2015/04/09

日米両国で行われた戦後70年の日米関係に関する世論調査結果(2015年調査)

アメリカの世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが、戦後70年の日米関係に関する意識調査をアメリカと日本の両国で行い、お互いが相手国に対してどのような印象を持っているかといった調査報告書を発表しました。

• 調査実施期間:2015年2月12日~15日
• 調査対象:18歳以上の日米それぞれ1,000人
• 調査方法:電話による聞き取り調査

調査項目が多いので、ここではその中から抜粋した調査結果を記載しています。調査項目の全文については、ページ下にピュー・リサーチ・センターの調査結果(英文)が記されたアドレスを記載していますので、そちらをご参照ください。

調査報告書の一番上には大きく"Americans, Japanese: Mutual Respect 70 Years After the End of WWII"と記されているように、全体の総括としては、戦後70年、アメリカ人と日本人はお互いにリスペクトし合っているという結論になったようです。

 


 

日米関係に関する世論調査■ アメリカ人と日本人は、お互いを信頼、中国を警戒、日本の軍事的役割では認識が異なる

アメリカ人の68%、日本人の75%が互いを信頼しており良好な関係だとした。

中国を「信頼する」と答えた人は、アメリカで30%、日本は7%と、それぞれ数値的には低い割合ながらも、認識には多少の違いがあることが浮き彫りになる結果に。

日本の軍事的役割については、アメリカでは47%が、「より積極的な軍事的役割を果たすべきだ」と答えたのに対し、日本では「より積極的な軍事的役割を果たすべきだ」と答えたのは23%と、こちらも両国民の認識に差がある結果に。

 


 

日米関係に関する世論調査■ アメリカ人と日本人は、お互いをどう見ているか

アメリカ人が見る日本人
• Hardworking / 勤勉 (94%)
• Inventive / 独創的 (75%)
• Honest / 正直 (71%)
• Intolerant / 偏狭的 (36%)
• Aggressive / 攻撃的 (31%)
• Selfish / 利己的 (19%)

日本人が見るアメリカ人
• Hardworking / 勤勉 (25%)
• Inventive / 独創的 (67%)
• Honest / 正直 (37%)
• Intolerant / 偏狭的 (29%)
• Aggressive / 攻撃的 (50%)
• Selfish / 利己的 (47%)

※「Aggressive」については、「Aggressive War / 侵略戦争」、「Aggressive Weapons / 攻撃用兵器」 といった使われ方をとって、「攻撃的」という日本語表記にしたものの、"Aggressive"という言葉には、「侵略的」、「攻撃的」という意味合いの他に、「押しの強い」とか、「積極的」、「意欲的」、「活動的」といったプラスの意味で使われることもあります。ただし、「積極的」、「意欲的」、「活動的」といった意味では"Active"という言葉を使うのが一般的なようです。

 


 

▼ 下の表は「そうは思わない」という回答を含めた回答結果

日米関係に関する世論調査   日米関係に関する世論調査

 


 

日米関係に関する世論調査■ 日米間の重大な出来事は

アメリカ人
• 2011年東日本大震災 (31%)
• 第二次世界大戦 (31%)
• 第二次大戦後の日米安保条約 (23%)
• 1980年代から1990年代初期に起こった日米貿易摩擦問題 (8%)

日本人
• 2011年東日本大震災 (20%)
• 第二次世界大戦 (17%)
• 第二次大戦後の日米安保条約 (36%)
• 1980年代から1990年代初期に起こった日米貿易摩擦問題 (14%)

 


 

日米関係に関する世論調査■ 広島、長崎への原爆投下の是非について

アメリカ人
• 正当化できる (56%)
• 正当化できない (34%)

日本人
• 正当化できる (14%)
• 正当化できない (79%)

今回の調査の中では、この問いが日米の認識の差が一番大きい回答結果となっており、アメリカでは原爆投下が正当化できると考える人、日本では正当化できないと考える人の割合が高い結果となっています。ただし、アメリカでも正当化できないと考える人が34%(約3人に1人)、日本でも正当化できると考える人が14%(約10人に1人)いる点にも注目。

なお、こちらのグラフには記載されていないものの、アメリカ人に対する調査結果からは「正当化できる」と答えた人は高齢者層、共和党支持者、男性、白人に多い傾向があるようです。

 


 

日米関係に関する世論調査■ 第二次世界大戦の謝罪

アメリカ人
• 日本は十分に謝罪した (37%)
• 日本は十分に謝罪していない (29%)
• 謝罪する必要はない (24%)

日本人
• 日本は十分に謝罪した (48%)
• 日本は十分に謝罪していない (28%)
• 謝罪する必要はない (15%)

「十分に謝罪した」と「謝罪する必要はない」の合計がアメリカで61%、日本で63%と、共に「十分に謝罪していない」を大きく上回る結果に。又、アメリカでは、そもそも謝罪すら必要ないとする「謝罪する必要はない」との回答が24%と、「十分に謝罪していない」の29%に近い数値を示しているところも注目点かと。

