こちらは、クイーンのドラマーであるロジャー・テイラーが、フレディの死から3年近くを経てリリースしたソロアルバム"Happiness?"。クイーンのアルバムではストレートなロックやニューウェーヴ風の楽曲を多く提供していたロジャーのソロということで、ここでもそんなスタイルの楽曲を中心に収録されていると思いきや、思いのほか聴く前に抱いていたイメージと違うことにやや意表を突かれたアルバムでもあった。
どことなくジョン・レノンといった雰囲気もあり、これまでのロジャーには無かったメッセージ色の強い内容。この辺りは、もしかしたらフレディの死というものが多少なりとも影響しているのだろうか・・・。ライナーノーツに記載されているインタビューには「歳を積み重ねるとこうなるのさ」とサラリと答えているが、どこか内省的な印象がある一方、幸福とは何かを世の中に問いかけているような作品にも感じられる。
アルバムの中で、個人的に好きな曲を挙げると、"Touch The Sky"と"The Key"の2曲ということになのだが、全体としてはクイーンのサウンドに比べると、抑揚が少ないシンプルな印象がある。というか、"X Japan"の"Yoshiki"とのコラボレート曲である"Foreign Sand"のようなドラマティックな曲が逆にアルバムでは異彩を放っているといった印象。
▼ Roger Taylor & Yoshiki - Foreign Sand (promotional video, 1994)
https://www.youtube.com/watch?v=-zsrqNAwsbM
▼ Roger Taylor + Yoshiki - The Great Music Experience - 1994.05.20 - Foreign Sand (Live)
https://www.youtube.com/watch?v=YOMV6el30Kc
クイーンではドラマーという役割だったが、ここではドラムというよりも、よりヴォーカルに比重を置いたアルバムのように感じられる。まぁ、これまでのソロワークスでもそうだったが、クイーンでもロジャーの声がコーラス・ハーモニーの要でもあったし、ブライアンと同様に、クイーンのアルバムに於いても幾つかの曲でリードヴォーカルをとっていたロジャーということで、このようなスタイルになるのも、ごく自然な流れなのかもしれない。
というか、いくら好きなバンドとは言っても、単にドラムだけを叩いているソロだったら間違いなく買ってないだろうね(笑)。こう言っては何だが、ドラマーのソロアルバムなんて、中々買おうとしないからね。
又、そういった意味に於いても、これは、シンガーソングライター、ロジャー・テイラーとしてのアルバムといった感じ。
▼ Roger Taylor - Happiness (promotional video, 1994)
https://www.youtube.com/watch?v=x02BUTGJ5To
▼ Roger Taylor - The Key (Lyric Video)
https://www.youtube.com/watch?v=pNRW6IJLwZA
▼ Roger Taylor - Touch The Sky (Lyric Video)
https://www.youtube.com/watch?v=Tw1sf2BmcdE
そして、下の動画は1979年4月25日の武道館公演。歓声を聞いても分かるように、この時代の日本に於いては、クイーンのメンバーの中で最も女性ファンが多かったのが、このロジャー・テイラーだったのだ。仮に、何の知識も無い状態で、4人の写真だけを見せられて、このバンドのリードヴォーカルは誰かと聞かれたら、多分、多くの人がロジャーを指すんじゃないかと思う。
▼ I'm In Love With My Car - Queen Live in Tokyo 1979
https://www.youtube.com/watch?v=cYkcI8b3ZYM
[おまけ]
こちらは若かりし頃のロジャーのルックスにどことなく似ているカーズの故ベンジャミン・オール。
▼ The Cars - Just What I Needed (The Midnight Special 1978)
https://www.youtube.com/watch?v=TsPh-EgH65M
で、この"Happiness?"について話を戻すと、アルバムの最後には"Old Friends"という曲が収録されているのだが、"Friends"と複数形にはなっているものの、フレディのことを含めて歌ったものであるかのようでもあり、興味深いところである。
以下はその歌詞の一部
最後の別れにグラスを掲げよう
安らかにおやすみ 僕の中で君は永遠に生き続ける
全てを越えて、今、君に言えるのはただこれだけ
君は本当の友達だった
又、ブックレットの最後には、タスマニアタイガーとフレディに本作を捧げる旨の一文がクレジットされている。
なお、日本盤には6曲目に"Final Destination"(シングル"Foreign Sand"にのみ収録されているカップリング曲)がボーナストラックとして収録されているが、何故かUK盤の11曲目に収録されている"Dear Mr Murdoch"が収録曲から外されている。
ちなみに、アルバムタイトル、及び、曲目には邦題(日本語表記)が無く、全て英語表記になっている。
TRACKLIST (Japan Edition)
1. Nazis 1994 / 2. Happiness / 3. Revelations / 4. Touch The Sky / 5. Foreign Sand / 6. Freedom Train / 7. Final Destination [Additional Track for Japan Only] / 8. 'You Had To Be There' / 0. The Key / 10. Everybody Hurts Sometime / 11. Lonliness... / 12. Old Friends
NOTES
• Tracks 5, 7 - Roger Taylor with Yoshiki
• The Japanese CD version adds "Final Destination", but drops "Dear Mr Murdoch"
• "Foreign Sand" - Yoshiki (Arrangement, Drums, Piano and Synthesizer) / Roger Taylor (Vocals)
• "Final Destination" - Yoshiki (Arrangement, Drums, Piano and Synthesizer) / Roger Taylor (Drums, Vocals)
• シングルヴァージョンの"Foreign Sand"は、アルバムヴァージョンよりも2分以上短く編集されているが、その他にも、最初にドラムが入ってくるまでのパートでは、アルバムヴァージョンだとバッキングがストリングス(シンセ?)とギターなのに対し、シングルヴァージョンだとストリングス(もしくはシンセ)とピアノになっていたりと、細かい部分での違いがある。
• Album: 22位 (UK)
• Singles: "Nazis 1994" 22位 (UK) /
"Foreign Sand (Roger Taylor & Yoshiki)" 26位 (UK) /
"Happiness" 32位 (UK)
• ブックレットの最後には次の一文が添えられている。
dedicated to the tasmanian tiger - thylacinus cynocephalus...
but most especially... for freddie
補足
tasmanian tiger → タスマニアタイガー
thylacinus cynocephalus → フクロオオカミ
※フクロオオカミ(ウィキぺディア)
オーストラリアのタスマニア島に生息していた大型肉食獣で1936年に絶滅。タスマニアオオカミの別名があるほか、背中にトラを思わせる縞模様があることから、タスマニアタイガーとも呼ばれる。
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付
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