これまでの中間色に彩られた印象派の香り漂うアルバム・カヴァーのデザインから一転して、この「Amarantine / アマランタイン」では、原色に近いシンプルな配色よるポップなモダンアートを思わせるイメージに変わったことに、何やらサウンド面での変化を匂わせているのかと思いきや、実際に聴こえてくるサウンドはむしろ逆で、爆発的に売れた前作"A Day Without Rain"からすると、ポップ性はやや影を潜め、より繊細で深みのある方向へと向かっているように感じられる。
その所為か、当初は多少地味な印象を受けていたが、時が経つにつれ、ジワジワとその魅力に気付き、引き込まれていっているようでもある。
このアルバム"Amarantine"では、ゲール語、英語、日本語、そして架空の言語と、曲のイメージによって歌詞の言語が使い分けられているが、中でも、芭蕉の句をイメージさせる文芸性とサウンドが一体となった「Sumiregusa / 菫草(すみれぐさ)」で表現されるその世界観は見事で、日本人でもこれだけのものを表現できる人はそうはいないのではないかと思えるような出来。派手さはないけれど、ヒット狙いの楽曲がひしめく昨今にあっては、むしろ神聖な感じさえする。よりアーティスティックなサウンドへと進化したこのアルバムは、もしかしたら、時を経てこそ、その価値に気付くのかもしれない。これぞ岩に染み入るサウンド?
ちなみに、アルバム・タイトルの"Amarantine"は、詩人が「永遠の花」を語る時に使う言葉だそうで、エンヤ曰く、「"Amarantine"と呼んだのは永遠性を込めてのことなの。私はずっとこのイメージが大好きだったのよ」とのこと。
TRACKLIST
1. Less Than A Pearl /
2. Amarantine /
3. It's In The Rain /
4. If I Could Be Where You Are /
5. The River Sings /
6. Long Long Journey /
7. Sumiregusa /
8. Someone Said Goodbye /
9. A Moment Lost /
10. Drifting /
11. Amid The Falling Snow /
12. Water Shows The Hidden Heart
1. レス・ザン・ア・パール / 2. アマランタイン / 3. イッツ・イン・ザ・レイン / 4. イフ・アイ・クッド・ビー・ホウェア・ユー・アー / 5. ザ・リヴァー・シングス / 6. ロング・ロング・ジャーニー / 7. 菫草(すみれぐさ) / 8. サムワン・セッド・グッバイ / 9. ア・モーメント・ロスト / 10. ドリフティング / 11. アミッド・ザ・フォーリング・スノウ / 12. ウォーター・ショウズ・ザ・ヒドゥン・ハート
NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 解説・歌詞・対訳付
• Album: 英8位 - Silver / 米6位 - Platinum (2005-RIAA)
▼ Enya - Amarantine
https://www.youtube.com/watch?v=IQU4DoE1eBg
▼ Enya - It's In The Rain
https://www.youtube.com/watch?v=__aCeZSxSmA
▼ Enya - Sumiregusa
https://www.youtube.com/watch?v=t4Old6BfmIE
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