2013/02/21

THE GAME 「ザ・ゲーム」 / QUEEN (1980)

CDの帯(初CD化盤):ザ・ゲーム / クイーンAlbum Cover (front): The Game / Queen   Album Cover (back): The Game / Queen

全米チャートで共に1位を記録した「Crazy Little Thing Called Love / 愛という名の欲望」と、「Another One Bites The Dust / 地獄へ道づれ」の2曲を含むこの「The Game / ザ・ゲーム」は、英米のアルバム・チャートでも共に1位を記録する大ヒット・アルバムとなった。

アルバムではシンセサイザーが大胆に取り入れていることや、これまでのクイーン・サウンドとはスタイルの違う上記の2曲が含まれているなど、前作の"Live Killers"をひとつの区切りとしたかのように、このアルバムではこれまでとは多少方向性が違ったサウンドが展開されている。

しかしながら、そのことについては物議を醸したことも事実で、一般的には受け入れられても、従来からのファンの中には否定的な意見を持つ人も少なからずいたようだ。ただ、その後のアルバムを聴けば分かるように、このアルバムがひとつの転機となり、以降のサウンドに道筋をつけたことはあきらかで、そういった意味では重要な役割を果たしたアルバムだと言えるのではないかと思う。

当時は、アルバムに先駆けて、"Crazy Little Thing Called Love"と、"Save Me"の2曲がシングルでリリースされていたのだが、もしかしたら、クイーン・サイドとしても、ロカビリー・スタイルの"Crazy Little Thing Called Love"で多少戸惑うであろうファンのことを見越して、トラディショナルなクイーン・サウンドとも言える"Save Me"を次のシングルに選んだのかもしれない。ただ、個人的には、当時も、クイーンは「何でも有り」なバンドだという認識はあったので、"Crazy Little Thing Called Love"もアリだとは思っていたようには思う。

Japanese 7 Inch Vinyl Single Record: Crazy Little Thing Called Love 「愛という名の欲望」 / Queen   Japanese 7 Inch Vinyl Single Record: Save Me 「セイヴ・ミー」 / Queen   Japanese 7 Inch Vinyl Single Record: Play The Game 「プレイ・ザ・ゲーム」 / Queen

そして、本国のイギリスでは、その後、アルバムがリリースされる約1ヶ月前に、予告シングルのようなかたちで"Play The Game"がリリースされたわけだが、そのような当時の状況から、自分自身は"Crazy Little Thing Called Love"、"Save Me"、"Play The Game"の3曲はシングル盤のレコードも購入していた。

ただ、"Crazy Little Thing Called Love"と、"Save Me"は、その後にリリースされるこの"The Game"に収録されるかどうかは分からなかったし、一刻も早く聴きたい気持ちで買ったのだが、"Play The Game"は、このアルバムがリリースされた暫く後に、B面には何が収録されているのか気になってレコード店で見てみたら知らない曲(アルバム未収録曲の"A Human Body")だったこともあり、それから何日か後に気になって購入したということを何となく覚えているので、もしかしたら、日本に於いてはアルバムと同時にシングルの"Play The Game"がリリースされていたのかも知れない。ちなみに、アルバムのリリース日は、イギリスが1980年6月30日だったのに対し、日本では約1か月後の1980年7月21日だった。

Japanese 7 Inch Vinyl Single Record (Label): Crazy Little Thing Called Love 「愛という名の欲望」 / Queen   Japanese 7 Inch Vinyl Single Record (Label): Save Me 「セイヴ・ミー」 / Queen

Japanese 7 Inch Vinyl Single Record (Label): Play The Game (A-Side) 「プレイ・ザ・ゲーム」 / Queen   Japanese 7-inch Record Label: Play The Game (B-Side) - A Human Body「ヒューマン・ボディ」 / Queen

ということで、このアルバムからの純粋なシングルカット曲と言えば、シングルとしては4曲目となる"Another One Bites The Dust"ということになるのではないかと思う。そして、冒頭でも述べたように、この"Another One Bites The Dust"も見事全米1位を記録するわけだが、この曲がシングルカットされた経緯については、フレディとも親交のあったマイケル・ジャクソンが、この曲こそがシングルに相応しいとの助言をくれたと語るメンバーへのインタビュー映像がDVDにも残されている。

その後も、アメリカや日本では「Need Your Loving Tonight / 夜の天使」が都合5曲目のシングルとしてリリースされた。

■ 各シングルのチャートポジションは以下のとおり。
· Crazy Little Thing Called Love (UK 2位 - Gold / US 1位 - Gold)
· Save Me (UK 11位)
· Play The Game (UK 14位, US 42位)
· Another One Bites The Dust (UK 7位 / US 1位 - Platinum)
· Need Your Loving Tonight (US 44位)

