2017/02/04

LONG ROAD OUT OF EDEN / EAGLES (2007)

CDの帯(初回プレス盤):ロング・ロード・アウト・オブ・エデン / イーグルスAlbum Cover (front): Long Road Out of Eden / Eagles Album Cover (back): Long Road Out of Eden / Eagles Booklet (front): Long Road Out of Eden / Eagles

実質、再結成後の復活アルバムと言える1994年リリースのアルバム"Hell Freezes Over"から13年ぶり、そして、フルレンスのスタジオ・アルバムとしては1979年の"The Long Run"以来、実に28年ぶりとなるイーグルスのアルバムがこの「Long Road Out of Eden / ロング・ロード・アウト・オブ・エデン」。

実を言うと、約1年前の昨年の1月にこのアルバムを取り上げようと準備していたのだが、丁度その時にグレン・フライの悲報が飛び込んできて、取り上げるのを延期していたのだった。

延期した理由としては、そうなると当然グレン・フライの死についても語らなくてはならず、タイミング的にもなんだか人の死を単にウェブサイトのネタとして扱っているようで、気分的にも乗らなかったからといったところ。

ということで、その時から1年経ったら再び取り上げようと思っていたこともあり、今、こうして記事を書いているところ。まぁ、このアルバムがリリースされて丁度10年目の年ということで区切りもいいかなと。

で、この"Long Road Out of Eden"はリリースされて直ぐに買ったアルバムではあったものの、正直言うと、最初に聴いた時からいまひとつピンとこなくて、2枚組にする必要性も無かったのではないかという思いがあったのだが、実は今でもその印象はあまり変わらない。

実際、アルバムを通して聴いたのは買った当初の数回だけで、その後は時折アルバム内の数曲を拾い出して聴くといった感じでしか聴いていなくて、どちらかと言えば、それ以前のアルバムの曲を聴くことの方が多いような気もする。それに、仮にイーグルスのアルバムを好きな順に並べるとすると、残念ながらこのアルバムより下に持ってくるアルバムは見当たらないのだ。

アルバムのイントロダクション的なアカペラの"No More Walks In The Wood"に続く出だしの"How Long"がカヴァー曲なのも何だかちょっと微妙な感じで、ましてやこの曲が第一弾シングルと言うのも自分としてはイマイチ納得できないようなところもあった。まぁ、初期の頃にライヴで演奏していた曲ということで、ドン・ヘンリーとグレン・フライの2人には思い入れがある曲なんだろうなとは思うんだけどね。

それに、アルバム内で最も印象に残ったティモシー・B・シュミットがヴォーカルをとる"I Don't Want To Hear Any More"がこれまたカヴァー曲だというのも何だかなぁといった感じ。まぁ、とは言いつつも、ティモシーのヴォーカルに合った良い曲だと思うし、アルバム内では最も好きな曲のひとつではある。

それでも、やっぱり、数々の名曲を生み出してきたイーグルスだからこそ、カヴァーとか外部ライターの曲といったものではなく、1枚に絞ってでもオリジナル曲で勝負して欲しかったなという思いはある。ちなみにカヴァーもしくは外部ライターの曲は全部で5曲が収録されている。

更に付け加えるなら、アルバム全体の印象がイーグルスのアルバムと言うよりも、どちらかと言えば各メンバーのソロを集めたといった印象が無きにしも非ずといったところで、特にグレン・フライの曲にそういった印象が強く感じられる。

又、それに加えて、過去のアルバムではアルバムを代表する曲がそれぞれのアルバムに何曲かは含まれていたのが、このアルバムだとアルバムを代表する曲というものが見当たらないのだ。どれを選んでも弱いというか、過去のアルバムに含まれていた代表曲と比較すると存在感という点でも見劣りしてしまうのは否めないところかと。実際、アルバムからのヒット・シングルといったものも生まれなかったわけだし。ただ、イーグルスだからこそ、それ相応の期待をしてしまうが故に、評価も厳しくなるといったようなところがあるとは思うのだが。

ただ、何だかんだ言っても、レビュー等なんかを見ると、意外と賞賛する声が多いので、もしかしたら、自分がマイノリティーなだけなのかもしれない。でも、ただひとつ言えるのは、もしかしたらドン・フェルダーの存在というのがサウンド面では意外と大きかったのではないかと思ったアルバムだったということ。料理で例えるなら、小麦粉、かたくり粉、卵といったもののように、各素材をまとめる「つなぎ」のような音楽的役割が、意図する、しないに関わらず、ドン・フェルダーにはあったのではないかと。つまりは、それ自体は表立った存在ではないものの、各素材をまとめた料理を作るには欠かせないものといった感じかなと。

と、まぁ、色々と書き連ねたが、過去のアルバム及び楽曲には時の流れと共に積み重ねられた思いというものもあるので、このアルバムも時が経つにつれ、そういったものが生まれてくればいいなとは思うところ。

 

Booklet (back): Long Road Out of Eden / Eagles  CD (Disc 1): Long Road Out of Eden / Eagles  CD (Disc 2): Long Road Out of Eden / Eagles

 

ちなみに、オープニングのアカペラ曲"No More Walks In The Wood"は詩人ジョン・ホランダー (John Hollander) の"An Old-Fashioned Song"という詩に曲がつけられたもので、それに続く"How Long"は、1972年にリリースされた J.D.サウザーのファーストアルバムに収録されていた曲。

