2010/09/05

DISCOVERY 「ディスカバリー」 / E.L.O. (1979)

CDの帯(初CD化盤):ディスカバリー / E.L.O.Album Cover (Front): Discovery / E.L.O.2枚組レコードとしてリリースされた大作"Out Of The Blue"に続くE.L.O.の作品となったこの「Discovery / ディスカバリー」は、前作のクオリティーを凝縮したかのような、魅力的な楽曲に満ちたアルバム。

なお、アラビアン・ナイトをモチーフに、各曲をそれぞれの物語に見立てたというこのアルバムのタイトル"Discovery"には、ストリングスの代わりに何かを"発見"したかったという事に加え、当時、一世を風靡していたディスコサウンドを取り入れた事による"Disco-very"という意味合いが含まれているそうだ。

サウンド面では、その「ストリングスの代わりに・・・」という言葉が示すように、それまでのサウンドの大きな特徴のひとつであったストリングスの比重は減り、それにに代わってシンセサイザーが多くの場面で使用されている。ただ、シンセサイザーもストリングス風なアレンジで使われている部分も多いので、思ったほどサウンドに大きな違和感は無いものの、チェロ奏者"Melvyn Gale"、"Hugh Mcdowell"の二人と、バイオリン奏者"Mik Kaminski"がメンバーのクレジットから消えたこともあって、当時はちょっと複雑な心境でもあった。

Album Cover (Back): Discovery / E.L.O.収められた個々の楽曲はプログレッシヴ色も薄れ、かつての仰々しさはすっかり影を潜めてしまったが、それでも、コンパクトになったことで、一般的には更に受け入れられやすくなったのか、このアルバムは世界21か国でプラチナムやゴールドに輝き、米ビルボードチャートでは最高5位を記録している。

又、シングルカットされた曲も、"Shine a Little Love"(英6位 / 米8位)、"The Diary of Horace Wimp"(英8位)、"Don't Bring Me Down"(英3位 / 米4位)、"Confusion"(英8位 / 米37位)、"Last Train to London"(英8位 / 米39位)、と、次々とヒットを記録しているのだが、実は、収められた楽曲の充実ぶりと自信を示すかのように、当初は全曲をシングルカットするつもりでいたらしく、実際に全曲のビデオクリップが制作されていた。

アラビアン・ナイトのワンシーンを思わせるような、エキゾティックな雰囲気が漂うアルバムジャケットも、収められた楽曲に負けず劣らずゴージャス。デザインとアートディレクションは"Paul Gross"と"Norman Moore"。

 

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA - BAND MEMBERS
• Jeff Lynne (ジェフ・リン) - Lead and Backing Vocals, Lead and Rhythm Guitar, Piano, Synthesizer
• Bev Bevan (ベヴ・ベヴァン) - Drums, Percussion
• Kelly Groucutt (ケリー・グロウカット) - Bass, Vocals and Backing Vocals
• Richard Tandy (リチャード・タンディ) - Grand Piano, Synthesizer, Electric Piano, Clavinet

 

TRACKLIST
1. Shine A Little Love (シャイン・ラヴ) / 2. Confusion (コンフュージョン) / 3. Need Her Love (ニード・ハー・ラヴ) / 4. The Diary Of Horace Wimp (ホレスの日記) / 5. Last Train To London (ロンドン行き最終列車) / 6. Midnight Blue (ミッドナイト・ブルー) / 7. On The Run (オン・ザ・ラン) / 8. Wishing (ウィッシング) / 9. Don't Bring Me Down (ドント・ブリング・ミー・ダウン)

NOTES
• 日本盤初回プレスCD(初CD化盤) [Japanese First Pressing CD]
• 品番:CSCS-6006
• 解説・歌詞・対訳付

 

▼ ELO - Shine A Little Love (Official Music Video)

https://www.youtube.com/watch?v=GJuTIxwQw0k

 

▼ ELO - Confusion (Official Music Video)

https://www.youtube.com/watch?v=1jUvhJ_Tgzw

 

▼ ELO - Need Her Love (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=9FwKq2-bGaE

▼ ELO - The Diary Of Horace Wimp (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=PFU9HYyMVxQ

 

