2015/10/23

BUILT TO DESTROY 「限りなき戦い」 / THE MICHAEL SCHENKER GROUP (1983)

CDの帯:限りなき戦い / MSGAlbum Cover (front): Built To Destroy / The Michael Schenker Groupマイケル・シェンカー・グループのスタジオアルバムとしては4作目に当たる「Built To Destroy / 限りなき戦い」は、オリジナルの"UK Mix"と、その後直ぐに差し替えてリリースされた"US Mix"の2種類が存在するのだが、2014年にリリースされたこの再発盤(2009年デジタル・リマスター)は"UK Mix"と"US Mix"の両方が全曲収録されている。

この2つのヴァージョンは、ミックス違いとはいえ、"US Mix"の方では新たに"Derek St. Holmes"がメンバーに加わってヴォーカルをとっている曲があり、その他にも新たにレコーディングされたパートがあったりと、曲によってはかなりの違いが感じられるので、これ1枚で全曲を聴き比べることができるのがこの再発盤の良いところ。

アルバムは、前半がオリジナルの"UK Mix"で、後半が"US Mix"という構成になっており、"US Mix"の方はリリースされた当時の海外盤と同じ曲順で収録されている。

ということで、曲順も"UK Mix"と"US Mix"ではかなりの違いがあり、アルバムの印象も大きく違うのだが、発売当時の日本盤"US Mix"は、先にリリースされたオリジナルの"UK Mix"の曲順に沿うかたちでリリースされていた。まぁ、"US Mix"の曲順は大胆というか、アメリカ的というか、流れ?何それ?といった感じだったので、日本盤ではオリジナルの"UK Mix"と同じ曲順に変更されたのも頷けるところではある。

で、この"Built To Destroy"については、前作のグラハム・ボネットに代わり、再びゲイリー・バーデンがヴォーカルに復帰して制作されたアルバムだったわけだが、歌唱力に長けたグラハム・ボネットに代わり、再びゲイリー・バーデンが復帰することに対して疑問を呈する声も少なからずあったように思う。ただ、自分自身はゲイリー・バーデンの声質の方がマイケル・シェンカーのギターと音楽性には合っていると感じていたので、このゲイリー・バーデンの復帰を歓迎していたのだった。それに巷で言われるほどゲイリー・バーデンの歌唱力に難があるとは思っていなかったしね。

それでも、当時は、ヴォーカルが弱いだの何だのといった声が音楽雑誌等を通して頻繁に伝えられてたことから、マイケル・シェンカーも恐らくはそういった声があることを知っていたと思うのだが、インタビュー記事では事あるごとに「ゲイリーは素晴らしいヴォーカリスト」と語っていたのが印象的だった。

 

Album Cover (back): Built To Destroy / The Michael Schenker Group  CD Case (back cover): Built To Destroy / 
The Michael Schenker Group  CD: Built To Destroy / The Michael Schenker Group

 

アルバム自体は収録された楽曲の充実度も高く、自分自身はセカンド・アルバムの「MSG / 神話」と並んで好きなアルバムなのだが、オープニングの「Rock My Nights Away / ロック・マイ・ナイツ・アウェイ」(キーボードのアンディ・ナイ作)が若干シンセポップのような雰囲気もあった所為か、当時は批判的な意見もあったように思う。それでも自分自身はオープニングに相応しい良い曲だと思っていたし、このキーボードの音色も曲の雰囲気に合っていて良いと感じていた。というか、むしろ、エレクトリック・ピアノっぽい音に変更された"US Mix"の方が違和感があった。

実を言うと、この"Rock My Nights Away"のキーボードの音色が"US Mix"に馴染めなかったひとつの要因でもあった。まぁ、日本盤の"US Mix"では、その"Rock My Nights Away"がアルバムの1曲目ということもあって、出だしから印象が良くなかったことから、全体の印象もそのイメージを引きずったようなところもあったように思う。

と、そういったことから、自分自身は、後からリリースされた"US Mix"を今ひとつ好きになれず、結局はオリジナルの"UK Mix"ばかり聴いていた。

ただ、ラストの「Rock Will Never Die (Walk The Stage) / ロック・ウィル・ネヴァー・ダイ」だけは、"US Mix"の方が好きで、カセットテープには"UK Mix"の最後だけ"US Mix"の"Rock Will Never Die (Walk The Stage)"に入れ変えて聴いていたことを覚えている。

 

▼ ブックレットの裏面はオリジナルの"UK Mix"の裏ジャケットが使用されている

Built To Destroy / The Michael Schenker Group

 

▼ CDケース裏面のバックカヴァー

Built To Destroy / The Michael Schenker Group

 

