In The Rain

https://www.youtube.com/watch?v=__aCeZSxSmA

 

▼ Enya - Sumiregusa

https://www.youtube.com/watch?v=t4Old6BfmIE

 

 

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2010/10/21

BALANCE OF POWER / E.L.O. (1986)

CDの帯:バランス・オブ・パワー / E.L.O.Album Cover (Front): Balance of Power / E.L.O."Secret Messages"リリース後にライヴ活動の停止を発表し、その後、グループとしての"E.L.O."は事実上の解散状態にあると伝えられてからは、てっきり解散したものだと思っていたことから、立ち寄ったレコード店でたまたまこのアルバム「Balance of Power / バランス・オブ・パワー」を見つけた時は何だかキツネにつままれたような感じだった。

と、そんな経緯もあり、リリースから暫くたった後に手にしたこのアルバムは、前作"Secret Messages"から3年ぶりとなるもので、その間に世の中の主流がレコードから"CD"へと移行したという時代背景があったことから、この"Balance of Power"が、新譜を"CD"で聴く初めての"E.L.O."のアルバムともなった。

アルバム・ジャケットに於いてのポップアート的アプローチは、そのままアルバムの方向性を示しているかのようで、前作に比べるとポップ色も増し、全10曲中8曲が2、3分代の曲で占められているということもあってか、全体的な印象としては随分とコンパクトになった感じ。

そのジャケット・デザインについては"TOTO"の"Turn Back"といい、個人的には、何故かこの種のデザインに惹かれてしまう性みたいなものがあるのだが、このアルバムでのサウンドとマッチした良いデザインだと思う。サウンドについて言えば、ギターサウンドの比重が増した前作、"Secret Messages"に於けるノスタルジックな雰囲気は幾つかの曲で垣間見れるものも、全体的な印象としては、再びキーボードに比重を置いた"Discovery"的サウンドに立ち帰ったかのようでもある。

 

Album Cover (Back): Balance of Power / E.L.O.アルバムのチャートポジションについては、イギリスでは9位を記録したものの、残念ながら、米ビルボードチャートでは'74年の"Eldorado"以降、最低の49位。シングルヒットしたのは"Calling America"(米18位、英28位)の1曲だけという、ヒットシングルを連発させていた頃に比べるとやや寂しい結果となっている。

個人的には上記の"Calling America"を始め、シングルカットされたもののヒットには至らなかった"So Serious"(英77位)、"Getting to the Point"(英97位)の2曲や、いかにも"E.L.O."といった感じでオープニングを飾る"Heaven Only Knows"、そして、あっけらかんとした印象があるアルバムの中に於いては最もへヴィーな"Without Someone"といった曲は割と好きな曲でもあるのだが、残りの5曲については全くといっていいほど聴かない曲になっていることから考えると、曲ごとのクオリティーにバラつきが感じられ、アルバムとして見ればやや残念な感じもする。そして、結果的にはこれが"E.L.O."最後のアルバムとなってしまった・・・。

・・・ところが、15年後の2001年、アルバム"Zoom"の発表により、再び巨大宇宙船は動き出すのだった。

 

TRACKLIST
1. Heaven Only Knows / 2. So Serious / 3. Getting To The Point / 4. Secret Lives / 5. Is It Alright / 6. Sorrow About To Fall / 7. Without Someone / 8. Calling America / 9. Endless Lies / 10. Send It

1. ヘヴン・オンリー・ノウズ / 2. SO シリアス / 3. 哀しみの地平線 / 4. シークレット・ライヴス / 5. イズ・イット・オールライト / 6. ひとりぼっちのサンセット / 7. ウィズアウト・サムワン / 8. コーリング・アメリカ / 9. エンドレス・ライズ / 10. センド・イット

NOTES
• CD発売日:1990年9月1日(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付

E.L.O. - BAND MEMBERS
• BJeff Lynne (ジェフ・リン) - Lead and Background Vocals, Guitar, Bass, Keyboards, Piano
• Bev Bevan (ベヴ・ベヴァン) - Drums, Percussion
• Richard Tandy (リチャード・タンディ) - Keyboards, Piano, Sequence Programming

 

▼ ELO - "Calling America" and "So Serious"

https://www.youtube.com/watch?v=erY78_dwlH0

 

▼ ELO - Getting To The Point (Audio)

https://www.youtube.com/watch?v=BSbvZMLJjeU

 

▼ ELO - Heaven Only Knows (Audio)

https://www.youtube.com/watch?v=VW6YD9dwEDE

 

 

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(ジェフ・リンが提供した楽曲"One Way Love"を収録)
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2010/10/20

QUEEN ROCK MONTREAL 「伝説の証/クイーン 1981 - クイーン・ロック・モントリオール」 / QUEEN (2007)

Dの帯(初回プレス盤):伝説の証/クイーン 1981 - クイーン・ロック・モントリオール / クイーンAlbum Cover (front): Queen Rock Montreal / Queenビデオ等で既発だった1981年のモントリオール(カナダ)でのライヴ音源をベースにCD化されたのがこの「Queen Rock Montreal / 伝説の証/クイーン 1981 - クイーン・ロック・モントリオール」で、80年代に"We Will Rock You"というタイトルでリリースされたそのビデオや、後に発売されたLDの音に比べると各楽器のバランスも良くなっているし、何よりも圧倒的に音質が向上している。

音質が向上している理由は、ブックレットに記載されているように、ブライアンとロジャーのプロデュースの下、オリジナル・マルチトラック・テープから丁寧にリミックスとリマスタリングが行われているからなのだ。

バンド解散後にリリースされるベスト・アルバムやライヴ・アルバムといったものは、メンバーの意思とは離れたところで、やっつけ仕事的な編集をされていたりすることも少なくなく、がっかりなんてことも多々あるのだが、先にも述べたように、このアルバムはブライアンとロジャーがエグゼクティヴ・プロデューサーとして制作に携わっていることもあってか、何というか、そういったスタジオワーク的作業からも、音を通してバンドに対する愛情が感じられるのだ。

又、そういったた理由も含めて、このアルバムが単なる企画盤とは一線を画するものであると同時に、クイーンのオリジナルカタログに入れるに相応しいライヴ作品としてよみがえったと言えるのではないかと思う。

そして、音質的向上が図られている点も然ることながら、このアルバムが特別であるところは、"Live Killers"、"Live Magic"、"Live at Wembley '86"といったこれまでにリリースされたライヴ・アルバムには未収録の"Play the Game"、"Somebody to Love"、"Save Me"、"Flash"、"The Hero" といった楽曲が収録されており、そのどれもが素晴らしいトラックであるという点。撮影が前提で行われたコンサートの所為か、通常のライヴに比べて、演奏が丁寧に行わているようだね。

と、サウンド面についての不満は全く無いのだが、ただ、表ジャケットについては、やっぱりフレディだけじゃなく、4人の姿があって欲しいと個人的には思うところではある。フレディ亡き今となっては仕方ないところなんだろうか・・・。

