2016/02/19

MURDERED BY THE MUSIC 「音楽殺人」 / YUKIHIRO TAKAHASHI 「高橋ユキヒロ」 (1980)

CDの帯:音楽殺人 / 高橋ユキヒロAlbum Cover (front): Murdered by the Music / Yukihiro Takahashi (高橋ユキヒロ)当時はLPレコードで持っていた、この高橋ユキヒロ(現在はカタカナ表記から漢字表記に変えた「高橋幸宏」名義で活動されている)の2枚目のソロアルバム「Murdered by the Music / 音楽殺人」は、フォーマットがCDに変わってからもちょくちょく聴いているというくらい好きなアルバム。

中でも"BLUE COLOUR WORKER"と"BIJIN-KYOSHI AT THE SWIMMING SCHOOL"の2曲がLPレコードで聴いていた当時から好きで、今でもこの2曲は他の曲に比べると一際聴く機会も多いのだけど、この2曲が特に好きというだけであって、アルバムとしても結構バラエティーに富んだ作りで、その他の曲も、それぞれに魅力があっていいんだよね。

"BLUE COLOUR WORKER"について言えば、曲そのものも素晴らしいのだが、バックヴォーカルで聴けるサンディーの歌声がこれまた素晴らしいのだ。当時は「なんて綺麗な声なんだ」と聴き惚れていたんだよね。

一方の"BIJIN-KYOSHI AT THE SWIMMING SCHOOL"はインストゥルメンタル曲で、ベンチャーズに提供した曲のセルフカヴァー。曲を聴いても分かるように、いかにも夏に似合いそうな曲。

 

▼ 高橋ユキヒロ - BLUE COLOUR WORKER

 

▼ 高橋ユキヒロ - BIJIN-KYOSHI AT THE SWIMMING SCHOOL

 

又、アルバムにはアメリカの女性ヴォーカル・グループ、ザ・スプリームス(シュープリームス)が1965年にリリースした米ビルボードチャートに於けるNo.1ヒット曲である"Stop! In The Name Of Love"のカヴァーが収録されていることからも分かるように、おどろおどろしいアルバムタイトルとは裏腹に、アルバム内にはポップで親しみ易い曲が散りばめられている。

 

▼ 高橋ユキヒロ - STOP IN THE NAME OF LOVE

 

なお、"KID-NAP, THE DREAMER"、"BLUE COLOUR WORKER"、"STOP IN THE NAME OF LOVE"の3曲でバックヴォーカルに参加しているサンディーとは、その後、サンディー & ザ・サンセッツとして活動するそのサンディー(スペイン人と日本人とのハーフで、本名は鈴木あや)。ちなみに、そのサンディー & ザ・サンセッツのシングル「Sticky Music / スティッキー・ミュージック」はオーストラリアのチャートで11位のヒットを記録している。

▼ Sandii and the Sunsetz - Sticky Music
https://www.youtube.com/watch?v=pjbqByI1Y3c

▼ Sandii and the Sunsetz - Sticky Music (Live)
https://www.youtube.com/watch?v=vPmMacoI7Y8

 

そして、このサンディー、実はそれ以前にもサンディー・オニール名義で、アガサ・クリスティ原作の映画「ナイル殺人事件」のテーマ曲「ミステリー・ナイル」を歌ったりもしていたのだ。この曲は映画の公開と共に結構ヒットしていた覚えがあるので知っている人も多いのではないかと思うが、ただし、この曲は日本の配給会社が独自に制作したテーマ曲なので、オリジナルの映画には使われていない。それでも、日本ではこの曲が映画の興行に果たした役割も大きかったのではないかとは思うところ。まぁ、当時は映画のテーマ曲といえばインストゥルメンタル曲が多かったこともあり、結構印象的だったからね。

▼ サンディー・オニール - ミステリー・ナイル (Mystery Nile)
http://www.youtube.com/watch?v=qge9GaBue6w

