2020/08/25

日本でも良く知られる懐かしの海外の曲 (PART 2/10)

第2回目は、ガゼボの「アイ・ライク・ショパン」(1983年)、シャーリーンの「愛はかげろうのように」(1982年)、グレン・メデイロスの「変わらぬ想い」(1987年)の3曲をピックアップ。

 

カセットテープ (TDK SA-X 46)

 

ということで、まずは、ガゼボの「アイ・ライク・ショパン」。実はこの曲、ラジオで最初に聴いたときから気に入って、次は絶対録音しようと、訪れるチャンスを狙っていたんだよね。

 

▼ Gazebo - I Like Chopin

 

■ アイ・ライク・ショパン / ガゼボ (I Like Chopin / Gazebo)

ガゼボは、レバノン生まれのイタリア人シンガー。そして、ガゼボ自身がショパンをテーマに作詞したこの「アイ・ライク・ショパン」は2013年にリリースされ、ヨーロッパ諸国を中心に世界15か国でチャートNo.1の大ヒットを記録。又、日本に於いてもこの「アイ・ライク・ショパン」はオリコン洋楽シングルチャートで1984年6月18日付から13週連続1位を記録し、1984年の年間チャートでも1位にランクされる大ヒットとなった。

 

▼ ジャケット写真 (Discogs)
アイ・ライク・ショパン(7インチ・シングル) / ガゼボ

▼ ジャケット写真 (Discogs)
アイ・ライク・ショパン(12インチ・シングル) / ガゼボ

 

日本では、小林麻美が「雨音はショパンの調べ」というタイトルでカヴァー(日本語の歌詞を手掛けたのは松任谷由実)して、こちらもオリコンチャートでは3週連続第1位を記録(1984年の年間チャートでは12位)する大ヒットとなっている。当時の記憶としては、ラジオでもオリジナル以上にこちらの曲の方が良くかかっていたような印象があるね。

 

▼ 小林麻美 - 雨音はショパンの調べ

 


 

続いては、シャーリーンの「愛はかげろうのように」。

 

▼ Charlene - I've Never Been To Me

 

■ 愛はかげろうのように / シャーリーン (I've Never Been To Me / Charlene)

シャーリーンはアメリカのR&B系シンガー。大ヒットとなった「I've Never Been To Me / 愛はかげろうのように」は、ランディ・クロフォードが1976年にリリースしたアルバム"Everything Must Change"に収録されていた曲のカヴァー。

とは言え、オリジナルは元より、その他にも数多くカヴァーされている曲でありながらも、やはり、シャーリーンのヴァージョンが今に於いてもなお最も知られるところではないかと。かく言う自分も、このシャーリーンの曲がカヴァー曲だなんて、その後も長いこと知らずにいたからね。

ただ、シャーリーンがカヴァーしたヴァージョンも1977年にリリースされた当初は米ビルボードチャートでの最高位も97位と、ヒットには至らなかったようだ。

しかしながら、その後の1982年にラジオで人気に火が付いたことから、再リリースされ、米ビルボードチャートで3位となった他、オーストラリア、カナダ、イギリス、アイルランドといった国でも1位を記録するなど世界的大ヒットとなった。

 

▼ ジャケット写真 (Discogs)
愛はかげろうのように(7インチ・シングル / 1982年) / シャーリーン

▼ ジャケット写真 (Discogs)
愛はかげろうのように(7インチ・シングル / 1986年) / シャーリーン

 

日本では化粧品のテレビCMでも使われたこともあり、たとえシャーリーンや曲名を知らなくても、特定の年代以上の人に限って言えば、聞き覚えがある人も多いのではないかと。

▼ Charlene - I've Never Been To Me (ポーラTVCM)
https://www.youtube.com/watch?v=rLO2OeMgcPM

 

更には、日本に於いては、その後の1986年に椎名恵による日本語カヴァー曲「LOVE IS ALL ~愛を聴かせて~」がテレビドラマの主題歌として使用されたこともあり、より知られる曲となることに。案外、この日本語のヴァージョンの方が記憶にあるという人も多いのかもしれない。