ちなみに、これとは別にリリースされている映像版の方では、演奏が進むにつれ、次第に肌の露出が大きくなっていき、最後は短パンひとつにスカーフという出で立ちになっているフレディが微笑ましいところ。それにしても、裸の上半身にスカーフという姿が許されるのは、きっとフレディだけだろうなぁ(笑)。

 

CD Case (Back Cover): Queen Rock Montreal / Queen   CD (Disc-1): Queen Rock Montreal / Queen   CD (Disc-2): Queen Rock Montreal / Queen

 

TRACKLIST

[Disc 1]
1. Intro / 2. We Will Rock You (Fast) / 3. Let Me Entertain You / 4. Play The Game / 5. Somebody To Love / 6. Killer Queen / 7. I'm In Love With My Car / 8. Get Down Make Love / 9. Save Me / 10. Now I'm Here / 11. Dragon Attack / 12. Now I'm Here (Reprise) / 13. Love Of My Life

1. イントロ / 2. ウィ・ウィル・ロック・ユー / 3. レット・ミー・エンターテイン・ユー / 4. プレイ・ザ・ゲーム / 5. 愛にすべてを / 6. キラー・クイーン / 7. アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー / 8. ゲット・ダウン・メイク・ラヴ / 9. セイヴ・ミー / 10. ナウ・アイム・ヒア / 11. ドラゴン・アタック / 12. ナウ・アイム・ヒア(リプライズ) / 13. ラヴ・オブ・マイ・ライフ

[Disc 2]
1. Under Pressure / 2. Keep Yourself Alive / 3. Drum And Tympani Solo / 4. Guitar Solo / 5. Flash / 6. The Hero / 7. Crazy Little Thing Called Love / 8. Jailhouse Rock / 9. Bohemian Rhapsody / 10. Tie Your Mother Down / 11. Another One Bites The Dust / 12. Sheer Heart Attack / 13. We Will Rock You / 14. We Are The Champions / 15. God Save The Queen

1. アンダー・プレッシャー / 2. 炎のロックンロール / 3. ドラム&ティンパニ・ソロ / 4. ギター・ソロ / 5. フラッシュ / 6. ザ・ヒーロー / 7. 愛という名の欲望 / 8. 監獄ロック / 9. ボヘミアン・ラプソディ / 10. タイ・ユア・マザー・ダウン / 11. 地獄へ道づれ / 12. シアー・ハート・アタック / 13. ウィ・ウィル・ロック・ユー / 14. 伝説のチャンピオン / 15. ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン

 

NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付

 

▼ Queen - We Will Rock You (Fast) - Live at Montreal

https://www.youtube.com/watch?v=LGBUJL5uS_c

 

▼ Queen - Save Me (Live at Montreal)

https://www.youtube.com/watch?v=yUyPyTn-IS4

 

 

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2010/10/19

ABBA GOLD - GREATEST HITS (1992) & MORE ABBA GOLD - MORE ABBA HITS (1993) / ABBA

CDの帯(初回プレス盤):アバ・ゴールド(グレイテスト・ヒッツ) / ABBAAlbum Cover (front): ABBA GOLD - GREATEST HITS / ABBAABBA GOLD - GREATEST HITS - GREATEST HITS (1992) :日本盤初回プレスCD

現在は存在しないグループ(解散からほぼ10年後のリリース)のアルバムとしては異例の大ヒットを記録したこの「ABBA GOLD - GREATEST HITS / アバ・ゴールド(グレイテスト・ヒッツ)」は、世界20か国でプラチナディスクを獲得し、12か国以上でチャートのNo.1に輝いた。中でもアメリカでのセールスは凄まじく、2007年現在で600万枚という数字が公式に記録されている。

実は、自分がアバを好きになったのは、グループ解散後にこの"ABBA GOLD"を買ってからで、正直言うと、アバが活躍していた当時は全く興味がなかった。と言うか、ディスコミュージックが流行っていた時期とも重なって、このアバも、"Voulez Vous"、"Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight)"、"Summer Night City"といったディスコミュージック寄りの曲をチャートの上位に送り込んでいたことから、どちらかと言えばディスコミュージックを敵視していたようなところもあるロック小僧の自分は、アバもその一味のように感じて疎ましく思っていたようなところもあったのだった。

それに、ほぼ全ての曲を自分達で作り上げていることなど知らずに、どうせプロダクションやレコード会社が用意した売れ線狙いの曲を歌っているだけだろうなどと勝手に思い込んでいたし、ほんと失礼ながら、女性二人はそれほど美人でもないとか、ビジュアル的にも猿の惑星の映画に出てくるような風貌の男二人はいらんだろ、なんてことを思っていたんだよね(笑)。でも、今となってはそんな誤った認識を変えてくれたこのアルバムに出会えてほんと良かったと思う。

なお、アルバムには何も表記されていないが、13曲目の"Voulez Vous"と17曲目の"The Name of the Game"は共に"Edited Version"が収録されており、"Voulez Vous"は曲の長さが「5:11」のアルバム・ヴァージョンに対し、こちらの"Edited Version"は「4:22」。又、"The Name Of The Game"は「4:54」のアルバム・ヴァージョンに対し、こちらの"Edited Version"は「4:00」となっている。

しかも、上手くまとめられているこの2曲の"Edited Version"が結構良いんだよね。特に、自分のように、この"ABBA GOLD"を入り口にしたような人間にとっては、こちらのヴァージョンの方が馴染みもあって愛着があるしね。

※ ただし、再発されたものは、2曲共"Edited Version"からアルバム・ヴァージョンに差し替えられているようだ。

 

Album Cover (back): ABBA GOLD - GREATEST HITS / ABBA  Booklet: ABBA GOLD - GREATEST HITS / ABBA  Abbaag4blg

 

TRACKLIST

ABBA GOLD - GREATEST HITS:
1. Dancing Queen / 2. Knowing Me, Knowing You / 3. Take A Chance On Me / 4. Mamma Mia / 5. Lay All Your Love On Me / 6. Super Trouper / 7. I Have A Dream / 8. The Winner Takes It All / 9. Money, Money, Money / 10. S.O.S. / 11. Chiquitita / 12. Fernando / 13. Voulez Vous / 14. Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight) / 15. Does Your Mother Know / 16. One Of Us  / 17. The Name Of The Game / 18. Thank You For The Music / 19. Waterloo

1. ダンシング・クイーン / 2. ノウイング・ミー、ノウイング・ユー / 3. テイク・ア・チャンス / 4. ママ・ミア / 5. レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー / 6. スーパー・トゥルーパー / 7. アイ・ハヴ・ア・ドリーム / 8. ザ・ウィナー / 9. マネー、マネー、マネー / 10. エス・オー・エス / 11. チキチータ / 12. 悲しきフェルナンド / 13. ヴーレ・ヴー / 14. ギミー!ギミー!ギミー! / 15. ダズ・ユア・マザー・ノウ / 16. ワン・オブ・アス  / 17. きらめきの序曲 / 18. サンキュー・フォー・ザ・ミュージック / 19. 恋のウォータールー

