この「Tambu / タンブ」は、オリジナルメンバーのジェフ・ポーカロが亡くなり、一時はバンドとしての存続が危惧されていた"TOTO"が、後任のドラマーにサイモン・フィリップスを迎えてリリースした9作目のスタジオアルバム。
自分自身は、1990年にリリースされた"TOTO"初のベストアルバム「Past to Present 1977-1990 / グレイテスト・ヒッツ ~Past to Present 1977-1990~」以降、アルバムを購入することもなく、暫くは"TOTO"から離れていた状態だったのだが、ニューアルバムとしてリリースされたばかりのこのアルバム"Tambu"をCDショップでたまたま見つけたときは、何となく直感のようなものを感じて買ったのだった。
で、どうだったかというと、アルバムには思いのほかバラードタイプの曲が多く収録されていることもあってか、比較的取っ付き易い感じはあるのだが、メインのヴォーカリストがスティーヴ・ルカサーということもあり、スティーヴ・ルカサーのソロのような雰囲気も無きにしも非ずといった印象だった。
別にスティーヴ・ルカサーのヴォーカルがダメということではなく、実際、初期のアルバムにあるスティーヴ・ルカサーがヴォーカルをとる曲は好きな曲が多いくらいなのだが、やっぱりアルバムに2、3曲あるくらいがスティーヴ・ルカサーのヴォーカルも引き立つように思うんだよね。
アルバムとしては、正直言って、それほどのめり込んで聴くことはなかったのだが、それでも、ペーパーバック風にデザインされたブックレットを含めたパッケージ全体のトータルアートワークは素晴らしいので、このアルバムならではの雰囲気が頭に残っていることもあってか、時折思い出したように聴くアルバムではある。
実際、個々の楽曲は悪くはないし、2. "I Will Remember"、4. "If You Belong To Me"、6. "The Other End Of Time"、10. "Just Can't Get You"、12. "The Road Goes On"と、5曲もが収録されているバラード曲もそれぞれに良くできていると思う。ただ、全体的に落ち着いた雰囲気がある所為か、初期のアルバムで感じたようなきらめきは感じなかった。まぁ、この辺りは、初期のアルバムに対する思い入れとか、自分自身の年齢といったものが影響している部分もあるだろうし、"TOTO"のメンバー自身についても、それぞれに年齢を重ねるにつれて音楽的志向も多少変わってくるだろうから、このことについては、ある意味、致し方ないことなのかもしれない。
それでも、例えば、1曲目の"Gift Of Faith"が、仮にボビー・キンボールのヴォーカルで、3作目の「Turn Back / ターン・バック」に収録されていたらと考えると、これはこれで全然違和感は無いように思うし、5曲のバラードも、どれか1曲が初期のアルバムに収録されていたらと想像してみると、不思議とこれまたさほど違和感も無いようにも思うんだなぁ、これが。
なんてことを考えると、やっぱりメインヴォーカリストがいて、スティーヴ・ルカサーやデヴィッド・ペイチがヴォーカルをとる曲が数曲あり、アルバムによっては、その他のメンバーがヴォーカルをとる曲も時折含まれるという、初期のアルバムにあったそんなスタイルが、アルバムに多様性をもたらすと同時に、魅力をも増幅させていたのではないかと思ったりもする。
ただ、初期のアルバムからすると、ブルージーでグルーヴィーな雰囲気が増した印象があり、そういった類のサウンドが好きな人には、むしろ印象が良かったりもするのかもしれないとは思うところではある。
一応、楽曲単体で見ると、さほど悪くはないし、嫌いというわけでもないのに、いまいちのめり込むことができないのは何故なのかと自分なりに考えてみたのだが、結論としては、バラードタイプの曲が多く含まれているということもあってか、アルバムの中盤までは1曲毎にバラードが登場するという構成が、いまひとつ盛り上がりに欠ける要因ではないかという考えに至った。
とまぁ、そんなこともあって、曲順を変えて変化をつけてみたところ、以前よりも多少印象は良くなったように思う。
ちなみ曲順は、1. "Gift Of Faith"、2. "Slipped Away"、3. "I Will Remember"、4. "Baby He's Your Man"、5. "Dave's Gone Skiing"、6. "If You Belong To Me"・・・といったように、1曲毎にバラードが配置されている中盤までの単調な流れを若干変えただけで、大きく変えてはいないが、今のところはこの流れがけっこう気に入っている。
アルバムのチャートポジションを見てみると、残念ながら、アメリカとイギリスではチャートインせずという結果に終っているが、フィンランドで6位、ノルウェーで5位、スウェーデンで6位といったように北欧の国ではトップ10に入るヒットを記録している。
TOTO - BAND MEMBERS (Listed in Booklet)
• Keyboards & Vocals - David Paich (デヴィッド・ペイチ)
• Guitars & Vocals - Steve Lukather (スティーヴ・ルカサー)
• Bass - Mike Porcaro (マイク・ポーカロ)
• Drums - Simon Phillips (サイモン・フィリップス)
▼ TOTO - I Will Remember
[Audio]
▼ TOTO - Gift Of Faith
https://www.youtube.com/watch?v=P-gDtseOEm8
▼ TOTO - The Other End Of Time
https://www.youtube.com/watch?v=Llhef99Y9_c
▼ TOTO - The Road Goes On
https://www.youtube.com/watch?v=iIU4WBkiR7I
TRACKLIST
1. Gift Of Faith / 2. I Will Remember / 3. Slipped Away / 4. If You Belong To Me / 5. Baby He's Your Man / 6. The Other End Of Time / 7. The Turning Point / 8. Time Is The Enemy / 9. Drag Him To The Roof / 10. Just Can't Get You / 11. Dave's Gone Skiing / 12. The Road Goes On / 13. Blackeye -Bonus Track for Japanese fans-
1. ギフト・オブ・フェイス / 2. アイ・ウィル・リメンバー / 3. スリップト・アウェイ / 4. イフ・ユー・ビロング・トゥ・ミー / 5. ベイビー・ヒーズ・ユア・マン / 6. ジ・アザー・エンド・オブ・タイム / 7. ターニング・ポイント / 8. タイム・イズ・ジ・エネミィ / 9. ドラッグ・ヒム・トゥ・ザ・ルーフ / 10. ジャスト・キャント・ゲット・トゥ・ユー / 11. デイヴズ・ゴーン・スキイング / 12. ロード・ゴーズ・オン / 13. ブラックアイ -Bonus Track for Japanese fans-
NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付
• Lead Vocals:
Tracks 1, 2, 3, 4, 6, 8, 9, 12 - Steve Lukather
Track 5 - Steve Lukather and Jenny Douglas-McRae
Track 7 - Steve Lukather, Jenny Douglas-McRae and David Paich
Track 10 - David Paich, Steve Lukather, John James and Jenny Douglas-McRae
Track 11 - Instrumental
Track 13 - Jenny Douglas-McRae
• Booklet-info: "Dedicated in loving memory to Jeff Porcaro."
• Single: "I Will Remember" 64位 (UK)
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