2012/04/09

JAPAN & SELF EXISTENCE - ミック・カーン自伝 [日本語版] / MICK KARN (2011)

Japan & Self Existence - ミック・カーン自伝 / Mick Karn先日購入したのがこのミック・カーン本人の手による自伝。これが、なんと500ページを超えるヴォリュームで、今はまだ100ページほどしか読んでいないのだが、出だしからけっこう赤裸々に語られており、この先が楽しみな反面、衝撃的なことが書かれているのではないかと、ちょっぴり不安でもある。ということで、一気に読んでしまうことを多少ためらいながら、今はチビチビと恐る恐る読んでいる。

実は、この本を買って読み始めるまで誤解していたことがあった。それは、ミック・カーンが亡くなったのが2011年1月4日で、この自伝の日本語版が出版されたのが同年の7月ということから、てっきり彼の死が日本語版が出版された最大の理由なんだろうと勘繰っていたこと。でも、実際は、この本の翻訳者であり、中学生でジャパンの洗礼を受けたと語る中山美樹さんがミックの病気を知り、治療費を援助するために何かをしたいと始められたのが、2009年に英語版で出版されたこの自伝の日本語版を出版することだったとのこと。ということで、この日本語版は彼が亡くなる前から企画され進められていたものだったのだ。ただ、原著で、387ページもあるこの自伝の翻訳は1年がかりの作業であったらしく、残念ながらその間にミックは亡くなってしまったというのが本当のところだったんだね。

 

Japan & Self Existence - ミック・カーン自伝 / Mick Karn

 

Japan & Self Existence - ミック・カーン自伝 / Mick Karnそれにしても、思い立って直ぐに、出版社へ企画を持ち込み、こうして実際に出版まで漕ぎ着けられたのだから、この方のその行動力には頭が下がるし、そのおかげでこの本が読めることになったのだから、ほんと感謝したい。

又、この本には翻訳者のあとがきの他にも、特別に編集担当者のあとがきも加えられており、そこにはこの本が出版されることになった内情と経緯が紹介されている。これがけっこう興味深い内容で、例えば翻訳者の中山さんが最初にこの企画を持ち込まれたときは、同社の他部署で一度断られていたそうで、実際、この手の本はそれほど売れるものではないとのこと。

ただ、無事に出版されたこの本の編集担当者の方はジャパンとミックのファンだと文章内で自ら語られていることから、そういった経緯で再度この方のところへ中山さんから話が来たのかとも思ったのだが、経緯については語られていないので実際のところは分からない。それでも、昨今は何事も数字優先の感情のないロボットのような企業ばかりといった印象もあるから、こういったところから物事が始まったのであれば、まだまだ日本の企業も捨てたもんじゃないなと思えるのだが、実はこの話にはまだ続きがある。

編集担当者の文を引用すると、「彼のためにもファンのためにもこの企画はぜひ実現したいと思いたが、やはり制作費や利益を考えると、通常の方法では会社が許可しないのは目に見えている」。ということで、この編集担当者が出向いた先は、いきなり社長のところだったそうで、結果はその場で応援を約束してくれたそうだ。実は、この編集担当者はそれまで知らなかったらしいだが、なんと社長も青春時代ジャパンに染まった一人だったとのこと。そして、次の根回しに向かった先が取締役のところだったそうで、この取締役は社内の年末ライヴでメイクしてジャパンの曲を編集担当者と一緒に演奏した間柄(しかも、ミック役がこの取締役だった)とのことで、もちろん企画には賛成してくれたとのこと。ということで、採算性を考えると通常ではありえないこの企画が会議を通って出版。おまけに予算の中から可能な限りの金額が版権使用料として支払われたこと(多分遺族の方へ)も異例のことだったそうだ。

