こちらはミュージック・ライフの臨時増刊として発刊された雑誌で、来日の様子を収めた写真と記事で綴られた"Japan"の特集号。ライヴの模様は当然ながら、オフショットが満載。勿論、最初から最後のページまで全てが"Japan"の記事と写真で構成されおり、丸々一冊が"Japan"という内容。
この当時は海外のバンドについて個人が得られる情報量なんて今と比べると圧倒的に少なかった所為か、ファンの多くが情報に飢えているような部分もあり、好きなバンドについては些細なことでも知りたいという欲求も高かったように思う。
そういったこともあり、この"Japan"特集号も、そんなファン心理に応えるように、インタビュー記事は勿論のこと、何時に朝食をとって何時にリハーサルに出かけたとか、滞在時のタイムスケジュールといったものまでが記載されている。
で、この"Japan"、ビジュアルイメージとは裏腹に、サウンドの方は、明暗で言えば「暗」、陰陽ならば「陰」と、全体的に廃退的で重苦しい雰囲気が漂っており、当時はそのギャップが又、好きな部分でもあった。それに、当時は私自身が世の中に対して何となく冷めたような目で見るところもあったので、この絶望感漂う廃退的な雰囲気に妙に惹かれるようなところもあった。
そして、雑誌には音楽評論家によるコンサートのレビューもいくつか掲載されているのだが、けっして絶賛しているわけではないけれど、例えば「彼らのステージに対し、単調で盛り上がらないという不満もあるだろう。だが、そこには始めから誤解がある。ロックバンドのコンサートには汗と熱狂がつきものだという従来の方程式にのっとった誤解だ。彼らの音楽は最初から手拍子を取りながら乗りまくるといったタイプのものではなく、極めて知的な屈折と実験的な精神の上に成り立つものであるからだ。」とか、「ファンの歓声とは正反対に、彼らの音楽は、重く、暗く、陰うつであった。始まって3、4曲目で、すでに耐えきれないほど憂鬱な気分になってしまった。やはり、あれだけ陰湿な曲を続けられると気がめいる。かれらの美貌を見ているぶんにはいいのだが、音楽を聴くとなると、ブルーになりすぎてしまう。」といったように、案外正直に書かれたレビュー等も彼らの音楽性を知る上ではけっこう面白い。
▼ 付属のワイド・カラー・ポスター
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