2012/02/07

GENTLEMEN TAKE POLAROIDS 「孤独な影」 / JAPAN (1980)

CDの帯:孤独な影/Japan

Album Cover (back): Gentlemen Take Polaroids / Japan

今でこそ、このアルバムならではのサウンドに魅了されている部分があるものの、実のところ、当時は、あまりにもダークな印象があるこのアルバム「Gentlemen Take Polaroids / 孤独な影」をそれほど気に入ってなかったんだよね。

LPレコードで言うところのA面1曲目のタイトルトラック"Gentlemen Take Polaroids"と、B面1曲目の"Methods Of Dance"の2曲は比較的とっつき易いこともあり、そこそこ気に入って聴いていた記憶はあるのだが、何せジャケット写真のイメージも相まって、アルバム全体が重苦しく憂鬱な雰囲気があり、少年だった当時はその点がどうも苦手だった。

ただ、それは、自分がまだ幼く、彼らの音楽性を十分理解することができなかったということでもあるのだが、振り返ってみると、音楽は楽しいものだけじゃないということを初めて知ったのがこのアルバムだったようにも思う。

サウンドも然ることながら、英文は勿論のこと、日本語訳された歌詞を見ても、何のことを歌っているのか、当時はさっぱり分からなかったのだが、改めて読み返してみると、何となく全体を通して表現されているメッセージのようなものが感じられる気もする。

更には、今にして思えば、もしかしたら、このひたすら暗く重苦しいサウンドも、アーティスティックな要素が感じられない商業音楽に満ち溢れた昨今でこそ、その魅力が際立つのかもしれない。どんよりとした鉛色の空にも美を見つけることができるのだ。

Album Cover (back): Gentlemen Take Polaroids / Japan

オリジナルのLPレコード盤には、A面4曲、B面4曲の計8曲が収録されていたが、自分が購入したこの再発版CDには、当時のシングル・レコード盤のB面にのみ収録されていた"The Experience Of Swimming"と"The Width Of A Room"の2曲が追加されている。

ただ、通常と違い、この2曲はボーナストラックとしてアルバムの最後に収録されているのではなく、4曲目と8曲目に(LPレコード盤で例えると、A面、B面の3曲目と4曲目の間にそれぞれ挟みこむ形で)収録されている。

まぁ、普通はこんなことをされると、制作者が意図するアルバムの流れが台無しじゃないかと思ってしまったりもするのだが、これが意外と違和感無く収まっており、アルバムの最後に取って付けたように収録されるよりも、かえって全体の流れとしては良かったと思えるほど。

というのも、この2曲が時期的に隔たりのある楽曲ではなく、しかも、インストゥルメンタル曲ということもあってか、アルバムの雰囲気を壊さず、いいフックになっているのだ。まぁ、この辺りはアルバムに対する個人的な思いや好みといったものがあるのかもしれないが。

ちなみに、7曲目(オリジナルの曲順では6曲目)の「Ain't That Peculiar / エイント・ザット・ペキュリアー」はアメリカのソウル・ミュージシャンであるマーヴィン・ゲイのカヴァー曲。

この"Ain't That Peculiar"、マーヴィン・ゲイの曲というだけでも、ジャパンのサウンドからすると何とも異色のカヴァー曲といった感じもするのだが、実のところ、本国のイギリスではファースト・アルバム「Adolescent Sex / 果てしなき反抗」からの最初のシングルとしてもリリースされた「Don't Rain On My Parade / パレードに雨を降らせないで」もアメリカを代表するシンガー(ミュージカル俳優兼歌手)であるバーブラ・ストライサンドのミュージカル・ソングのカヴァーであったことから、この曲を取り上げたことについても特段驚いたということはなかった。

というか、カヴァーとは言え、オリジナルとは全くの別物といった曲調にアレンジされているので、それこそカヴァーと言われなければオリジナル曲と思ってしまうくらいにオリジナル曲との隔たりが無いジャパン・サウンドに仕上げられていることにむしろ驚いてしまう。

ただ、当時はオリジナルがこんな感じの曲だったなんてことは知らなかったことから、初めてマーヴィン・ゲイのオリジナル・ヴァージョンを聴いたときは相当驚いたんだけどね。

▼ Marvin Gaye - Ain't That Peculiar
https://www.youtube.com/watch?v=21PBmwDLqRs

 

TRACKLIST
1. Gentlemen Take Polaroids / 2. Swing / 3. Burning Bridges / 4. The Experience Of Swimming [Bonus Track] / 5. My New Career / 6. Methods Of Dance / 7. Ain't That Peculiar / 8. Nightporter / 9. The Width Of A Room [Bonus Track] / 10. Taking Islands In Africa

1. 孤独な影 / 2. スウィング / 3. バーニング・ブリッジズ / 4. ジ・エクスペリエンス・オブ・スイミング(ボーナス・トラック) / 5. マイ・ニュー・カリアー / 6. メソッズ・オブ・ダンス / 7. エイント・ザット・ペキュリアー / 8. ナイトポーター / 9. ザ・ウィドゥス・オブ・ア・ルーム(ボーナス・トラック) / 10. テイキング・アイランズ・イン・アフリカ

• CD発売日:1996年07月24日(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付

 

▼ JAPAN - Gentlemen Take Polaroids

 

▼ JAPAN - Swing / My New Career

 

▼ JAPAN - Methods Of Dance

 

 

関連記事

Adolescent Sex 「果てしなき反抗」 (1978) / Japan

JAPAN - 果てしなき反抗 & 苦悩の旋律 / 雑誌広告 (1979)

ミュージック・ライフ 5月号臨時増刊 JAPANイン日本 (1979)

Quiet Life 「クワイエット・ライフ」 (1979) / Japan

The Singles 「ザ・シングルズ」 [限定レコード盤] (1981) / Japan

Tin Drum 「錻力の太鼓」 (1981) / Japan

Assemblage 「アセンブラージュ」 [2CD] (1995) / Japan

The Singles 「シングルズ」 [2CD] (1996) / Japan

Zero Landmine (2001) / N.M.L. (No More Landmine) - featuring David Sylvian & Steve Jansen

WORLD CITIZEN - i won't be disappointed (2003) / Ryuichi Sakamoto + David Silvian

The Very Best Of [DVD] (2006) / Japan

さよなら、ミック・カーン (2011)

Japan & Self Existence - ミック・カーン自伝 [日本語版] / Mick Karn (2011)

JAPAN 1974-1984 ~ 光と影のバンド全史 (2017)

0 件のコメント:

コメントを投稿