• 解説・歌詞付 / 対訳無し

※ 4曲目に収録されている"Mamma Mia"の日本語表記は、オリジナルでは「ママ・ミア」だったが、最近のアルバムでは「マンマ・ミーア」と変更されている。

• ABBA GOLD - GREATEST HITS: スウェーデン 1位 / イギリス 1位 (14x Platinum) / アメリカ 36位 (6x Platinum / 2002-RIAA)

 

[Official Video]

▼ ABBA - Dancing Queen (Official Lyric Video)
https://www.youtube.com/watch?v=-sVB91NTa4A

▼ ABBA - Thank You For The Music (Official Lyric Video)
https://www.youtube.com/watch?v=CYm6ejP3A0k

▼ ABBA - Chiquitita (Official Lyric Video)
https://www.youtube.com/watch?v=p9Y3N_2xUsw

▼ ABBA - The Winner Takes It All (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=92cwKCU8Z5c

 


 

CDの帯(初回プレス盤):アバ・ゴールド Vol. 2(グレイテスト・ヒッツ Vol. 2) / ABBAAlbum Cover (front): MORE ABBA GOLD - MORE ABBA HITS / ABBAMORE ABBA GOLD - MORE ABBA HITS (1993) :日本盤初回プレスCD

そして、"ABBA GOLD"の爆発的ヒットにより、翌年に続編としてリリースされたのが、白いジャケットの「MORE ABBA GOLD - MORE ABBA HITS / アバ・ゴールド Vol. 2(グレイテスト・ヒッツ Vol. 2)」。残念ながら"ABBA GOLD"からは漏れてしまったシングルカット曲の12曲を中心に、未発表曲とアルバム未収録のシングルB面曲で構成されたこのアルバムは"ABBA GOLD"に比べるとややマニア向けといった感じではあるものの、それでも"ABBA GOLD"に収録されていてもおかしくないクオリティーを持った楽曲も数多く収められている。それに、前作"ABBA GOLD"と収録曲のダブリがないというのもファンにとっては嬉しいところ。

ちなみに、その"MORE ABBA GOLD"には、"Summer Night City"(スウェーデン1位、英5位)、"The Day Before You Came"(スウェーデン3位、英32位 )、"Angeleyes"(英3位、米64位)、"I Do, I Do, I Do, I Do, I Do,"(英38位、米15位)、"So Long"(スウェーデン7位)、"Honey, Honey"(米27位)、"The Visitors"(米63位)、"On & On & On"(米90位)、"Ring Ring"(スウェーデン1位、英32位)、"Head Over Heels"(英25位)、"Under Attack"(英26位)、"When All is Said and Done"(米27位)、といったシングルカット曲以外にも、"Eagle"、"Our Last Summer"、"I Wonder (Departure)"、"Cassandra"と、シングルカット曲に引けを取らないアバらしい美しいメロディーラインを持った曲が収められている。それと、確か日本では"Eagle"もシングルカットされヒットしたんじゃなかったかな。よくラジオでかかっていた記憶があるので。

なお、その"Eagle"は、曲の長さが「4:25」の"Single Edit"(シングル・ヴァージョン)の方が収録されている。アルバム・ヴァージョンの方は「5:51」なので、1分以上短くなっているが、個人的には"ABBA GOLD"に収録されている"Edited Version"の曲と同様に、聴き慣れているということもあって、こちらの"Single Edit"の方がしっくりくる感じ。

又、その他にも"The Visitors"は「5:47」のアルバム・ヴァージョンに対し、こちらは「4:29」の"Edited Version"が収録されているし、"Lovelight"も「3:49」のアルバム・ヴァージョンよりも多少短めの"Edited Version"「3:20」が収録されてるといった特徴もある。

※ "ABBA GOLD"と同様に、こちらも再発盤は2曲共に"Edited Version"からアルバム・ヴァージョンに差し替えられているようだ。

 

Album Cover (back): MORE ABBA GOLD - MORE ABBA HITS / ABBA  Booklet: MORE ABBA GOLD - MORE ABBA HITS / ABBA  Abbamag4blg

 

TRACKLIST

MORE ABBA GOLD - MORE ABBA HITS:
1. Summer Night City / 2. Angeleyes / 3. The Day Before You Came / 4. Eagle / 5. I Do, I Do, I Do, I Do, I Do / 6. So Long / 7. Honey Honey / 8. The Visitors / 9. Our Last Summer / 10. On & On & On / 11. Ring Ring / 12. I Wonder (Departure) / 13. Lovelight / 14. Head Over Heels / 15. When I Kissed The Teacher / 16. I Am The City / 17. Cassandra / 18. Under Attack / 19. When All Is Said And Done / 20. The Way Old Friends Do

1. サマー・ナイト・シティ / 2. エンジェルアイズ / 3. ザ・デイ・ビフォー・ユー・ケイム / 4. イーグル / 5. アイ・ドゥ・アイ・ドゥ / 6. ソー・ロング / 7. ハニー、ハニー / 8. ザ・ヴィジターズ / 9. アワ・ラスト・サマー / 10. オン・アンド・オン・アンド・オン / 11. リング・リング / 12. アイ・ワンダー(デパーチャー) / 13. ラヴライト / 14. ヘッド・オーバー・ヒールズ / 15. ホエン・アイ・キッスト・ザ・ティーチャー / 16. アイ・アム・ザ・シティ / 17. カサンドラ / 18. アンダー・アタック / 19. ホエン・オール・イズ・セッド・アンド・ダン / 20. ザ・ウェイ・オールド・フレンズ・ドゥ

• 解説・歌詞付 / 対訳無し

• MORE ABBA GOLD - MORE ABBA HITS: スウェーデン 3位 / イギリス 13位 (Platinum)

 

[Official Audio]

▼ ABBA - Eagle (Short Version)
https://www.youtube.com/watch?v=GScgLMxjN9c

▼ ABBA - Angeleyes
https://www.youtube.com/watch?v=gvMNISK93I0

▼ ABBA - Our Last Summer
https://www.youtube.com/watch?v=AI3rtgArSmc

▼ ABBA - I Wonder (Departure)
https://www.youtube.com/watch?v=5w5ZIoK6IKs

 


 

と、この2枚でアバの代表曲は概ね押さえられそうだが、でも、まだまだアバには通常のベスト盤では中々選曲されないであろう隠れた名曲が数多くあるのだ。例えば、上記2枚には未収録ながらも、"That's Me"、"My Love, My Life"、"Slipping Through My Fingers"、"Hasta Manana"、"Happy New Year"、"Why Did it Have to Be Me"といった曲は、この2枚に収録されている楽曲に引けをとらないくらいに自分は好きな曲だしね。

特に、個人的に最も好きな楽曲のひとつである"That's Me"は、アップテンポながらもメロディーラインがとても美しい曲で、編曲とアレンジも素晴らしく、ポップでキャッチーなメロディーラインは、これこそシングル向きといった感じの曲なのだけれど、英米では"Dancing Queen"のB面だったんだよね。ただし、日本では独自にシングルカットされ、当時はアバのことが好きではなかった自分が覚えてるくらいに、これもよくラジオでかかっていた。