 

▼ 椎名恵 - LOVE IS ALL ~愛を聴かせて~

 


 

そして、2回目 (PART 2) の最後は、グレン・メデイロスの「変わらぬ想い」。

 

▼ Glenn Medeiros - Nothing's Gonna Change My Love For You (Official Music Video)

 

■ 変わらぬ想い / グレン・メデイロス (Nothing's Gonna Change My Love For You / Glenn Medeiros)

元々はジョージ・ベンソンが1985年に発表したアルバム「20/20」に収録されていた曲で、ヨーロッパでのみシングルとしてリリースされたものの残念ながらヒットには至らなかったようだ。

 

▼ George Benson - Nothing's Gonna Change My Love For You - TopPop
https://www.youtube.com/watch?v=Qy7z_oiN6nQ

 

しかしながら、ハワイ出身のアメリカ人シンガー、グレン・メデイロスが1987年にカヴァーして、米ビルボードチャートで12位を記録するヒットに。又、翌年の1988年にはイギリスに於いてもチャート1位を記録した他、フランス、オランダ、スペイン、アイルランドといったヨーロッパ諸国でもチャート1位を記録する大ヒットとなる。

ジャジーで落ち着いた大人の雰囲気といったジョージ・ベンソンのオリジナル・ヴァージョンに対し、グレン・メデイロスのヴァージョンは、グレン・メデイロス自身がデビューしたてということもあってか、初々しい印象があり、爽やか青春ポップスといった雰囲気があるのだが、実はそういった部分もまたヒットに繋がった一因でもあるのではないかと思う。

ちなみに、そんなグレン・メデイロスも、2014年に南カリフォルニア大学で博士号を取得した後は、出身地のハワイで高校の校長を務めているそうだ。

 

▼ ジャケット写真 (Discogs)
変わらぬ想い / グレン・メデイロス

 

なお、この曲は日本でも数多くカヴァーされているのだが、個人的にはサックス奏者の小林香織のカヴァーが好きで、実はこの曲のカヴァーに惹かれてライヴDVDも購入したんだよね。

 

▼ 小林香織 - Nothing's Gonna Change My Love For You (Live)

 

 

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2020/08/19

日本でも良く知られる懐かしの海外の曲 (PART 1/10)

レコード盤から録音したカセットテープ(レコード盤はホコリや傷が付きやすいので買ったら直ぐにカセットテープに録音していた)とは別に、ラジオから録音して集めた曲のカセットテープを持っていた10代の頃のことをぼんやりと思い出していたところ、それらのラジオから録音して聴いていた曲を取り上げて記事にしようと思い立ったことから、第1回目の今回から都合10回に分けて(連続ではないが)、そんな思い出の曲を取り上げた記事を書いていこうと予定している。

 

カセットテープ (TDK SA-X C46)

 

当時は曲名は元より、誰の曲かも分からず録音していた曲や、カヴァーだなんて知らずに聴いていた曲なんかもあったりしていたのだが、今では曲の断片の歌詞やいくつかの情報があればネットで調べられるので、そういったことも含めて、この際、当時は知る由もなかったそういった曲の成り立ちなんかも知れたらいいなということで、記憶を辿りながら、当時の思い出と共に記事を書いていこうと思っている。

しかも、たまたま重なったことではあるのですが、2010年8月14日に始めたこのブログも、5日前の14日で丁度10年目を迎えたということもあり、(10周年記念企画といったような大層なものではありませんが)取り上げるには良い機会かなと。

自分の場合、洋楽に興味を持った割と早い時期からメインで聴いていたのは主にロック系だったのだが、一応、ロック系は曲単位じゃなくバンド(ミュージシャン)単位で好き嫌いを分別していたようなところがあったので、気に入ったらアルバムを購入していたこともあり、ラジオから録音していたのは殆どが非ロック系で、記事のタイトルにもあるように、恐らくは多くの人が聞き覚えのある曲になると思う。

