2015/03/18

中南米地域5か国における対日世論調査(2014年 - 2015年)

今月の11日に外務省が中南米地域5か国における対日世論調査の結果を発表しました。中南米5か国を対象にした対日世論調査は今回が初めてだそうで、選択肢として挙げられた13か国の中では、日本が最も信頼できる国のトップになるなど、日本に対する好感度が高いことを示す調査結果となったようです。

調査は昨年12月から今年2月にかけて行われたもので、調査方式は以下の通り。

• 調査委託機関:IPSOS社
• 調査対象:メキシコ、ブラジル、コロンビア、チリ、トリニダード・トバゴ (T&T) の識字層約300~400名(メキシコ407名、ブラジル400名、コロンビア300名、チリ300名、T&T300名、計1,707名)
• 調査方法:オンライン調査(T&Tは会場調査と面接方式の併用)

 

調査結果概要(外務省のウェブサイトから抜粋編集)

1. 日本との関係については、「良好である」もしくは「どちらかというと良好である」と回答した割合が74%。又、日本に「親しみを感じる」もしくは「どちらかというと親しみを感じる」と回答した割合が80%を占めるなど、肯定的に評価する割合が高いことが示されています。更に、アジアや欧米の主要13か国の中で「最も信頼できる国」として日本を選択した割合は13か国中トップでした。

2. 中南米5か国にとって現在重要なパートナーはどこの国かとの質問については、アジアや欧米の主要13か国の中で米国(70%)、日本(33%)、中国(29%)の順で評価されました。又、将来重要なパートナーはどの国かとの質問については、日本(42%)、米国(31%)、中国(30%)の順で評価されました。(注)複数回答方式

3. 日本に関するイメージについては、5か国全体の回答で「経済力・技術力の高い国」(77%)がトップとなり、経済力の高い技術立国といったイメージが強いことが示されました。又、「豊かな伝統と文化を持つ国」(65%)という回答が続き、日本文化に対する高い関心も示されました。日本のどの面について関心があるかとの問いに対しては、「科学技術」(71%)の他、「文化/芸術」(59%)、「日本食」(48%)が上位を占めました。(注)複数回答方式

4. 日系人に関しては、自国の日系人が地域社会の発展のために貢献していると回答した割合は87%、又、日系人が日本と自国の関係強化に貢献していると回答した割合は79%を占めました。更に、日系人についての印象は「勤勉・能率的」(53%)、「親切・礼儀正しい」(51%)が上位を占め、日系人に対する印象が良好であることが示されました。

 

設問と回答結果

外務省のウェブサイトには全部で17の設問と回答結果が記載されていますが、ここではその中からいくつかを抜粋してみました。

 

Q:あなたの国と日本との関係は全体として良好だと思いますか。

• 良好(41%)
• どちらかというと良好(33%)
• どちらかというと良好ではない(3%)
• 良好だとは思わない(1%)

回答を二分すると、良好(74%)、良好ではない(4%)

 

Q:次の国のうち、最も信頼できる国はどの国ですか。(日本、米国、ロシア、中国、韓国、豪州、インド、英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ポルトガル、その他より1つ選択)

日本(20%)、 米国(16%)、 ドイツ(10%)、 豪州(7%)、 英国(6%)、 スペイン(3%)、 フランス(3%)、 イタリア(3%)、 中国(2%)、 ポルトガル(2%)、 その他(4%)、 わからない(25%)

調査対象国別に見ると、メキシコ、ブラジル、チリの3カ国が日本を最も信頼できる国と評価。(コロンビアでは、米国22%、日本19%の評価を得て米国に次いで信頼されている。)

 

Q:あなたの国にとって、現在/将来重要なパートナーは、次の国のうちどれですか。(複数選択)

〈現在〉米国(70%)、日本(33%)、中国(29%)、スペイン(20%)
〈将来〉日本(42%)、米国(31%)、中国(30%)、ドイツ(23%)