▼ でも、CDラベルに記されている曲目はボーナストラックの表記が目茶苦茶

Built To Destroy / The Michael Schenker Group

 

この目茶苦茶なボーナストラックの表記は、2000年の再発盤とボーナストラックの曲目及び、曲数が曲順を含めて一致することから、恐らくはそのときのラベルをそのまま流用して使ったからなんだろうと思う。リマスターの表記も2000年になっているし。

 

▼ LPレコードでリリースされた当時の曲目と曲順は以下の通り

Original UK Mix

1. Rock My Nights Away
2. I'm Gonna Make You Mine
3. The Dogs Of War
4. Systems Failing
5. Captain Nemo
6. Still Love That Little Devil
7. Red Sky
8. Time Waits (For No One)
9. Walk The Stage

US Mix

1. I'm Gonna Make You Mine
2. Time Waits (For No One)
3. Systems Failing
4. Rock Will Never Die (Walk The Stage)
5. Red Sky
6. Rock My Nights Away
7. Captain Nemo
8. The Dogs Of War
9. Still Love That Little Devil

US Mix (日本盤)

1. Rock My Nights Away
2. I'm Gonna Make You Mine
3. The Dogs Of War
4. Systems Failing
5. Captain Nemo
6. Still Love That Little Devil
7. Red Sky
8. Time Waits (For No One)
9. Rock Will Never Die (Walk The Stage)

 

ということで、先にも述べたように、この再発盤では"US Mix"の方の曲順は海外盤に準じたかたちで収録されているが、個人的には、聴き比べし易いという点でも、オリジナルの曲順に沿って並び替えてリリースされた当時の日本盤LPの曲順構成でも良かったように思う。

 

The Michael Schenker Group (Band Members)
• Michael Schenker (マイケル・シェンカー) - Guitars
• Gary Barden (ゲイリー・バーデン) - Vocals
• Chris Glen (クリス・グレン) - Bass
• Ted McKenna (テッド・マッケンナ) - Drums
• Andy Nye (アンディ・ナイ) - Keyboards

(US Mix and Touring Personnel)
• Derek St. Holmes (デレク・セント・ホルムズ) - Vocals, Rhythm Guitar (Lead Vocals on the "US Mix Version" of "Still Love That Little Devil")

 

TRACKLIST
Original UK Mix: 1. Rock My Nights Away / 2. I'm Gonna Make You Mine / 3. The Dogs Of War / 4. Systems Failing / 5. Captain Nemo / 6. Still Love That Little Devil / 7. Red Sky / 8. Time Waits (For No One) / 9. Rock Will Never Die (Walk The Stage) / US Mix (Bonus Tracks): 10. I'm Gonna Make You Mine / 11. Time Waits (For No One) / 12. Systems Failing / 13. Rock Will Never Die (Walk The Stage) / 14. Red Sky / 15. Rock My Nights Away / 16. Captain Nemo / 17. The Dogs Of War / 18. Still Love That Little Devil

Original UK Mix: 1. ロック・マイ・ナイツ・アウェイ / 2. メイク・ユー・マイン / 3. 戦争の犬たち / 4. システムス・フェイリング / 5. キャプテン・ネモ / 6. 魔性の女 / 7. レッド・スカイ / 8. タイム・ウェイツ / 9. ロック・ウィル・ネヴァー・ダイ / US Mix (Bonus Tracks): 10. メイク・ユー・マイン / 11. タイム・ウェイツ / 12. システムス・フェイリング / 13. ロック・ウィル・ネヴァー・ダイ / 14. レッド・スカイ / 15. ロック・マイ・ナイツ・アウェイ / 16. キャプテン・ネモ / 17. 戦争の犬たち / 18. 魔性の女

 

NOTES
• 2009 Digital Remaster
• Tracks 1-9: Original UK Mix Version / Tracks 10-18: US Mix Version
• 解説・歌詞・対訳付
• CD発売日:2014年01月29日(再発盤)

• UK 23位 / JP 6位

 

▼ MSG - Rock Will Never Die (Live At The Hammersmith Odeon '83)

 

▼ MSG - I'm Gonna Make You Mine (Live At The Hammersmith Odeon '83)

 

▼ MSG - Rock My Nights Away (Live At The Hammersmith Odeon '83)

 

[Official Audio]

▼ MSG - Systems Failing (2009 Remaster)
https://www.youtube.com/watch?v=KDBJmjmRb-4

▼ MSG - Red Sky (2009 Remaster)
https://www.youtube.com/watch?v=QLn-6KBpagM

▼ MSG - Time Waits (For No One) (2009 Remaster)
https://www.youtube.com/watch?v=lvrBqFmnA8I

 

 

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