2014/07/25

REVENGE 「リヴェンジ」 / KISS (1992)

Album Cover (front): Revenge / KISS   Album Cover (back): Revenge / KISS   CD: Revenge / KISS

1989年にリリースされた前作の「Hot In The Shade / ホット・イン・ザ・シェイド」から3年ぶりとなったキッスのアルバムが、こちらの「Revenge / リヴェンジ」。若干インターバルがあったのは、メンバーのひとりであるエリック・カーが病により死去してしまったことが影響していると思われる。

アルバムタイトルについていえば、"Revenge"というタイトルになるという話しはエリック・カーが亡くなる前から伝えられていたので、その「復讐」というタイトルに、エリック・カーへの弔いの意味が込められているという訳ではないようだ。

とは言え、アルバムの最後にはエリック・カーが生前に残した音源を元に制作された「Carr Jam 1981 / エリック・カーに捧ぐ~カー・ジャム 1981」が収録されており、ブックレットのクレジットにも"This album is dedicated to the memory of Eric Carr"との一文が添えられていることから、追悼盤的な意味合いは含まれていると思われる。

しかしながら、このアルバムがエリック・カーに捧げられたアルバムであることは、アルバムの最後に収録されているトラックを見れば分かりますし、ブックレットのクレジットにも"This album is dedicated to the memory of Eric Carr"との一文が添えられています。

ということで、病の所為で部分的な参加に留まってしまったこのアルバムがエリック・カーの遺作となってしまったのだが、ファンとしては、しんみりとするのではなく、ここはやはり、アルバム最後に収録されている"Carr Jam 1981"のドラムソロに合わせて「エリック!エリック!」と心の中で声援を送る感じ(1980年のシドニーでのライヴのように)で聴くのがエリック・カーへの弔いにもなるのではないかと。

サウンドについて言えば、前作とは打って変わって、かなりダークでヘヴィーな印象があり、キッスのアルバムの中では「Hotter Than Hell / 地獄のさけび」、「Creatures Of The Night / 暗黒の神話」と並ぶヘヴィーな作品になるのではないかと思う。

そういった音作りについては、恐らくは、この当時のロックの主流であったハード・コアやグランジといったスタイルを取り入れて、彼ら流に消化したものだと思うが、ヘヴィーながらもドラマティックな展開が目立つのは、「Destroyer / 地獄の軍団」、「Music From "The Elder" / 魔界大決戦」といった過去のアルバムでも制作に携わったボブ・エズリンを再度プロデューサーに起用したことも一因かと

又、そのボブ・エズリンについては、アルバムのブックレットにインタビュー記事が掲載されており、そこには「KISSは、悪のイメージを持ったバンドであるべきだとは思わないか?彼らがナイスガイではつまらない」との一文も見受けられる。

収録曲については、ポールの曲とジーンの曲でカラーがくっきりと別れているような印象。そういえば、ジーンの曲がアルバムのオープニングを飾るというのも、実は初めてのことなんだよね。

 

Slipcase: Revenge / KISSKISS - Revenge (1992) 日本盤初回プレス

日本盤の初回プレスはジャケットと同じデザインの特製スリップケース付きで、ジャケットを兼ねた24ページの通常ブックレットに加えて、24ページのスペシャルブックレットが別途に付属。

なお、スペシャルブックレットには、ポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、ブルース・キューリック、それに、新メンバーのエリック・シンガー、そして、故エリック・カーのサインとメッセージが、それぞれ個別にポートレートと並べてレイアウトされている。

▼ スペシャルブックレット

Special 24-page Booklet: Revenge / KISS   Special 24-page Booklet: Revenge / KISS   Special 24-page Booklet: Revenge / KISS

▼ 通常ブックレット & スペシャルブックレット

Booklet & Special 24-page Booklet: Revenge / KISS   Booklet & Special 24-page Booklet: Revenge / KISS

 

再三、ポールとジーンの口から発せられていた「回復すればエリック・カーはラインナップに戻る」との言葉は、残念ながら現実のものとはならなかったものの、アルバムは米英で共にトップ10に入るヒットを記録。そして、シングルの"God Gave Rock 'N' Roll to You II"がイギリスで4位を記録するなど、このアルバムを機にバンドは再び上昇気流に乗り、その後は、本人たちも否定し続けていた、まさかのオリジナルメンバーでのリユニオンに繋がる訳だが、仮にエリック・カーの病状が奇跡的に回復したのであれば、そのリユニオンも、きっとピーターとエリックのツインドラムというスタイルになっていたのではないかと個人的には思う。見たかったなぁ、ツインドラムがせり上がるステージを・・・。

なお、"God Gave Rock And Roll To You II"は、アージェントの"God Gave Rock And Roll To You"(1973)のカヴァーで、曲名の最後に「II」と入っているのは、サビのパート以外の歌詞が別物と言ってほどに大きく変えられているからで、ソングライターの表記もオリジナルのラス・バラードに加え、ポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、そしてプロデューサーのボブ・エズリンの名が併記されている。

又、その"God Gave Rock And Roll To You II"のミュージックビデオについては、一時的に回復に向かっていたエリック・カーも参加して制作された。

 

▼ KISS - God Gave Rock And Roll To You II (Music Video)

 

▼ KISS - Unholy (Music Video)

 

▼ KISS - Heart Of Chrome

 

それにしても、その後はリユニオンの期間を除き、ずっとキッスのドラマーとしてバンドを支えていくことになるエリック・シンガーも、この時点では、まさか自分がメイクしてステージに立つ日が来るなんてことは考えもしなかったのではないだろうか。

余談ではあるが、個人的なことを言えば、このアルバムに関しては、実は、当時から"Unholy"~"God Gave Rock 'n' Roll to You II"~"Heart of Chrome"・・・という曲順でスタートする聴き方が好きで、その後もずっとそうして聴いている。

 

TRACKLIST
1. Unholy / 2. Take It Off / 3. Tough Love / 4. Spit /  5. God Gave Rock 'N' Roll To You II / 6. Domino / 7. Heart Of Chrome / 8. Thou Shalt Not / 9. Every Time I Look At You / 10. Paralyzed / 11. I Just Wanna / 12. Carr Jam 1981

1. アンホーリー / 2. テイク・イット・オフ / 3. タフ・ラヴ / 4. スピット / 5. ゴッド・ゲイヴ・ロックン・ロール・トゥ・ユー II / 6. ドミノ / 7. ハート・オブ・クローム / 8. ソウ・シャルト・ノット / 9. エヴリ・タイム・アイ・ルック・アット・ユー / 10. パラライズド / 11. アイ・ジャスト・ウォナ / 12. エリック・カーに捧ぐ~カー・ジャム 1981

 

NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付
• 帯は最初から付属していない仕様 [This CD had no obi from the biginning]

• KISS Revenge, 1992 Japanese first issue limited edition 12-track CD album including special 24-page Kiss photofile booklet plus 24-page picture sleeve booklet with lyrics, all housed in an outer picture slip-case.

• This album is dedicated to the memory of Eric Carr.

• Album: US 6位 (Gold / 1992-RIAA) / UK 10位
• Singles: "God Gave Rock 'n' Roll to You II" UK 4位 / "Unholy" UK 26位

 

MEMBERS
• Paul Stanley - Lead Vocals, Guitar
• Bruce Kulick - Guitars and Leads
• Eric Singer - Drums and Vocals
• Gene Simmons - Lead Vocals, Bass
• Eric Carr - Drums on "Carr Jam 1981", Backing Vocals on "God Gave Rock 'n' Roll to You II"

0 件のコメント:

コメントを投稿