クイーンの13作目(ライヴアルバムの"Live Killers"とサウンドトラックの"Flash Gordon"を含む)となるこのアルバム「A Kind of Magic / カインド・オブ・マジック」は、フォーマットがレコードからCDへと移行する転換期にリリースされたことから、この時期にリリースされたアルバムの多くがそうであったように、このアルバムもまた然りで、レコードとCDの両方のフォーマットでリリースされていた。
自分はといえば、このアルバムを最初に手にした時はレコードの方だったが、そういったフォーマットの移行期であったということもあり、レコード会社もCDを売ろうと、レコードよりも収録時間が長いCDの特性を生かして、CDのみボーナストラックを収録というパターンが多く見受けられ、この"A Kind of Magic"も又、ご多分に漏れずそのパターンだった。
CDの方にだけ収録されている別ヴァージョンの3曲を除けば、9曲中6曲が映画「ハイランダー」の為に書かれた曲という構成のアルバムだが、ジャケットの何処にも「ハイランダー」や「サウンドトラック」の表記が無いことからも分かるように、アルバムはサウンドトラック盤としてではなく、"The Works"に続くクイーンのオリジナルアルバムとしてリリースされている。ただし、日本での発売元は映画と噛ませた方が得策だと考えたのか、この時期にリリースされたCDの帯には「サウンドトラック」の表記がされていた。
このアルバムの魅力と言えば、後期を代表する名曲である"Friends Will Be Friends"(ブライアン曰く"Very Classic Queen Sound")が収録されているという点がまず挙げられるのだが(独断)、自分が好きなのは、やっぱりこういったスタイルのサウンドなんだと再確認できた曲でもあった。そして、その後のライヴでは、ずっと変わらないと思っていた"We Will Rock You"~"We Are the Champions"というコンサートのラストを締めくくる黄金セットの間に入り込む形でこの曲が演奏されているのを次作のライヴアルバム"Live Magic"で知った時は、クイーン自身のこの曲に対する位置付けみたいなものが伝わってくる感じで嬉しかったね(欲を言えばフルでやって欲しかったけど)。
ただ、このアルバムに関しては、良く聴く曲と、そうでない曲が極端なんだよね。これは、あくまでも個人的な嗜好によるものなんだろうけど。ということで、上に挙げた"Friends Will Be Friends"と"Pain is So Close to Pleasure"(どちらも作曲者クレジットは"Mercury & Deacon")はかなりの頻度で聴いていたが、6曲目以降の曲(レコードでいうところのB面)は未だに苦手な感じ。その中では幾分聴く機会もあるのが"Who Wants to Live Forever"だが、それでも後半の終わりそうで終わらないモヤモヤした部分をカットした自作のトラックを作成して聴いていた(ミュージック・ビデオでもこの部分はカットされている)。
まぁ、この辺りの要因としては、アルバム収録曲にフレディ・マーキュリーがソングライターとしてクレジットされている曲が少ない(共作を含めて全4曲、フレディ・マーキュリー単独では1曲のみ)というのも、もしかしたら理由のひとつなのかもしれない。
アルバムは(英1位 / 米26位)を記録。又、アルバムに先がけリリ-スされていたシングル"One Vision"は(英7位 / 米61位)、アルバムからのファースト・シングル"A Kind of Magic"が(英3位 / 米42位)を記録。そして、その後は、"Friends Will Be Friends"(英14位)、"Who Wants to Live Forever"(英24位)といった曲もシングルカットされている。ただ、アメリカでは独自に"Princes Of The Universe"や"Pain is So Close to Pleasure"といった曲がシングルカットされたようだが、残念ながらチャートインには至らなかったようだ。
ちなみに、下の写真は当時買った"One Vision"のシングル盤で、ジャケットは三方背の袋タイプになっているので、通常のシングルとは違い、ジャケットに表と裏がある。又、B面にはアルバム未収録の"Blurred Vision"が収録されているが、こちらは"One Vision"の音源を使って遊んでみたといった感じの曲で、ほぼインストゥルメンタルといった曲。タイトルの"Blurred"(輪郭・境界・記憶などがぼやけた、不鮮明な、はっきりしない、 かすんだ)が示すような雰囲気。
そして、もう一つ買ったのが、6分を超えるエクステンデッド・ヴァージョンが収録された"A Kind of Magic"の12インチ・シングル。ちなみに、B面には、アルバム未収録で、"Don't Lose Your Head"の変形とも言えるような曲、"A Doze Red Roses for My Darling"(インストゥルメンタル)が収められている。
なお、この12インチ・シングル盤のライナーノーツには、この曲に対するブライアンのコメントもいくつか引用されており、一部を紹介すると、「とにかく何回も聴いてみてほしいな。きっとそのたびに新しい発見があるはずだよ。ヘッドフォンを使わないと聴きとれないような音もあったりするしさ」とのこと。
TRACKLIST
1. One Vision [Writers: Queen] / 2. A Kind Of Magic [Writer: R. Taylor] / 3. One Year Of Love [Writer: J. Deacon] / 4. Pain Is So Close To Pleasure [Writers: J. Deacon & F. Mercury] / 5. Friends Will Be Friends [Writers: J. Deacon & F. Mercury] / 6. Who Wants To Live Forever [Writer: B. May] / 7. Gimme The Prize (Kurgan's Theme) [Writer: B. May] / 8. Don't Lose Your Head [Writer: R. Taylor] / 9. Princes Of The Universe [Writer: F. Mercury]
[Extra Magical Ingredients]:
10. A Kind Of A kind Of Magic / 11. Friends Will Be Friends Will Be Friends / 12. Forever
1. ONE VISION -ひとつだけの世界- /
2. カインド・オブ・マジック /
3. 愛ある日々 /
4. 喜びへの道 /
5. 心の絆 /
6. リヴ・フォーエヴァー /
7. ギミ・ザ・プライズ /
8. ドント・ルーズ・ユア・ヘッド /
9. プリンシス・オブ・ザ・ユニヴァース
[Extra Magical Ingredients]:
10. ア・カインド・オブ・ア・カインド・オブ・マジック /
11. フレンズ・ウィル・ビー・フレンズ・ウィル・ビー・フレンズ /
12. フォーエヴァー
NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付
■ 追記
こちらは、40周年を記念して2011年にリリースされた2枚組の"40th Anniversary Limited Edition" (2011 Digital Remaster)。
TRACKLIST
Disc 1: A Kind Of Magic
オリジナル・アルバムに"Extra Magical Ingredients"として収録されていた3曲を除く全9曲
Disc 2: A Kind Of Magic - Bonus EP
1. A Kind Of Magic [Highlander Version]
2. One Vision [Single Version]
3. Pain Is So Close To Pleasure [Single Remix]
4. Forever [Piano Version]
5. A Kind Of Vision [Demo, August 1985]
6. One Vision [Live At Wembley Stadium, July 11th, 1986]
7. Friends Will Be Friends Will Be Friends
※ オリジナル・アルバムに"Extra Magical Ingredients"として収録されていた3曲のうち2曲は「Disc 2」の方に収録されているが、「A Kind Of A kind Of Magic / ア・カインド・オブ・ア・カインド・オブ・マジック」だけは収録されていない。
▼ Queen - Friends Will Be Friends (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=0AIlz08fZos
▼ Queen - Who Wants To Live Forever (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=_Jtpf8N5IDE
▼ Queen - One Vision [Extended] (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=-OGd4gplxQM
関連記事
0 件のコメント:
コメントを投稿