といった日本語版が出版されるまでの経緯を踏まえつつも、冒頭でも述べたように、本文はまだ5分の1程度しか読んでいないのだが、翻訳者の「この本の中にミックはしっかりと生きている」という言葉が何となく実感できるような気がする。"Japan"のメンバーの中では一番陽気に見えたミック・カーンだが、実は、とても繊細な心の持ち主だったのかもしれない。

 

Japan & Self Existence - ミック・カーン自伝 / Mick KarnCONTENTS
● はじめに ● 幼年期 ● 邂逅 ● 始動 ● 契約 ● クリスチャンの隣人たち ● トゥースマザーツアー ● 銀行の支店長 ● 『トゥース・マザー』 ● 謎のパイ ● 二〇〇五年九月の日記 ● セッション ● 幸運 ● ベース ● 一九七八年 ● 一九七九年 ● ライフ・イン・トウキョウ ● 厄介なオランダ人 ● ニューヨークの休日 ● アートについて 1 ● 不思議な一致 ● ブレインストーム ● 一九八〇年 ● 『孤独な影』 ● ミセスT ● 『ベスチャル・クラスター』 ● ロッシーナ ● ゲームプレイ ● デヴィッド・トーン ● 二〇〇五年十二月の日記 ● カシミール ● CMP対ミディアム ● ベスチャルクラスターツアー ● ガラパフォーマンス ● さらばイギリス ● 音楽仲間 ● サンフランシスコ ● 『心のスケッチ』 ● アートについて 2 ● 『ウェイキング・アワー』&『ドリームス・オブ・リーズン』 ● 五番目の男 ● フィナーレ ● 『イーチ・アイ・ア・パス』 ● 『レイン・トゥリー・クロウ』 ● 僕たちは今どこにいる?

 

NOTES
• 単行本(544ページ)
• 出版社:リットーミュージック
• 発売日:2011年7月25日(日本語版)
• 寸法:18 x 18 x 2.8cm (B5変形判)
• 価格:¥2,800+税(税込み¥3,024)

 

 

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2012/04/04

THE VERY BEST LIVE 「ザ・ベリー・ベスト・ライブ」 / ALAN PARSONS (1995)

CDの帯(初回プレス盤):ザ・ベリー・ベスト・ライブ / アラン・パーソンズAlbum Cover (front): The Very Best Live / Alan Parsonsこの「The Very Best Live / ザ・ベリー・ベスト・ライブ」はアラン・パーソンズ初のライヴ・アルバム。残念ながら、アラン・パーソンズ・プロジェクトとしてではなく、アラン・パーソンズのソロ名義でのライヴではあるが、収録曲は全てがアラン・パーソンズ・プロジェクト時代の代表曲を中心とした楽曲で占められており、ファンにとっては嬉しいところ。何たって、オープニングは"Sirius ~ Eye in the Sky"だからね。

とは言っても、スタジオワーク・オンリーのユニットとも言えるアラン・パーソンズ・プロジェクト時代からライヴを殆んどやらないことで有名なアラン・パーソンズだったこともあり、実際のところ、まさかライヴ・アルバムがリリースされようとは思ってもみなかったので、当時、CDショップでたまたまこのアルバムを見つけた時には、驚くというよりも、意表を突かれた感じだった。

収録されているのは、1994年の5月に行われたヨーロッパ・ツアーだとブックレットに記載されているが、流石プロデューサーとしても名を馳せるアラン・パーソンズだけあって、音質がとても良くて、ライヴ・アルバムとは言え、スタジオ盤並みにしっかりとプロデュースされているといった印象。

正直なところ、アラン・パーソンズのライヴと言われてもイメージ的にピンとこない部分もあったのだが、実際に聴いてみると、これが又、実に良い感じなのだ。ハードロックバンドの熱く熱狂的なライヴも良いのだが、このように安定感のある落ち着いたライヴも良いなと改めて思った次第。

