この「Queen Forever / クイーン・フォーエヴァー ~ ベスト・オブ・ラヴソングス」は3曲の新曲を含むクイーンのコンピレーション・アルバムで、選曲はブラアイン・メイとロジャー・テイラーが行ったとのこと。
アルバムは、この2枚組と、1枚ものの2種類が発売されており、当初は新曲目当てということもあり、1枚ものの方で十分かなと思ってそちらを買おうとしていたのだけれど、もしかしたらさり気なく手が加えられたヴァージョンがこっそりと潜んでいるかもしれないと思い、結局はこちらの2枚組を購入。
で、その、こっそりと潜んでいるかもしれないヴァージョンは確かにあった。ただ、それらは曲の頭や最後の部分がカットされているといった類の編集なので、特にお~っというものは無かった。それでも、新曲の3曲に続く"Play The Game"は、イントロのシンセ部分がカットされていて、いきなりヴォーカルから始まるので、最初に聴いたときは意表を突かれた感じでちょっとビックリしたけどね。
一応、どういった曲が編集されているのかを気付いた範囲で記しておくと、「ディスク-1」では、その"Play The Game"と、ヴォーカルが繰り返されるエンディングのパートがそっくりカットされている"You Take My Breath Away"。そして、「ディスク-2」では、エンディングのピアノの一音がカットされている"Somebody To Love"と、エンディング部分のパートが短く編集されている2枚組の方の日本盤ボーナストラックとなる"Teo Torriatte (Let Us Cling Together)"。
と、自分が気付いたのはこの4曲だけど、もしかしたら、これ以外にもどこかしらが編集されている曲が含まれているかもしれない。
なお、1枚ものの方は日本盤ボーナストラックが"I Was Born To Love You"になっており、2枚組の方の日本盤ボーナストラックである"Teo Torriatte (Let Us Cling Together)"は収録されていない。
ちなみに1枚ものの方の収録曲はこうなっている。
「Queen Forever / クイーン・フォーエヴァー ~ ベスト・オブ・ラヴソングス」 (1CD)
1. Let Me In Your Heart Again / 2. Love Kills - the ballad / 3. There Must Be More To Life Than This (William Orbit Mix) / 4. It's A Hard Life / 5. You're My Best Friend / 6. Love Of My Life / 7. Drowse / 8. Long Away / 9. Lily Of The Valley / 10. Don't Try So Hard / 11. Bijou / 12. These Are The Days Of Our Lives / 13. Las Palabras De Amor (The Words Of Love) / 14. Who Wants To Live Forever / 15. A Winter's Tale / 16. Play The Game / 17. Save Me / 18. Somebody To Love / 19. Too Much Love Will Kill You / 20. Crazy Little Thing Called Love / 21. I Was Born To Love You (日本盤ボーナス・トラック)
肝心の新曲が後回しになってしまったが、フレディ・マーキュリーとマイケル・ジャクソンがコラボした曲「There Must Be More To Life Than This / 生命の証」については、近々リリースされるであろうことをブライアンとロジャーが以前から語っていたので、どういったアルバム形態でリリースされるのかと楽しみにしていた。個人的には"Made in Heaven"のようなスタイルでのリリースを期待していたのだが、リリースできるような音源が少なかったのか、結果的にはこのように新曲を含むコンピレーション・アルバムという形態でリリースされたのだが、まぁ、デモやらアウトテイクやらを集めてお茶を濁すような形でリリースされるよりは、このように作品として一定のクオリティーを持ったものだけをリリースしてもらって良かったようには思う。
で、その"There Must Be More To Life Than This"については、正直言って、思っていたものとは随分と違った曲に仕上げられていたこともあり、当初はなんだか微妙な感じがした。というのも、この"There Must Be More To Life Than This"はフレディがソロでリリースした曲の中でも特に好きな曲の一つでもあるが故に、それだけ期待が大きかったということも要因のひとつとしてあるのだが、何よりも、ピアノ曲がギター曲になっていることへの違和感が大きかったのだ。
イメージとしては、フレディ亡き後にリリースされたアルバム"Made In Heaven"に収録されていたタイトル・トラックでもある"Made In Heaven"のような重厚でドラマティックなクイーンスタイルの曲を思い浮かべていただけに、何だか拍子抜けした感じだった。それに、オリジナルのヴァージョンに比べるとエンディングが淡々としていて、今ひとつ余韻に浸れない印象があったのだ。個人的にはピアノの演奏でフェードアウトしていくオリジナル・ヴァージョンのエンディングが好きだったので、この部分が全く違うものになっていることに対する違和感もあった。
それでも、繰り返し聴いていく内に、当初の印象よりは大分良くなってきた感じで、今では、フレディのオリジナル・ヴァージョンとの違いが明確で良かったのではないかと思うようにもなった。又、曲が完成することはなかったものの、フレディのソロアルバムに収録される以前に、クイーンの楽曲としてバッキング・トラックがレコーディングされていたこともあり、オリジナル4での演奏になっているのもファンにとっては嬉しいところだしね。