余談になるが、この「ミステリー・ナイル」がヒットしたこともあってか、その後も、この「○○殺人事件」シリーズの映画では日本独自のテーマ曲が作られている。

こちらは「地中海殺人事件」のテーマ曲

▼ キャシー・アンド・カレン - 渚のミステリー (Evil Under the Sun)
http://www.youtube.com/watch?v=tTm33cXx3N4

「ミステリー・ナイル」にしても「渚のミステリー」にしても、どことなく想像を掻き立てるようなミステリアスな雰囲気があっていいんだよね。この時代のプロの作曲家のレベルの高さを窺い知れるような魅力的な曲。

 

サンディーについて更に続けると、実はこの他にも、サンドラ・ホーン名義で「ルパン三世」のエンディング曲「ラブ・スコール」も歌っていらっしゃるのだ。

▼ サンドラ・ホーン - ラヴ・スコール (LOVE SQUALL)
https://www.youtube.com/watch?v=CS52VaEnLWM

又、2010年にDVDでリリースされたセリーヌ・ディオンの"Celine - Through the Eyes of the World"には、サンディーのアルバム"WATASHI"に収録されている「雪~わたし」のカヴァー"Watashi Wa Totemo Shiawase Ne"が収録されている。

 

なんだかサンディーの記事みたいになってきたが(笑)、最後は幸宏氏の"60th Anniversary Live"より。

▼ 高橋幸宏 60th Anniversary Live「Murdered By The Music」
https://www.youtube.com/watch?v=y2Uh7FGqLDI

 

なお、この再発盤には、このアルバムについて語る高橋幸宏のインタビュー記事が新たに掲載されており、例えば"BLUE COLOUR WORKER"のシングルは、わざと'60年代っぽく「悲しきブルーカラーワーカー」というタイトルにしたとか、その"BLUE COLOUR WORKER"に出てくる「会社は辛いなぁ」の台詞は当時の自分の状況とも合致していたとか、なかなか興味深い内容となっている。

 

Album Cover (back): Murdered by the Music / Yukihiro Takahashi (高橋ユキヒロ)TRACKLIST
[FACE 1] 1. SCHOOL OF THOUGHT / 2. MURDERED BY THE MUSIC / 3. KID-NAP, THE DREAMER / 4. I-KASU! / 5. RADIOACTIVIST / [FACE 2] 6. NUMBERS FROM A CALICULATED CONVERSATION / 7. BIJIN-KYOSHI AT THE SWIMMING SCHOOL / 8. BLUE COLOUR WORKER / 9. STOP IN THE NAME OF LOVE / 10. MIRRORMANIC / 11. THE CORE OF EDEN

NOTES
• Sandi: Background Vocals (M-3, 8, 9)

• 収録曲のタイトルは全て英語表記で、日本語表記はされていないが、シングルカットされた「MURDERED BY THE MUSIC」と「BLUE COLOUR WORKER」のシングル盤は、それぞれ「音楽殺人」、「悲しきブルーカラーワーカー」という日本語のタイトルでリリースされている。

2005年再発盤
• 高橋幸宏の新インタビュー掲載
• オリジナル・マスターテープからのデジタル・リマスタリング(監修:高橋幸宏)

 

 

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2016/02/11

ILLUMINATIONS [EP] / LITTLE BOOTS (2009)

Album Cover (front): Illuminations / Little Boots  CD: Illuminations / Little Boots  CD Case (front with jewel case sticker): Illuminations / Little Boots

この"Little Boots"の5曲入りEP盤(ミニ・アルバム)"Illuminations"は、フレディ・マーキュリー初のソロ作品である"Love Kills"のカヴァーが収録されており、実を言うと、その"Love Kills"が目的で買ったCDだったのだが、"Little Boots"のファースト・アルバム"Hands"からの2曲に加えて収録されている"Love Kills"を含むこのEPだけの収録曲も、どうして、そのファースト・アルバムに収録されなかったのだろうと思うほどの曲ばかりで、EPとはいえ充実度が高いんだよね。何故か、そのファースト・アルバムよりも値段が高かったEPなのだが(笑)、"Love Kills"を含めて、これだけのクオリティーなら自分的には無問題。