そして、"I Don't Want To Hear Any More"はポール・キャラックが2008年にリリースしたアルバム"I Know That Name"からシングル・カットもされた曲で、恐らくは、この曲にドン・ヘンリーとティモシー・B・シュミットがバッキング・ヴォーカルとして参加していたという経緯もあって取り上げられた曲だと思われる。

▼ シングルのジャケット (Paul Carrack - I Don't Want To Hear Any More)
https://www.discogs.com/ja/Paul-Carrack-I-Dont-Want-To-Hear-Any-More/release/2093936#images/11031408

又、"Guilty of the Crime"はフランキー・ミラーのカヴァー曲で、こちらもまた、上記の"I Don't Want To Hear Any More"と同様に、この曲でヴォーカルをとっているジョー・ウォルシュがフランキーの原曲にゲストで参加していた経緯もあって取り上げられた曲なのではないかと思う。ただ、カヴァーとは言っても、ジョー・ウォルシュのオリジナル曲と言われても納得してしまいそうなくらいジョー・ウォルシュらしさに溢れた曲には仕上がっている。

なお、ボーナス・トラックとして収録されている"Hole In The World"は、2003年にリリースされたコンピレーション・アルバム"The Very Best Of"に新曲として収録されていた曲で、何となく埋め合わせに持ってこられた曲といった印象もあり、個人的には別に無くてもいいかなといった感じ。

 

Album Cover (inside): Long Road Out of Eden / EaglesTRACKLIST
[Disc 1]
1. No More Walks In The Wood / 2. How Long / 3. Busy Being Fabulous / 4. What Do I Do With My Heart / 5. Guilty Of The Crime / 6. I Don't Want To Hear Any More / 7. Waiting In The Weeds / 8. No More Cloudy Days / 9. Fast Company / 10. Do Something / 11. You Are Not Alone

1. 失われた森を求めて / 2. ハウ・ロング / 3. 享楽の日々 / 4. 戻れない二人 / 5. ギルティ・オブ・ザ・クライム / 6. もう聞きたくない / 7. 夏の約束 / 8. 明日はきっと晴れるから / 9. とらわれの人生 / 10. 明日にむかって / 11. 陽だまりの中へ

[Disc 2]
1. Long Road Out Of Eden / 2. I Dreamed There Was No War / 3. Somebody / 4. Frail Grasp On The Big Picture / 5. Last Good Time In Town / 6. I Love To Watch A Woman Dance / 7. Business As Usual / 8. Center Of The Universe / 9. It's Your World Now / 10. Hole In The World (Bonus Track)

1. エデンからの道、遥か / 2. 平和への祈り / 3. サムバディ / 4. 歴史は繰り返す / 5. 栄光の時 / 6. 追憶のダンス / 7. 退屈な日常 / 8. 宇宙の中心で愛を叫ぶ / 9. 夢のあとさき / 10. ホール・イン・ザ・ワールド [リマスター] (ボーナス・トラック)

 

NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD] 
• 紙ジャケット仕様
• 解説・歌詞・対訳付
• Packaged in a 4 panel gatefold cardboard sleeve with a 20 page booklet containing credits, song lyrics and band photos.

• Album: US 1位 - 7x Platinum (2008-RIAA) / UK 1位 - 2x Platinum
• Single: "How Long" US 101位

 

EAGLES - BAND MEMBERS (Listed in Booklet)
• Glenn Frey (グレン・フライ) - Guitar, Keyboards, Bass, Vocals
• Don Henley (ドン・ヘンリー) - Drums, Percussion, Guitar, Vocals
• Timothy B. Schmit (ティモシー・B・シュミット) - Bass and Vocals
• Joe Walsh (ジョー・ウォルシュ) - Guitar, Keyboards, Vocals

 

"How Long"について付け加えておくと、以前は、1番をグレン・フライ、2番はドン・ヘンリー、3番がランディ・マイズナーと3人が分け合ったかたちでリードヴォーカルをとっていた1973年のライヴ映像が"YouTube"にアップロードされていて、これは割と好きだったのだが、残念ながら現在は削除されている。この曲も前作の"Hell Freezes Over"、もしくは1980年の"Eagles Live"にライヴ・ヴァージョンとして収録されていたら多少は印象も変わっていたのかもしれない。

 

▼ Eagles - I Don't Want To Hear Any More

https://www.youtube.com/watch?v=Ng1LNeV9Djg

 

▼ Eagles - No More Cloudy Days

https://www.youtube.com/watch?v=mzLLSXBnQhU

 

こちらはポール・キャラックのオリジナル・ヴァージョン

▼ Paul Carrack - I Don't Want To Hear Any More
https://www.youtube.com/watch?v=I6ttKx59S84

 

そして、このアルバムとは直接関係無いが、こちらは2015年にラスベガスで行われたライヴからドン・フェルダーとスティクスのトミー・ショウによる"Hotel California"

▼ Don Felder Feat. Tommy Shaw (Styx) - Hotel California (Live from Las Vegas 2015)

https://www.youtube.com/watch?v=8kIJEUUH40Q

 

 

関連記事

Hotel California 「ホテル・カリフォルニア」 (1976) / Eagles

Eagles/Their Greatest Hits 1971-1975 (1976) & Eagles Greatest Hits Volume 2 (1982) / Eagles

Hell Freezes Over 「ヘル・フリーゼズ・オーヴァー」 (1994) / Eagles

Actual Miles - Henley's Greatest Hits (Don Henley) (1995) & Solo Collection (Glenn Frey) (1995)

イーグルスのグレイテスト・ヒッツがアメリカで最も売れたアルバムに返り咲き (2018)

0 件のコメント:

コメントを投稿