更に付け加えるなら、どちらの"ABBA GOLD"には未収録ながらも、本国でのデビューシングルとなった"People Need Love"(スウェーデン17位)もまた、アバの歴史を語る上では重要な1曲ではないかと思う。

といった感じで、一通り揃えるだけでもベスト盤が何枚も必要な程、魅力的で優れた楽曲を数多く輩出してきたアバだが、活躍していた当時は、どちらかと言えば本国スウェーデンを始め、ヨーロッパ諸国、とりわけイギリスでの人気が高かったようで、UKチャートでは、"Waterloo"(1位)、"S.O.S."(6位)、"Mamma Mia"(1位)、"Fernando"(1位)、"Dancing Queen"(1位)、"Money, Money, Money"(3位)、"Knowing Me, Knowing You"(1位)、"The Name of the Game"(1位)、"Take a Chance on Me"(1位)、Summer Night City"(5位)、"Chiquitita"(2位)、Does Your Mother Know"(4位)、Angeleyes/Voulez-Vous"(3位)、"Gimme! Gimme! Gimme!"(3位)、"I Have a Dream"(2位)、"The Winner Takes it All"(1位)、Super Trouper"(1位)、"Lay All Your Love on Me"(7位)、"One of Us"(3位)、と、実に20曲もがトップ10ヒットを記録している。とは言っても、イギリス程ではないにしろ、アメリカでも数多くのヒット曲を飛ばし、"Dancing Queen"はアメリカでも見事1位を記録しているし、解散後にリリースされた"ABBA GOLD"は冒頭でも述べた通りアメリカでも大ヒットを記録している。

ヒット曲を連発していた当時は、母国語ではない英語で歌っていた所為か、丁寧な言葉使いや発音が英語圏の人達にはキュートなイメージとして捉えられていた一方、逆にそのことが「お子様向け」といった批判的言葉で語られることもあったアバだが、現在では、そういったイメージを抜きに、純粋に音楽を高く評価されているのは嬉しいことではあるね。中でも、現在活躍するミュージシャンにアバが生み出した楽曲のクオリティーを評価する声が多いことには驚かされる。しかも、ハードロックやヘヴィーメタルというジャンルに属するミュージシャンから「アバが好き」という言葉が意外と多く聞かれるんだよね。当時の自分がそうだったように、何事も表面的なイメージや周りの評価で判断していては本質を見誤ってしまうのだ。

ちなみに"ABBA"というグループ名は、4人の名前のイニシャルを取って考え出されたもの。又、当時のスウェーデンに於いては、外貨獲得額で自動車メーカーのボルボに次ぐ2位にアバが位置していたというのは有名な話で、もはやスウェーデンの主要な輸出産業の一部にもなっていたと言ってもいい程、凄まじい人気を博してしたのだった。

 


 

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2010/10/17

TOTO 「宇宙の騎士」 / TOTO (1978)

CDの帯:宇宙の騎士 / TOTO

Album Cover (front): TOTO (1st Album) / TOTO   Album Cover (back): TOTO (1st Album) / TOTO   CD: TOTO (1st Album) / TOTO

自分が初めて買った"TOTO"のアルバムは次作のセカンド・アルバム「Hydra / ハイドラ」で、このファースト・アルバム「TOTO / 宇宙の騎士」を買ったのは、多分サード・アルバムの「Turn Back / ターン・バック」を買った後頃だったと思う。

当時はといえば、ファースト・シングルの"Hold the Line"はリリース当時にラジオでも頻繁にかかっていたこともあり、アルバムを買う前から知っていた曲であったことから、アルバム自体もその"Hold the Line"の重厚なサウンドとジャケットの雰囲気からして、比較的"Boston"に近いサウンドをイメージしていたので、実際にアルバムを通して聴いた印象はかなり違ったことから、その差異に驚いたことを覚えている。

しかし、それは良い意味での裏切りだった訳で、特に、彼らが只者ではないと知らしめた1曲目のインストゥルメンタル曲"Child's Anthem"は、今でも"TOTO"と言えば、"Rosanna"でも"Africa"でもなく、この曲が一番にイメージされるくらい強烈なインパクトがあった。そして、続く2曲目、"I'll Supply the Love"のギターソロパートでのメロディーラインのカッコよさに再びシビレ、この2曲を聴いた時点で、ほんと買って良かったと思ったことは今でも脳裏に刻み込まれている。又、その後も、"Manuela Run"、"Girl Goodbye"、"Rockmaker"、"Angela"と心惹かれる曲があったことから、もっと早く買っていればよかったと思ったほどだった。

ただ、当時はソウルフルなイメージがする"Georgy Porgy"、"You Are the Flower"といった曲や、フュージョンサウンド的な"Takin' it Back"はそれほど好きではなくて、他の曲に比べると聴く機会も少なかったんだよね。

しかしながら、今ではこれらの曲も他の曲と同様に惹かれているのだから、当時は表面的な派手さに多くを奪われていたのだと、今は思うところではある。

なお、シングルカットされたのは、"Hold the Line"(5位)、"I'll Supply the Love"(45位)、"Georgy Porgy"(48位)の3曲で、結果的にヒットシングルとなったのは"Hold the Line"1曲だけだったにもかかわらず、アルバムはビルボードチャートで最高9位を記録していることからも、このアルバムの充実度が窺い知れるのではないかと。

残念ながら、個人的には、"Isolation"以降、新譜での"TOTO"の音楽に興味を失くしてしまった訳だが(それでも"Tambu"は買ったりしていた)、改めてこのファースト・アルバムを聴いてみると、幅広い音楽性と可能性を秘めた充実したアルバムだったことを再認識させられる。

 

▼ こちらはLPレコードで、左から、帯付きのジャケット、歌詞が記載されたシートの表紙、レコード盤のラベル。

LPレコード + 帯:TOTO (1st Album) / TOTO   LPレコード(歌詞カード):TOTO (1st Album) / TOTO   LPレコード(レコード盤のラベル):TOTO (1st Album) / TOTO

 

TOTO - BAND MEMBERS (Listed on Back Cover)
• Bobby Kimball (ボビー・キンボール) - Vocals
• David Hungate (デヴィッド・ハンゲイト) - Bass
• Steve Lukather (スティーヴ・ルカサー) - Guitars, Vocals
• David Paich (デヴィッド・ペイチ ) - Keyboards, Vocals
• Jeffrey Porcaro (ジェフ・ポーカロ) - Drums, Percussion
• Steve Porcaro (スティーヴ・ポーカロ) - Keyboards, Vocals

 

TRACKLIST
1. Child's Anthem / 2. I'll Supply The Love / 3. Georgy Porgy / 4. Manuela Run / 5. You Are The Flower / 6. Girl Goodbye / 7. Takin' It Back / 8. Rockmaker / 9. Hold The Line / 10. Angela