▼ ELO - Last Train To London (Official Music Video)

https://www.youtube.com/watch?v=Up4WjdabA2c

 

▼ ELO - Midnight Blue (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=AwBGBElJcuo

▼ ELO - On The Run (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=sErqZGhMZ7g

▼ ELO - Wishing (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=uqQghySY0OI

 

▼ ELO - Don't Bring Me Down (Official Music Video)

https://www.youtube.com/watch?v=qj8kMmUxkSE

 

 

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(ジェフ・リンが提供した楽曲"One Way Love"を収録)
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2010/09/04

NEWS OF THE WORLD 「世界に捧ぐ」 / QUEEN (1977)

CDの帯(初CD化盤):世界に捧ぐ / クイーンAlbum Cover (front): News of the World / Queenクイーンにとって6作目のアルバムとなるこの「News of the World / 世界に捧ぐ」は、今や、あらゆるスポーツ会場でのアンセムとなった感のある"We Will Rock You"と"We Are the Champions"を収録したアルバム。

アルバム・タイトルの"News of the World"とは、イギリス大衆誌の名前でもあり、同誌が彼らを散々酷評してきた事に対する皮肉の意味が込められているとも言われている。なお、日本で発売されたLPレコードの初回版には6種類×6枚のステッカーセットがおまけとして封入されていた。

このアルバムが好きなところは、上記の2曲以外にも、イギリスでシングルカットされた"Spread Your Wings"や、日本とアメリカでシングルカットされた"It's Late"など、トラディッショナル・クイーン・サウンドと呼べるような楽曲が含まれている点で、レコード時代はA面とB面の後半にこの2曲が配置されていたことで、全体的に引き締まった印象があった。

"Spread Your Wings"は、後半のギターソロが特に素晴らしくて、このギターソロが、より楽曲の魅力を際立たせているといった印象。そして"It's Late"はといえば、ハードでドラマティックな展開で見せる後半のコーラスが絶品なんだよなぁ。このコーラス部分は注意して聴いていないと分かり辛いかも知れないが、5分13秒辺りから「It's Late~」と始まるコーラス部分は前半のパートよりも厚みを増し、「Too Late~」のコーラス部分の後には新たにロジャーのハイトーンを生かしたパートがバックに加わり、これがまた、ことのほか美しいのだ。

Japanese 7-inch Single Record: It's Late / Queenそれ以外にも、壊れかけたギターの音が気に入って使ったと、雑誌のインタビューかなにかでブライアンが語っていた記事を読んだ覚えがあるブルージーな"Sleeping on the Sidewalk"や、ジャズのスタンダード・ナンバーと言ってもおかしくないような"My Melancholy Blues"など許容範囲の広さを感じさせられるような曲が収録されているのもこのアルバムの魅力。個人的には、どこか物悲しい雰囲気のある"All Dead, All Dead"も好きな曲のひとつ。

又、このアルバムではメンバー4人が提供する曲の比率も、フレディとブライアンがそれぞれ4曲、ロジャーとジョンが2曲づつと均衡しており、それがこのアルバムをよりバラエティー豊かな内容にしている要因のひとつとしてあるのかもしれない。

アルバムは、英4位、米3位を記録。又、アルバムのオープニング曲である"We Will Rock You"は、本国のイギリスや日本では、アルバムからのファースト・シングル、"We Are the Champions"のB面としてリリースされたが、アメリカでは"We Will Rock You / We Are the Champions"と両A面扱いでリリースされ、ラジオ等でも"We Will Rock You ~ We Are the Champions"という流れで、常に2曲一緒に流されていたようだ。

Japanese 7-inch Single Record: It's Late / Queenシングル・チャートに於いては、"We Are the Champions"が英2位 (Gold)、"We Will Rock You / We Are the Champions"が米4位 (2x Platinum)、"Spread Your Wings"が英34位、"It's Late"が米74位をそれぞれ記録している。

ちなみに、アルバムに収録されている"It's Late"は、6分半に及ぶ大作だが、シングル盤の方は、ギターソロ部分等を短くカットした3分台のショート・ヴァージョンになっている。しかしながら、シングル盤(日本盤)の時間表記はアルバムと同じになっていたのだった。なので、シングル盤を買ったときは、大胆な継ぎ接ぎ編集にビックリしたことを覚えている。

