これは坂本龍一の呼びかけで結成されたユニット「N.M.L. (No More Landmine)」のマキシシングル「Zero Landmine」。 ただ、マキシシングルとは言っても、トータルの収録時間は44分少々と、通常のアルバムと言っても差し支えない程のヴォリュームで、付属のブックレットも充実した内容となっている。ちなみにパッケージはデジパック仕様。
元々は民放テレビ局の開局50周年に合わせて企画された「地雷 ZERO キャンペーン」の一環として、趣旨に賛同した坂本龍一がこの曲を手掛けたわけだが、その坂本氏の呼びかけにより、趣旨に共感した国内外のミュージシャンが集結し、結成したユニットがこの「N.M.L. (No More Landmine)」というわけだ。
残念ながら、現在は廃盤になっているようだが、CDの売上金は全て地雷撤去などの資金として使われたとのこと。
歌詞を手掛けたのは坂本龍一の長年の友人である元ジャパンのデヴィッド・シルヴィアンで、実を言うと自分が興味を持ったのもデヴィッド・シルヴィアンの参加があってのことだった。なお、このプロジェクトには、デヴィッドの弟である元ジャパンのスティーヴ・ジャンセンもドラムスで参加している。
勿論、歌詞は全編英語だが、デヴィッド・シルヴィアンに歌詞の制作を依頼した際は、「子供でも歌える、シンプルで優しい詞を書いてくれと頼んだ」と、坂本龍一自身が付属のブックレットの中で語っている。又、出来上がった歌詞を見て、「普段の難解なデヴィッドの仕事からは想像もできないシンプルで優しい詞だった。彼の暖かい心にも感動した」とも。そして、その歌詞を作家の村上龍に送り、日本語に訳してもらったとのこと。そう、この歌詞は村上龍によって翻訳された「地雷のない世界」というタイトルの日本語詞も作られているのだ。
メインの「Zero Landmine」は、地雷が埋設されている地域の民族音楽を織り交ぜながら展開される18分を超える大作だが、CDには、そのショート・ヴァージョンやインストゥルメンタル・ヴァージョンなど全6曲が収録されている。メインの「Zero Landmine」でも、一部でデヴィッド・シルヴィアンがヴォーカルを担当していたが、ジャパンのファンである自分にとっては、坂本龍一のピアノに乗せて全編をデヴィッド・シルヴィアンがヴォーカルをとる2曲目の「piano + vocal version」も感動的なメインの楽曲に負けず劣らず好きなヴァージョン。
ちなみに、タイトルにある「Landmine」とは地雷のことで、ジャケットの表と裏に使われているのも地雷の写真である。残酷なのは、写真を見ても分かるように、子供たちが興味を示すような形や色をしていること。考えただけでもゾッとするが、仮に自分が子供だとしたら、こんなものが地面にあったら、間違いなく手を触れてしまうだろう・・・。なお、ブックレットには今も地雷を生産している国と地雷の問題がある国を表した世界地図が記載されている。
主な参加ミュージシャン
■ 日本
UA / 大貫妙子 / TERU、TAKURO (Glay) / 坂本龍一 / 桜井和寿 (Mr.Children) / 佐野元春 / SUGIZO (元 Luna Sea) / 高橋幸宏 / CHARA / DJ KRUSH / 吉田美和、中村正人、西川隆宏 (Dreams Come True) / 細野晴臣 / 山塚アイ (Boredoms) / 湯川潮音 (当時 東京少年少女合唱隊) / 藤原真理
■ 海外
アート・リンゼイ / クラフトワーク (「Zero Landmine」のサウンドロゴ) / デヴィッド・シルヴィアン、スティーヴ・ジャンセン (元 Japan) / シンディ・ローパー / ブライアン・イーノ / ヤドランカ / キム・ドクス
▼ ブックレットにも記載されている坂本龍一のコメント。
Zero Landmine
http://www.sitesakamoto.com/update/zerolandmine-j.html
TRACKLIST
1. Zero Landmine
2. Zero Landmine (piano + vocal version) / Ryuichi Sakamoto & David Sylvian
3. Zero Landmine (piano + cello version) / Ryuichi Sakamoto & Mari Fujiwara
4. Zero Landmine (short version)
5. Zero Landmine (piano version) / Ryuichi Sakamoto
6. Zero Landmine (the track)
NOTES
• Maxi Single
• デジパック仕様
• 解説・歌詞・対訳付
• オリコン・シングルチャート (1位)
• さだまさしの「親父の一番長い日」(12分30秒)を抜いて、1位を記録した曲の中ではこれまでで最も演奏時間が長い曲となった。
▼ こちらは、ショート・ヴァージョンのビデオクリップ(約5分)。
■ No More Landmine (Ryuichi Sakamoto) - Zero Landmine [Short Version]
▼ そしてこちらが、民放テレビの「地雷 ZERO キャンペーン」の特番の最後に演奏された「Zero Landmine」のフル・ライヴ・ヴァージョン(約20分)。なお、オリジナル・キャストによるフル・ヴァージョンがライヴで演奏されたのは後にも先にもこの一回限り。
■ No More Landmine (Ryuichi Sakamoto) - Zero Landmine [Full Length Version]
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