残念ながら、エリック・ウルフソン亡き今となっては、アラン・パーソンズ・プロジェクトの再始動も夢物語に終わってしまったが、それでも、こうしてエリック・ウルフソンとのコンビで生み出された作品(楽曲)を聴いていると、あたかも、そこにエリック・ウルフソンの姿があるかのようにも思えるし、ファンにとってはアラン・パーソンズ・プロジェクトのアルバムでお馴染みのイアン・ベアンソン(ギター)とスチュワート・エリオット(ドラムス)が参加しているライヴ・アルバムというのも嬉しいところ。

Album Cover (back): The Very Best Live / Alan Parsons   CD Case (back cover): The Very Best Live / Alan Parsons   Booklet: The Very Best Live / Alan Parsons

それにしても、まさか、"Eye In The Sky"や"Old And Wise"、"Prime Time"、"Limelight"、"Don't Answer Me"といった個人的に好きなこれらの楽曲のライヴ・ヴァージョンをこうして聴ける時がこようとはアラン・パーソンズ・プロジェクトのレコード盤を買ってた頃には想像だにしなかったこともあり、なんか不思議な感じでもある。

曲ごとにヴォーカリストを選んでいたアラン・パーソンズ・プロジェクトなので、当然のことながらスタジオ盤とはヴォーカリストが違うという点があるものの、思いのほか違和感はなかった。でも、これだけ素晴らしいサウンドを聴かされると、できることなら2枚組にしてもらって、もっと色んな曲を聴いてみたかったと、更なる欲が出てきたりもする。

なお、アルバムの最後にはスタジオ録音による新曲が3曲収録されている(個人的には"Take The Money And Run"が割と好き)。

 

TRACKLIST
1. Sirius / 2. Eye In The Sky / 3. Psychobabble / 4. The Raven / 5. Time / 6. Luciferama / 7. Old And Wise / 8. You're Gonna Get Your Fingers Burned / 9. Prime Time / 10. Limelight / 11. Don't Answer Me / 12. Standing On Higher Ground / 13. When (Previously Unreleased) / 14. Take The Money And Run (Previously Unreleased) / 15. You're The Voice (Previously Unreleased)

1. 狼星(シリウス) / 2. アイ・イン・ザ・スカイ / 3. サイコバブル / 4. 大鴉 / 5. 時は川の流れに / 6. ルシフェラマー(ルシファー~ママガンマ) / 7. オールド・アンド・ワイズ / 8. 火傷 / 9. プライム・タイム / 10. ライムライト / 11. ドント・アンサー・ミー / 12. 真実をみつめて / 13. ホエン(新曲) / 14. テイク・ザ・マネー・アンド・ラン(新曲) / 15. ユーアー・ザ・ヴォイス(新曲)

• Tracks 1-12: Recorded on Tour in Europe May 1994
• Tracks 13-15: Previously Unreleased Studio Recordings

NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 品番:BVCP-884
• 解説・歌詞・対訳付
• 発売日:1995/10/21

 

▼ こちらはライヴ・レコーディングの翌年に行われたアルバムとは別音源のライヴ

Alan Parsons - Sirius / Eye in the Sky (Live 1995)

 

 

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2012/03/25

AFTERGLOW 「アフターグロウ~ELOアンソロジー」 [3CD BOX SET] / E.L.O. (1990)

CDの帯(初回プレス盤):アフターグロウ~ELOアンソロジー / E.L.O.Album Cover: Afterglow / E.L.O.これは"Afterglow"(残光、残照、余韻といった意味)と題された"E.L.O."の集大成とも言える3枚組ボックスセットで、収録曲は1971年のファースト・アルバム"No Answer"(イギリスでのタイトルは"The Electric Light Orchestra")から1986年にリリースされた事実上のラスト・アルバムと言える"Balance of Power"の中から(つまりは、これまでにリリースされた全スタジオ・アルバムから)セレクトされている。

