2017/08/04

JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史 (2017)

JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史(単行本)    JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史(単行本)

こちらは、一月ちょっと前の6月末に突如出版されたジャパンの歴史を綴った単行本「JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史」。

本の内容としては、2015年にイギリスで出版された"A Foreign Place - The Biography (1974-1984)"の日本語版ということになるのだが、日本版では独自に、音楽雑誌「ミュージック・ライフ」の秘蔵写真や、過去に掲載されていたインタビュー記事が加えられた特別編集版となっている。

こういう本が発売されるということは、もしかしたらジャパンとして何かしら動きがあるのかとも思ったのだが、特段そういった動きというものは無いようなので、何かに連動して出版されたということではないらしい。それにしても、丸々一冊ジャパンの本が出版されようとは思ってもみなかったので驚いた。

本文の始まりである第1章の前には16ページの巻頭グラビアがあって、そこにはデビュー前の学生時代に家で練習している風景が写された貴重な写真があったりと、ファンにとっては本文と併せて興味深い一冊になっている。又、本文の中にも所々で写真が掲載されており、自分自身は初めて見る写真も多く、特にミック・カーン亡き今となっては、これらの写真を眺めるだけでも感慨深いものがある。ただ、一言だけ言わせてもらえれば、表紙の写真にはロブ・ディーンも加えてほしかったなと。

本文の方は、生い立ちからメンバーの出会い、ジャパン結成に至るまでの経緯。そして、ロブ・ディーン本人が語る脱退の真相や、スティーヴ・ジャンセンの日記に記された「Tin Drum / 錻力の太鼓」のレコーディング中のエピソードといったものから、はたまた、ポール・マッカートニーやデュラン・デュランとの意外な交流など、今までほとんど知られることが無かったバンドの実像や実態が明かされている。解散の舞台裏を語ったメンバー全員のインタビュー記事も、当時を知らないファンや、当時見逃していたファン、そして、当時のことを色々と忘れてしまっている(笑)という自分のような人達にも見逃せないものだと思う。

JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史(単行本)    JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史(単行本)    JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史(単行本)

この「JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史」は、日本で初めて出版されたジャパンの評伝であり、バイオグラフィ本ということらしいだが、もしかしたら、これが最初で最後かもしれないし、本の内容からして発行部数もそれほど多くはないと思われるので、ファンの人は元より、ジャパンと共に青春時代を過ごしたというかつてファンだったという人もこの機会に購入して、当時の自分を重ねて思い起こしてみるのはいかがだろうか。

私自身は、2011年に出版された「ミック・カーン自伝」の方も購入しているので、そこでミック自身が語っていたことを裏付けるようなエピソード(例えば、"Quiet Life"と"Gentlemen Take Polaroids"の制作に携わったプロデューサーのジョン・パンターが、作曲者にデヴィッド・シルヴィアンの名前しか表記されていないことを不思議に思っていたといったこと)があったり、その「ミック・カーン自伝」で語られていた出来事が、この本ではまた違う立場の人による視点で取り上げられていることにより、人それぞれに様々な見解があるのだということを知ることができたのも良かった。

それと、当時のファンのことを考えてのことだと思われるが、本文にあるアルバムや曲のタイトルは原題に加えて邦題も並べて表記してあるので、当時、ジャパンに抱いていたイメージとその時代の雰囲気が蘇ってくるようで、これも中々良いのだ。

なお、この本については、本の出版に携わった方が5回にわたって「JAPAN本制作日記」というかたちで記事を書かれているので、こちらも併せて読むと、より興味深くこの本を味わうことができると思う(実際、自分がそうだったから)。

▼ JAPAN本制作日記 1
http://blog.livedoor.jp/akikomima/archives/51838736.html

 

JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史(単行本)

 

CONTENTS
• 第1章 出会いとはじまり
• 第2章 真夜中を突っ走れ
• 第3章 曖昧な選択肢を手中に
• 1978年日本初登場インタビュー
• 第4章 アルファヴィル
• 第5章 1980
• 第6章 1980 2
• 1980年対談 デヴィッド・シルヴィアン&坂本龍一
• 第7章 アートと派閥
• 第8章 錻力の太鼓
• 第9章 バーニング・ブリッジズ
• 第10章 歓待の声
• 1982年解散報道~メンバー全員インタビュー
• 終章 終わりなき愛を夢見て
• ディスコグラフィ
• パーソナル・アンケート

NOTES
• 単行本(320ページ)
• 出版社:シンコーミュージック
• 発売日:2017年6月29日(日本語特別仕様版)
• 寸法:25 x 21 x 3cm(A4変型判)
• 価格:¥3,700+税(税込み¥3,996)

 

 

関連記事

ミュージック・ライフ 5月号臨時増刊 JAPANイン日本 (1979)

Japan & Self Existence - ミック・カーン自伝 [日本語版] / Mick Karn (2011)

その他の JAPAN 関連記事

Adolescent Sex 「果てしなき反抗」 (1978) / Japan

JAPAN - 果てしなき反抗 & 苦悩の旋律 / 雑誌広告 (1979)

ミュージック・ライフ 5月号臨時増刊 JAPANイン日本 (1979)

Quiet Life 「クワイエット・ライフ」 (1979) / Japan

Gentlemen Take Polaroids 「孤独な影」 (1980) / Japan

The Singles 「ザ・シングルズ」 [限定レコード盤] (1981) / Japan

Tin Drum 「錻力の太鼓」 (1981) / Japan

Assemblage 「アセンブラージュ」 [2CD] (1995) / Japan

The Singles 「シングルズ」 [2CD] (1996) / Japan

Zero Landmine (2001) / N.M.L. (No More Landmine) - featuring David Sylvian & Steve Jansen

WORLD CITIZEN - i won't be disappointed (2003) / Ryuichi Sakamoto + David Silvian

The Very Best Of [DVD] (2006) / Japan

さよなら、ミック・カーン (2011)

0 件のコメント:

コメントを投稿