2011/12/07

FAREWELL TOUR 1973-2001 TOURBOOK 「ツアーパンフレット」 / KISS (2001)

Farewell Tour 1973-2001 Tourbook (front) / KISS   Farewell Tour 1973-2001 Tourbook (back) / KISS

 

オリジナルメンバーによるリユニオンツアーでは、一部にあった冷ややかな反応をよそに、ツアーは大成功を収め、長者番付で有名な経済紙フォーブスの表紙を飾るなど、順風満帆という言葉以上の劇的な再スタートを切った"KISS"だったが、内部の状態は決して順風満帆とはいかなかったようだ。

結果的に、再び起きた亀裂は、もはや修復不能となったのか、彼らが選択したのは、絶頂期に惜しまれつつ解散するという道だった。しかし、解散を表明した後に行われたさよならコンサートとも言えるフェアウェルツアーでは、ツアー途中でピーターがグループを離脱したりと、最後の花道さえも飾るのが困難なのかともいえる状況に、自分自身も、これはもう本当にダメなんだなと悟ったりもした。

そして、迎えたフェアウェルツアーの日本公演。キッスのライヴを生で見るラストチャンスと思った自分は、その姿をこの目に焼き付けておこうと何とか前売りチケットを確保してライヴに出かけたのであったが、先に記したとおりに、オリジナルメンバーのピーター・クリスがツアー半ばでグループを離れてしまった為、日本公演は素顔で活動していた時代の元メンバーであるエリック・シンガーが急遽代役のドラマーとして召集された形で行われた。

 

Farewell Tour 1973-2001 Ticket/KISS  Farewell Tour 1973-2001 Ashtray / KISS

 

本当はピーターが歌う"Beth"や"Black Diamond"を最後に生で聴きたかったとの思いも少なからずあったのだが、逆にエリックがいたからこそツアーが続行できたとも言える訳で、当時は多少複雑な心境でもあった。メンバー紹介時に「ピーターじゃなくてゴメンネ」とでも言っているかのように両手を合わせてお辞儀をしていたエリック・シンガーの姿が印象的だった。

 

Farewell Tour 1973-2001 Tourbook (inside) / KISSいや~、それにしても豪華なツアーパンフだこと(大きさは縦が約35cm×横が約28cm)。紙も雑誌のようなペラペラしたものではなく、厚みのある紙が使用されているし、フェアウェルツアーということでの豪華仕様だったのだろうか? なお、表紙の上部にある"KISS"ロゴ部分はくり抜き加工がされているという凝りようで、又、ページ中央部には急遽ツアーに加わったエリックのメッセージ付きサイン入り写真も一枚挟み込まれている。そして、最後のツアーということで総括の意味もあったのか、パンフ内部には年代ごとの写真に加え、これまでに行った全公演のデータが記載されており、正にフェアウェルツアーならではのツアーパンフとなっている。

結局は、絶頂期に惜しまれつつ解散するというシナリオを破棄して、メンバーの変更はあっても今後も活動を続けることを表明したキッスだったが、その後も暫くはドタバタ劇は収まらず、再びピーターがグループに復帰するも、今度はエースが離脱、そして、またもやピーターが去るといった具合に混沌とした状況が続いていた。

現在は、ポール、ジーン、エリック、トミーの4人という体制で安定しているようだが、それでも、現メンバーのエリックとトミーがピーターとエースのメイクをすることに快く思わないファンや、逆にエリックとトミーに対して失礼だと思うファンがいたりと、ファンの間でも様々な感情が入り乱れている部分もあるようだ。

それでも、キッスというバンドが活動を続けるということに対しては好意的に捉えるファンが多いようで、2008年に行われたロシアや旧ソ連のラトビアを含む大規模なヨーロッパツアーでは、1枚あたりの平均額が1万円を超えるという高額なチケット代にもかかわらず、30公演で468,700人(1公演平均15,623人)を動員するなど、興行の世界も厳しいと言われる昨今でも、キッスのライヴは依然としてトップクラス人気を誇るものであることを証明するものでもあった。ちなみに、このヨーロッパツアーで一番狭い会場だったのは、6,500人を集めたルクセンブルグ公演の会場だったそうだが、自分の住んでいる街には6,500人も収容できるホールはありません。(笑)

そして、翌年の2009年に行われた南米ツアーでは、サンディエゴ / チリ公演(19,000人)、ブエノスアイレス / アルゼンチン公演(54,000人)、サンパウロ / ブラジル公演(30,000人)、リオデジャネイロ / ブラジル公演(25,000人)、ボゴタ / コロンビア公演(50,000人)、リマ / ペルー公演(35,000人)、カラカス / ベネズエラ公演(15,000人)といった観衆の前でプレイするなど、こちらも又、世界的な不況もなんのそのといった感じで大成功のツアー(ロック・フェスへの参加を含む)だったようだ。逆に言えば、そんな世の中だからこそ、ほんの僅かな時間だけでも現実を忘れて楽しみたいという人達が多かったのかもしれない。それでも、どちらかと言えばアメリカに好意的ではない国が多い南米で、アメリカを象徴するようなバンドであるキッスが受け入れられているというのは何とも不思議ではある。

 

ちなみに、下の写真は記念に拾って持ち帰った"Rock and Roll All Nite"で大量に舞う紙吹雪の中の一枚(縦1.9cm×横5.2cm)と、後に手に入れたジーン・シモンズのピック(Farewell Tour 2000-2001で使用されたもの)の表と裏。

コンサート会場で使用された紙吹雪用の紙 / KISS  Farewell Tour 1973-2001 - Pick (front) / Gene Simmons  Farewell Tour 1973-2001 - Pick (back) / Gene Simmons

 

 

関連記事

Psycho Circus 「サイコ・サーカス」 (1998) / KISS

0 件のコメント:

コメントを投稿