なお、調査では、ドイツの場合はどうかと同様の質問がされているのですが、そこでは、日本は「十分に謝罪した」、「謝罪する必要はない」と答えたアメリカ人の合計が61%だったのに対し、ドイツは「十分に謝罪した」、「謝罪する必要はない」と答えたアメリカ人の合計は54%、そして「十分に謝罪していない」が37%と、日本に比べると、やや謝罪が足りないと考える割合が高い結果になっています(ドイツが「十分に謝罪していない」との認識は、日本に対しての回答同様に高齢者層に多い傾向があるようです)。

 


 

日米関係に関する世論調査■ アメリカにとって日本と中国のどちらと経済関係を強化するのが良いか

アメリカ人の回答
• トータル: 日本 (36%) / 中国 (43%)
• 白人: 日本 (40%) / 中国 (38%)
• 白人以外: 日本 (28%) / 中国 (52%)
• 18-29才: 日本 (23%) / 中国 (61%)
• 30-49才: 日本 (36%) / 中国 (44%)
• 50-64才: 日本 (39%) / 中国 (38%)
• 65才以上: 日本 (46%) / 中国 (28%)
• 共和党支持者: 日本 (45%) / 中国 (37%)
• 民主党支持者: 日本 (33%) / 中国 (50%)
• 支持政党なし: 日本 (34%) / 中国 (44%)

若年層では中国と答えた割合が高いのが目立ちます。又、第二次世界大戦については「日本は十分に謝罪していない」、原爆投下は「正当化できる」と答えた割合が高かった高齢者層が、この問いでは日本と答えた割合が他の世代より高いのも特徴。

 


 

■ 中国の台頭による日米の関係及び、アジアにおける日本の軍事的役割

日米関係に関する世論調査

軍事や経済力などの中国の台頭による日米関係

アメリカ人の回答
• さらに重要になる (60%)
• 重要性は減った (6%)
• 変わらない (29%)

アジア太平洋地域の平和と安定を維持するために、日本はより積極的な軍事的役割を果たすべきであるという意見と、歴史を考えれば、日本は地域情勢での軍事的役割を制限する必要があるという意見のどちらが自分の考えに近いか。

アメリカ人の回答
• 日本はより積極的な軍事的役割を果たすべき (47%)
• 日本は軍事的役割を制限する必要がある (43%)

ちなみに、日本人の回答結果は以下の通り。(この表には記載されていません)

日本人の回答
• 日本はより積極的な軍事的役割を果たすべき (23%)
• 日本は軍事的役割を制限する必要がある (68%)

冒頭でもピックアップされていたように、両国民の認識に差がある結果に。

 


 

■ あなたが日本を考えるとき最初に頭に浮かぶ事は何ですか?

日米関係に関する世論調査

こちらはアメリカだけでの調査

なお、この問いの回答結果にある数値は、パーセンテージではなく、回答者の数として記載されています。

あなたが日本を考えるとき最初に頭に浮かぶ事は何ですか?

• Sushi, Food (98)
• Cars (52)
• WWII (51)
• Technology (49)
• Relatives, Friends (42)
• Tsunami, Fukushima (35)
• Crowded, Lots of people (33)
• Good, Positive (33)
• Culture (32)
• Other personal characteristics (32)
• Tokyo (26)
• Manufacturing, Industry (25)
• Want to visit, Visited (23)
• Other business (21)
• Beautiful, Pretty (18)
• Other geography (17)
• Electronics (16)
• Japanese people (16)
• Island (15)
• Pearl Harbor (15)

 


 

日米関係に関する世論調査■ アジアの主要課題に関するアメリカ人の意識の格差

あなたはどの程度聞いたことがあるか

以下はアメリカ人の回答

北朝鮮の核開発計画について
• 良く聞く (39%)
• 少し聞いたことがある (42%)
• 全く聞いたことがない (18%)

中国と近隣諸国間の領土紛争について
• 良く聞く (16%)
• 少し聞いたことがある (44%)
• 全く聞いたことがない (39%)

第二次世界大戦における「慰安婦」に対する日本と韓国の間の緊張について
• 良く聞く (10%)
• 少し聞いたことがある (31%)
• 全く聞いたことがない (57%)

 


 

■ 参照・引用:Pew Research Center / ピュー・リサーチ・センター

▼ Pew Research Center - Full Report (April 7, 2015)
http://www.pewglobal.org/2015/04/07/americans-japanese-mutual-respect-70-years-after-the-end-of-wwii/

▼ 2015 Pew Research Center Survey - Report Infographics(全17ページ)
http://www.pewglobal.org/2015/04/07/americans-japanese-mutual-respect-70-years-after-the-end-of-wwii/pg_us-japan_timeline_history_6-6in/

▼ Pew Research Center - Complete Report PDF
http://www.pewglobal.org/files/2015/04/Pew-Research-Center-Sasakawa-US-Japan-Report-FINAL-April-7-20151.pdf

▼ Pew Research Center - Topline Results PDF (数値だけを要約したページ)
http://www.pewglobal.org/files/2015/04/Pew-Research-Center-Sasakawa-US-Japan-TOPLINE-April-7-2015.pdf

 

 

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