2021/05/08

COMMENT TE DIRE ADIEU 「さよならを教えて」 / FRANÇOISE HARDY (1968)

CDの帯:さよならを教えて / フランソワーズ・アルディ

Album Cover (front): Comment Te Dire Adieu / FranÇoise Hardy

アルバムのジャケットには"FranÇoise Hardy"の表記しかないものの、1曲目の「Comment Te Dire Adieu / さよならを教えて」が特に有名なこともあり、一般的には「Comment Te Dire Adieu / さよならを教えて」のアルバム名で知られるフランソワーズ・アルディの代表作が本国のフランスでは9作目となるこのアルバム。

一応、補足しておくと、彼女のアルバムは、以前からタイトル無しでリリースされることが多かったらしく、本作が"FranÇoise Hardy"というセルフタイトルのアルバムということではないようだ。

自分はジャケットだけは見覚えがあったこのアルバムを当初(購入前)はベスト・アルバムと勘違いしていたのだが、実際、それこそ、何も知らずに聴けばベスト・アルバムと勘違いしそうなくらい内容的にも魅力的な曲が目白押しなアルバムではある。

Album Cover (back): Comment Te Dire Adieu / FranÇoise Hardy

で、その一般的にはアルバムのタイトルにもなっている曲"Comment Te Dire Adieu"はフランス語によるカヴァー曲で、オリジナルは、1940年代~1950年代にかけて人気を博したアメリカ人シンガーのマーガレット・ホワイティングが1966年に発表したアルバム"The Wheel of Hurt"に収録されていた"It Hurts to Say Goodbye"という英語詞の曲。

ちなみに、翌1967年(フランソワーズ・アルディがカヴァーする前年)には、一足先にイギリスの国民的シンガー、ヴェラ・リンが比較的オリジナルに忠実なカヴァー (It Hurts to Say Goodbye) をリリースし、米ビルボード誌のアダルト・コンテンポラリー・チャートで7位となるヒットを記録していた。

補足:ヴェラ・リン (Vera Lynn)
昨年の2020年に103歳で死去。2009年(92歳時)にリリースされたベスト・アルバム"We'll Meet Again: The Very Best of Vera Lynn"が英チャートで1位を記録し、英チャート史上最高齢のNo.1ヒットを記録したアーティストにもなっていた。又、その後の2017年に100歳の誕生日を記念してリリースしたアルバム"Vera Lynn 100"も英3位を記録するなど、イギリスに於いては絶大な人気を誇っていた国民的シンガー。

 

▼ Margaret Whiting - It Hurts to Say Goodbye (1966)
https://www.youtube.com/watch?v=_QgWHXP5Qts

▼ Vera Lynn - It Hurts to Say Goodbye (1967)
https://www.youtube.com/watch?v=EAsGnksdP-8

 

とは言っても、取り分け日本に於いては、1968年にフランソワーズ・アルディが発表したこのフランス語によるカヴァー・ヴァージョンが、オリジナル以上に有名で、広く知られるところではないかと(ちなみに、ウィキペディアには「日本では5年後の1973年にヒットした」と記されている)。

まぁ、かく言う自分も、当初はこれがカヴァー曲で、元々は英語で歌われていた曲だなんてことは全く知らなかったのだが、今聴いても、フランス語とマッチした素晴らしいアレンジのカヴァーだと思う(個人的には語りの部分の雰囲気が特に好き)。なお、フランソワーズ・アルディは、その後、この曲をイタリア語とドイツ語でもレコーディングしている。

 

▼ FranÇoise Hardy - Il pretesto (Italian Version)
https://www.youtube.com/watch?v=hK3fovvoVqk

▼ FranÇoise Hardy - Was mach' ich ohne dich (German Version)
https://www.youtube.com/watch?v=S4UBfiXzjOo

 

又、アルバムには"Comment Te Dire Adieu"の他にも幾つかのカヴァー曲が含まれており、例えば、4曲目に収録されている「Suzanne / スザンヌ」は、カナダの詩人でシンガーソングライターのレナード・コーエンが1967年に発表した曲のフランス語によるカヴァー。ちなみに、この曲はその後も、ニーナ・シモン(1969年)、ナンシー・ウィルソン(1970年)、ロバータ・フラック(1973年)、アレサ・フランクリン(2007年)、シルヴィ・バルタン(2007年)、ジェームス・テイラー(2008年)など数多くのミュージシャンによりカヴァーされている。

 

▼ Leonard Cohen - Suzanne
https://www.youtube.com/watch?v=svitEEpI07E

 

その他、特筆すべき曲を挙げておくと、5曲目の「Il N'y A Pass D'amour Heureux / しあわせな愛はない」は、前年にリリースされた前々作のアルバム「Ma jeunesse fout le camp... / もう森へなんか行かない」にも収録されていた曲の再録音版。直ぐにまた再録音したことについては、オーケストレーションが不満だったらしいといったことが付属のライナーノーツに記載されている。

そして、8曲目の「À Quoi ça Sert ? / 何になるの?」と、10曲目の「La Rue Des Coeurs Perdus (Lonesome Town) / 失恋通り」は、フランソワーズ・アルディ自身が作詞作曲を手掛けた曲。

それにしても、この2016年の再発盤は低価格の廉価盤にもかかわらず、ライナーノーツには全曲の解説が詳しく記載されており、それぞれの曲の生い立ちが知れて良いよなぁ。ジャケットもペラペラじゃなく自立できる程度の厚みのある紙が使われおり、CDのラベルも質感のある塗装で好感が持てる。しかも、最新の2016年デジタル・リマスタリングで、更には、廉価盤だと省かれることもある歌詞と日本語訳もしっかりと付いてるしね。加えて、シリーズもの特有の品の無い帯じゃないのも良いところ(笑)で、ほんとこれは輸入盤じゃなく日本盤を買って良かった思える再発盤のひとつ。

 

CD Case (back cover): Comment Te Dire Adieu / FranÇoise Hardy

TRACKLIST
01. Comment Te Dire Adieu (It Hurts to Say Goodbye) / さよならを教えて
02. Où Va La Chance ? (There But for Fortune) / 幸運はどこへ行くの?
03. L'anamour / 愛の欠乏
04. Suzanne / スザンヌ
05. Il N'y A Pass D'amour Heureux / しあわせな愛はない
06. La MéSange (Sabiá) / シジュウカラ
07. Parlez-Moi De Lui (The Way of Love) / 彼のこと話して
08. À Quoi ça Sert ? / 何になるの?
09. Il Vaut Mieux Une Petit Maison Dans La Main Qu'un Grand Ch Teau Dans Les Nauges / 夢物語よりささやかな愛のほうがいいわ
10. La Rue Des Coeurs Perdus (Lonesome Town) / 失恋通り
11. Étonnez-Moi, Benoît...! / 驚かせてよ、ブノワ!
12. La Mer, Les Étoiles Et Le Vent / 海と星と風

※ フランス語では「?」(疑問符 / クエスチョンマーク)の前にスペースが入る

 

NOTES
• Tracks 8, 10: Lyrics and Music by FranÇoise Hardy

• 2016年デジタル・リマスタリング
• 解説・歌詞・対訳付
• 品番:WPCR-17554
• CD発売日:2016年12月14日(再発盤 / Reissue from 1968)

 

▼ FranÇoise Hardy - Comment Te Dire Adieu / さよならを教えて

 

▼ FranÇoise Hardy - Où Va La Chance ? / 幸運はどこへ行くの?

 

▼ FranÇoise Hardy - L'anamour / 愛の欠乏

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