なお、2008年に「Billboard Hot 100」の50周年を記念して発表されたビルボード歴代ランキングでは"Another One Bites The Dus"が「All-Time Hot 100 top songs」の34位にランクしており、「All-Time top rock songs」では"Another One Bites The Dus"が8位、"Crazy Little Thing Called Love"が24位にそれぞれランクしている。

個人的には、それらのヒット曲の陰に隠れがちな"Dragon Attack"や"Sail Away Sweet Sister"といったブライアンの曲も割と好みでもあるのだが、収録曲のソングライターを見ると、フレディとブライアンが3曲ずつ、ジョンとロジャーが2曲ずつと、「News Of The World (世界に捧ぐ)/1977年」、「Jazz (ジャズ)/1978年」と続いた、アルバムに於けるソングライターのバランスが継承されている格好になっている。

アルバム全体の印象としては、ロカビリー・スタイルの"Crazy Little Thing Called Love"や、ビルボードのR&Bチャートでも2位を記録したファンク的アプローチの"Another One Bites The Dust"、テクノとニューウェーヴ風サウンドが合体したような"Coming Soon"といったように、これまでのスタイルを打ち破るような楽曲が含まれるものの、アルバムは1曲目が"Play The Game"、そしてラストが"Save Me"と、これまでのクイーンらしいスタイルの楽曲で挟まれている所為か、思ったほど突飛で散漫なイメージはないかなぁと。特に"Dragon Attack"が終わり、間髪入れずに"Another One Bites The Dust"が始まる辺りは、まるでこの2曲が対であるかのような印象もあるし、それなりにアルバムとしての流れが感じられる部分でもある。

ただ、やはり、オープニングのシンセ音だけはちょっと苦手かな。このイントロがブライアンのギターオーケストレーションで作られていたら随分と印象も変わったと思うのだが、それでも、それだと、これまでと何ら変わらないサウンドになってしまうし、どうせやるなら大胆にやるといったところにフレディらしさを感じたりもするわけで、まぁ、個人的には苦手であっても、そこは一概に否定できない部分でもあるのかなとは思う。それに、考えようによっては、オープニングのシンセ音がメンバーの決意とも取れるわけで、それが無ければこのアルバムの意義も失せてしまうのかもしれない。

なおアルバムには以下のクレジットがなされている。
This album includes the first appearance of a Synthesizer

 

TRACKLIST
01. Play The Game / プレイ・ザ・ゲーム」(Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
02. Dragon Attack / ドラゴン・アタック」(Writer: B. May / Lead Vocal: F. Mercury)
03. Another One Bites The Dust / 地獄へ道づれ」(Writer: J. Deacon / Lead Vocal: F. Mercury)
04. Need Your Loving Tonight / 夜の天使」(Writer: J. Deacon / Lead Vocal: F. Mercury)
05. Crazy Little Thing Called Love / 愛という名の欲望」(Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
06. Rock It (Prime Jive) / ロック・イット」(Writer: R. Taylor / Lead Vocal: R. Taylor (Intro: F. Mercury))
07. Don't Try Suicide / 自殺志願」(Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
08. Sail Away Sweet Sister / セイル・アウェイ・スウィート・シスター」(Writer: B. May / Lead Vocal: B. May (Bridge: F. Mercury))
09. Coming Soon / カミング・スーン」(Writer: R. Taylor / Lead Vocal: F. Mercury (Lead Chorus Vocals: R. Taylor))
10. Save Me / セイヴ・ミー」(Writer: B. May / Lead Vocal: F. Mercury)

NOTES
• Produced by Queen
• Recorded 1979 - 5, 8, 9, 10 / Recorded 1980 - 1, 2, 3, 4, 6, 7

• UK Albums Chart (The Official Charts Company) - 1位
• US Albums Chart (Billboard) - 1位 (4x Multi Platinum / RIAA-2002)

• 日本盤初回プレスCD(初CD化盤) [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞付(対訳無し)

 


 

■ 追記
こちらは、40周年を記念して2011年にリリースされた2枚組の"40th Anniversary Limited Edition" (2011 Digital Remaster)。

The Game (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  The Game (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  The Game (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen

TRACKLIST
Disc 1: The Game

Disc 2: The Game - Bonus EP
1. Save Me [Live In Montreal, November 1981]
2. A Human Body [B-Side]
3. Sail Away Sweet Sister [Take 1 With Guide Vocal]
4. It's a Beautiful Day [Original Spontaneous Idea, April 1980]
5. Dragon Attack [Live At Milton Keynes Bowl, June 1982]

The Game (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  The Game (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  The Game (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen

 

▼ Queen - Save Me (Official Video)

https://www.youtube.com/watch?v=Iw3izcZd9zU

 

▼ Queen - Making of Crazy Little Thing Called Love

https://www.youtube.com/watch?v=bwoNQ7qYAew

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