2014年を最後にしばらく行われていなかった英BBCの世界世論調査「世界に良い影響を与えている国」が復活したようで、2016年から2017年にかけて行われた最新の調査結果が先月の7月に公開されています。
それぞれの国に対し、肯定的か、否定的かを問うこの調査は、2005年に始まり、2014年まで毎年行われていたもので、一種の国別好感度調査とも言える世界規模の世論調査です。
※ 過去の調査結果につきましてはこちらをご参照ください。
▶ 英BBC世界世論調査「世界に良い影響を与えている国」 2006-2014 全調査記録一覧 - (2015年12月26日)
調査方式
• 調査期間:2016年12月~2017年4月
• 対象:19か国の18,000人
• 調査機関:GlobeScan/PPC
• 質問形式:16の国と EU (ヨーロッパ連合)を評価するために、回答者に肯定的か、否定的かを尋ねる方式
▼ こちらが今回の調査結果
今回の調査で「良い影響を与えている国」のトップとなったのはカナダ(61%)で、以下、2位 ドイツ(59%)、3位 日本(56%)、4位 フランス(52%)、5位 イギリス(51%)という順になっており、日本は前回調査の2014年の5位から3位に順位を上げています。なお、上位5か国は順位に変動はあったものの、前回調査の2014年と同じ顔ぶれという結果になっています。(カッコ内の数値はポジティヴ評価の割合)
上のグラフの右側に記された2014年の調査との比較を示す数値を見れば分かるように、前回の2014年の調査と比較して、今回の調査対象国の中でポジティヴ評価を最も上げた国は日本(49%から56%へ)で、ネガティヴ評価を最も下げた国も日本(30%から24%へ)という結果になっており、相対的に最も評価が上がった国が日本という調査結果になっています。
ただ、今回は日本での調査が行われていないので、日本人は各国をどのように評価しているのかという数値が見れないのが残念なところ。又、今回は日本同様、韓国でも調査が行われていないことから、前回の調査で中国と共に日本へのネガティヴ評価が多かった韓国での評価が加えられていないという点も、日本へのネガティヴ評価が減った要因のひとつかもしれません。
全体的な総括としては、調査結果のページの見出しに「Sharp Drop in World Views of US, UK: Global Poll」と記されていることから、グローバルな世論調査の観点では、アメリカ、イギリスの世界観における急激な落ち込みが見て取れる結果になったということのようです。
それでも、若干とはいえ、EU(ヨーロッパ連合)よりもイギリスへの評価の方が高い結果になっているのは注目点のひとつかと。
▼ こちらは日本に対する各国の評価
なお、今回の調査で、日本が「良い影響を与えている」とした回答が多かった国は、オーストラリア(78%)、カナダ(77%)、フランス(74%)、ブラジル(70%)、アメリカとイギリス(65%)の順。
ちなみに、前回の2014年の調査で、日本が「良い影響を与えている」とする回答が多かった国は、ナイジェリア(72%)、インドネシア(70%)、ブラジル(70%)、アメリカ(66%)、イギリス(65%)の順でした。
今回の調査で日本への評価が大きく上昇した国はといえば、まずはポジティヴとネガティヴの評価が前回と逆転した上に、日本へのネガティヴ評価が評価対象国の中で3番目に低い割合となったドイツ(2014年のポジティヴ評価:28% / ネガティヴ評価:46%) → (2017年のポジティヴ評価:50% / ネガティヴ評価:13%)。
そして、ポジティヴ評価は上がり、ネガティヴ評価は下がるといったように、日本に対する全体の評価が良くなったオーストラリア(2014年のポジティヴ評価:59% / ネガティヴ評価:29%) → (2017年のポジティヴ評価:78% / ネガティヴ評価:17%)、カナダ(2014年のポジティヴ評価:58% / ネガティヴ評価:30%) → (2017年のポジティヴ評価:77% / ネガティヴ評価:12%)、フランス(2014年のポジティヴ評価:58% / ネガティヴ評価:34%) → (2017年のポジティヴ評価:74% / ネガティヴ評価:21%)、といった国々が挙げられます。
日本への評価が大きく上昇したこれら4か国の共通点としては、移民に寛容な国といった印象があるのですが、ここ最近クローズアップされることも多い各国の移民対策、もしくは移民の問題といったものが何かしら要因として影響している部分もあるのでしょうか?
▼ 今回の調査で日本への評価が大きく上昇した国(前回行われた2014年の調査と比較)
一方、日本が「悪い影響を与えている」としたネガティヴ評価の数値を見てみると、中国で75%(前回90%)と、前回の調査に比べて数値的に減ってはいるものの、中国一か国だけが突出して目立っているわけですが(先にも記したように、前回の調査で中国と共に「悪い影響を与えている」とする回答が圧倒的に多かった韓国(79%)では今回調査が行われていません)、中国以外の国の評価では「悪い影響を与えている」とする割合が「良い影響を与えている」とする評価を上回っている国は無く、他は全て「良い影響を与えている」とするポジティヴ評価が「悪い影響を与えている」とするネガティヴ評価を上回っています。
ただし、全体的には圧倒的にネガティヴ評価が多いながらも、中国での日本への評価も実は前回より良くなっています(2014年のポジティヴ評価:5% / ネガティヴ評価:90%) → (2017年のポジティヴ評価:22% / ネガティヴ評価:75%)。前回の調査ではポジティヴ評価が一桁台と極端に低かったとはいえ、今回の調査ではその数値が約4倍に上がっていることから、日本に対するポジティヴ評価の伸び率という点では中国がトップということになりますね(笑)。
中国で日本に対する評価が上がった理由としては、ここ2、3年で、日中両国間の何かが好転したという主だった要因も見つからないことから、具体的にこれだという答えは導き出せないのですが、考えられるとすれば、日本への中国人旅行客が増えた結果、良い印象を持つ割合が増えたということくらいでしょうか。
逆に、日本への評価を下げた国を見てみると、全体的な評価は高いものの、インドネシア(2014年のポジティヴ評価:70% / ネガティヴ評価:14%) → (2017年のポジティヴ評価:57% / ネガティヴ評価:17%)と、ポジティヴ評価とネガティヴ評価の割合が拮抗する結果となったスペイン(2014年のポジティヴ評価:46% / ネガティヴ評価:30%) → (2017年のポジティヴ評価:39% / ネガティヴ評価:36%)がやや目立つといったところ。
■ 調査結果の詳細はこちら
• Sharp Drop in World Views of US, UK: Global Poll (globescan.com) (英語)
• BBC World Service Poll (globescan.com) (PDF / 英語)
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