と、当時はそんな感じでいたこともあり、聞き覚えのある名曲や、はたまた、これまで知らなかったような名曲に運良く巡り合って、上手く録音できた時は喜びもひとしおだった。なんたって、頻繁にかかる現在進行形のヒット曲でもない限りは、次に録音できるチャンスがあるかどうかも分からなかったからね。

ちなみに、当時は音楽をラジオから録音して楽しむことはごく一般的なことで(ラジオから音楽等を録音することは「エアチェック」という名称で呼ばれていた)、2週間分の番組表と放送される曲が事前に掲載されたFM情報誌といったものも発売されていた。いや~、雑誌の番組表を見て何を録音しようかとチェックするのも楽しかったなぁ。録音したいがために、(止むを得ず)学校を休んだこともあったし(笑)。

 


 

ということで、最初の1曲目は、日本で最も売れた洋楽シングルであり、個人的には、洋楽に興味を持ち始めた頃にカセットテープに録音して繰り返し聴いていた記憶がある思い出の曲「ビューティフル・サンデー」。

 

▼ Daniel Boone - Beautiful Sunday

 

■ ビューティフル・サンデー / ダニエル・ブーン (Beautiful Sunday / Daniel Boone)

ダニエル・ブーンはイギリス生まれのシンガーソングライター。リリースされた1972年当初、日本では全く注目されず、ほとんど知られていないような状況だったものの、4年後の1976年に朝のテレビ番組「おはよう720」(おはようセブンオーオー)のコーナーでテーマ曲として使用されたことから人気に火が付き、田中星児(オリコン4位)とトランザム(オリコン9位)の日本語カヴァーを含めて大ヒットに。

なお、1976年に再発売された日本盤はオリコンの総合チャートに於いて15週にわたり1位を記録(オリコン洋楽チャートでは1976年3月22日付から21週連続1位を記録)し、今でもこの曲が日本で最も売れた洋楽シングル(約200万枚)とされ、その記録は破られていない。

ちなみに、この「ビューティフル・サンデー」は日本だけで売れた曲だとの誤解もあるようだが、リリース時の1972年には米ビルボードチャートで15位を記録しており、英シングルチャートでも21位を記録するなど、そこそこのヒットとなっている。それでも、大きなヒットとなった国が日本であることは紛れもない事実であり、日本でヒットしたおかげで家を建てることができたとのダニエル・ブーンの言葉は今でも覚えている。

 

▼ 田中星児 - ビューティフル・サンデー
https://www.youtube.com/watch?v=pfMbV_DP5mE

▼ トランザム - ビューティフル・サンデー
https://www.youtube.com/watch?v=sZHZqaIW0OY

 


 

そして、こちらは、オリビア・ニュートン・ジョンの「カントリー・ロード(故郷へ帰りたい)」。この曲は朝のテレビ番組「おはよう720」(おはようセブンツーオー)の番組内の人気コーナーでテーマ曲として使用されたこともあり、「おはよう700」(おはようセブンオーオー)で使用されたビューティフル・サンデーに引き続き日本でもヒットした。ちなみに、番組名の変更は放送時間の変更に伴うもの。

 

▼ Olivia Newton-John - Take Me Home, Country Roads

 

■ カントリーロード(故郷へ帰りたい) / オリビア・ニュートン・ジョン (Take Me Home, Country Roads / Olivia Newton-John)

オリジナルは、アメリカの歌手ジョン・デンバーが1971年に発表し、米ビルボードチャートで2位を記録するヒットとなった"Take Me Home, Country Roads"(邦題:故郷へかえりたい)」で、オリビア・ニュートン・ジョンの「カントリーロード(故郷へ帰りたい)」はそのカヴァー曲。

そして、そのオリビア・ニュートン・ジョンの「カントリー・ロード(故郷へ帰りたい)」はと言えば、イギリスに於いては1973年のシングルチャートで15位を記録している(アメリカでは119位止まり)。日本では先に記したテレビ番組で使用された1976年にシングルカットされ、オリコン洋楽チャートでは1976年11月29日付から15週連続1位(オリコン総合チャートでの最高位は1977年1月17日付の6位)を記録している。

 