調査対象国別に見ると、現在重要なパートナーについて,日本を選択した数が多かった国はブラジル、チリでそれぞれ42%、37%。

将来重要と考えるパートナーについては、全ての国で日本を選択した数が最も多かった。

 

Q:あなたの国に移住した日本人、日系人は地域社会の発展のため貢献していると思いますか。

• 貢献している(58%)
• どちらかといえば貢献している(29%)
• どちらかといえば貢献していない(5%)
• 貢献していない(1%)
• わからない(8%)

回答を二分すると、貢献している(87%)、貢献していない(6%)

 

Q:安倍総理は、「地球儀を俯瞰する外交」として、2014年7月下旬から8月初旬に、あなたの国を訪問しました。このような総理の活動をどのように評価しますか。

• 評価できる(51%)
• どちらかというと評価できる(25%)
• どちらかといえば評価できない(4%)
• 評価できない(1%)
• わからない(19%)

回答を二分すると、評価できる(76%)、評価できない(5%)

 


 

以下は各設問に対する国別の回答結果を比較したもの(外務省のウェブサイトにある設問と回答結果から抜粋掲載)
※国名にあるT&Tはトリニダード・トバゴの略

 

中南米地域5か国における対日世論調査

「質問 1」で興味深いのは、「民主主義、自由主義など米国と価値観を共有する国」の項目で、どの国も一様に一桁台のイメージしかないのは、明らかにアメリカとは違う国と見られているということなんでしょうか。

 

中南米地域5か国における対日世論調査

 

中南米地域5か国における対日世論調査

「質問 3」については、アメリカで行われた対日世論調査でも、これと似たような調査結果になっていましたが、アニメやマンガといったものはそれほど高くなく、伝統的なものに比較的多くの関心が寄せられているという結果に。

 

中南米地域5か国における対日世論調査

 

中南米地域5か国における対日世論調査

 

中南米地域5か国における対日世論調査

「質問 12」については、「次の国のうち」と書いてあるだけなので、この表に記載されている国だけが選択の対象として挙げられた国かと捉えてしまいそうですが、先に「設問と回答結果」の項目で記したように、選択肢として挙げられているのは、日本、米国、ロシア、中国、韓国、オーストラリア、インド、英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ポルトガル、その他と、結果概要のページには記載されています。

結果概要のページに記載されている回答結果でもそうでしたが、選択肢として挙げられている国が13か国なのに対し、回答に記載されている国は10か国と、3か国が回答結果から除外されています。この3か国については、恐らくはゼロという結果だったのだろうと推測されるのですが、設問の趣旨からしても、こういった場合には、ゼロならゼロで、挙げられた対象国は全て記載した方がいいのではないでしょうか。又、この表には記載されていませんが、「質問 12」については、1つを選択する質問方式がとられているとのこと。

 

中南米地域5か国における対日世論調査

こちらの「質問 13」も、「質問 12」と同様に「次の国のうち」と書いてあるだけなのですが、恐らくは「質問 12」と同じ国が選択の対象として挙げられているのだと思います。なお、「質問 12」については1つを選択する質問方式だったのに対し、こちらの「質問 13」と、次の「質問 14」は複数回答が可能な質問方式である点も留意して見る必要がありますね。

 

中南米地域5か国における対日世論調査

 

以下は、現地の日系人に関連した設問になります。

中南米地域5か国における対日世論調査

 

中南米地域5か国における対日世論調査

 

中南米地域5か国における対日世論調査

「質問 15」、「質問 16」、「質問 17」の日系人に関する設問については、どれも良好な回答結果が得られており、これらの日系人に対する印象が、日本に対する印象にも少なからず影響しているのではないかと思われます。

 

出典:外務省ホームページ

外務省 - 中南米地域5か国における対日世論調査(結果)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_001898.html

外務省 - 中南米地域5カ国における対日世論調査(結果概要) (PDF)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000070262.pdf

外務省 - 中南米地域5か国における対日世論調査(全質問・回答集計結果) (PDF)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000070263.pdf

 

 

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