ファンにとって嬉しいのは、この期間にレコーディングされていたものの、アルバムには収録されなかったトラック(シングルのB面曲を含む)が未発表曲として収録されていることで、実際、自分もこれらの曲を目当てで買ったようなところがあった。ただ、現在では、これらの未発表曲の多くは再発されたオリジナル・アルバムにボーナストラックとして収録されている。なお、未発表曲(オリジナル・アルバム未収録曲)は9曲が収録されている。

特徴的なのは、オリジナル・アルバムに無音部分が無く繋がった形で収録されている曲の場合だと、この"Afterglow"にも同じようにアルバムに準じた形で収録されているということで、例えば、"Twilight"はオリジナルアルバムと同じく"Prologue"とメドレーになっているし、同様に"So Fine"と"Livin' Thing"も曲に切れ目が無い形で収録されている。

その他にも、"Mr. Blue Sky"はエンディングのパートがそっくりカットされたシングル・ヴァージョンで収録されており、加えて、オリジナル・アルバムではエンディングの部分が"Epilogue"と繋がっている"Hold On Tight"と、エンディングの部分にアルバムのエピローグのようなパートが入っている"Rock 'N' Roll Is King"も同じくシングル・ヴァージョンで収録されている。しかしながら、逆に、ベスト・アルバム等ではイントロ部分がカットされたシングル・ヴァージョンで収録されることも多い"Shine A Little Love"はアルバム・ヴァージョンで収録されているといった特徴もある。

又、"Roll Over Beethoven"はアルバム・ヴァージョンよりも更に1分程度長い8分を超えるヴァージョンが収録されているのも特筆すべき点のひとつではないかと思う。

ちなみに、"Face the Music"に収録の"Waterfall"と"Strange Magic"はLP時代のオリジナル・ヴァージョン同様にイントロ部分もきちんと収録されている。何せ、この"Face the Music"がCD化された際は"Fire on High"をはじめ、この2曲の序曲的なイントロ部分はカットされていたので、当時はこのことだけで随分と嬉しかったんだよなぁ。ただし、"Evil Woman"だけは、その序曲的なイントロ部分がカットされたヴァージョンが収録されている。

なお、このボックスセットは、ジャケットと同じデザインのスリップ・ケース(CDケース・カヴァー)に入っており、108ページの豪華ブックレットが特典として付いている。そして、この日本盤には、"Confusion"、"Last Train to London"、"Calling America"の3曲が追加されているので、全50曲(トータルタイムは3時間44分)というけっこうなヴォリュームになっている。ただ、権利関係の問題なのか、サウンドトラックの"Xanadu"からは1曲も選曲されていない。

 

Afterglow / E.L.O.   Afterglow / E.L.O.

 

Afterglow / E.L.O.TRACKLIST
[Disc 1]
1. 10538 Overture / 2. Mr. Radio / 3. Kuiama / 4. In Old England Town (Boogie #2) / 5. Mama / 6. Roll Over Beethoven / 7. Bluebird Is Dead / 8. Ma-Ma-Ma Belle / 9. Showdown / 10. Can't Get It Out My Head / 11. Boy Blue / 12. One Summer Dream 13. Evil Woman

1. 10538序曲 / 2. ミスター・ラジオ / 3. クイアマ / 4. イン・オールド・イングランド・タウン(ブギーNo. 2) / 5. ママ / 6. ロール・オーヴァー・ベ-トーヴェン / 7. 青い鳥は絶えたのか? / 8. いとしのベル / 9. ショウダウン / 10. 見果てぬ想い / 11. ボーイ・ブルーの帰還 / 12. 夏の日 / 13. イーヴィル・ウーマン

[Disc 2]
1. Tightrope / 2. Strange Magic / 3. Do Ya / 4. Nightrider / 5. Waterfall / 6. Rockaria! / 7. Telephone Line / 8. So Fine / 9. Livin' Thing / 10. Mr. Blue Sky / 11. Sweet Is The Night / 12. Turn To Stone / 13. Sweet Talkin' Woman / 14. Steppin' Out / 15. Midnight Blue / 16. Don't Bring Me Down / 17. Confusion [Japan Only Bonus Track] / 18. Last Train to London [Japan Only Bonus Track]