なお、いかにも勇壮なコーラスが似合いそうな"Spread Your Wings"にコーラスが全く無いのはちょっと以外だったが、後にリリースされた"Live Killers"には、サビの部分を観衆が大合唱する感動的なヴァージョンが収められている。ちなみに、このアルバムには、同じく、コーラスが全く含まれていない曲"My Melancholy Blues"がアルバムの最後に収録されている。

 

▼ こちらは初回版のLPレコードに封入されていたおまけのステッカーセット(6種類×6枚の計36枚セット)

LPレコードに封入されていたおまけのステッカーセット:News of the World / Queen

 

TRACKLIST
01. We Will Rock You / ウィ・ウィル・ロック・ユー (Writer: B. May / Lead Vocal: F. Mercury)
02. We Are The Champions / 伝説のチャンピオン (Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
03. Sheer Heart Attack / シアー・ハート・アタック (Writer: R. Taylor / Lead Vocal: F. Mercury (Chorus: R. Taylor) / Bass & Rhythm Guitars: R. Taylor)
04. All Dead, All Dead / オール・デッド (Writer: B. May / Lead Vocal: B. May)
05. Spread Your Wings / 永遠の翼 (Writer: J. Deacon / Lead Vocal: F. Mercury)
06. Fight From The Inside / 秘めたる炎 (Writer: R. Taylor / Lead Vocal: R. Taylor / Bass Guitars: R. Taylor / Guitars: R. Taylor & B. May)
07. Get Down, Make Love / ゲット・ダウン・メイク・ラヴ (Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)
08. Sleeping On The Sidewalk / うつろな人生 (Write: B. May / Lead Vocal: B. May)
09. Who Needs You / 恋のゆくえ (Writer: J. Deacon / Lead Vocal: F. Mercury / Acoustic Guitars: J. Deacon / Cowbell: F. Mercury / Maracas: B. May)
10. It's Late / イッツ・レイト (Writer : B. May / Lead Vocal: F. Mercury)
11. My Melancholy Blues / マイ・メランコリー・ブルース (Writer: F. Mercury / Lead Vocal: F. Mercury)

NOTES
• 日本盤初回プレスCD(初CD化盤) [Japanese First Pressing CD]
• 品番:CP32-5314
• 解説・歌詞付 / 対訳無し

 


 

■ 追記
こちらは、40周年を記念して2011年にリリースされた2枚組の"40th Anniversary Limited Edition" (2011 Digital Remaster)。

News Of The World (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  News Of The World (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  News Of The World (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen

TRACKLIST
Disc 1: News Of The World

Disc 2: News Of The World - Bonus EP
1. Feelings, Feelings [Take 10, July 1977]
2. Spread Your Wings [BBC Session, October 1977]
3. My Melancholy Blues [BBC Session, October 1977]
4. Sheer Heart Attack [Live In Paris, February 28 1979]
5. We Will Rock You (Fast) [Live In Tokyo, November 1982]

News Of The World (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  News Of The World (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen  News Of The World (Queen 40th Anniversary Limited Edition) / Queen

 

▼ Queen - We Are The Champions (Official Video)

https://www.youtube.com/watch?v=04854XqcfCY

 

▼ An interview with Queen about their album "News Of The World" in 1977

https://www.youtube.com/watch?v=fcjr0fc182w

 

 

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2010/09/02

ALPHA 「アルファ」 / ASIA (1983)

CDの帯:アルファ / エイジアAlbum Cover (front): Alpha / Asia  Album Cover (back): Alpha / Asia  CD Case (back cover): Alpha / Asia

ビルボードの年間アルバムチャートで1位となるほどの大ヒットを記録したファーストアルバム「Asia / 詠時感~時へのロマン」に次ぐエイジアのセカンドアルバムがこの「Alpha / アルファ」。

キャッチーでメロディーラインが美しい楽曲が揃ったこの"Alpha"、寸分の隙間無く編み込まれた様な緻密で重厚な音作りは相変わらずで、ポップながらもダイナミックで勇壮なイメージを受ける要因はそういった音作りがベースにあるからなのかもしれません。