▼ ジャケット写真 (Discogs)
「たそがれの恋 / カントリー・ロード(故郷へ帰りたい)」 / オリビア・ニュートン・ジョン

▼ ジャケット写真 (Discogs)
「カントリー・ロード(故郷へ帰りたい) / たそがれの恋」 / オリビア・ニュートン・ジョン

 

日本では、後の1995年に公開されたスタジオジブリ制作のアニメ映画「耳をすませば」の挿入歌およびエンディング主題歌として、女優の本名陽子(「耳をすませば」の主人公である月島雫を演じている)の日本語訳によるカヴァーが収録された。なお、「耳をすませば」のオープニングテーマにはオリビア・ニュートン・ジョンが歌う「Take Me Home, Country Roads / カントリー・ロード(故郷へ帰りたい)」が使用されている。

又、本名陽子の日本語訳によるカヴァー「カントリー・ロード」はシングルとしてもリリースされ、22位(オリコン)を記録している。

 

▼ 本名陽子 - カントリー・ロード

 

▼ ジャケット写真 (Discogs)
「耳をすませば」主題歌 - カントリー・ロード(2004年版マキシシングル) / 本名陽子

 


 

第1回目の最後は、ロバータ・フラックの「やさしく歌って」。自分の場合は、その後にネスカフェのCMソングとして歌詞を変えて使われたことによってこの曲を知ることになったのだが、恐らくは、自分のみならず、そういった経緯でこの曲を知った人も多いのではないだろうか。

当時、この曲を初めて聴くと同時に、運良く録音できたときは、商品名が入らないフルヴァージョンがあったのかと驚くと共に、凄いものを見つけて録音したぞと興奮していたんだよね(笑)。ちなみに、CMで使用されていた曲を歌っているのはロバータ・フラックではなくマデリン・ベルというアメリカのシンガー。

 

▼ Roberta Flack - Killing Me Softly With His Song (Official Audio)

 

▼ ネスカフェ ラジオCM 1977年(歌:マデリン・ベル)
https://www.youtube.com/watch?v=Tt980laiHI8

▼ ネスカフェ テレビCM 1977年(歌:マデリン・ベル)
https://www.youtube.com/watch?v=YafbYwHSm9U

又、その後の2005年~2007年に放映のCMでは女優のメグ・ライアンが起用され、バックミュージックでは、再び「やさしく歌って」(インストゥルメンタル・ヴァージョン)が使用されていた。

▼ ネスカフェ・エクセラ~メグ・ライアン (TVCM)
https://www.youtube.com/watch?v=T3ra2jgdEIw

 

■ やさしく歌って / ロバータ・フラック (Killing Me Softly With His Song / Roberta Flack)

ウィキペディアによると、"Killing Me Softly with His Song"(邦題:やさしく歌って)は、女性シンガーのロリ・リーバーマンが、当時まだ無名だったドン・マクリーンが歌う"Empty Chairs"という曲をロサンゼルスのクラブで聴いて感銘を受け、"Killing Me Softly With His Blues"という詩を書き、これを元に作詞家のギンベルと作曲家のフォックスが仕上げた曲ということらしい。 ただし、1972年にリリースされたこのロリ・リーバーマンの曲はヒットには至らなかったとのこと。

しかしながら、飛行機の機内BGMとして採用されていたこの曲をロバータ・フラックが偶然聴いて気に入ったことから、彼女の歌でレコーディングされ、米ビルボードチャートで4週連続1位(1973年2月24日から)を含む計5週で1位となる大ヒットとなり、これにより、ロバータ・フラックはグラミー賞3部門も受賞したということが、これもまたウィキペディアに記載されている。

いやぁ、それにしても、こうして記事を書きながら聴いても、改めて良い曲だなぁとは思うところ。

 

▼ ジャケット写真 (Discogs)
やさしく歌って / ロバータ・フラック

 

その後の1996年には、アメリカの3人組ヒップホップ・グループのフージーズがカヴァーし、英1位をはじめ、ヨーロッパ諸国を中心に多くの国でチャート1位を記録する大ヒットとなっている。