1. 子供の凱歌 / 2. 愛する君に / 3. ジョージー・ポージー / 4. マヌエラ・ラン / 5. ユー・アー・ザ・フラワー / 6. ガール・グッドバイ / 7. ふりだしの恋 / 8. ロックメイカー / 9. ホールド・ザ・ライン / 10. アンジェラ

• Track 1 (Instrumental) / Tracks 2, 5, 6, 9 (Lead Vocal - Bobby Kimball) / Tracks 3, 10 (Lead Vocal - Steve Lukather) / Tracks 4, 8 (Lead Vocal - David Paich) / Track 7 (Lead Vocal - Steve Porcaro)

 

NOTES
• 2004 DSD マスタリング
• 解説・歌詞・対訳付

 

▼ TOTO - Child's Anthem / I'll Supply the Love
https://www.youtube.com/watch?v=3CA6X0Zx3lg

▼ TOTO - Hold The Line
https://www.youtube.com/watch?v=htgr3pvBr-I

▼ TOTO - Girl Goodbye (Live at the Budokan 1982)
https://www.youtube.com/watch?v=5MhqC5EgJX8

▼ TOTO - Live at the Agora Ballroom, Cleveland (2 February 1979)
https://www.youtube.com/watch?v=-RcO0hMHQNQ

[追記] こちらはヴァイオリンによるカヴァー

▼ TOTO - Child's Anthem (AYAKO ISHIKAWA violin cover) / 石川綾子『子供の凱歌』
https://www.youtube.com/watch?v=j5aJsgdvaGY

 

 

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2010/10/16

BARK AT THE MOON 「月に吠える」 / OZZY OSBOURNE (1983)

Album Cover (front): Bark at the Moon / Ozzy Osbourne緻密で繊細なサウンドを奏でるランディ・ローズを「静」とすると、野太く力強いサウンドイメージがするジェイク・E・リーは「動」といったところだろうか。それはステージ上でのパフォーマンスに於いても言えることだが、ここではそのジェイクもランディ同様、メロディーラインに重点を置いたプレイに徹している感じもする。

まぁ、新参者が好き勝手にプレイできるはずもなく、当然そこにはオジーの意向が大きく働いているのだろうが、それでもこのアルバムのギターサウンドは当時から虜になるくらいに魅了されていた。それにしてもジェイクのパワフルなリフは今聴いても痺れるね。

 

Album Cover (back): Bark at the Moon / Ozzy Osbourne収録曲に関しても、オジーのアルバムの中でもトップクラスと言える充実度を誇るのがこの「Bark at the Moon / 月に吠える」だと思うのだが、加えて、自分が初めて買ったオジー・オズボーンのアルバムがこの"Bark at the Moon"だったということもあり、一層思い出深いアルバムとなっている。

一般的には、このアルバムでのハイライトと言えば、タイトル・トラックでもあり、ファースト・シングルにもなったオープニング曲の"Bark at the Moon"になるのではないかと思うのだが、個人的には、スローな"You're No Defferent Me"と"So Tired"の2曲、それに"Now You See It (Now You Don't)"といった曲が当時から好きだった。中でも"So Tired"は故美空ひばりさんが歌ってもおかしくないようなバラードで、仮に美空ひばりさんが歌っていたならば「川の流れのように」と並ぶ名曲になっていたんじゃないかと思えるくらいの曲。いや~、アルバムジャケットからは全く想像できないよね(笑)。

 

Live Video (VHS): Bark at the Moon / Ozzy Osbourneそれと、このアルバム"Bark at the Moon"を語る上で欠かせないのが、翌年にアルバムと同タイトルで発売されたVHSのライヴ・ビデオ(DVD未発売)。このビデオ、\12,800と凄く高かったのだが、奮発して買ったんだよなぁ、日系人ギタリスト(母親が日本人)であるジェイク・E・リーのお披露目ツアーともなったこのライヴ。実は、主役の座をオジーから奪う位にジェイクが目立っているのだ(笑)。

テクニックも然ることながら、とにかくステージアクションがカッコいいんだよね。かつてオジーのライヴを観に行かれたアン・ルイスさんが、何かのテレビ番組の中で「ギタリストの人のギターを弾く姿が凄くカッコいいのよ」と絶賛されていたが、自分自身、未だに彼ほどカッコ良く弾くギタリストにはお目にかかっていない。

内容的にはこのビデオ、"Mr. Crowley"では肝心な所でジェイクの演奏シーンを写してなかったり、小さかったりと多少不満もあるが、サウンドの方は、今聴いても、やっぱいいなと。又、一部、編集(被せた歓声)が下手でうっとおしく、そのままで良かったのにと思う箇所もある"Rock'n Roll Rebel"はスタジオ・ヴァージョンより数段カッコいいし、ジェイクのギターソロが存分に堪能できる"Suicide Solution"は見所のひとつ。シリアスなバンドが多い昨今だが、やっぱりロックには魅せる要素も重要だと認識させられるところ。

 

Album Cover (back) - Tracklist: Bark at the Moon / Ozzy OsbourneTRACKLIST
1. Bark At The Moon / 2. You're No Different / 3. Now You See It (Now You Don't) / 4. Rock 'N' Roll Rebel / 5. Centre Of Eternity / 6. So Tired / 7. Slow Down / 8. Waiting For Darkness

1. 月に吠える / 2. ユア・ノー・ディファレント / 3. ナウ・ユー・シー・イット / 4. 反逆のロックン・ロール / 5. センター・オヴ・イターニティ / 6. ソー・タイアード / 7. スロー・ダウン / 8. 暗闇の帝王

NOTES
• 品番:25DP-5223
• CD発売日:1988/09/30

• Album: US 19位 (3x Platinum / 2000-RIAA)、UK 24位 (Silver)
• Singles: "Bark at the Moon" US 109位、UK 21位 / "So Tired" US 104位、UK 20位

OZZY OSBOURNE - BAND MEMBERS (Listed on Back Cover)
• Ozzy Osbourne (オジー・オズボーン) - Vocals
• Tommy Aldridge (トミー・アルドリッジ) - Drums
• Don Airey (ドン・エイリー) - Keyboards
• Bob Daisley (ボブ・デイズリー) - Bass and Backing Vocals
• Jake E. Lee (ジェイク・E・リー) - Guitar and Backing Vocals

 

[補足]
ちなみに、この"Bark at the Moon"、2002年に大胆なリミックスが施されてリリースされたリマスター盤以降の再発盤は、そのリミックス音源が使われたものばかりなので、購入される際(特にLP時代の音に慣れ親しんだ人など)はご注意を。

なお、リリース年が分からないような場合は、ボーナストラックが無い(全9曲)ものだとオリジナルの音源だと思って間違いないと思うが、その他にも"You're No Different"の時間表記「オリジナル・ヴァージョン (5:04) / リミックス・ヴァージョン (5:49)」を見て、どちらの音源かを判別するという方法もある("You're No Different"のリミックス・ヴァージョンがオリジナル・ヴァージョンに比べて40秒程度長いのは、オリジナル・ヴァージョンではフェードアウトで曲が終わるところが、リミックス・ヴァージョンではそのまま曲が続き、フェードアウト無しで曲が終わるため)。