又、収められた楽曲のクオリティーは、1982年度のビルボード年間チャートで第1位となる程の大成功を収めたファーストアルバム「Asia / 詠時感~時へのロマン」にも引けをとらないばかりか、それをも凌駕するかのようで、それはヴォーカリストでありベーシストでもあるソングライター、ジョン・ウェットンを中心とするメンバー4人の、ファーストアルバムよりも更に良いものにしなければという意気込みと気迫が生み出した結果だったのかもしれません。

サウンドが持つ雰囲気をそのまま絵にしたようなロジャー・ディーンのアートワークも印象的で、とにかくまるでベストアルバムがごとく魅力的な楽曲がズラリと揃っています。しかも、曲の配列も素晴らしく、個人的位置付けではこの"Alpha"こそがエイジアの最高傑作。

面白いのは、この"Alpha"に収録されている要所を締める曲が「目」に関する曲であること。具体的には(LPレコードでは)、アルバムA面 (Side-Alpha) の1曲目が"Don't Cry"で、2曲目が"The Smile Has Left Your Eyes"、そしてB面 (Side-Beta) の1曲目が"Eye To Eye"で、ラストが"Open Your Eyes"といった構成になっています。更にはジャケットのアートワークにあるピラミッドのようなものにも目が描かれていることから、もしかしたら何らかの意図があるのではないかとも思えます。まぁ、たまたまそうなったといったことも無きにしも非ずですが(笑)。

それにしても、何故、この"Alpha"がファーストアルバムの4分の1程度しか売れなかったんでしょうね。今でも不思議に思います。

イエス、キング・クリムゾン、エマーソン・レイク・アンド・パーマーと、プログレッシヴロックの大御所バンド出身者4人で結成されたにもかかわらず、過去のキャリアに囚われること無く、新しい道を切り開いていこうとするその姿勢に当時は感銘を受けたものです。

 

TRACKLIST
1. Don't Cry / 2. The Smile Has Left Your Eyes / 3. Never In A Million Years / 4. My Own Time (I'll Do What I Want) / 5. The Heat Goes On / 6. Eye To Eye / 7. The Last To Know / 8. True Colors / 9. Midnight Sun / 10. Open Your Eyes

1. ドント・クライ / 2. 嘘りの微笑み / 3. ネヴァー・イン・ア・ミリオン・イヤーズ / 4. マイ・オウン・タイム / 5. ザ・ヒート・ゴーズ・オン / 6. 悲しみの瞳 / 7. 時の旅人 / 8. トゥルー・カラーズ / 9. ミッドナイト・サン / 10. 永遠の輝き

 

NOTES
• CD発売日:1988年10月10日(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付

 

ASIA - BAND MEMBERS (Listed on Back Cover)
• Geoffrey Downes (ジェフ・ダウンズ) - Keyboards
• Steve Howe (スティーヴ・ハウ) - Guitars
• Carl Palmer (カール・パーマー) - Drums
• John Wetton (ジョン・ウェットン ) - Vocals and Bass Guitars

 

▼ Asia - The Smile Has Left Your Eyes (Official Music Video)

 

[Official Audio]

▼ Asia - Don't Cry
https://www.youtube.com/watch?v=-BozgPL1huc

▼ Asia - Never In A Million Years
https://www.youtube.com/watch?v=d3kYcvb_Syw

▼ Asia - My Own Time (I'll Do What I Want)
https://www.youtube.com/watch?v=xZX44KEYw-w

▼ Asia - The Heat Goes On
https://www.youtube.com/watch?v=ck-5JThZRP4

▼ Asia - Open Your Eyes
https://www.youtube.com/watch?v=w_ZvkwAYe3k

 

▼ こちらはLPレコード(初回プレス盤)

LPレコードのジャケット (表):Alpha / Asia   LPレコードのジャケット (裏):Alpha / Asia   LPレコードの内袋:Alpha / Asia

▼ LPレコードの帯

LPレコードの帯:アルファ / エイジア

▼ レコード盤のラベル:Side-1 (Alpha) / Side-2 (Beta)

LPレコードのジャケット (表):Alpha / Asia   LPレコードの内袋:Alpha / Asia

 

 

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エイジア結成以前にジョン・ウェットンが在籍していたバンド
Night After Night 「ナイト・アフター・ナイト(ライヴ・イン・ジャパン)」 (1979) / UK

ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズが提供した楽曲"We Move as One"を収録
Eyes Of A Woman (1985) / Agnetha Fältskog [ex-Abba]

TIN DRUM 「錻力の太鼓」 / JAPAN (1981)

CDの帯:錻力の太鼓 / ジャパン

Album Cover (front): Tin Drum / Japan派手なビジュアルイメージの所為か、デビュー当時は日本での人気とは裏腹に、本国イギリスでは(デビュー当時はメイクをしていたかつてのクイーンがそうであったように)、正当な評価を受けられず、遅れてやってきたグラム・ロックとか、奇をてらったビジュアルだけの素人バンドなどとメディアやプレスには酷評されていたようだ。

それでも、大転換を図った3作目の「Quiet Life / クワイエット・ライフ」からは徐々に評価も高まりつつあったようで、この5作目となる「Tin Drum" / 錻力の太鼓」では、それまで批判的であったメディアやプレスからも絶賛され、彼らの評価は一気に高まることになった。(個人的には初期2枚のアルバムも"Quiet Life"以降のアルバムとはまた違った魅力があって結構好きなんだけどなぁ)

しかしながら、そんな世間の評価や成功とは裏腹に、このアルバムを最後にバンドは解散してしまうのだった。

当時はポップスでもなければロックでもないこの不思議なアルバムを前作や前々作ほど好きになれなくて、何故それほどまでに評価されるのかも分からなかったのだが、大人になるにしたがって徐々にこのアルバムの魅力に気付いていったようなところがあった。ここで見られるアーティスティックな世界観はモダンアートと呼んでも違和感のないものだ。とは今だから言える言葉でもある。

 

Album Cover (back): Tin Drum / Japanアルバムジャケットや、"Visions of China"、"Canton"、"Catonese Boy"といった曲だけに留まらず、中国をテーマに生み出されたと思われる独特なビート感がアルバム全体を通して漂っており、この不思議な美意識で表現された世界感に嵌まってしまうと、けっこう病み付きになるんだけど、これに続く作品が無いというのがもどかしくもあるところ。

一応、念のため言っておくと、これは日本という名の英国のバンドが中国をテーマに制作したアルバムなので、勿論、彼らが日本と中国を混同して見ているというわけではない(既に何度も来日している)。

ただ、中国をテーマにしているとはいえ、それは親しみや憧れといった対象ではなく、どちらかといえば皮肉的に捉えているような印象もある。ちなみに、過去にはファースト・アルバムに於いて"Communist China"という曲が収録されていたり、まだ東西に分かれていた時代のベルリンや、旧英国植民地のローデシアといった問題を抱えた地域を題材にした曲があったりもした。

それでも、もしかしたら、案外、政治的なものとは関係なく、19世紀後半に日本の美術や工芸が、ヨーロッパの芸術家たちに刺激と影響を与えたジャポニスムのように、ジャパンというか、デヴィッド・シルヴィアンもまた純粋にアートの素材として中国の文化やイメージといったものに触発されたというのが理由だったりするのかもしれない。

まぁ、そういった推測は置いておくとして、それにしても、独自のスタイルを確立した感もあるミックとスティーヴによるリズム隊はこのアルバムの核と言えるほどに強力で素晴らしいなぁとは思うところ。実際、ベースとドラムの音に耳を傾けるだけども、けっこう楽しめるんだよね。

 

Japanese 7-inch Single Record: The Art of Parties / Japanそして"Japan"史上最もコマーシャル性の低いこのアルバムの中にあって、日本で唯一発売されたシングル盤が"The Art of Parties"。ひいき目に見ても売れるような曲ではないので、特段ヒットするということもなかったのだが、自分自身は今も好きな曲のひとつ。実のところ、こういった曲は、多分、自分の趣味ではないと思うんだけど(笑)、何故か不思議と惹かれるんだよね

例によって、シュールな抽象芸術を思わせるような歌詞の意味については、未だ理解に苦しむようなところがあるのが、何故か聴くたびにマティスの「ダンス II」が頭をよぎるんだよね。ただ、当時は、別にこの曲が好きというわけでもなく、どちらかといえば風変わりで奇妙な曲といった印象しかなかったように思うこの曲のシングル盤を、何故にアルバムとは別に買っていたのか、今考えてもよく分からず、この辺りはちょっと不思議に思うところではある(実際LPレコードで買った当時は"Still Life In Mobile Homes"から始まる「Side 2」ばかり聴いていた)。

