自分がエアロスミスに興味を持つきっかけとなったこの「Draw The Line / ドロー・ザ・ライン」は、数あるエアロスミスのアルバムの中でも特に思い出深い一枚でもあり、今でもエアロスミスのアルバムの中で最も好きなアルバムのひとつである。
収録された楽曲の充実度という点では名作の誉れ高い前作の「Rocks / ロックス」に比べると、多少劣る印象はあるものの、ジャケットに描かれたライン・ドローイング(線描画)によるインパクトのあるアートワークも然ることながら、LPレコードで言うところのA面とB面の1曲目に"Draw The Line"と"Kings And Queens"と強力な2曲が収録されていることから、アルバム自体に圧倒的な存在感があるんだよね。
面白いのは、ライバルとして比較されることも多いキッスが、この"Draw The Line"と同じ年の1977年にリリースしたアルバム"Love Gun"もまた同様に、楽曲の充実度という点では前作に劣る印象があるものの、アルバムのA面とB面の1曲目にそれぞれ強力な曲が収録されているが故に圧倒的な存在感を示しているという点で酷似しているところ。
しかも、どちらのバンドもリード・ギタリストが初めてリード・ヴォーカルをとる曲が収録されているという点も一致しており、更には、グループ内がガタガタの状態で制作されたことや、この後にリリースされるのがライヴ・アルバムという点でも共通していることから、偶然とはいえ中々興味深いところではある。
LPレコードを買って聴いていた頃は、先にも述べたアルバムを代表する"Draw The Line"と"Kings And Queens"、それにジョー・ペリー初のリード・ヴォーカル曲である"Bright Light Fright"の3曲ばかりを聴いていた記憶があるのだが、ここ最近は、何となくその他のファンキーでグルーヴィーな曲の魅力にも気付いてきた感じで、それらの3曲だけを取り出して聴くのではなく、アルバムを通して聴くことの方が多くなったように思う。
いやいや、"I Wanna Know Why"も、"Critical Mass"も、"Get It Up"も、"The Hand That Feeds"も、"Sight For Sore Eyes"も、"Milk Cow Blues"も、みんなカッコイイ曲じゃないか(笑)。特に"The Hand That Feeds"の後半のベースにはシビレるなぁ。
で、結論としては、"Rocks"と"Draw The Line"のどちらかを選べと言われたら、自分はやっぱりこの"Draw The Line"を選ぶかなと。
その他、興味深い点としては、ジャケットの表にアルバムのタイトルどころかグループ名である"Aerosmith"の表記すら無いところ。まぁ、恐らくは、この存在感のあるアートワークだけでエアロスミスのアルバムであることが一目で分かることから、あえてイラストだけのジャケットにしてインパクトを打ち出したのだと推測されるが、裏を返せば、この当時はそれで通用してしまうほど世間に認知されていたバンドだったということなんだろうね。
そして、もうひとつ興味深いのが、タイトル・トラックの"Draw The Line"だけはモノラルで収録されているということで、CDの帯には「STEREO/MONO」との表記があり、解説書に表記されたトラック・リストの"Draw The Line"の曲名にも (MONO) との注意書きがしてある。
LPで聴いていた頃はモノラルだとは全く気付かずにいたが、この"Draw The Line"に於ける音の塊り感はそんな理由があったからなのだ。いや~、当時からこの混沌とした音の塊り感が好きだったんだよね。というか、LPレコードには (MONO) なんて表記あったっけ?
でも、もしかしたら、タイトル・トラックの"Draw The Line"だけステレオになってないぞとの購入者からの苦情が時折あることから (MONO) との表記が加えられたのかも?(笑)
なお、このモノラルの"Draw The Line"、3枚組のコンピレーション・アルバム「Pandora's Box / パンドラの箱」にはステレオ・ミックスされたリミックス・ヴァージョンが収録されているのだが(後に2枚組のベスト"O, Yeah! Ultimate Aerosmith Hits"にも収録)、個人的には、やっぱり、この混沌としたモノラルのオリジナル・ヴァージョンの方が好きだなぁ。ステレオだと、なんかスカスカした印象があるんだよね。まぁ、ステレオのリミックス・ヴァージョンの方は聴いて直ぐに分かるほど音も変わっているしね。
又、ヴァージョン違いと言えば、"Kings And Queens"も「Aerosmith's Greatest Hits / グレイテスト・ヒッツ」の方には、1分程度短縮されたシングル・ヴァージョンが収録されている。しかも、このシングル・ヴァージョンは、短く編集されているだけでなく、各楽器の音の定位が中央に寄ったモノラルに近いミックスになっているので、興味のある方は聴き比べてみてほしい。
収録曲のソング・ライターを見てみると、"Kings And Queens"と"The Hand That Feeds"はジョー・ペリーを除くメンバー4人とプロデューサーのジャック・ダグラスの共作曲である一方、"Bright Light Fright"はジョー・ペリー単独表記の曲といったように、何やら行く末を案じさせるかのようでもある。
ちなみに、レコードの内袋の裏側にあるクレジットの最後には「日本のファンのみなさん、ありがとう。」というメッセージが日本語で表記されていたが、このCDでも、二つ折りジャケットの内側にその日本語のメッセージが表記されている。
TRACKLIST
1. Draw The Line / 2. I Wanna Know Why / 3. Critical Mass / 4. Get It Up / 5. Bright Light Fright / 6. Kings And Queens / 7. The Hand That Feeds / 8. Sight For Sore Eyes / 9. Milk Cow Blues
1. ドロー・ザ・ライン / 2. アイ・ワナ・ノウ・ホワイ / 3. クリティカル・マス / 4. ゲット・イット・アップ / 5. ブライト・ライト・フライト / 6. キングズ・アンド・クイーンズ / 7. ザ・ハンド・ザット・フィーズ / 8. サイト・フォア・ソア・アイズ / 9. ミルク・カウ・ブルース
NOTES
• 結成40周年 & 来日記念スペシャル・プライス版(期間限定生産)
• 発売日:2011年11月23日
• 解説・歌詞・対訳付
• Album: US 11位 (2x Platinum / 1996-RIAA)
• Singles: "Draw the Line" US 42位 / "Kings and Queens" US 70位
AEROSMITH - BAND MEMBERS
• Steven Tyler - Vocals (Piano on "Kings And Queens")
• Joe Perry - Guitars, Vocals (Lead Vocal on "Bright Light Fright")
• Brad Whitford - Guitars
• Tom Hamilton - Bass
• Joey Kramer - Drums
▼ Aerosmith - Draw The Line
▼ Aerosmith - Kings And Queens (Album Version)
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