ということで、このEPに収録されているのは、ファースト・アルバム"Hands"からの2曲 ("New In Town", "Stuck On Repeat") と、アルバム未収録曲3曲 ("Not Now", "Magical", "Love Kills") の計5曲。

 

▼ 又、CDには収録曲の5曲に加えて"New In Town"のミュージックビデオも収録されている。

Video: Illuminations / Little Boots

 

▼ Little Boots - Love Kills

https://www.youtube.com/watch?v=s9xc8ZY1d2g

 

▼ Little Boots - Love Kills (Live Glastonbury 26 june 2009)
https://www.youtube.com/watch?v=7mp_aYQK2qM

▼ Little Boots - Not Now
https://www.youtube.com/watch?v=yWKRjO1QSNs

▼ Little Boots - New In Town (Video)
https://www.youtube.com/watch?v=kUs9YzY7t-8

 

なお、リトル・ブーツという名称はバンド名とかユニット名といったものではなく、彼女自身のニックネーム。ちなみに、本名は"Victoria Christina Hesketh"(ヴィクトリア・クリスティーナ・ヘスケス)で、ソングライターのクレジットには本名の"Victoria Hesketh"の方が使われている。

 

Sticker from Front of Jewel Case: Illuminations / Little BootsTRACKLIST
1. New In Town / 2. Stuck On Repeat / 3. Not Now / 4. Magical / 5. Love Kills
Extra: New In Town (Video)

• Tracks 1, 2: from the Album "Hands" / Tracks 3, 4, 5: Non-Album Tracks

NOTES
• Label: Elektra Entertaiment Group, Inc. / Manufactured and Distributed by Fabriqué Et Distribué Par Warner Music Canada Co.
• Format: Enhanced CD [EP]

 

■ 日本の楽器メーカー、ヤマハの「テノリオン」を愛用していることでも有名。

▼ little boots MEDDLE bedroom version - acoustic on piano, tenorion and stylophone oo la la

https://www.youtube.com/watch?v=Zcc8gE54Md8

 

▼ boots got a new toy
https://www.youtube.com/watch?v=-CWBgm_-Ggs

▼ little boots READY FOR THE FUN!!! hot chip tenorion cover
https://www.youtube.com/watch?v=N6tLRCDqJ2c

▼ little boots BULLET IN THE FUN! cover of planet perfecto
https://www.youtube.com/watch?v=mCf8SkDydvw

 

■ ソロでデビューする前は"Dead Disco"というバンドのヴォーカル&キーボードとして活動していた。

▼ Dead Disco - You're Out

https://www.youtube.com/watch?v=ZBv5FHQDnNg

 

▼ Dead Disco - Automatic
https://www.youtube.com/watch?v=FtyTRVK4SIY

▼ Dead Disco - Picture Perfect (Live)
https://www.youtube.com/watch?v=_ZPCAJO31so

 

 

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2016/02/05

BEAUTIFUL - THE CAROLE KING MUSICAL / ORIGINAL BROADWAY CAST RECORDING (2014)

Album Cover (front): Beautiful - The Carole King Musical / Original Broadway Cast Recording  Album Cover (back): Beautiful - The Carole King Musical / Original Broadway Cast Recording  CD Case (front with jewel case sticker): Beautiful - The Carole King Musical / Original Broadway Cast Recording

こちらは、キャロル・キングの半生を舞台化したミュージカル"Beautiful - The Carole King Musical"のオリジナルキャストによるアルバム。残念ながら日本盤はリリースされていないようなので、輸入盤を購入。

アルバムは1枚のCDに全部で25曲が収録されているが、3分台の曲が3曲で、後は全て1分台と2分台の曲という構成なので、テンポ良く、ダレることなく楽しめる。

そして、ブックレットには全曲の歌詞と共に、舞台の写真がそれぞれの曲に添えられているので(全曲ではないが)、実際にミュージカルを観た人は、曲ごとに舞台の場面を思い起こすことができるし、自分のようにミュージカルを観ていない人間は、それぞれの写真を眺めながら舞台の場面を想像して楽しむことができる。