 

▼ Ozzy Osbourne - Rock`N`Roll Rebel (Live 1984 - Bark at the Moon Tour)

https://www.youtube.com/watch?v=hPDMszDm9dQ

 

▼ Suicide Solution - Jake E Lee guitar solo (Live 1984 - Bark at the Moon Tour)

https://www.youtube.com/watch?v=9dhZzqK9R40

 

[Official Audio]

▼ Ozzy Osbourne - Bark at the Moon
https://www.youtube.com/watch?v=F89-MOy7Xfg

▼ Ozzy Osbourne - You're No Different
https://www.youtube.com/watch?v=09vFKfpyuII

▼ Ozzy Osbourne - Now You See It (Now You Don't)
https://www.youtube.com/watch?v=DVIUmVq-kcM

▼ Ozzy Osbourne - So Tired
https://www.youtube.com/watch?v=vjWhOoT2h7w

▼ Ozzy Osbourne - Waiting for Darkness
https://www.youtube.com/watch?v=rrkHcTPbpZY

追記: [Jake E. Lee]

▼ ジェイクE .リー / 30年ぶりの『月に吠える 』手ほどき
https://www.youtube.com/watch?v=kAmaXrD7WVE

▼ Jake E. Lee's Red Dragon Cartel - Now You See It (Now You Don't) [Live 2014]
https://www.youtube.com/watch?v=lorEGoNYvtI

 

 

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2010/10/15

BAT OUT OF HELL III - THE MONSTER IS LOOSE / MEAT LOAF (2006)

CDの帯(初回プレス限定盤):地獄のロックライダー 3~最後の聖戦! / ミート・ローフ

Album Cover: Bat Out of Hell III / Meat Loaf   CD: Bat Out of Hell III / Meat Loaf   DVD: Bat Out of Hell III / Meat Loaf

Bat Out Of Hell III / 地獄のロック・ライダー 3 ~最後の聖戦! [CD+DVD] 初回生産限定盤

"Bat Out of Hell II"から13年、ベストセラーシリーズ"Bat Out of Hell"の第3章となるのがこの「Bat Out Of Hell III / 地獄のロック・ライダー 3 ~最後の聖戦!」。今回はジム・スタインマンに加え、デズモンド・チャイルド、ダイアン・ウォーレン、ホーリー・ナイトといった売れっ子ソングライターを起用し、プロデュースもデズモンド・チャイルドということもあり、特に日本人にとってはこれまでよりも受け入れやすいサウンドになっているのではないかと思う。

個人的には、"Bat Out of Hell II"はそれほどでもなかったものの、正直、1作目の"Bat Out of Hell"は今でもとっつきにくい感じで、何故、アレ程までに欧米で支持されたのか、中々理解できない部分もあるのだが、この"Bat Out of Hell III"はスンナリと受け入れることがでたというか、完全にのめり込んでしまったほど。それにしても、この充実ぶりたるや、生半可じゃないんだよね。いや、ほんと、凄まじいのだ。このアルバムをきっかけに日本での認知度も上がればいいなぁとは思うところ。

例によって、随所にコーラスを配した5分~10分と長めの曲が目白押しだが、どの曲も一本調子にならない起伏に富んだアレンジで、全編を通して壮大な物語が展開される様は、前2作よりロック色も増した感じで圧巻。肉料理のミートローフにかける訳ではないが、聴き終えた後、これ程までにお腹いっぱいになるアルバムにはそうお目にかかれないのではないだろうか。ヴォーカルアレンジャーにトッド・ラングレン、ゲストミュージシャンにブライアン・メイ、スティーヴ・ヴァイ他と、こちらもお腹いっぱいになるくらい豪華。

ちなみに、セリーヌ・ディオンでお馴染みの大ヒット曲、"It's All Coming Back to Me Now"がこのアルバムにも収録されているが、実は、盟友ジム・スタインマンが書いたこの曲、元々はセリーヌ・ディオンが取り上げる以前にリリースされていたミート・ローフの前作"Bat Out of Hell II"の収録候補曲のひとつだったそうで、そういった経緯で見ると、本来歌うべき人が後になって発表したという珍しい現象になっているとも言える。ここではその曲をノルウェー出身のシンガーであるマリオン・レイヴンとのデュエットで聴かせてくれるのだが、それにしても、ドラマティックに展開する壮大なアレンジは圧巻。

なお、初回限定盤はDVD付きで、日本盤には、その"It's All Coming Back to Me Now"のミュージックビデオがボーナス映像として加えられている。

 

Mlhell32

TRACKLIST
[CD]
1. The Monster Is Loose / 2. Blind As A Bat / 3. It's All Coming Back To Me Now (featuring Marion Raven) / 4. Bad For Good / 5. Cry Over Me / 6. In The Land Of Tthe Pig, The Butcher Is King / 7. Monstro / 8. Alive / 9. If God Could Talk / 10. If It Ain't Broke Break It / 11. What About Love (featuring Patti Russo) / 12. Seize The Night / 13. The Future Ain't What It Used To Be (featuring Jennifer Hudson) / 14. Cry To Heaven

1. ザ・モンスター・イズ・ルーズ / 2. ブラインド・アズ・ア・バット / 3. 記憶の中へ…(feat. マリオン・レイヴン) / 4. バッド・フォー・グッド / 5. クライ・オーヴァー・ミー / 6. イン・ザ・ランド・オブ・ザ・ピッグ、ザ・ブッチャー・イズ・キング / 7. モンストロ / 8. アライヴ / 9. イフ・ゴッド・クッド・トーク / 10. イフ・イット・エイント・ブローク・ブレイク・イット / 11. ホワット・アバウト・ラヴ(feat. パティ・ルッソ) / 12. シーズ・ザ・ナイト / 13. ザ・フューチャー・エイント・ホワット・イット・ユーズド・トゥ・ビー(feat. ジェニファー ・ハドソン) / 14. クライ・トゥ・ヘヴン

[DVD]
1. The Monster Is Loose / 2. Bat Out Of Hell III Animated Trailer / 3. The Making Of Bat Out of Hell III / 4. It's All Coming Back To Me Now (Japan Only)

1. ザ・モンスター・イズ・ルーズ <モンタージュ> / 2. 地獄のロック・ライダー3~最後の聖戦! <アニメーション・トレーラー> / 3. 地獄のロック・ライダー3~最後の聖戦! <メイキング映像> / 4. 記憶の中へ… feat. マリオン・レイヴン <PV>(日本盤ボーナス映像)

 

NOTES
• 日本盤初回プレスCD(限定盤) [Japanese First Pressing CD]
• CD+DVD
• 解説・歌詞・対訳付

 

▼ Meat Loaf - The Monster Is Loose

https://www.youtube.com/watch?v=ProXVwwrBoA

 

▼ Meat Loaf (featuring Marion Raven) - It's All Coming Back To Me Now

https://www.youtube.com/watch?v=dGOKN9viK_o

 

▼ Meat Loaf - Seize The Night

https://www.youtube.com/watch?v=R3p5RSHzAxU

 