 

Japanese 7-inch Single Record Label: The Art of Parties (A-side) / Japan   Japanese 7-inch Single Record Label: The Art of Parties (B-side) / Japan

 

日本ではデビュー当時のブームも影を潜め、シングルも然ることながら、アルバム自体もあまり話題になることもなかったように記憶しているのだが、逆にデビュー当時は全く注目されなかった本国のイギリスに於いては過去最高の売り上げを記録し、The Art of Parties (48位)、 Visions of China (32位)、 Ghosts (5位)、 Catonese Boy (24位)と、4曲もがシングルカットされた辺りは、イギリス・マーケットというか、イギリス人気質みたいなものが感じられて面白いところだと思う。

p>たとえポップスやロックといった音楽であっても、クリエイティヴ且つアーティスティックな要素が求められるような土壌がイギリスにはあるようで、そういった点では依然としてプロダクション主導のアイドルが幅を利かせる日本よりはマーケットが成熟している印象も無きにしも非ずといったところ。しかしながら、そうは言っても"Ghosts"のような淡々とした起伏の少ない地味な曲が5位にまで上がるヒットになったのは今でもよく分からいところではある。

ちなみに、グループ解散後にリリースされた次作のライヴ・アルバム"Oil on Canvas"は、この"Tin Drum"の12位を上回る5位をUKチャートに於いて記録しており、この"Tin Drum"の収録曲である"Canton"のライヴ・ヴァージョンが"Oil on Canvas"からのシングルとしてリリースされた。

 

TRACKLIST
1. The Art Of Parties / 2. Talking Drum / 3. Ghosts / 4. Canton / 5. Still Life In Mobile Homes / 6. Visions of China / 7. Sons Of Pioneers / 8. Cantonese Boy

1. ジ・アート・オブ・パーティーズ / 2. トーキング・ドラム / 3. ゴウズツ / 4. カントン / 5. スティル・ライフ・イン・モービル・ホームズ / 6. ヴィジョンズ・オブ・チャイナ / 7. サンズ・オブ・パイオニアーズ / 8. カントニーズ・ボーイ

NOTES
• CD発売日:1999年06月30日(再発盤)
• 解説・歌詞・対訳付

• Album: UK 12位 (Gold)

JAPAN - BAND MEMBERS (Listed on Back Cover)
• David Sylvian (デヴィッド・シルヴィアン) - Keyboards, Keyboard Programming, Tapes, Guitar, Vocals
• Steve Jansen (スティーヴ・ジャンセン) - Drums, Percussion, Electronic and Keyboard Percussion
• Richard Barbieri (リチャード・バルビエリ) - Keyboards, Keyboard Programming, Tapes
• Mick Karn (ミック・カーン) - Fretless Bass, African Flute, Dida

 

▼ Japan - Visions of China

 

▼ Japan - Ghosts

 

[Official Audio]

▼ Japan - Still Life in Mobile Homes
https://www.youtube.com/watch?v=WxGpxt9XpN0

▼ Japan - The Art of Parties
https://www.youtube.com/watch?v=aEuB_rfuM7Q

▼ Japan - Talking Drum
https://www.youtube.com/watch?v=VMnPLCrGZA0

 

 

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2010/09/01

ON AIR 「オン・エアー」 / ALAN PARSONS (1996)

CDの帯(初回プレス盤):オン・エアー / アラン・パーソンズAlbum Cover: On Air / Alan Parsonsミュージシャンでありエンジニア/プロデューサーでもある「スタジオの魔術師」との異名を持つアラン・パーソンズ。ビートルズの「レット・イット・ビー」、ピンク・フロイドの「原子心母」「狂気」などの制作にも携わった彼は、表面的には意外とオーソドックスで安心して聴かせてくれる一方、常に新しい試みも忘れないサウンドアプローチで良質な音楽を聴かせてくれる大好きなミュージシャンの一人。

