この「Rock in a Hard Place / 美獣乱舞」は、ジョー・ペリー(1979年脱退)と、ブラッド・ウィットフォード(1981年脱退)の2人のオリジナルギタリストに代わり、ジミー・クレスポ(前作でも部分的に参加)と、リック・デュフェイの2人のギタリストを新たにメンバーに加えて制作されたエアロスミス通算7枚目のスタジオ・アルバム。
[補足]
"Lightning Strikes"のみ、ブラッド・ウィットフォードがリズムギターで参加している。
と、オリジナルメンバー2人を欠いた状態で制作されたアルバムということもあり、エアロスミスのアルバムの中では比較的影の薄い存在となっている印象がある。
しかも、ストーンヘンジの写真があしらわれたアルバム・ジャケットもまたアルバムの地味さに拍車をかけている感じだし。
ただ、そうは言っても、それほど悪いアルバムとも思えないんだよなぁ。個人的には3年後にリリースされたオリジナルメンバーでの復活アルバム"Done with Mirrors"よりも好きではある。
それに、仮に、この時期にオリジナルメンバーでアルバムが制作されていたとしても、売り上げは似たり寄ったりだったのではないかと思うし。
[2021年2月追記]
「Google 翻訳」で「Rock in a Hard Place」と入力したら「美獣乱舞」と翻訳されてビックリ。深化する"Google"(笑)。
実を言うと、エアロスミスのアルバムで、LPレコードとして持っているのは、この"Rock in a Hard Place"1枚だけなんだよね。唯一持っているエアロスミスのLPレコードが、この"Rock in a Hard Place"というのは世界的に見てもけっこう珍しい例なのではないだろうか(笑)。
他のLPレコードは処分してしまったのに、何故、この"Rock in a Hard Place"だけは残しておいたのかといえば、このアルバムだけは直ぐにはCD化されないんじゃないかと思ったから(笑)。
と、そういった経緯もあり、CD化された際は、待ってましたと言わんばかりに喜んで買った覚えがある。
アルバム後半に収録されているタイトルトラックの"Rock In A Hard Place (Cheshire Cat)"と "Jig Is Up"のように、アルバム「Draw The Line / ドロー・ザ・ライン」に収録されていても違和感がないようなグルーヴィーな曲や、アルバム最後の10曲目に収録されている"Push Comes to Shove"のような、第二次黄金期の幕開けとなった「Permanent Vacation / パーマネント・ヴァケーション」以降のエアロスミスにも通じる雰囲気を持った曲なんかも中々捨て難いのだが、このアルバム、レコードでいうところのA面(1~5)が特に充実していて、1曲目の"Jailbait"は過去のオープニング曲と比べても遜色の無いエアロスミスらしいへヴィーな曲だし、2曲目の"Lightning Strikes"は一時期のライヴでも頻繁に演奏されていた曲。
個人的には3曲目の"Bitch's Brew"と、5曲目の"Cry Me a River"が特に好きで、当時はアルバムからは当然この2曲ががシングルになるんだろうと思い込んでいた。
ということで、自分の中ではシングル第一弾と思い込んでいたこの"Cry Me a River"、実はこの曲、オリジナルではなく、スタンダードナンバーのカヴァー曲なのだが、ジャジーな雰囲気ながらもエアロスミスらしさに溢れた素晴らしいカヴァーで、それこそカヴァーと言われなければオリジナルと勘違いするほど、実に渋くてカッコいいアレンジのカヴァー曲。ほんと好きなんだよね、この曲。
■ Aerosmith - Cry me a River
▼ ちなみに、こちらは1990年代以降で最も成功したジャズ・ミュージシャンの一人とも言われているカナダ生まれの女性ジャズ・ピアニスト&シンガー、ダイアナ・クラールによる"Cry Me A River"。
■ Diana Krall - Cry Me A River (Live In Paris)
https://www.youtube.com/watch?v=S4hPii_RVHE
▼ "Jailbait"も過去のオープニング曲に負けず劣らずの曲
■ Aerosmith - Jailbait
▼ アルバムの中では"Cry Me A River"と並んで最も好きな曲のひとつ
■ Aerosmith - Bitch's Brew
▼ 内側に解説と歌詞が掲載された付属の二つ折り(四面)シート
アルバムとしては、スティーヴン・タイラーのヴォーカルは言うに及ばず、演奏面ではエアロスミスらしさを踏まえたジミー・クレスポの活躍が光るアルバムだと思っている。又、収録曲の多くがスティーヴン・タイラーとジミー・クレスポの共作曲ということを考えれば、演奏面だけではないジミー・クレスポの貢献度といった部分も、もっと評価されてもいいのではないかとは思うところ。
▼ LPレコードのラベル
TRACKLIST
1. Jailbait / 2. Lightning Strikes / 3. Bitch's Brew / 4. Bolivian Ragamuffin / 5. Cry Me A River / 6. Prelude To Joanie / 7. Joanie's Butterfly / 8. Rock In A Hard Place (Cheshire Cat) / 9. Jig Is Up / 10. Push Comes To Shove
1. ジェイルベイト / 2. ライトニング・ストライクス / 3. ビッチェズ・ブリュー / 4. 彷徨えるボリヴィアン / 5. クライ・ミー・ア・リヴァー / 6. プレリュード(ジョニーに捧ぐ) / 7. ジョニーズ・バタフライ」 / 8. ロック・イン・ア・ハード・プレイス / 9. ジィグ・イズ・アップ / 10. プッシュ・カムズ・トゥ・ショウヴ
NOTES
• Brad Whitford - Rhythm Guitar on "Lightning Strikes"
• 日本盤初回プレスCD(日本初CD化盤) [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付
• US 32位 (Gold / 1989-RIAA)
AEROSMITH - BAND MEMBERS (Listed on Inner Sleeve)
• Tom Hamilton - Bass
• Jimmy Crespo - Lead Guitar
• Joey Kramer - Drums
• Steven Tyler - Vocals, Keyboards, Harmonica, Percussion
• Rick Dufay - Guitar
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