2018/03/03

COME ON HOME 「カム・オン・ホーム」 / BOZ SCAGGS (1997)

CDの帯(初回プレス盤):カム・オン・ホーム / ボズ・スキャッグスAlbum Cover (front): Come On Home / Boz Scaggs1994年にリリースされた前作の「Some Change / サム・チェンジ」から3年ぶり(日本では新曲と過去の曲のニュー・レコーディング・ヴァージョンを含むコンピレーション・アルバム「Fade Into Light / フェイド・イントゥ・ライト~ラヴ・バラード・アルバム」が前年の1996年にリリースされている)となったこの「Come On Home / カム・オン・ホーム」は、ボズ自身のルーツであるブルース及び、リズム&ブルースに立ち返ったアルバムで、アルバム・タイトルの"Come On Home"にもそういった原点回帰的な意味合いが含まれているのではないかと思う。そして、ここ最近のブルージーな路線も、このアルバムが出発点だったのではないかと。

"We're All Alone"のような往年の"AOR"的雰囲気を期待して聴くと面喰らうアルバムだと思うが、自分自身は丁度ブルージーなものに興味を示していた頃だったので、CDの帯に書かれた「テキサス男が戻るところはやはり"R&B"・・・」、「ボズはブルーズが似合う・・・」といった言葉に惹かれて買ったことを覚えている。

ということで、メジャーなボズのイメージとは多少異なるアルバムではあるのだが、ライナーノーツに書かれているボズ自身の言葉としては「このリズム&ブルース・アルバムはずっと前から作りたかったものだ」とのこと。

又、そのライナーノーツには、同じく「このアルバムに収録する曲の候補は山ほどあり、熟考した結果、僕のお気に入りのナンバーを入れることにした」とのボズの言葉が記されていることからも分かるように、収録曲の大半がスタンダード・ナンバーのカヴァーで占められており、ボズ自身のオリジナル曲は共作曲の"Picture Of A Broken Heart Written"を含めて、"I've Got Your Love"、"After Hours"、"Goodnight Louis"の4曲だけとなっている。

アルバムの中では9曲でギターを弾き、4曲でホーン・セクションのアレンジを行っている他、プロデュースもボズ自身が行っていることから、ボズがやりたい音楽を楽しんでレコーディングしたような印象もあるが、改めて言っておくと、一連のボズの代表曲をイメージして買うとつまらないと感じてしまうアルバムかもしれないので念のため。

それでも、たとえ趣味に合わなくて棚にしまったままになったとしても、歳を重ねていった数年後、もしくは数十年後にふと取り出して聴いてみると、もしかしたら当時は気付かなかった魅力を感じることができるかも・・・。と、そんなことをふと思ってしまうような、流行に左右されない不変的な価値といぶし銀の味わいを持ったアルバムだと思う。

実際、自分の場合は、冒頭でも述べているように、丁度ブルージーなものに関心を持っていた時期だったので、楽しめたアルバムではあったのだが、客観的に見ると、地味なアルバムといった印象はあったし、きっと売れないんだろうなとは思っていた(笑)。恐らくはボズ自身もヒットとかセールスのことなんて抜きにして制作したのではないかと思う。

全体を通して、ホーンやハーモニカ、オルガンといったノスタルジックな音が心地良いアルバムといった印象だが、あえて好きな曲を挙げるとすれば、スタンダード・ナンバーの"Love Letters"と、アルバムの最後を締めるボズのオリジナル曲である"Goodnight Louise"のスローな2曲。それに、他のスタンダード・ナンバーと並べても全く違和感が無いというか、見事に溶け込んでいるとも言えるボズのオリジナル曲"After Hours"といったところ。

ボズのコンサート告知ポスターが貼られた壁の前で遊ぶ子供達の姿をモノクロ写真で捉えたアルバムのジャケットも雰囲気があって好きだなぁ。

 

Album Cover (back): Come On Home / Boz Scaggs  Album Cover (back): Come On Home / Boz Scaggs  CD: Come On Home / Boz Scaggs

 

TRACKLIST
1. It All Went Down The Drain / イット・オール・ウェント・ダウン・ザ・ドレイン - Earl King [1986]
2. Ask Me 'Bout Nothin' (But The Blues) / アスク・ミー・バウト・ナッシン(バット・ザ・ブルース) - Bobby Bland [1969]
3. Don't Cry No More / ドント・クライ・ノー・モア - Bobby Bland [1961]
4. Found Love / ファウンド・ラヴ - Jimmy Reed [1960]
5. Come On Home / カム・オン・ホーム - Written by Earl Randle, Willie Mitchell
6. Picture Of A Broken Heart / ピクチャー・オブ・ア・ブロークン・ハート - Written by Boz Scaggs, Dennis Walker
7. Love Letters / ラヴ・レターズ - Dick Haymes With Victor Young And His Orchestra [1945]
8. I've Got Your Love / ユア・ラヴ - Written by Boz Scaggs
9. Early In The Morning / アーリー・イン・ザ・モーニング - Sonny Boy Williamson I [1937]
10. Your Good Thing (Is About To End) / ユア・グッド・シング(イズ・アバウト・トゥ・エンド) - Mable John [1966]
11. T-Bone Shuffle / T-ボーン・シャッフル - T-Bone Walker [1949]
12. Sick And Tired / シック・アンド・タイアード - Chris Kenner [1957]
13. After Hours / アフター・アワーズ - Written by Boz Scaggs
14. Goodnight Louise / グッドナイト・ルイーズ - Written by Boz Scaggs

 

NOTES
• Boz Scaggs - Guitars (1, 3, 4, 6, 7, 8, 11, 12, 13) / Horn Arrangements (1, 3, 6, 12)
• Produced by Boz Scaggs

• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付

• Album: US 94位

 

▼ Boz Scaggs - Ask Me 'Bout Nothin' (But The Blues)

https://www.youtube.com/watch?v=8MWUC0--BVw

 

▼ Boz Scaggs - Love Letters
https://www.youtube.com/watch?v=mPPb_ye6aSg

▼ Boz Scaggs - After Hours
https://www.youtube.com/watch?v=SOe9K6_7_B8

▼ Boz Scaggs - Goodnight Louise
https://www.youtube.com/watch?v=ciWiLxwBeLY

 

 

[関連記事]

Boz The Ballade 「ボズ・ザ・バラード」 (1992) / Boz Scaggs

Fade Into Light 「フェイド・イントゥ・ライト~ラヴ・バラード・アルバム」 (1996) / Boz Scaggs

0 件のコメント:

コメントを投稿