ソロ名義としては3作目(前年にリリースされたライヴ・アルバム"The Very Best Live"を含む)となるこのアルバム「ON AIR / オン・エアー」は、全曲が「空や大気」といったものをテーマに書かれた曲(ただ、アルバムの中には"Apollo"や"Brother Up in Heaven"といったタイトルの曲も含まれているので、実際には"On Air"という言葉の中には宇宙や天国といった地上を離れたもの全てが含まれているのかもしれない)で構成されたコンセプトアルバムでありながらも、コンセプトアルバムにありがちな難解さは無く、どちらかと言えば、1曲1曲が比較的コンパクトに独立したかたちで収められているといった印象がある。なお、ジャケットのデザインはいつものストーム・ソーガソンが行っている。

アラン・パーソンズ・プロジェクト時代及び前作までのソロ名義のアルバムと同様、このアルバムに於いても、曲ごとにヴォーカリストを変えるスタイルは健在で、この"On Air"には、"10CC"のエリック・スチュワートやクリストファー・クロス、それに"E.L.O. Part 2"のファースト・アルバムでヴォーカリストとしてメンバーに名を連ねていたニール・ロックウッドなどが参加している。

アルバムのテーマのみならず、ヴォーカリストのカラーもしくは声質の影響もあるのか、全体的にどことなく清涼感があり、聴いていて心地良い感じがするのが、個人的にはこのアルバムの好きなところでもある。

 

CD: On Air / Alan Parsons   CD-ROM: On Air / Alan Parsons   Album Cover (back): On Air / Alan Parsons

 

それと、特筆すべきことがひとつ。それは、このアルバムには"CD"に加えて"CD-ROM"が付属しているという点で、これが到底オマケとは思えない代物なのだ。何しろ、数回見たくらいでは全体像を理解することさえできないと言っても過言ではない凝った作りで、収録されている情報量だけでも相当なもの。

例えば"CD-ROM"をパソコンにセットしてプログラムを開くと、沢山の気球が飛んでいる動画が最初に出てくるのだが、その気球のひとつひとつがリンクボタンになっているので、違ったスピードで動いている様々な大きさの気球を上手く捕らえてクリックしないと次の画面に移動できないのだ。

さらに厄介なのは、気球には何も表記されていないので、どのページにリンクするのかが全く分からない上に、パンと割れてしまうハズレの気球もあったりするので、一度見たページへ再び行こうとしても、目的のページに中々辿りつけないのだ。といった具合に。相当な手間隙をかけて制作されているのは明らかで、やもすると、メインの"CD"以上に力が入れられているのではないかとさえ思ってしまうほど。

ちなみに"CD-ROM"には、収録曲に関する情報はもとより、ギリシャ神話からステルス機やロケットまで、空と飛行に関するあらゆる情報が収録されている。

ただ、この"CD-ROM"は20年以上も前(1996年)に制作されたものということもあり、残念ながら現在のPC環境では"CD-ROM"内のプログラムを開くことはできず、"CD-ROM"を使用するには、古いヴァージョンの"Quic Time"をインストールする必要があるようだ。それでも、収録されいるいくつかの動画は、現在のPC環境でも直接ファイルを開けば単体で個別に見ることができることは確認している。

なお、日本盤のみ、12曲目に"Apollo Ambient Mix (Moon Boots)"がボーナストラックとして収録されている。又、曲目は全て英語表記で、日本語表記による邦題は記されていない。

 

CD Case (back): On Air / Alan ParsonsTRACKLIST
Disc 1: 1. Blue Blue Sky / 2. Too Close To The Sun / 3. Blown By The Wind / 4. Cloudbreak / 5. I Can't Look Down / 6. Brother Up In Heaven / 7. Fall Free / 8. Apollo / 9. So Far Away / 10. One Day To Fly / 11. Blue Blue Sky / 12. Apollo Ambient Mix (Moon Boots) [Japan Only Bonus Track]

Disc 2: CD-ROM

NOTES
• 日本盤初回プレスCD [Japanese First Pressing CD]
• 品番:XYCA-00031
• 解説・歌詞・対訳付

 

▼ Alan Parsons - Brother Up in Heaven

 

▼ Alan Parsons - One Day To Fly

 

▼ Alan Parsons - So far away

 

▼ Alan Parsons - Blue Blue Sky (part 2)

 

 

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