当時はLPレコードで持っていた、この高橋ユキヒロ(現在はカタカナ表記から漢字表記に変えた「高橋幸宏」名義で活動されている)の2枚目のソロアルバム「Murdered by the Music / 音楽殺人」は、フォーマットがCDに変わってからもちょくちょく聴いているというくらい好きなアルバム。
中でも"BLUE COLOUR WORKER"と"BIJIN-KYOSHI AT THE SWIMMING SCHOOL"の2曲がLPレコードで聴いていた当時から好きで、今でもこの2曲は他の曲に比べると一際聴く機会も多いのだけど、この2曲が特に好きというだけであって、アルバムとしても結構バラエティーに富んだ作りで、その他の曲も、それぞれに魅力があっていいんだよね。
"BLUE COLOUR WORKER"について言えば、曲そのものも素晴らしいのだが、バックヴォーカルで聴けるサンディーの歌声がこれまた素晴らしいのだ。当時は「なんて綺麗な声なんだ」と聴き惚れていたんだよね。
一方の"BIJIN-KYOSHI AT THE SWIMMING SCHOOL"はインストゥルメンタル曲で、ベンチャーズに提供した曲のセルフカヴァー。曲を聴いても分かるように、いかにも夏に似合いそうな曲。
▼ 高橋ユキヒロ - BLUE COLOUR WORKER
▼ 高橋ユキヒロ - BIJIN-KYOSHI AT THE SWIMMING SCHOOL
又、アルバムにはアメリカの女性ヴォーカル・グループ、ザ・スプリームス(シュープリームス)が1965年にリリースした米ビルボードチャートに於けるNo.1ヒット曲である"Stop! In The Name Of Love"のカヴァーが収録されていることからも分かるように、おどろおどろしいアルバムタイトルとは裏腹に、アルバム内にはポップで親しみ易い曲が散りばめられている。
▼ 高橋ユキヒロ - STOP IN THE NAME OF LOVE
なお、"KID-NAP, THE DREAMER"、"BLUE COLOUR WORKER"、"STOP IN THE NAME OF LOVE"の3曲でバックヴォーカルに参加しているサンディーとは、その後、サンディー & ザ・サンセッツとして活動するそのサンディー(スペイン人と日本人とのハーフで、本名は鈴木あや)。ちなみに、そのサンディー & ザ・サンセッツのシングル「Sticky Music / スティッキー・ミュージック」はオーストラリアのチャートで11位のヒットを記録している。
▼ Sandii and the Sunsetz - Sticky Music
https://www.youtube.com/watch?v=pjbqByI1Y3c
▼ Sandii and the Sunsetz - Sticky Music (Live)
https://www.youtube.com/watch?v=vPmMacoI7Y8
そして、このサンディー、実はそれ以前にもサンディー・オニール名義で、アガサ・クリスティ原作の映画「ナイル殺人事件」のテーマ曲「ミステリー・ナイル」を歌ったりもしていたのだ。この曲は映画の公開と共に結構ヒットしていた覚えがあるので知っている人も多いのではないかと思うが、ただし、この曲は日本の配給会社が独自に制作したテーマ曲なので、オリジナルの映画には使われていない。それでも、日本ではこの曲が映画の興行に果たした役割も大きかったのではないかとは思うところ。まぁ、当時は映画のテーマ曲といえばインストゥルメンタル曲が多かったこともあり、結構印象的だったからね。
▼ サンディー・オニール - ミステリー・ナイル (Mystery Nile)
http://www.youtube.com/watch?v=qge9GaBue6w
余談になるが、この「ミステリー・ナイル」がヒットしたこともあってか、その後も、この「○○殺人事件」シリーズの映画では日本独自のテーマ曲が作られている。
こちらは「地中海殺人事件」のテーマ曲
▼ キャシー・アンド・カレン - 渚のミステリー (Evil Under the Sun)
http://www.youtube.com/watch?v=tTm33cXx3N4
「ミステリー・ナイル」にしても「渚のミステリー」にしても、どことなく想像を掻き立てるようなミステリアスな雰囲気があっていいんだよね。この時代のプロの作曲家のレベルの高さを窺い知れるような魅力的な曲。
サンディーについて更に続けると、実はこの他にも、サンドラ・ホーン名義で「ルパン三世」のエンディング曲「ラブ・スコール」も歌っていらっしゃるのだ。
▼ サンドラ・ホーン - ラヴ・スコール (LOVE SQUALL)
https://www.youtube.com/watch?v=CS52VaEnLWM
又、2010年にDVDでリリースされたセリーヌ・ディオンの"Celine - Through the Eyes of the World"には、サンディーのアルバム"WATASHI"に収録されている「雪~わたし」のカヴァー"Watashi Wa Totemo Shiawase Ne"が収録されている。
なんだかサンディーの記事みたいになってきたが(笑)、最後は幸宏氏の"60th Anniversary Live"より。
▼ 高橋幸宏 60th Anniversary Live「Murdered By The Music」
https://www.youtube.com/watch?v=y2Uh7FGqLDI
なお、この再発盤には、このアルバムについて語る高橋幸宏のインタビュー記事が新たに掲載されており、例えば"BLUE COLOUR WORKER"のシングルは、わざと'60年代っぽく「悲しきブルーカラーワーカー」というタイトルにしたとか、その"BLUE COLOUR WORKER"に出てくる「会社は辛いなぁ」の台詞は当時の自分の状況とも合致していたとか、なかなか興味深い内容となっている。
TRACKLIST
[FACE 1] 1. SCHOOL OF THOUGHT / 2. MURDERED BY THE MUSIC / 3. KID-NAP, THE DREAMER / 4. I-KASU! / 5. RADIOACTIVIST / [FACE 2] 6. NUMBERS FROM A CALICULATED CONVERSATION / 7. BIJIN-KYOSHI AT THE SWIMMING SCHOOL / 8. BLUE COLOUR WORKER / 9. STOP IN THE NAME OF LOVE / 10. MIRRORMANIC / 11. THE CORE OF EDEN
NOTES
• Sandi: Background Vocals (M-3, 8, 9)
• 収録曲のタイトルは全て英語表記で、日本語表記はされていないが、シングルカットされた「MURDERED BY THE MUSIC」と「BLUE COLOUR WORKER」のシングル盤は、それぞれ「音楽殺人」、「悲しきブルーカラーワーカー」という日本語のタイトルでリリースされている。
2005年再発盤
• 高橋幸宏の新インタビュー掲載
• オリジナル・マスターテープからのデジタル・リマスタリング(監修:高橋幸宏)
[関連記事]
▶ Snakeman Show 「スネークマン・ショー」 (1981)
▶ Sealed 「シールド」 (1984) / Y.M.O.
▶ Zero Landmine (2001) / N.M.L. (No More Landmine)
▶ WORLD CITIZEN - i won't be disappointed (2003) / Ryuichi Sakamoto + David Silvian
0 件のコメント:
コメントを投稿