この「Carnival of Souls - The Final Sessions / カーニバル・オブ・ソウルズ」は、本来なら1992年の「Revenge / リヴェンジ」に続くキッスのスタジオ・アルバムとしてリリースされるはずだったのだが、その間にバンドはまさかのオリジナル・メンバーでのリユニオンを果たし、更には再びメイクを施しての大規模なワールド・ツアーを開始したことから、結局はタイミング的にも素顔で活動していた時期のこのアルバムをリリースする意義も失われた格好となり、結果的にお蔵入りという憂き目に・・・。
それでも、約2年に及ぶオリジナル・メンバーでのワールド・ツアーが終了した後に、殆どプロモーションされることもなくひっそりとこのアルバムがリリースされた背景には、流出した音源がバンド側の関与が無いまま出回ってしまっていたことが関係していたらしく、それらの海賊盤対策という意味合いがあったとも言われている。セピア色がかった地味なジャケットが何となく海賊盤ぽいのも何やら意味深なところ。
まぁ、その後の展開を考えると、オリジナル・メンバーでのツアーが大盛況のうちに終了したという状況下でこのアルバムをプロモーションすることが得策ではないとする判断も至極当然のことだと思うし、"The Final Sessions"というサブタイトルが付けられたのも、そのような状況を考慮し、現在のキッスと区別する意味合いが含まれていたのかもしれない。
ただ、そういった経緯からして、購入層の殆どんが熱心なファンだと思われるアルバムながらも、ビルボードチャートでは27位を記録しているのことから、裏を返せば、いかに固定ファンが多いバンドであるかということの証でもあったのではないかと思う。
なお、バンドがオリジナル・メンバーでの活動に舵を切ったことから、結果的にはバンドを離れることになってしまった現メンバーのブルース・キューリック (G, Vo) とエリック・シンガー (Ds, Vo) の2人についてはその後もギャランティが支払われていたようで、ジーン曰く、優雅な有給休暇が与えられていたとのこと。
全体の印象としては、前作の"Revenge"で見られたグランジやオルタナティヴ色を更に推し進めたサウンドといった感じで、全体的にはへヴィでダークな印象ながらも、ムーディーな雰囲気があり、個人的には結構好きなアルバム。ただ、こういう路線のサウンドはジーンのヴォーカルだと正にハマリ役といった印象があるものの、明と暗で言えば明のイメージがあるポールにはあまり向いてないように感じる部分も無きにしも非ずといったところ。
ちなみに、アルバム最後の曲"I Walk Alone"はブルース・キューリックが初めてリード・ヴォーカルをとった曲で、ジーンやポールがヴォーカルをとる他の曲とはまた一味違う朴訥な雰囲気があって、これがまた中々良いんだよね。
▼ KISS - Childhood's End
▼ KISS - Seduction Of The Innocent
▼ KISS - I Walk Alone
KISS - BAND MEMBERS (As Listed in CD Booklet)
• Paul Stanley (ポール・スタンレー) - Vocals, Guitar
• Gene Simmons (ジーン・シモンズ) - Vocals, Bass
• Bruce Kulick (ブルース・キューリック) - Vocals, Guitar
• Eric Singer (エリック・シンガー) - Drums
TRACKLIST
1. Hate / 2. Rain / 3. Master & Slave / 4. Childhood's End / 5. I Will Be There / 6. Jungle / 7. In My Head / 8. It Never Goes Away / 9. Seduction Of The Innocent / 10. I Confess / 11. In The Mirror / 12. I Walk Alone
1. ヘイト / 2. レイン / 3. マスター・アンド・スレイヴ / 4. チャイルドフッズ・エンド / 5. アイ・ウィル・ビー・ゼア / 6. ジャングル / 7. イン・マイ・ヘッド / 8. イット・ネヴァー・ゴーズ・アウェイ / 9. セダクション・オブ・ザ・イノセント / 10. アイ・コンフェス / 11. イン・ザ・ミラー / 12. アイ・ウォーク・アローン
NOTES
• Lead Vocals: Gene Simmons (1, 4, 7, 9, 10) / Paul Stanley (2, 3, 5, 6, 8, 11) / Bruce Kulick (12)
• CD発売日: 2013年3月20日(再発盤)
• SHM-CD
• 解説・歌詞・対訳付
• US 27位
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