▼ Fugees - Killing Me Softly With His Song (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=oKOtzIo-uYw

 

 

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2020/08/11

SYMFONIA - LIVE IN BULGARIA 2013 [2CD EDITION] / ASIA (2017)

CDの帯:シンフォニア~ライヴ・イン・ブルガリア 2013 / エイジア

Album Cover (front): Symfonia - Live in Bulgaria 2013 / Asia  Album Cover (back): Symfonia - Live in Bulgaria 2013 / Asia  CD Case (back cover): Symfonia - Live in Bulgaria 2013 / Asia

この「Symfonia - Live in Bulgaria 2013 (With The Plovdiv Opera Orchestra) / シンフォニア~ライヴ・イン・ブルガリア 2013」は、オーケストラとの共演となったブルガリアでのライヴを収録したエイジアのライヴ・アルバムではあるのだが、残念ながら、結果的にこのライヴ・アルバムがジョン・ウェットンの遺作となってしまった。

自分が購入したのはここに取り上げている「2枚組CD」だが、このときのライヴを収録したものとしては、この他に「DVD」と「Blu-ray」、それに「DVD+CD」、「Blu-rayc+CD」といったメディア/パッケージも発売されている。

アルバムは、ライヴの前半 (CD-1) がバンドのみでの演奏、そして、後半 (CD-2) がオーケストラとの共演という構成になっており、収録曲としては全16曲中(日本盤限定ボーナストラックを除く)、9曲が初期2枚のアルバム(ファースト・アルバムの"Asia"とセカンド・アルバムの"Alpha")からの選曲となっている。

個人的には、コンピレーション・アルバム"Then & Now"に未発表曲として収録されていた4曲の中の1曲"Days Like These"(シングルとしてもリリースされた曲)がセットリストにあるのなら、その"Then & Now"の直前にリリースされたサード・アルバムの"Astra"からも1曲くらいは取り上げて欲しかったところではあるが、それはさておき、この時代のライヴに於いても"Days Like These"が取り上げられて演奏されているのはちょっとした驚きでもあった。

メンバーは、オリジナル・ギタリストのスティーヴ・ハウが脱退し、新たにサム・コールソンを迎えての新ラインナップで制作された2014年リリースのスタジオ・アルバム「Gravitas / グラヴィタス~荘厳なる刻」と同じ4人。

なお、会場となったプロヴディフは首都のソフィアに次ぐブルガリア第2の都市で、6千年に及ぶ歴史を有する古都だとのこと。又、プロヴディフは一大文化拠点であり、街には数多くの博物館、画廊や文化的機関が置かれ、音楽、演劇、映画などの文化的催しを主催しているなど、文化、芸術の拠点にもなっているそうだ。(ウィキペディアを参照)

プロヴディフ (Wikipedia)

 

CD Case (back cover): Symfonia - Live in Bulgaria 2013 / Asia  

 

正直言うと、オーケストラとの共演ということで、もっとダイナミックで荘厳なサウンドを期待していたのだが、思ったほどではなかったのがちょっぴり残念なところ。まぁ、特に初期の曲はどうしても重厚でスケール感溢れるスタジオ・アルバムの印象が脳裏にあるので仕方ない部分もあるんだけどね。

それでも、スタジオ・ヴァージョンを拡張したアレンジの"The Smile Has Left Your Eyes"(この曲については新たに知った事実があったので、この後でまた取り上げる)については、特にジョン・ウェットン亡き後ではより一層感慨深いものがあったし、セカンド・アルバムの"Alpha"が大好きな自分には、個人的には好きな曲でありながらも、取り立ててアルバムを代表する曲とも言えないような"My Own Time"("Alpha"での曲名表記は"My Own Time (I'll Do What I Want)")が取り上げられていることも何気に嬉しくもあった。

 

CJapanese Booklet (front)  CD-1: Symfonia - Live in Bulgaria 2013 / Asia  CD-2: Symfonia - Live in Bulgaria 2013 / Asia

 

▼ Asia - The Smile Has Left Your Eyes (Live In Bulgaria 2013)

https://www.youtube.com/watch?v=oKZVcDAWl0c

 

