2014/04/12

STEREOTOMY 「ステレオトミー」 / THE ALAN PARSONS PROJECT (1985)

LPレコードの帯:ステレオトミー / アラン・パーソンズ・プロジェクト Album Cover (front): Stereotomy / The Alan Parsons Projectこの「Stereotomy / ステレオトミー」は、前作"Vulture Culture"でのポップ路線から一転、ロック色が増したアラン・パーソンズ・プロジェクトの9作目となるスタジオ・アルバム。今でこそ、このアルバムならではの魅力を以前よりは感じることができるようになったものの、LPレコードで買った当時は全く好きになれず、最初に数回聴いた後は殆ど聴く事もなかったように記憶している。

まぁ、個人的には結構好きだった前作とはサウンドが大きく変貌したことも好きになれなかった一因としてあるのかもしれないが、それでも、大半のLPレコードは処分した中で、こうして数少ない手持ちのLPレコードにこのアルバムが含まれているのだから、自分の事とはいえ、意外と分からないものだ。ただ、ひいき目に見ても一般受けはしなさそうなアルバムではある。

アルバムの帯には「ゲイリー・ブルッカーをはじめ、6人のヴォーカリストと100名に及ぶロンドンのフィルハーモニア・オーケストラを起用」と記されているのだが、"Silence and I"(静寂と私)のような曲を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。

アルバムの方向性からくるものなのかどうかは分からないが、これまでメインでヴォーカルをとっていたエリック・ウルフソンが単独でリードヴォーカルをとる曲は1曲も無く、バッキングヴォーカルで"Stereotomy"の1曲にクレジットされているだけで、今回は、その"Stereotomy"を含む3曲でリードヴォーカルをとっているジョン・マイルズがメインのヴォーカリストとなっている。

又、その他では"A Whiter Shade Of Pale"(青い影)でお馴染みの、元プロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカーが"Limelight"でヴォーカルをとっているのも注目点のひとつ。

 

Album Cover (back): Stereotomy / The Alan Parsons Projectアルバムタイトルにもなっている"Stereotomy"がファースト・アルバムのコンセプトだったエドガー・アラン・ポーの小説「モルグ街の殺人」からの引用ということで、原点回帰を示したアルバムだとも取れると思うのだが、それでも、前作はいったい何だったのかと思うほどの変貌振り。しかも前作とはヴォーカリストも大きく変わっているので、自分のみならず、戸惑ったファンも多かったのではないかと思う。

しかしながら、逆に前作でのポップ感覚に違和感を感じた人にとっては、かつてのプログレ的サウンドに回帰したともとれるこちらのアルバムの方がしっくりくるのかもしれない。特に7分を超える大作のタイトル・トラック、それに加えてインストゥルメンタル曲の2曲"Urbania"と"Where's The Walrus?"なんかは、なかなかどうして素晴らしい出来だと思う(とは、今だから言えるのだが)。

 

LPレコードのラベル:Stereotomy / The Alan Parsons Project   LPレコードのラベル:Stereotomy / The Alan Parsons Project   LPレコードのラベル:Stereotomy / The Alan Parsons Project

 

で、このアルバムを取り上げるにあたって、今回初めて"YouTube"で"Stereotomy"のミュージックビデオを観てみたのだが、現代アートというか、動くストーム・ソーガソン作品といった雰囲気で、妙に惹かれてしまった。どんな内容かというと、緑色のシャツを着た男が最初から最後まで延々と前転や側転、バク転等を繰り返すという映像(笑)。ちなみに、ストーム・ソーガソンとは、長年アラン・パーソンズ・プロジェクト及びアラン・パーソンズのソロ作品のジャケットデザインに携わっていたデザイナー(残念ながら昨年の2013年に死去)。

▼ The Alan Parsons Project - Stereotomy

 

アルバム収録曲の中では一番聴いたであろうシングルカットされた"Limelight"については、当時はそこそこヒットしたのではないかと思っていたのだが、残念ながらチャートインすらしなかったようだ。結構好きなんだけどなぁ。

▼ The Alan Parsons Project - Limelight

 

TRACKLIST
[Side One]
1. Stereotomy (ステレオトミー) / 2. Beaujolais (眠りを覚ますボジョレー) / 3. Urbania [Instrumental] (アーバニア [インストゥルメンタル]) / 4. Limelight (ライムライト)
[Side Two]
1. In The Real World (現実革命) / 2. Where's The Walrus? [Instrumental] (海獣 [インストゥルメンタル] ) / 3. Light Of The World (ライト・オブ・ザ・ワールド) / 4. Chinese Whispers [Instrumental] (チャイニーズ・ウィスパーズ [インストゥルメンタル] ) / 5. Stereotomy Two (ステレオトミー II)

NOTES
Tracks 1, 5, 9: Lead Vocal - John Miles / Track 2: Lead Vocal - Chris Rainbow / Track 4: Lead Vocal - Gary Brooker / Track 7: Lead Vocal - Graham Dye / Tracks 3, 6, 8: Instrumental
(Track 1: Backing Vocal - Eric Woolfson / Track 7: Backing Vocal - Steven Dye)

• Album: US 43位
• Single: "Stereotomy" US 82位

 


 

CDの帯:ステレオトミー / アラン・パーソンズ・プロジェクトAlbum Cover (front): Stereotomy / The Alan Parsons Project   Album Cover (back): Stereotomy / The Alan Parsons Project   CD: Stereotomy / The Alan Parsons Project

そして、こちらは4曲のボーナス・トラックが加えられた2009年の再発盤CD。

ということで、このCD、上のLPと比べても分かるように、ジャケットの色がかなり濃い深緑になっているのだが、もしかして、海外盤は元々こういう色味だったのだろうか? 一応、画像検索で確認してみたのだが、これ以外にも様々な色のジャケットがあるようで良く分からなかった(笑)。

それでも、やっぱり、できることなら当時の日本盤の色調を再現して欲しかったなぁとは思うところ。LPを持っていたからということもあるのだが、どうもこのCD版の色調には馴染めないんだよなぁ。

 

CDの帯(裏側):ステレオトミー / アラン・パーソンズ・プロジェクトTRACKLIST
1. Stereotomy / 2. Beaujolais / 3. Urbania (Instrumental) / 4. Limelight / 5. In The Real World / 6. Where's The Walrus? (Instrumental) / 7. Light Of The World / 8. Chinese Whispers (Instrumental) / 9. Stereotomy Two
[Bonus Tracks]
10. Light Of The World (Backing Track) / 11. Rumour Goin' Round (Demo) / 12. Stereotomy (Eric Woolfson Guide Vocal) / 13. Stereotomy (Backing Rough Mix)

1. ステレオトミー / 2. 眠りを覚ますボジョレー / 3. アーバニア(インストゥルメンタル) / 4. ライムライト / 5. 現実革命 / 6. 海獣(インストゥルメンタル) / 7. ライト・オブ・ザ・ワールド / 8. チャイニーズ・ウィスパーズ(インストゥルメンタル) / 9. ステレオトミー II
[ボーナス・トラック]
10. ライト・オブ・ザ・ワールド (Backing Track) / 11. ルーモア・ゴーイン・ラウンド (Previously Unreleased Demo) / 12. ステレオトミー (Eric Woolfson Guide Vocal) / 13. ステレオトミー II (Backing Rough Mix)

NOTES
• CD発売日:2009年1月21日(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付

 

 

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