 

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2010/10/14

TURN BACK 「ターン・バック」 / TOTO (1981)

CDの帯:ターン・バック / TOTOAlbum Cover (front): Turn Back / TOTO  Album Cover (back): Turn Back / TOTO  CD: Turn Back / TOTO

この「Turn Back / ターン・バック」は、"TOTO"史上最もハードロック色の濃いサウンド・アプローチでありながらも、静と動の対比が魅力的な"TOTO"のサード・アルバム。個人的にはファースト・アルバムの「TOTO / 宇宙の騎士」や、前作の「Hydra / ハイドラ」、そして次作の「TOTO IV / 聖なる剣」と並んで好きなアルバムなのだが、セールス的にはビルボードチャートで最高位41位、シングルカットされた"Goodbye Elenore"にいたっては100位にも入らずと、いまひとつだったようではある。印象的なアルバムのアートワークと相まって、他のアルバムに無い独特の雰囲気も持ったトータルバランスに優れた力作だったと思うのだが、ベスト・アルバム等でも殆んど無視される存在となっているのは如何に?

 

CD Case (front): Turn Back / TOTOしかしながら、そういった世間的な評価は別にして、このアルバム"Turn Back"には割と好きな曲が多く収録されているんだよね。そして、今、改めて思うのは、"TOTO"史上最もカッコいいアルバムだということ。売れたアルバムが必ずしも優れたアルバムとは限らず、クオリティーの高い充実したアルバムでありながらも、残念ながらセールスには結びつかなかったアルバムが世の中には数多く存在するのも事実なのだ。

冒頭でも述べたとおり、アルバムとしてはハードロック色の濃いサウンドなのだが、以外にも収録曲はミディアム・スローな楽曲が多く含まれている。ただし、ここに収録されているミディアム・スローな曲はどれもがパワフルでカッコイイんだよね。

当時はシングルカットされたハードロックチューンの"Goodbye Elenore"と、エキゾティックで何処と無くオリエンタルな雰囲気のある"Turn Back"が特に好きで、カセットテープには、アルバム中、唯一の苦手な曲であるオープニングの"Gift With A Golden Gun"を最後に持っていき、1曲目には大好きな"Goodbye Elenore"を入れて聴いていた。"Gift With A Golden Gun"も悪い曲ではないとは思うのだけれど、こればかりは個人的な嗜好によるものなのでしょうがないところ。

それにしても、今見ても存在感のあるアートワークだね。個人的に最も好きなアルバム・ジャケットのひとつであり、記憶に残るアルバム・ジャケット。

 

▼ こちらはLPレコードに付属の二つ折りフォトカード(左)と、レコード用の内袋(右)。

  LPレコードに付属のフォトカード:Turn Back / TOTO   LPレコード用の内袋:Turn Back / TOTO

 

手持ちのCDでは、LPレコードに付属のフォトカードがそのままのスタイルでミニチュア化されて封入されている。又、ジャケット内側に記載されている歌詞の部分は、歌詞が記載されたLPレコードの内袋を踏襲したデザインとなっており、CDラベルはLPレコードのラベルのデザインが再現されている。そして、CDの帯は、LPレコードと全く同じではないものの、裏側に回りこんだ部分も含めてLPレコードの帯を踏襲したデザインにはなっており、LPレコードで聴いていた頃の思い出が何となく甦ってくるかのようでもある。

アルバム(LPレコード)の思い出って、音だけじゃなく、ジャケットのアートワークを含めて、こうした付随するものを含めて脳裏に刻まれているので、こういうのは嬉しいところ。いい仕事がなされたパッケージのひとつだと思う。

 

▼ こちらがCDに付属の二つ折りフォトカード(左)と、ジャケットの内側(右)。

CDに付属のフォトカードとジャケットの内側部分

 

TOTO - BAND MEMBERS (Listed on Inside Cover)
• David Hungate (デヴィッド・ハンゲイト) - Bass, Acoustic Guitar on "I Think I Could Stand You Forever"
• Bobby Kimball (ボビー・キンボール) - Vocals
• Steve Lukather (スティーヴ・ルカサー) - All Guitars, Vocals
• David Paich (デヴィッド・ペイチ ) - Keyboards, Synthesizer, Vocals
• Jeffrey Porcaro (ジェフ・ポーカロ) - Drums, Percussion
• Steve Porcaro (スティーヴ・ポーカロ) - Keyboards, Electronics

 

LPレコードのラベル:Turn Back / TOTO TRACKLIST
1. Gift With A Golden Gun / 2. English Eyes / 3. Live For Today / 4. A Million Miles Away / 5. Goodbye Elenore / 6. I Think I Could Stand You Forever / 7. Turn Back / 8. If It's The Last Night

1. ギフト・ウィズ・ア・ゴールデン・ガン / 2. イングリッシュ・アイズ / 3. リヴ・フォー・トゥデイ / 4. ミリオン・マイルズ・アウェイ / 5. グッドバイ・エリノア / 6. スタンド・ユー・フォーエヴァー / 7. ターン・バック / 8. ラスト・ナイト

• Lead Vocals:  Bobby Kimball (1, 2, 4, 5, 7) / Steve Lukather (3, 6, 8)

 

NOTES
• 2004 DSD Mastering
• 解説・歌詞・対訳付

 

▼ TOTO - Goodbye Elenore

https://www.youtube.com/watch?v=J6-2jpl0qZs

 

▼ TOTO - Live For Today

https://www.youtube.com/watch?v=wjqtLPQgmgw

 

▼ TOTO - Goodbye Elenore (メイキングムービー)

https://www.youtube.com/watch?v=wt9suOuKMgQ

 

 

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2010/10/13

THE WORKS 「ザ・ワークス」 / QUEEN (1984)

Album Cover (front): The Works / Queen個人的なことをいえば、シンセサイザーを大胆に取り入れた"The Game"以降の作品の中で、最も多く聴いたアルバムではないかと思えるのが、この「The Works / ザ・ワークス」。"The Game"や"Hot Space"ではシンセ音だけが浮いているような違和感を多少感じていたが、ここではそのシンセサウンドもしっくりとクイーンサウンドに馴染んでいる感じがあり、このアルバムで後期のクイーンサウンドが確立されたと言ってもいいのではないかと思っている。

ただ、そういったモダンなサウンド処理がなされていながらも、収録されている楽曲の構成、それにコーラスワークやギターオーケストレーションを含めたアレンジなどは、かつてのドラマティックなクイーンサウンドが帰ってきた感じもあり、その辺りの温故知新的バランスがこのアルバムの魅力でもある。今から考えると、ベクトルがややアメリカ向きだった"The Game"や"Hot Space"に対し、この"The Works"は再びブリティッシュサウンドへと軌道修正が図られている感じがして嬉しかったというのも、このアルバムを良く聴いていた理由の一つとしてあったのかも知れない。