 

▼ Show Clips: BEAUTIFUL: THE CAROLE KING MUSICAL on Broadway w/Chilina Kennedy

https://www.youtube.com/watch?v=KRGDRBkpIbY

 

▼ Beautiful The Carole King Musical Trailer

https://www.youtube.com/watch?v=j-MJHz7yrOw

 

▼ Jessie Mueller - Beautiful (NBC Today Show | 27-Feb-2014)

https://www.youtube.com/watch?v=5X7p5HC6UjI

 

実を言うと、自分自身はミュージカルに、あまりと言うか、ほとんど興味が無い人間なのだが(笑)、このミュージカルは機会があればステージを観てみたいと思ったんだよね。と、そんなことから買ったCDでもあったのだが、ところがどうして、これが音だけでも十分楽しめるクオリティー。オリジナル曲の雰囲気を損なわないアレンジも好感が持てるし、キャロル・キングが他人に提供した楽曲を聴くことができるのも良いところ。

なお、2015年2月に授賞式が行われた第57回グラミー賞の最優秀ミュージカル・シアター・アルバム (Best Musical Theater Album) には、このアルバム"Beautiful - The Carole King Musical"が選ばれている。又、2014年の第68回トニー賞では、キャロル・キングを演じたジェシー・ミューラー (Jessie Mueller) が主演女優賞を受賞した他、音響賞も受賞している。

※ 補足
トニー賞とは、ブロードウェイの功労者で、トニーのニックネームで知られるアントワネット・ペリーを称えて創設されたアメリカ最大の演劇賞。トニー賞 (Tony Award) の名称で定着しているが、正式名称はアントワネット・ペリー賞 (Antoinette Perry Award) 。毎年、ブロードウェイで上演された作品を対象に、舞台に顕著な功績を残した作品と人に贈られる年間賞。創設は1947年で、1949年から演劇 (Play) とミュージカル (Musical) の部門別に選出されている。受賞作品と受賞者の発表は毎年6月頃に行われている。

 

CD: Beautiful - The Carole King Musical / Original Broadway Cast Recording   Sticker from Front of Jewel Case: Beautiful - The Carole King Musical / Original Broadway Cast Recording

 

▼ ミュージカル鑑賞ガイド:ビューティフル ‐ キャロル・キング・ミュージカル
http://musical.cheaptravelz.com/?sakuhin=1143

▼ キャロル・キングの半生を描いたミュージカル『Beautiful: The Carole King Musical』が映画化
http://amass.jp/53966/

▼ ミュージカルのリポート記事:Yoko Hallelujah【姐さんの戯言】 - Beautiful is the beautiful.
http://yaplog.jp/black11dog/archive/1375

▼ BEAUTIFUL The Carole King Musical on Broadway | Official Site for New York Tickets
(※ ページの下に表示されている日本の国旗をクリックすると日本語表示になります)
http://beautifulonbroadway.com/

 

TRACKLIST
Act 1:
1. Overture / 2. So Far Away / 3. 1650 Broadway Medley / 4. It Might As Well Rain Until September / 5. Some Kind Of Wonderful / 6. Happy Days Are Here Again / 7. Take Good Care Of My Baby / 8. Will You Love Me Tomorrow / 9. He's Sure The Boy I Love / 10. Will You Love Me Tomorrow / 11. Up On The Roof / 12. On Broadway / 13. The Locomotion / 14. You've Lost That Lovin' Feeling / 15. One Fine Day
Act 2:
16. Chains / 17. Walking In The Rain / 18. Pleasant Valley Sunday / 19. We Gotta Get Out Of This Place / 20. Uptown / 21. It's Too Late / 22. You've Got A Friend / 23. (You Make Me Feel Like) A Natural Woman / 24. Beautiful / 25. I Feel The Earth Move

NOTES
• CD発売日:2014年5月13日
• Label: Ghostlight Records / Razor & Tie
• Manufactured in the USA
• 歌詞付

 

 

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