1. タイトロープ / 2. ストレンジ・マジック(不思議なマジック) / 3. ドゥ・ヤ / 4. ナイトライダー / 5. 滝 / 6. 哀愁のロッカリア / 7. テレフォン・ライン / 8. ソー・ファイン / 9. オーロラの救世主 / 10. ミスター・ブルー・スカイ / 11. スウィート・イズ・ザ・ナイト / 12. ターン・トゥ・ストーン / 13. スウィート・トーキン・ウーマン / 14. ステッピン・アウト / 15. ミッドナイト・ブルー / 16. ドント・ブリング・ミー・ダウン / 17. コンフュージョン [日本盤ボーナストラック] / 18. ロンドン行き最終列車 [日本盤ボーナストラック]

[Disc 3]
1. Prologue / 2. Twilight / 3. Julie Don't Live Here / 4. Shine A Little Love / 5. When Time Stood Still / 6. Rain Is Falling / 7. Bouncer / 8. Hello My Old Friend / 9. Hold On Tight / 10. Four Little Diamonds / 11. Mandalay / 12. Buildings Have Eyes / 13. So Serious / 14. A Matter Of Fact / 15. No Way Out / 16. Getting To The Point / 17. Calling America [Japan Only Bonus Track] / 18. Destination Unknown / 19. Rock 'N' Roll Is King

1. プロローグ / 2. トワイライト / 3. ジュリー・ドント・リヴ・ヒア / 4. シャイン・ラヴ / 5. ホエン・タイム・ストゥッド・スティル / 6. さらばロンリー・レイン / 7. バウンサー / 8. ハロー・マイ・オールド・フレンド / 9. ホールド・オン・タイト / 10. フォー・リトル・ダイアモンド / 11. マンダレイ / 12. ビルディング・ハブ・アイズ / 13. SO・シリアス / 14. ア・マター・オブ・ファクト / 15. ノー・ウェイ・アウト / 16. 哀しみの地平線 / 17. コーリング・アメリカ [日本盤ボーナストラック] / 18. デスティネイション・アンノウン / 19. ロックン・ロール・イズ・キング

• Disc 3 (Tracks 3, 5 ,7 ,8 ,11, 12, 14, 15, 18): Previously Unreleased in Japan.

 

NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 品番:CSCS 5231~3
• 解説・歌詞・対訳付

 

 

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2012/03/15

ROCKOLOGY (1999) & UNFINISHED BUSINESS (2011) / ERIC CARR

CDの帯:ロックオロジー / エリック・カーAlbum Cover (front): Rockology / Eric Carr   Album Cover (back): Rockology / Eric Carr

ROCKOLOGY (1999)

この「Rockology / ロックオロジー」は'91年に41歳という若さで他界したキッスの二代目ドラマー、エリック・カーの未発表音源を含む遺作集。リリースされた当時は、まさかこんなものが(ましてや日本盤まで)リリースされようとは思ってもみなかったので、彼のファンとしてはとても嬉しかったことを覚えている。しかも、リリース日は1999年のエリックの命日である11月24日だったが、日本では先行発売ということで一足早くリリースされたのだった。

当然のことながら、アルバムとは言っても寄せ集め的なもので、収録されている曲の中にはデモ段階のものや、歌詞が未完成でスキャット風に歌われているものなども含まれているが、逆にそういった部分が生々しくもある。

キッス加入後しばらくはエリックのリードヴォーカル曲がアルバムに収録される機会が無かったのだが、'88年にリリースされたベスト・アルバム"Smashes, Thrashes and Hits"に収録の"Beth"(ピーターのヴォーカルパートがエリックのヴォーカルに差し替えられたヴァージョン)で初めて披露された後は、'89年リリースの"Hot in the Shade"でもリードヴォーカルを担当する"Little Caesar"が収録されるなど、いよいよエリックのヴォーカルが聴けるようになってきたかと思っていた矢先の不幸・・・。