このアルバムを初めて聴いた当時は、1曲目の"Radio Ga Ga"を聴いて、曲自体は悪くはないものの、そのモダンなサウンド処理に、いったいどんなアルバムになっているのかと一抹の不安も無きにしも非ずといったところだったが、2曲目の"Tear It Up"後半のいかにもクイーンといった美しいハーモニー「ウーウーウー、オーイエー」に多少安心して胸を撫で下ろし、続く3曲目の"Its A Hard Life"では、一部"Play the Game"と似たような歌いまわしが気にはなったものの、中間部のギターオーケストレーションを聴いて喜ぶ。といった感じだった、まぁ、そんな1曲ごとの心境の推移を覚えているのだから、相当期待して注意深く聴いていたんだろうね。もしかしたら、正座して聴いてたんじゃないかとさえ思ってしまうほど(笑)。それと、モダンなサウンド処理がされている"Radio Ga Ga"にもピアノの音がポツンポツンと入っていたことがなんだか妙に嬉しかったことも覚えている。

 

Album Cover (back): The Works / Queenこの時期は一部に解散説もあったほどメンバー間の関係もあまり良い状態ではなかったようだが、メンバー4人がそれぞれ持ち寄った楽曲はどれもが魅力的でクオリティーの高いものであることを考えると、逆にそのことがソングライターでもある4人に緊張感(競い合い?)をもたらし、結果的にクオリティーの高い楽曲が集まったのではないかという見方もできるのではないかと思う。

ただ、作曲者クレジットに複数の名前が明記されることが少ないクイーンにおいて、"Mercury & May"、"May & Tayler"という異色の組み合わせによる楽曲(意外とこの組み合わせの共作曲って無いのだ)が収録されていたり、制作されたミュージックビデオへの力の入れようや、アルバム内では個々の個性がバランス良く生かされている辺りを考えると、巷で言われているほど関係は悪くはなかったのではないかという気もする。

何れにせよ、決定的な確執や亀裂が生じたわけではないのはこの後の活動により証明されるわけだが、取り分け本国のイギリスに於いては、このアルバムが前作を大きく上回るセールスを記録したことも良い方向に流れが向く結果になったのかもしれない。アルバムは英2位、米23位を記録し、特にイギリスでは"A Night At The Opera"の50週を上回る93週もの間チャートインしていたというロングヒットをも記録している。ちなみに日本のオリコンチャートでは7位を記録。

意図的か偶然かは分からないが、シングルカットされた4曲のソングライターを見てみると、 "Radio Ga Ga"(英2位 / 米16位)がロジャー・テイラー、"I Want to Break Free"(英3位 / 米45位)がジョン・ディーコン、"It's a Hard Life"(英6位 / 米72位)がフレディ・マーキュリー、"Hammer to Fall"(英13位)がブライアン・メイと、均等に分かれているのは興味深いところではある。

なお、"Radio Ga Ga"はリミックスされたロング・ヴァージョンが12-inchシングルとして発売され、B面にはそのインストゥルメンタル・ヴァージョンと、「もうクイーンなんて見たくない」という面白いフレーズも飛び出す、アルバム未収録の"I Go Crazy"が収められている。又、"I Want to Break Free"と"Hammer to Fall"は、シングルや"Greatest Hits II"に収められたシングル・ヴァージョンとは違うオリジナル・ヴァージョンが収録されており、"I Want to Break Free"については、シングル・ヴァージョンに比べるとかなりシンプルで、"Hammer to Fall"の方は、間奏のギターソロとエンディングが若干違うヴァージョンになっている。

ということで、以下の写真はアルバムとは別ヴァージョンということで当時購入した、"Radio Ga Ga"の12-inchシングル盤と、"I Want to Break Free"の7-inchシングル盤。

Japanese 12 Inch Vinyl Single Record: Radio Ga Ga / Queen  Japanese 7 Inch Vinyl Single Record: I Want to Break Free / Queen

そして、"Radio Ga Ga"といえば、この曲のミュージック・ビデオには、1927年公開のサイレント映画「メトロポリス」からの映像が使用されていることでも話題になったのだが、実はジョルジオ・モロダーのプロデュースによるこの映画の再編集版が世界各地で公開され、そのサウンドトラック盤にはフレディ・マーキュリーのソロ作品"Love Kills"(邦題はメトロポリス)が収録された経緯もあってか、映像使用に関してはモロダー側から簡単に「使っていいよ」との返事がもらえたらしい。

当時は、この"Love Kills"1曲のために映画のサウンドトラック盤を買おうという気にはなれず、シングル盤だけを購入したんだよね。ちなみに、邦題は映画のタイトルと同じ「メトロポリス」。なお、このシングル盤、通常のシングル盤とは違って、三方背の袋形式ジャケットになっているので、下の写真のようにジャケットには表と裏がある。

Japanese 7 Inch Vinyl Single Record (front): Love Kills / Freddie Mercury  Japanese 7 Inch Vinyl Single Record (back): Love Kills / Freddie Mercury

TRACKLIST
1. Radio Ga Ga / RADIO GA GA (ラジオ) [Writer: R. Taylor]
2. Tear It Up / ティア・イット・アップ [Writer: B. May]
3. It's A Hard Life / 永遠の誓い [Writer: F. Mercury]
4. Man On The Prowl / マン・オン・ザ・プロール [Writer: F. Mercury]
5. Machines (Or Back To Humans) / マシーン・ワールド [Writers: B. May & R. Taylor]
6. I Want To Break Free / ブレイク・フリー(自由への旅立ち) [Writer: J. Deacon]
7. Keep Passing The Open Windows / 愛こそすべて [Writer: F. Mercury]
8. Hammer To Fall / ハマー・トゥ・フォール [Writer: B. May]
9. Is This The World We Created....? / 悲しい世界 [Writers: F. Mercury & B. May]

 


 

■ 追記
こちらは、40周年を記念して2011年にリリースされた2枚組の"40th Anniversary Limited Edition" (2011 Digital Remaster)。

The Works (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  The Works (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  The Works (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen

TRACKLIST
Disc 1: The Works

Disc 2: The Works - Bonus EP
1. I Go Crazy [B-Side]
2. I Want To Break Free [Single Remix]
3. Hammer To Fall [Headbanger's Mix]
4. Is This The World We Created...? [Live In Rio, January 1985]
5. It's A Hard Life [Live In Rio, January 1985]
6. Thank God It's Christmas [Non-Album Single]

"Bonus EP"については、12インチ・シングルとしてリリースされた"Radio Ga Ga"のリミックスされたロング・ヴァージョンと、そのB面に収録されていたインストゥルメンタル・ヴァージョンが収録されていないのが多少残念に思うところではある。

The Works (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  The Works (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  The Works (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen

 

▼ Queen - It's A Hard Life (Official Video)

https://www.youtube.com/watch?v=uHP-qgzUVLM

 

▼ Queen - Hammer To Fall (Official Video)

https://www.youtube.com/watch?v=JU5LMG3WFBw

 

▼ Queen - Making of Radio Ga Ga

https://www.youtube.com/watch?v=EmzS5CsHXX4

 

▼ Japan TV (Roger Taylor & John Deacon)

https://www.youtube.com/watch?v=Kx01Z-zikio

 

 

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