そして、以下は、先々月(2020年6月)にジョン・ウェットンの誕生日にあわせて公開された"The Smile Has Left Your Eyes"のオリジナル・アレンジ・ヴァージョンで、これはジョン・ウェットンの長年の友人であるリック・ネルソンが、残されていた様々なアーカイブ・スタジオ・レコーディングから慎重に再構築して、可能な限り忠実に再現したものだそうだ。

 

▼ Asia - 'The Smile Has Left Your Eyes (Parts I & II)' (Reconstructed Original Arrangement)

https://www.youtube.com/watch?v=8ThlbhVu3Mw

 

インフォメーションによると、エイジアはセカンド・アルバム「Alpha / アルファ」のレコーディング中に"The Smile Has Left Your Eyes (Parts I & II)"を録音したものの、バンドは最終的にこの尺長のトラックを放棄して、より簡潔なヴァージョンを改めて再録音したとのこと。

▼ エイジア「The Smile Has Left Your Eyes」最終的に破棄されたオリジナルアレンジ版を再現 音源公開 (2020/06/14 / amass)
http://amass.jp/135689/

ということで、それまでは、ライヴで演奏される拡張ヴァージョンについては、てっきり、ライヴ用にアレンジされたものだと思っていたら、実はオリジナル・ヴァージョンに沿ったアレンジだったのだ。

 

ASIA - BAND MEMBERS (Listed in Booklet)
• John Wetton (ジョン・ウェットン) - Lead Vocal, Bass & Acoustic Guitar
• Carl Palmer (カール・パーマー) - Drums
• Geoffrey Downes (ジェフ・ダウンズ) - Keyboards, Backing Vocals
• Sam Coulson (サム・コールソン) - Guitars, Backing Vocals

 

TRACKLIST (2CD Edition)
[CD 1]
1. Sole Survivor / 2. Time Again / 3. Face On The Bridge / 4. My Own Time / 5. Holy War / 6. An Extraordinary Life / 7. Days Like These / 8. Open Your Eyes

1. 孤独のサヴァイヴァー / 2. タイム・アゲイン / 3. フェイス・オン・ザ・ブリッジ / 4. マイ・オウン・タイム / 5. ホーリー・ウォー / 6. アン・エクストラオーディナリー・ライフ / 7. デイズ・ライク・ディーズ / 8. 永遠の輝き

[CD 2]
1. Only Time Will Tell / 2. Don't Cry / 3. Heroine / 4. The Smile Has Left Your Eyes / 5. Wildest Dreams / 6. Heat Of The Moment
[Japanese Bonus Track]
7. Valkyrie (Recorded live at The Canyon Club, Agoura Hills, CA - 19th October 2014)

1. 時へのロマン / 2. ドント・クライ / 3. ヒロイン / 4. 偽りの微笑み / 5. この夢の果てまで / 6. ヒート・オブ・ザ・モーメント
[日本盤限定ボーナストラック]
7. ワルキューレ(2014年10月19日 - カリフォルニア / ザ・キャニオン・クラブ公演)

 

NOTES
• 21st September 2013 - Plovdiv Roman Theatre - Bulriaga (2013年9月21日 - ブルガリア / プロヴディフ公演)

• 解説付(歌詞・対訳なし)
• 品番:GQCS-90278~9
• 発売日:2017年02月10日(日本先行発売)

 

 

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Asia 「詠時感~時へのロマン」 (1982) / Asia

Alpha 「アルファ」 (1983) / Asia

Astra 「アストラ」 (1985) / Asia

Anthologia 「アンソロジア~20th アニヴァーサリー・コレクション」 (2002) / Asia

Phoenix 「フェニックス」 (2008) / Asia

Omega 「オメガ」 (2010) / Asia

Gravitas 「グラヴィタス~荘厳なる刻(とき)」 (2014) / Asia

R.I.P. John Wetton / ASIA Official Website (2017)

エイジア結成以前にジョン・ウェットンが在籍していたバンド
Night After Night 「ナイト・アフター・ナイト(ライヴ・イン・ジャパン)」 (1979) / UK

ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズが提供した楽曲"We Move as One"を収録
Eyes Of A Woman (1985) / Agnetha Fältskog [ex-Abba]

2020/08/05

HIROKO NAKAMURA PLAYS CHOPIN FAVORITES 「“幻想即興曲” 中村紘子ショパン名曲集」 / HIROKO NAKAMURA (1984)

Album Cover (front): Hiroko Nakamura Plays Chopin Favorites 「“幻想即興曲” 中村紘子ショパン名曲集」 / Hiroko Nakamura  CD Case (back cover): Hiroko Nakamura Plays Chopin Favorites 「“幻想即興曲” 中村紘子ショパン名曲集」 / Hiroko Nakamura  CD Case (inside): Hiroko Nakamura Plays Chopin Favorites 「“幻想即興曲” 中村紘子ショパン名曲集」 / Hiroko Nakamura

実を言うと、1984年にリリースされたこの「“幻想即興曲” 中村紘子ショパン名曲集 / Hiroko Nakamura Plays Chopin Favorites」は自分が持ってるCDの中ではリリース年が最も古いCDになる。でも、これ、自分で買ったものではなく、頂き物なんだけどね。

1984年と言えば、一般的にはまだCDが普及していなくて(世界で初めてCDが販売されたのは1982年で、その後、CDがレコードのシェアを追い抜いたのは5年後の1987年)、そのCDを聴くためのCDプレイヤーを持ってる人もそう多くはなかった時代。それに加えて、CDが販売開始されてからまだ2年ということで、まだまだCD化されていないアルバムも多く、価格もLPレコードより幾分高かったし、ジャケットがLPレコードに比べて小さいということもあり、まだまだLPレコードを買う人の方が多かった。

ちなみに、1982年10月1日に世界で初めて発売されたCDカタログの中に含まれていた中村紘子さんのアルバム「<新> ショパン名曲集 / Hiroko Nakamura Chopin Album」(品番:38DC 15)とは別物。

 

※ 補足(世界初のCD)

1982年10月1日、CDプレーヤーの発売にあわせて、「CBS・ソニー」と「EPIC・ソニー」から50タイトル、「日本コロムビア」から10タイトルのCDソフトが世界で初めて発売された。

そして、このカタログの中で最初に生産されたのがビリー・ジョエルの「52nd Street / ニューヨーク52番街」(品番:35DP 1 / 日本盤)だったことから、日本で生産・発売されたこのアルバムが世界初のCDと言われている。

ただし、CDの販売は上記の日本より2週間ほど遅れた(同年10月15日)ものの、生産が開始されたのは日本より早かったことから(西ドイツのポリグラムの工場で同年8月17日から生産が開始された)、世界で最初に生産されたCDはアバの「TheVisitors / ザ・ヴィジターズ」(品番:800 011-2 / 西ドイツ盤)とされている。と、こういった状況から「世界初のCD」という表現に於いては、しばしば誤解されることもあるようだ。

なお、1982年当時は日本と西ドイツにしかCDを製造できる工場がなく、世界最大の音楽市場であるアメリカに於いて国内製造のCDが発売開始されたのは翌年の1983年3月2日からだった。

 

本題である「“幻想即興曲” 中村紘子ショパン名曲集」については、収録されている曲はショパンを代表する曲ばかりで、しかも、1曲1曲もさほど長くないということもあり、自分のようなクラシックにさほど詳しくない者にも取っ付きやすい構成になっている。

個人的には3曲目の「ノクターン第2番変ホ長調作品9-2 / Nocturne E-Flat Major Op.9-2」と、5曲目の「エチュード ホ長調作品10-3「別れの曲」 / Etude E Major Op.10-3」が特に好きで、この2曲は今でも時折、自分の"iTunes"のプレイカウント・トップ 40に入ってくるほど。

▼ こちらは同時発売されたLPレコードのジャケット写真
Hiroko Nakamura – Plays Chopin Favorites (Discogs)

 