結局はキッスのオリジナル・アルバムでエリックのヴォーカル曲が収録されたのは"Hot in the Shade"が初めてで最後となってしまったこともあり、ファンにとってはある種のフラストレーションのようなものがあったのだが、このアルバムではエリックのヴォーカルが思う存分堪能できる。

しかも、嬉しいのは、このアルバムをプロデュースしているのが盟友であるブルース・キューリックだということ。加えて、ブックレットにはそのブルースによる全曲のコメントも添えられている(日本盤には和訳付き)ので、それぞれがどういった曲なのかを簡単にではあるが知ることができるのだ。

収録曲の中では"Can You Feel It"、"Somebody's Waiting"、"Just Can't Wait"の3曲が特に気に入っている。"Can You Feel It"はパワフルなドラムサウンド(エリックのプログラミング)が映える曲で、願わくばこの曲をライヴで聴いてみたかったなぁ。"Somebody's Waiting"は"Hot in the Shade"の収録候補曲だったとされる曲だが、アルバムには同じバラードタイプの曲である"Forever"が収録予定だったこともあり、バランスを考えて外されたと言われている。バラードながらもパワフルなこの曲は、同じバラードとは言っても"Forever"とはタイプが違うし、個人的には"Hot in the Shade"に含まれるつまらない曲を1曲外してもいいから収録して欲しかったところではある。そして、"Just Can't Wait"。この曲はブルースのコメントを引用すると、「アレンジの細部まで作り込まれながら、結局ヴォーカル入りでは完成することの無かった曲」ということで、アルバムにはインストゥルメンタル曲として収録されているのだが、完成度が高い上に、メロディーラインがとてもキャッチーなので、ヴォーカル無しでも十分に魅力が伝わってくる。

 

CD Case (inside): Rockology / Eric Carr   CD: Rockology / Eric Carr

 

▼ Eric Carr (KISS) - Can You feel It
https://www.youtube.com/watch?v=MJdczXXWo9c

▼ Eric Carr (KISS) - Somebody's Wating
https://www.youtube.com/watch?v=Q3lldR4Lmdw

▼ Eric Carr (KISS) - Just Can't Wait
https://www.youtube.com/watch?v=7KDRL6tqBQQ

 

TRACKLIST
1. Eyes Of Love / 2. Somebody's Waiting / 3. Heavy Metal Baby / 4. Just Can't Wait / 5. Mad Dog / 6. You Make Me Crazy / 7. Nightmare / 8. Nightmare [Live Demo] / 9. Too Cool For School / 10. Tiara / 11. Can You Feel It / 12. Nasty Boys

• 品番:ZACB-102
• 解説・歌詞付 / 対訳無し
• 発売日:1999年11月24日

 


 

UNFINISHED BUSINESS (2011)

Album Cover (front): Unfinished Business / Eric Carr   =

そして、こちらは、昨年の2011年にリリースされた"Unfinished Business"。これも同じくエリック・カーの遺作が含まれるアルバムなのだが、残念ながら、こちらのアルバムはちょっと期待はずれだった。というのも、誰だか知らない人物のヴォーカルが後から加えられた曲が多く含まれていて、エリックのヴォーカルが聴けるのは正味4曲だけというシロモノなんだよね。

例えば、"Rockology"に収録されていたインストゥルメンタルの"Just Can't Wait"にも歌詞が付けられて歌われてはいるものの、馴染みの無いヴォーカリストの声にはやはり違和感があるし、"All Hell's Breakin' Loose"にいたっては単なる他人によるカヴァーで、エリックのヴォーカルもドラムも含まれないというものです。全体的に音質もあまり良くないし、正直、"Rockology"に比べてエリック色が薄い印象。実際、自分は買って直ぐに数回聴いただけで、その後は殆んど聴いていない。