ただ、ロジャーの話しによると、この曲は2種類の違ったヴァージョンがあって、今回はウィリアム・オービットによるミックス・ヴァージョンの方が収録されているものの、ブライアンとロジャーが整理した殆んど何も付け足してないもうひとつのヴァージョンもあるとのことなので、もしかしたらそのもうひとつのヴァージョンの方も何れ発表されることになるかもしれない。
「Love Kills - the ballad / ラヴ・キルズ(バラード)」については、この曲が果たしてバラードになるのだろうか?と心配していたような所もあったのだが、これが結構良いんだよね。オリジナルのエレポップ風ピコピコサウンドが、バラードとはいえ、まさかアコースティック・ギターで始まる曲に生まれ変わるとは思ってもみなかったので、多少驚きもあったのだが、これが全然無理が無くて良い感じ。しかも、ロジャー曰く、「実は僕たちも当時は内緒でこのトラックの演奏に参加してたんだよ」とのことで更にびっくり。
そして、新曲としてアルバムのトップに収録されているのが、純粋な未発表曲である「Let Me in Your Heart Again / ユア・ハート・アゲイン」。元々はアルバム「The Works / ザ・ワークス」のセッション中にレコーディングされていたもので、未完成のまま残されていた音源にブライアンとロジャーが新たに手を加えて完成させた曲とのことだが、いやいや、こんなクオリティーの曲がまだ残されていたとは驚きました。ヴォーカルがフレディなのは言うに及ばず、ベースがジョンなのも嬉しいところだね。
▼ 左からオリジナル・ブックレットの表、裏、日本語ブックレット
実を言うと、新曲以外のその他の収録曲については、それほど興味が無く、何が収録されていても別に構わないと思っていたような所もあったのだが、割と自分好みの曲が多く収録されていることもあり、新曲を聴く流れで、そのまま他の曲も聴き続けることが結構多いのだ。もしかしたら、これまでにリリースされたコンピレーション・アルバムの中では、このアルバムの収録曲が一番好みに合っているかもしれない。
▲ 先にリリースされた"Live At The Rainbow '74"と同様に、中央のモノクロ写真の内側にオリジナルのブックレットと日本語のブックレットが入っている。上部から取り出せるようになっていれば取り出しやすいのだが、横から取り出す構造になっているので多少取り出し辛い。
▼ Queen Forever (Trailer) - Queen Official
https://www.youtube.com/watch?v=wYNfY9rEAG4
▼ Queen - Teo Torriatte (Let Us Cling Together) - (Official Lyric Video)
https://www.youtube.com/watch?v=Ge18n2JCwBs
なお、クレジットの最後には"Dedicated to Mike Stone and David Richards"の一文が記されている。
この2人について補足しておくと、「Mike Stone / マイク・ストーン (1951 - 2002)」は、1973年のファースト・アルバム「Queen / 戦慄の王女」から6作目の「News of the World / 世界に捧ぐ」までエンジニアとしてクイーンのアルバム制作に携わった人物で、"News of the World"ではメンバーのサポートという形でプロデューサーとしての役割も果たしている。そういえば、昨年の2014年にリリースされた"Live At The Rainbow '74"にも"Recorded by Roy Thomas Baker and Mike Stone"と、その名がクレジットされていたのだった。
又、その他では、1978年の"Peter Criss (KISS)"と、"Paul Stanley (KISS)"のソロアルバムの制作にも携わっており、1979年にリリースされたニュー・イングランドのファースト・アルバム「New England / 失われし魂」ではキッスのポール・スタンレーと共にアルバムのプロデュースを行っている(セカンド・アルバムでも引き続きメンバーとのジョン・ファノンと共にアルバムをプロデュースしている)。
その後は、1981年の"Escape"、1983年の"Frontiers"、1986年の"Raised on Radio"と、3作続けてジャーニーのアルバムでプロデューサーを務め、その間の1982年には、エイジアのファースト・アルバム「Asia / 詠時感~時へのロマン」と、続く1983年のセカンド・アルバム「Alpha / アルファ」をプロデュースするなど、大ヒットアルバムとの関わりも少なくないエンジニア&プロデューサーだった。
個人的にも、この人の音作りはとても好きだったので、亡くなられたのは非常に残念。上に挙げたクイーン以外のアルバムも全て持っているし、どれも大好きなアルバムだしね。
そして、「David Richards / デヴィッド・リチャーズ (1956 - 2013)」も、同じくクイーンのアルバム制作に数多く携わってきた人物で、1986年の"A Kind of Magic"、1989年の"The Miracle"、1991年の"Innuendo"、1995年の"Made in Heaven"と、主に後期のアルバムのプロデュースを行っていた。
又、それ以前にも、1979年の"Live Killers"、1986年の"Live Magic"と、2つのライヴ・アルバムでも制作に携わっており、他にも、ロジャー・テイラー初のソロ・アルバムである1981年の"Fun in Space"と、1984年の"Strange Frontier"、それに、ロジャー・テイラーのソロ・ユニットである"The Cross"の"Shove It" (1988)、オペラ歌手のモンセラート・カバリエと共演したフレディ・マーキュリーのソロ・アルバム"Barcelona" (1988)、フレディ亡き後にリリースされたブライアン・メイのソロ・アルバム"Back to the Light" (1992)、"Another World" (1998)、といったアルバムでもアルバム制作に携わっていた。