▼ 中村紘子 - ノクターン第2番変ホ長調(ショパン)

https://www.youtube.com/watch?v=AciBoBYTZYk

 

▼ 中村紘子 - エチュード ホ長調作品10-3「別れの曲」(ショパン)

https://www.youtube.com/watch?v=hk7Ruym8HRQ

 

▼ Hiroko Nakamura - Chopin: Fantaisie Impromptu 「幻想即興曲」(1985年 福島市音楽堂)

https://www.youtube.com/watch?v=5qC9Q69KawE

 

■ 一応、中村紘子さんについて簡単に紹介しておくと(ウィキペディアより引用)
中村紘子 - ウィキペディア

• 3歳半からピアノを習う。
• 1965年の第7回ショパン国際ピアノコンクールで、日本人として2人目の入賞者(第4位入賞と最年少者賞を併せて受賞)。
• 夫は小説家の庄司薫氏。
• 2016年7月26日、大腸がんのため永眠。72歳没。

▼ ピアニスト中村紘子さん偲ぶ会 芸術・政財界から参列者
https://www.youtube.com/watch?v=4lxM6_FiAQo

 

■ ラジオ番組「わが心の人」(これも中々興味深い話が聞けるので、興味のある方はどうぞ)

▼ 1/3 深夜便アーカイブス「わが心の人」 (2019/08/20) - ピアニスト・中村 紘子さんとの思い出/刈部 直(東京大学教授)NHK ラジオ深夜便 (2017/11/17)
https://www.youtube.com/watch?v=7UfHC5_4Sp8

▼ 2/3 深夜便アーカイブス「わが心の人」 (2019/08/20) - ピアニスト・中村 紘子さんとの思い出/刈部 直(東京大学教授)NHK ラジオ深夜便 (2017/11/17)
https://www.youtube.com/watch?v=fxLc7UJyGFU

▼ 3/3 深夜便アーカイブス「わが心の人」 (2019/08/20) - ピアニスト・中村 紘子さんとの思い出/刈部 直(東京大学教授)NHK ラジオ深夜便 (2017/11/17)
https://www.youtube.com/watch?v=hDodRFA2uzs

 

TRACKLIST
01. ワルツ第7番嬰ハ短調作品64-2 / Waltz No.7 C-Sharp Minor Op.64-2
02. エチュード変ト長調作品10-5「黒鍵」 / Etude G-Flat Major Op.10-5 "Black Keys"
03. ノクターン第2番変ホ長調作品9-2 / Nocturne E-Flat Major Op.9-2
04. エチュード ハ短調作品10-12「革命」 / Etude C Minor Op.10-12 "Revolutionary"
05. エチュード ホ長調作品10-3「別れの曲」 / Etude E Major Op.10-3
06. ポロネーズ第6番変イ長調作品53「英雄」 / Polonaise A-Flat Major Op.53 "Heroique"
07. 幻想即興曲第4番嬰ハ短調作品66「幻想即興曲」 / Fantaisie Impromptu C-Sharp Minor, Op.66
08. ワルツ第3番イ短調作品34-2「華麗なるワルツ」 / Waltz No.3 A Minor Op.34-2
09. ノクターン第5番嬰ヘ長調作品15-2 / Nocturne No.5 F-Sharp Major Op.15-2
10. ワルツ第6番変ニ長調作品64-1「小犬のワルツ」 / Waltz No.6 D-Flat Major Op.64-1
11. ノクターン嬰ハ短調遺作 / Nocturne C-Sharp Minor Op. Poth
12. ワルツ第1番変ホ長調作品18「華麗なる大ワルツ」 / Waltz No.1 E-Flat Major "Grand Waltz Brillante"

• 石橋メモリアル・ホール - 1976年11月 (1, 2, 3, 4, 7, 8, 10, 11, 12)
• 石橋メモリアル・ホール - 1978年3月 (5, 6, 9)

NOTES
• 日本盤初回プレスCD(初CD化盤) [Japanese First Pressing CD]
• レーベル: CBS/SONY
• 発売日:1984/7/21
• 品番:35DC-192
• 解説付

 

 

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