ただ、そうは言っても、所々に収められているエリックの素の語りも聴けるし、まぁ、エリック自身のドラムとヴォーカルのトラックを含むトリビュート・アルバムと捉えれば、別に買って後悔したという気にはならないかなと(実際、自分も買って損したとまでは思っていない)。

 

Album Cover (inside): Unfinished Business / Eric Carr

 

▼ Eric Carr (KISS) - No One's Messin With You
https://www.youtube.com/watch?v=4URl2ls14JI

 

TRACKLIST
1. Eric Speaks To The Fans / 2. Just Can't Wait / 3. Troubles Inside You / 4. Eric Talks About His Music / 5. No One's Messin With You / 6. Carr Jam 1981 / 7. Eric Talks About His Kiss Audition / 8. Shandi / 9. All Hell's Breakin' Loose / 10. Dial L For Love / 11. Elephant Man / 12. Eric Talks About Mark St. John / 13. Midnite Stranger / 14. Eyes Of Love / 15. Bill Aucoin Talks About Eric / 16. Through The Years / 17. I Cry At Night [Bonus Track, Recorded 1967] / 18. Eric Joking At Rehearsals

• Label: Auto Rock Records
• Import (US)
• Digipak

2012/02/25

KISS - THE MEDLEY ~ A DANCE ORGASM / ROCK'N RHYTHM (1998)

CDの帯:キッス・ザ・メドレー~ア・ダンス・オルガズム / ロックン・リズムAlbum Cover: KISS - The Medley ~ A Dance Orgasm / Rock'N Rhythmダンスミュージックにアレンジされたキッスの楽曲がノンストップで繰り広げられるというこのアルバム、とは言っても、選曲がけっこうマニアックで面白いんだよね。実際に購入したきっかけもその収録曲に惹かれてのことだった。

何せ、"Then She Kissed Me"までもが収録されていることから、それだけを見てもマニアック度が分かりそうなものだが、他にもポールのソロアルバムに収録されている"Tonight You Belong To Me"が取り上げられていることや、セカンド・アルバム"Hotter Than Hell"から最多の5曲が選曲されているという点からもそのマニアック度は計り知れるところでもある。ちなみに、このアルバムはキッス側の承諾を得て一部にオリジナル音源がサンプリングで使用されている。

ということで、制作発案者であり、プロデュースと演奏者にクレジットされている"Dr.Pico esquire"なる人物の好みが色濃く反映されているとも言えるこのアルバムだが、言い方を変えれば、それだけ彼がキッスのファンであるという証なのかもしれない。

ただ、ダンスミュージックとはいっても、基本的にはギターサウンドがメインで、所々加えれているシンセの使い方もやや古臭い印象があり、ダンスミュージックと呼ぶにはやや中途半端なサウンドといった印象。

なお、シークレット・トラックとして"I Was Made For Lovin' You [House Mix Version]"がアルバムの最後に収録されている。

 

CD: KISS - The Medley ~ A Dance Orgasm / Rock'N RhythmTRACKLIST
1. Shout It Out Loud / 2. Lick It Up / 3. Heaven's On Fire / 4. Shock Me / 5. Love Gun / 6. Christine Sixteen / 7. God Of Thunder / 8. Strutter / 9. Coming Home / 10. Rock Bottom / 11. Love Her All I Can / 12. Then She Kissed Me / 13. Let Me Go Rock 'N Roll / 14. Parasite / 15. Deuce / 16. Black Diamond / 17. New York Groove / 18. She / 19. Watchin' You / 20. Got To Choose / 21. Nothin' To Lose / 22. Tomorrow / 23. ,2000 Man / 24. Tonight You Belong To Me / 25. I Was Made For Lovin' You / 26. Rock And Roll All Nite
• 27. (Secret Track) I Was Made For Lovin' You [House Mix Version]

• 品番:AVCD-11664
• 解説付 / 歌詞・対訳無し
• 発売日:1998/8/26