クイーンのアルバムのみならず、各自のソロ・アルバムの制作にも数多く携わっていたことから、クイーンのメンバーとの信頼関係も厚かったんだろうね。
TRACKLIST (Japanese 2CD Edition)
CD 1:
1. Let Me In Your Heart Again / 2. Love Kills - the ballad / 3. There Must Be More To Life Than This [Queen & Michael Jackson] (William Orbit Mix) / 4. Play The Game / 5. Dear Friends / 6. You're My Best Friend / 7. Love Of My Life / 8. Drowse / 9. You Take My Breath Away / 10. Spread Your Wings / 11. Long Away / 12. Lily Of The Valley / 13. Don't Try So Hard / 14. Bijou / 15. These Are The Days Of Our Lives / 16. Nevermore / 17. Las Palabras De Amor (The Words Of Love) / 18. Who Wants To Live Forever
1. ユア・ハート・アゲイン / 2. ラヴ・キルズ(バラード) / 3. 生命の証 (クイーン & マイケル・ジャクソン / ウィリアム・オービット・ミックス) / 4. プレイ・ザ・ゲーム / 5. ディア・フレンズ / 6. マイ・ベスト・フレンド / 7. ラヴ・オブ・マイ・ライフ / 8. さまよい / 9. テイク・マイ・ブレス・アウェイ / 10. 永遠の翼 / 11. ロング・アウェイ / 12. 谷間のゆり / 13. ドント・トライ・ソー・ハード / 14. ビジュウ / 15. 輝ける日々 / 16. ネヴァーモア / 17. ラス・パラブラス・デ・アモール(愛の言葉) / 18. リヴ・フォーエヴァー
CD 2:
1. I Was Born To Love You / 2. Somebody To Love / 3. Crazy Little Thing Called Love / 4. Friends Will Be Friends / 5. Jealousy / 6. One Year Of Love / 7. A Winter's Tale / 8. '39 / 9. Mother Love / 10. It's A Hard Life / 11. Save Me / 12. Made In Heaven / 13. Too Much Love Will Kill You / 14. Sail Away Sweet Sister / 15. The Miracle / 16. Is This The World We Created / 17. In The Lap Of The Gods...Revisited / 18. Forever / 19. Teo Torriatte (Let Us Cling Together) [Japanese Bonus Track]
1. ボーン・トゥ・ラヴ・ユー / 2. 愛にすべてを / 3. 愛という名の欲望 / 4. 心の絆 / 5. ジェラシー / 6. 愛ある日々 / 7. ウィンターズ・テイル / 8. '39 / 9. マザー・ラヴ / 10. 永遠の誓い / 11. セイヴ・ミー / 12. メイド・イン・ヘヴン / 13. トゥー・マッチ・ラヴ・ウィル・キル・ユー / 14. スウィート・シスター / 15. ザ・ミラクル / 16. 悲しい世界 / 17. 神々の業(リヴィジテッド) / 18. フォーエヴァー / 19. 手をとりあって(日本盤ボーナス・トラック)
NOTES
1. Let Me In Your Heart Again
Writer: Brian May
Lead and Backing Vocals: Freddie Mercury
Guitars, and backing Vocals: Brian May
Drums, Percussion and Backing Vocals: Roger Taylor
Bass Guitar: John Deacon
2. Love Kills - the ballad
Writers: Freddie Mercury and Giorgio Moroder
Lead and Backing Vocals and Keyboards: Freddie Mercury
Guitars, Keyboards and Bass: Brian May
Drums and Percussion: Roger Taylor
Additional Electric Guitar: John Deacon
3. There Must Be More To Life Than This [Queen & Michael Jackson] (William Orbit Mix)
Writer: Freddie Mercury
Lesd Vocals: Freddie Mercury and Michael Jackson
Piano: Freddie Mercury
Guitars: Brian May
Drums and Percussion: Roger Taylor
Bass Guitar: John Deacon
• Dedicated to Mike Stone and David Richards
• UK 5位 (Gold) / US 38位
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 見開き6面デジパック仕様
• 解説・歌詞・対訳付
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